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When I Dream

~気侭な戯言日記~

感じのいい人

2006-07-04 22:40:00 | ボクシリーズ(物語風/エッセイ風)
いつもとなんら変わらぬ・・・見せかけの愛想笑いを浮かべて日々を過ごしているつもりだったが、この数日で何かが変わった。ボクは、派遣先の人間関係や仕事に慣れるまでは他人と距離を置いて接する方だ。その方が誠実さや真面目さと言う評価を得やすいからでもある。そんな風に書くとボクは計算高くて嫌な人みたいに思われてしまうが、実際にはその間逆だ。
計算して人と付き合う事なんか出来ないし、気が弱くて打たれ弱くて相手の出方に合わせる性格だし、環境に慣れるまでには人一倍時間がかかってしまうのだ。だからと言って人見知りするような事は無く・・・笑顔の自然体なのでこれまでにもなんの支障もなかった。

技術も資格も何も持っていないが、そうした性質でなんとかやって来れて、それゆえに派遣会社の信頼性にも一役買えて、派遣先でも“感じがいい人”と言う評価をもらえて、ある意味では勘違いな自信のようなモノにさえなっているかもしれない。

ボクが新しく選んだ働き場所は特殊な業界で、一般の一流企業とはびっくりする程違う世界だった。縦のラインが複数あって複雑に絡んだ人間模様・・・その複数ある組織の一つの末端に投入されたのだが・・・多くの部署と多くの人達に好奇な目で見られ・・・一層“猫をかぶる”ようにして様子を伺うしかなかった。人と顏を覚えるだけでも大変だ。本当に色々な人がいる。
初日から・・・人間関係が複雑で、派閥じゃないけど交友関係のラインがメチャメチャに走っているのがよく解った。迂闊にうっかり本音を口から滑らせようものなら→総口激←にもなりかねないだろう。ボクは“本音は言わない”“否定しない”“自ら深く関わらない”ようにして“感じのいい人”と言う印象が浸透していくのをひたすら待つ事にしたが・・・毎日の目まぐるしい忙しさの中で時間だけがただただ過ぎていく。回りの人からのボクの印象は“新しい人”・・・それ以上にもそれ以下にもならないまま・・・いつしか会社の小さな歯車の一つにとけていった。
色々な人に用事を頼まれてこなしていく・・・無言のそっけない人もいれば“ありがと”っと一声添えてくれる人もいる。だがただそれだけの毎日の繰り返しに焦りのようなものも芽生え始める・・・ここに本当に自分がいる必要があるのか、居る事になんの意味が有るのだろうのか・・・

以前居た某会社では・・・“感じのいい人”と言う印象とは一転してPC操作に関しては類いまれな“機械音痴”ぶりを発揮していたボクだった。技術も資格も何も無かったのに、投入先の社員の人達や管理職からPCを1から丁寧に教わる事も出来、多少苦労しながらも専門知識も覚える事が出来て、少なからずそこにいる意味を実感できたモノだったが・・・
今の所にそれは感じられない・・・

最初は“こいつはいつまで続くんだか”と言うような・・・ちょっと痛い視線がボクに突き刺さる事もあった。でもそれは、多かれ少なかれどこの会社に行ってもある事で、新参者には通過儀礼のようなものだと言える。自分で言うのも変だが、第一印象がわりと・・・穏やかで感じがよくて“話しやすい”“声をかけやすい”・・・ただそれだけで環境がゆっくりと好転していくのは漠然と感じられた。仕事上ではそれで十分だったが、勉強できる事は皆無に思えて・・・自分がここにいる必要も全く感じる事が出来ない。

“感じのいい人”として各部署に広く認知されるようになるのは3ヶ月から6ヶ月かかるだろうか?いや・・・ここでは“新しい人”と言う称号を取っ払うだけで3ヶ月以上かかりそうだ。会社の規模によっても仕事によっても違ってくるが・・・お互いが支え合っている事を冷静に実感できるまでにはそのくらい時間がかかってしまうだろう。そして・・・“せっかく慣れてきたのにどうして辞めちゃうの?”っと、かつて何度も聞いた言葉をかけられる事になるだろう・・・
それはボクには誉め言葉だ・・・ボクが本心を見せないように、相手も本心ではないかもしれないし、純粋に“仕事が出来る人なのに”と言う評価でもない・・・でも少なからず惜しんでくれている表情が見られたのなら、ここで働けてよかったと思えるかもしれない・・・
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