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小売業・IT活用・消費市場の今をウォッチング/WINS企画/東 秀夫wins.azuma@sunny.ocn.ne.jp

【木曜コラム】万華鏡/電車の中から   第1回 熟年婦人のブランド離れの会話

2009年10月01日 23時53分43秒 | 電車の中から(「今日の気づき」に統合)
【2009年10月1日(木)】JRや地下鉄、私鉄で昼間に移動することが多い。カバンに本を入れて椅子に座れたら読もうと用意をしておくのだが、座ると、周りの会話や向かいの席に座る人の仕草や状態に耳や目が動いてしまう。通勤時間と違い乗っている人もリラックスし、会話も周りを気にせず本音が見え隠れする。少しは見栄もあるかもしれないが…。電車の中は、一人あるいは友だちと、家族と、会社の同僚や先輩・後輩となど、いろんな人がいろんな人間関係で乗っていて、駅に着くたびにその人たちが入れ替わる。社会の縮図と言える。具体的な一人ひとりを見ていると、そこから社会の「今」が見えてくるように感じる。
 ある昼間、筆者の周りに誰も乗っていない閑散とした車両で座っている時に、16人の集団が乗ってきて筆者の周りに座った。軽い知的障害のある子どもたちと引率する先生たちであった。たまに頭を左右に激しく振る子や大きな声を上げたりする子、それを見て笑っている子など、そういう子に囲まれると、集中して本など読めないが、すぐに慣れて、そういう空間を経験できたことを考えていた。それとなく斜め下を見て座っていたのだが、その中に4人の先生がいることがわかった。もちろん年齢は定かでないが、20代の男性、30代の男性、40代の女性、50代の男性に見えた。皆、子どもたちに一生懸命かかわっていることがよく伝わってくる。特に20代の男性は兄のように厳しく言ったり優しく話しかけたり熱心に接していた。近くにいる他の乗客は筆者一人だが、車両全体の数人の乗客にも迷惑がかからないように気を配っている。
 筆者たちも言われてきたし、また言ってきたことに、「最近の若者は…」ということがある。最近でこそ、メールになってうるさくなくなったが、大きな声で携帯電話で話すのが若者のマナーの悪さの代名詞のように言われた時がある。つい塊で人を見てしまうことがあるが、個で見ると、違うものが見えてくる。先の20代の男性を見ていると、日本の将来も「安心」と思えるようにもなってくる。むしろ、そういう若者がのびのびと活躍できる社会を作ることが大事なことだと、反省もする。
 電車の中で印象に残っている2人の熟年婦人の会話がある。座っていると、前に立つ2人の婦人が会話を始めた。開いた本はページをめくることなく耳に神経が集中する。婦人の顔を見ることもできず、会話の内容から、多分、50代後半から60代前半と思われる。会話の内容は「娘時代は海外の高級ブランドを追いかけたが、今は高級ブランドでなくても品質やデザインがよくなったので、ブランドにこだわらなくなった。安くて品質が良ければそれで十分。娘は相変わらずブランドを追いかけているけれども…」というものだった。
 気になる記事を思い出して、帰宅後に新聞のファイルを探した。2009年9月10日の日本経済新聞朝刊3面に「ブランド 日本で苦戦」という記事がある。記事の1行目は「消費者の海外高級ブランド離れが進んでいる。」である。百貨店も海外ブランドの不振が業績に響いており、その原因に資産家や中小企業経営者の買い控えがあるという。景気の動向や個人または企業を取り巻く経済環境が消費に影響していることは間違いないが、景気の問題だけではない。ブランド企業の商品戦略やマーケティングの問題だけでもないと思われる。競合商品のレベルアップ、極端に言えば、低価格指向の商品であってもブランドが定着し着実に品質のレベルを上げ、生活者の満足度の一角に食い込んできた商品があることも事実である。市場は多角的、多元的に変化している。電車の中の熟年婦人であろう2人の会話が、その事を裏付けているのではないだろうか。(荒井)

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