お山(産)歩雑記

お山を愛する絵描きの雑記帳かつ2010年7月生まれの歩美&2012年8月生まれの竜之介の一姫二太郎育児奮闘記

9月の南アルプス ~千枚・悪沢・茶臼・上河内~

2008-09-15 18:03:58 | Weblog
前回のブログより早2週間…
その間いろいろ行きました。

まずは川根本町エコツーリズムネットワークの皆様と行った、サワラ島~千枚~悪沢(3141m)。
出発の前夜、あろうことか人生で2本の指に入る寝違えを起こし、出発の朝、首と左肩が全く動かない状態に陥りました。
行くかどうするか迷っていた私に、実家の父より「寝違えなんか病院で筋弛緩剤打ってもらうしか回復方法はない。けど、山登って悪くなるもんでもないから、行って来い!」の暖かい一言。
それで迷いは消えました。

南アルプスのプロの方々との登山は、本当に有難い経験でした。
千枚岳・悪沢岳間のお花畑にはタカネマツムシソウ、トウヤクリンドウ、タカネビランジ等の晩夏高山植物が咲き誇り、お目当てにしていたサンプクリンドウ(普通のリンドウよりかなり小型で可憐。三伏峠とここらにしかないらしい)にも出会えました。
そして…昨年の光岳で出会えなかった念願のライチョウに遭遇!
しかも2羽の子連れ。
ライチョウって「ウ・ウ・ウ・・」って人間の赤ちゃんが甘えたような声で鳴くんですね。
こんな寒くて食べ物も少ない環境で、体を守るつめも牙も持たず、ひたすら隠れるという戦法で生き残っている彼女たちの姿に感動。
あと、オコジョにも会いました。
もしかして登山客に餌でも貰っているのか、やたらと思わせぶりに足元近くの岩陰から出たり入ったり。
天候は生憎の曇りで、見晴らしはいまいちでしたがたくさんの出会いがあった2日間でした。
…寝違いを押して行けて良かった…
正直、山登りの最中より、林道を車で移動している最中が息できないくらいの激痛で一番辛かったです…


翌週は職場の方の結婚式。
職場(お山関係者)同士の結婚式で、随所にお山の雰囲気を感じられる工夫が凝らされていて、とってもいい式でした。
末永くお幸せに☆


あけて9月13~15日の3連休。
今回は旦那様と共に、南アルプスは茶臼小屋まで、鹿の高山植物食害防止の為の防護柵設置ボランティア作業へ行ってきました。

出発前、職場の方達に「茶臼岳登山ルートは相当きついよ…」と散々脅されていたのですが。
一緒に登った南アルプスの主ことN目さんが上手にペース配分してくれたおかげで、通常登りで7時間かかるところを、登山経験1年足らずの旦那様と共に足に全く負担を感じることなく6時間ちょっとで登りきり。
12時には全員が茶臼小屋に到着し、作業の開始を今やおそしと待っている状態でした。
さすがです、山の主達。

午後からは、総勢20名強のボランティアの方たちと共に、総長約80mの鹿防護柵設置開始。
この作業は既に聖岳等でも行われていて、参加リピーターの方も多いので、誰が指示を出さずとも各自判断で作業が進む進む。
2日間で行うはずの作業が、一日目夕方には7割方完成しているというすばらしい作業効率でした。

明けて2日目・9月14日。
この日も朝6時から作業を開始。
…8時半、見事作業完了。
は・早いいぃぃ~~。
というわけで、ほぼ1日予定が空いてしまったのを良いことに、上河内と茶臼岳に登ってきました。
…ボランティアの他の方たちの中には、9時から光岳まで往復というつわものもいましたが、さすがに私ら夫婦は遠慮させていただきました。
にしても、光岳往復最速者のタイム、7時間って…(込・イザルガ・早川)どういう足してるんでしょうね…。

そして本日9月15日。
朝4時に起床して、富士山をバックに登るご来光をしっかり堪能した後、6時下山開始。
途中旦那様が膝に痛みを感じたものの、何とか下りきり、今に至ります。

毎度思うのですが、山から下界に下りると人間界の生活の慌しさ・無駄の多さにものすごくギャップを感じます。
何でこんなに夜も明るくて、暇をつぶす為のものにあふれてるんだろう。



すこし真面目に、今回の鹿柵設置作業について

鹿防護柵設置に対してはいろいろと意見があると思います。
このままほうっておいては、確実に南アルプスの高山植物は衰退の一途をたどります。
「それを防止する為には致し方ない。」
「あんな小面積やったところで気休めにしかならない。」
「そもそも、防護柵自体が自然のものではないから、設置自体問題だ。」
本当にいろいろと意見が出てきて当然です。
それでも、人間が鹿に対して作り出してしまった環境(里山の減少、天敵の絶滅)で、今の高山植物食害問題が起きてしまっている以上、私は人間ができることはやらなくてはいけないと思います。

正直、防護柵設置の作業は、決して楽なものではありません。
いくら山が好きといっても、わざわざ遠いところから登ってきて、さらに作業をするというのは疲れるものです。
もしかすると数年もたたぬうちに、防護柵の効果が確認されなければ、撤去という話にもなるかもしれません。

それでもこれだけの方達が集まって、「せめて今できること」をやっているというのはとても大切なことだと思います。
どんな結果が出るにせよ、その間に得られたデータ、そして人同士の繋がりは、人がお山と付き合っていく上でこの上なく重要な資源になります。