序章① 「セルフレジを考える」ことが最大の効果を引き出す
【2009年10月1日(木)】
わが国のスーパー業界はセルフレジの導入が進んでいる。セルフレジは採用難の解消、チェッカー要員を削減することによる人件費の縮小などで効果をもたらすだけのものではない。顧客サービスの向上、接客レベルの向上、従業員のスキルの向上はもとより、IT活用のあり方、店舗運営のあり方、人材育成のあり方など、小売業経営の様々な局面で問題を提起し、競合に強い店舗づくり・店舗運営の方途を考えるきっかけを与えている。セルフレジを使いこなし、セルフレジが提起する問題を克服していけば、厳しい時代を生き続ける強靭な店舗を築くことができると言っても過言ではない。
本連載企画では、セルフレジ成功のポイントを100ヶ条にまとめ、毎回2か条ずつ掲載していく。そして、100ヶ条の連載に入る前に、セルフレジ導入の前のどの企業も不安に思う「セルフレジは顧客サービスを低下させるのではないか」という問題点について、そうではないことを序章①で示す。「セルフレジは顧客満足度を低下させない」ことを実感することがセルフレジを最大に使いこなしていくことの入口になる。2009年2月に執筆した原稿が、その事を最もよく表しているので、以下に一部加筆して転載した。また、次回の序章②では、労働力人口減少社会の実態を、同じく2009年2月執筆の原稿で示していく。
セルフサービス販売方式を採用し続ける小売業にとっては、「セルフレジを考える」ことは、自社、自店の存続のあり方を考えることでもある。そういう取り組みを行うことが、セルフレジ導入の効果を最大に引き出すことにもなるのである。以下が2009年2月に執筆した原稿である。
セルフレジは顧客満足度を低下させない
①セルフレジの接客レベルは有人レジを上回る
②セルフレジの顧客の支持はどこの地域も同じ
③セルフレジの不成功の原因は小売業側にある
わが国のセルフレジ時代が幕を開けようとしている。先に導入した小売業も、最近導入した小売業もともに、導入当初は従業員が行うレジ操作を顧客が行うようにするのは顧客サービスの低下になるのではないか、人が丁寧に挨拶・応対し手渡しで行う金銭授受がなくなるのは接客レベルの低下を招くのではないかという懸念を示していた。もちろん費用対効果の懸念もあった。しかし、これらの懸念は現在の時点でも払拭できるものであり、払拭できないとすれば、その原因は小売業側にあると言わざるを得ない根拠が揃ってきた。
セルフレジを提供するPOSメーカーは小売業の要望を受け入れながら改良に務めている。小売業も顧客サービスを向上させようとセルフレジの運用に磨きをかけている。顧客はセルフレジを支持している。これらの前提を考えると、普及しない理由が見当たらない。本稿では、わが国のセルフレジ市場拡大の根拠を3つの視点から考察した。
①セルフレジの接客レベルは有人レジを上回る。取材で訪問した店舗でチェッカーチーフに直接話を聞くことができた。「セルフレジの方が有人レジよりお客様との関係が強くなっていると思います」。この一言で本稿の道筋が決まったと言っても過言ではない。セルフレジを「無人レジ」と表現されることがある。無人ではない。アテンダントを「監視員」と言われることがある。監視員ではない。人がそこにいる限り人のサービスの仕方は如何様にも創造的に工夫ができる。といって、その店舗のサービスは特別なものではない。地域に根差した対面販売の小売店によくあるような、馴染みの顧客には親しく声をかけ、顧客が自分で商品を選んでいる時には顧客の行動に任せ、顧客から質問を受けたり顧客が困っているような素振りを感じると商品の陳列を直したり通路のごみを掃除していた手を休めて笑顔で応対するのと同じような雰囲気すらある。1人ないし2人でチェッカー作業とキャッシャー作業、接客サービスを行う有人レジではできない接客である。有人レジでは、列に並ぶ顧客のことを考えると落ち着いて顧客と長く会話をする余裕が持てないのは当然である。セルフレジはレジにおける接客のあり方を改めて問いかけている。
②セルフレジの顧客の支持はどこの地域も同じ。セルフレジを導入した店舗では、どこも利用者に年
齢的な偏りはないと言う。リピート利用も多い。地域差があるのだろうか。全国どこにも基本的に同じような品揃え、同じようなサービスのスーパーがある。品揃えやサービスは商圏特性に合わせて決められる。地域によって商圏特性に大きな違いがないことになる。セルフレジも、ある地域に受け入れられて、他の地域では受け入れられないということは考えにくい。
③セルフレジの不成功の原因は小売業側にある。①と②を肯定すると、仮にセルフレジは不成功とする評価があれば、成功している店舗があり、成功している地域があり、成功している店舗と同じシステムを導入していることを考えると、その原因の多くは小売業側にあると考えざるを得ない。
セルフレジの普及で小売業のサービスが向上し、顧客の満足度が向上することを期待する。
(2009年2月の『WINS』№85で執筆した原稿を一部加筆して転載)
【2009年10月1日(木)】
わが国のスーパー業界はセルフレジの導入が進んでいる。セルフレジは採用難の解消、チェッカー要員を削減することによる人件費の縮小などで効果をもたらすだけのものではない。顧客サービスの向上、接客レベルの向上、従業員のスキルの向上はもとより、IT活用のあり方、店舗運営のあり方、人材育成のあり方など、小売業経営の様々な局面で問題を提起し、競合に強い店舗づくり・店舗運営の方途を考えるきっかけを与えている。セルフレジを使いこなし、セルフレジが提起する問題を克服していけば、厳しい時代を生き続ける強靭な店舗を築くことができると言っても過言ではない。
本連載企画では、セルフレジ成功のポイントを100ヶ条にまとめ、毎回2か条ずつ掲載していく。そして、100ヶ条の連載に入る前に、セルフレジ導入の前のどの企業も不安に思う「セルフレジは顧客サービスを低下させるのではないか」という問題点について、そうではないことを序章①で示す。「セルフレジは顧客満足度を低下させない」ことを実感することがセルフレジを最大に使いこなしていくことの入口になる。2009年2月に執筆した原稿が、その事を最もよく表しているので、以下に一部加筆して転載した。また、次回の序章②では、労働力人口減少社会の実態を、同じく2009年2月執筆の原稿で示していく。
セルフサービス販売方式を採用し続ける小売業にとっては、「セルフレジを考える」ことは、自社、自店の存続のあり方を考えることでもある。そういう取り組みを行うことが、セルフレジ導入の効果を最大に引き出すことにもなるのである。以下が2009年2月に執筆した原稿である。
セルフレジは顧客満足度を低下させない
①セルフレジの接客レベルは有人レジを上回る
②セルフレジの顧客の支持はどこの地域も同じ
③セルフレジの不成功の原因は小売業側にある
わが国のセルフレジ時代が幕を開けようとしている。先に導入した小売業も、最近導入した小売業もともに、導入当初は従業員が行うレジ操作を顧客が行うようにするのは顧客サービスの低下になるのではないか、人が丁寧に挨拶・応対し手渡しで行う金銭授受がなくなるのは接客レベルの低下を招くのではないかという懸念を示していた。もちろん費用対効果の懸念もあった。しかし、これらの懸念は現在の時点でも払拭できるものであり、払拭できないとすれば、その原因は小売業側にあると言わざるを得ない根拠が揃ってきた。
セルフレジを提供するPOSメーカーは小売業の要望を受け入れながら改良に務めている。小売業も顧客サービスを向上させようとセルフレジの運用に磨きをかけている。顧客はセルフレジを支持している。これらの前提を考えると、普及しない理由が見当たらない。本稿では、わが国のセルフレジ市場拡大の根拠を3つの視点から考察した。
①セルフレジの接客レベルは有人レジを上回る。取材で訪問した店舗でチェッカーチーフに直接話を聞くことができた。「セルフレジの方が有人レジよりお客様との関係が強くなっていると思います」。この一言で本稿の道筋が決まったと言っても過言ではない。セルフレジを「無人レジ」と表現されることがある。無人ではない。アテンダントを「監視員」と言われることがある。監視員ではない。人がそこにいる限り人のサービスの仕方は如何様にも創造的に工夫ができる。といって、その店舗のサービスは特別なものではない。地域に根差した対面販売の小売店によくあるような、馴染みの顧客には親しく声をかけ、顧客が自分で商品を選んでいる時には顧客の行動に任せ、顧客から質問を受けたり顧客が困っているような素振りを感じると商品の陳列を直したり通路のごみを掃除していた手を休めて笑顔で応対するのと同じような雰囲気すらある。1人ないし2人でチェッカー作業とキャッシャー作業、接客サービスを行う有人レジではできない接客である。有人レジでは、列に並ぶ顧客のことを考えると落ち着いて顧客と長く会話をする余裕が持てないのは当然である。セルフレジはレジにおける接客のあり方を改めて問いかけている。
②セルフレジの顧客の支持はどこの地域も同じ。セルフレジを導入した店舗では、どこも利用者に年
齢的な偏りはないと言う。リピート利用も多い。地域差があるのだろうか。全国どこにも基本的に同じような品揃え、同じようなサービスのスーパーがある。品揃えやサービスは商圏特性に合わせて決められる。地域によって商圏特性に大きな違いがないことになる。セルフレジも、ある地域に受け入れられて、他の地域では受け入れられないということは考えにくい。
③セルフレジの不成功の原因は小売業側にある。①と②を肯定すると、仮にセルフレジは不成功とする評価があれば、成功している店舗があり、成功している地域があり、成功している店舗と同じシステムを導入していることを考えると、その原因の多くは小売業側にあると考えざるを得ない。
セルフレジの普及で小売業のサービスが向上し、顧客の満足度が向上することを期待する。
(2009年2月の『WINS』№85で執筆した原稿を一部加筆して転載)
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