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小売業・IT活用・消費市場の今をウォッチング/WINS企画/東 秀夫wins.azuma@sunny.ocn.ne.jp

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第1回 かつて経験のない激しい流通決戦が首都圏で始まる

2009年10月01日 23時47分51秒 | 今日の気づき
【2009年10月1日】10月1日付の日本経済新聞朝刊1面トップに「ヨーカ堂、30店閉鎖へ」の大きな見出し。いよいよ従来型の総合スーパーが終焉の時に向かって速度を上げて進んでいることがうかがえる。イトーヨーカ堂だけでなく、どの総合スーパーも不振が続き、その対応が緊急の課題になっている。景気が低迷から脱出できず、家庭の収入が減り、人口が減り、少子高齢化が進み、市場には商品が需要を上回る勢いで溢れている。生活者は節約指向とエコ意識の高まりで無駄な消費をしなくなり、節約指向は低価格指向を誘い、素材品質の向上と生産技術の発達が低価格商品の品質を高め、生活者は商品の選択眼を磨きつつ低価格商品を安心感を持って購入するようになってきた。一方、小売業は自社の存続を賭けて、出店し、または閉鎖・業態転換を進めてきた。同種の商品が多業態で販売されている。同業態店舗間競合、異業態店舗間競合、地域間競合だけでなく、商品間競合も常態化している。その典型例が100円ショップの登場による新たな業態間競合である。
 競合が激しくなり、市場が不可抗力的に変化してくると、弱い部分が脆く綻びていくのは当然のことである。従来型の総合スーパーの時代が終わりつつあることを、業態構造とか産業構造と、構造問題で片付けるにはあまりにも酷である。「変化対応業」として、小売業は他の業界にも増して市場の変化、生活者の変化への対応に努力してきたはずである。そういう努力が実を結ばない時代を迎えている。市場そのものが根幹から変わっていくような地殻変動が多面的、多元的に起こっていると考える方がわかりやすい。今まで経験したことのない変化が起こっており、今、その入口に差し掛かり、入口の厳しい状況、その先の対応策が見当たらない厳し現状が見えてきたところのように感じる。日経1面トップの見出しを見て驚かないのは、そうした大きな変化を感じているからだろうか。もっとすごいことが起ることもあり得て、その時も、もしかして大きな驚きを感じないかもしれない。同じ理由からである。
 同記事によると、セブン&アイ・ホールディングスは、ヨーカ堂事業のてこ入れ策として、来期以降、首都圏の好立地に大型ショッピングセンターなど大型店の出店を予定しているという。好立地とは異質間競合の観点から新しい提案型店舗の創出による競合の無風地帯と考えざるを得ないが、異業態間でも同質間競合が起こっているオーバーストア地帯で「好立地」の条件はすぐには思い当たらない。少し前、9月25日の日本経済新聞朝刊15面に「PBの海外調達拡大」の見出しで、セブン&アイと西友の動きを紹介していたが、セブン&アイは海外で調達したPBを日本ではセブン-イレブン、イトーヨーカ堂、ヨークベニマルなどの食品スーパー、そごう・西武の百貨店、アメリカではセブン-イレブン・インクの店舗で販売するという。一部の商品とはいえ、百貨店と食品スーパーとコンビニエンスストアが低価格指向の同じPBを販売することなど考えられなかったことである。ホームセンターやドラッグストアが食品スーパーやコンビニエンスストアが扱う食品や日用雑貨品を当たり前のように扱うようになって久しい。商品を切り口とした業態間の壁がなくなりつつある。かつては考えられなかったことが、今、起こっている。少しずつ起こってきた変化が一気に火山が噴火するように大きな変化として顕在化してきたのが今の状況と見ることができる。
 食品スーパーは小型店化して首都圏の市場をうかがい、業態転換したディスカウント店の出店も相次ぎ、総合スーパーは装いを変えて首都圏に照準を合わせる。迎え撃つ既存店、既存業態も競合に備える。人口の都市部への回帰傾向があるとはいえ、消費市場の縮小基調は変わらない。とてもオーバーストアを吸収することはできない。その先にあるものは、厳しい、そして激しい競合しかない。競合を勝ち抜くための体質、体力をどれだけ養えるかが勝敗の分かれ目になる。競合または変化の中心軸がかつて経験したことのない「市場の変化」に移っていることが、今起こっている最も大きな変化である。(東)

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