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WINS通信は小売業のマネジメントとIT活用のための情報室

小売業・IT活用・消費市場の今をウォッチング/WINS企画/東 秀夫wins.azuma@sunny.ocn.ne.jp

 【お知らせ】『自由席/店ウォッチング』は2010年8月より「今日の気づき」に集約

2010年08月10日 01時39分14秒 | 店ウォッチング(「今日の気づき」に統合)
【2010年8月10日(火)】2010年8月4日(水)の【お知らせ】でご説明させていただきましたように、田中光一郎が担当しておりました『【月曜コラム】自由席/店ウォッチング』は、日替コラム「今日の気づき」に集約し1本化していくことにしました。従来、「今日の気づき」は「新聞を読んで」とし、毎日の新聞記事から「気づき」を書いてきましたが、「今日の気づき」の中に、「新聞を読んで」、従来の「月曜コラム・店ウォッチング」「木曜コラム・電車の中から」「随時コラム・時々時々(じじときどき)」を包含していきます。すなわち、新聞、店、電車の中、時々時々に感じたことなど、多様な視点で「今日の気づき」として書いていくことにしました。これによって、視点の適宜性と自由度を高めながら、時代の「今」をウォッチングしていきます。したがいまして、投稿は毎日を原則に随時とし、どれかの視点からコラム「今日の気づき」を書いていきます。
多くの方々にご愛読いただきながら、しばらく投稿を休んでいたことをお詫びいたしますとともに、これからも、『WINS通信』のご愛読を、よろしくお願い申し上げます。

WINS企画 東 秀夫

【月曜コラム】自由席/店ウォッチング  第6回 鍋料理を訴求する店内放送で3度も驚く

2009年11月16日 17時01分41秒 | 店ウォッチング(「今日の気づき」に統合)
【2009年11月16日(月)】昨年の冬のことである。今年も鍋料理がうれしい季節が来たので、是非書き留めておきたいことがあって、1年前の店ウォッチングのことを紹介する。

 その日の朝のテレビは、「今日の夜は冷え込む」と天気予報を伝えていた。見事に天気予報は当たり、夜は気温が下がっていることが肌で感じる。夜10時半ごろ、11時閉店のスーパーに行った。閉店まで30分しかなく、店内はほとんど顧客がいない。数人の顧客は学生風の男性、若い独身風の女性、ネクタイを締めた単身赴任らしき中年の男性だけである。

 店内放送に3度驚いた。店内には「今夜は冷え込みます。ご家族で暖かい鍋料理はいかがでしょうか」という放送が繰り返し流れている。1度目の驚きは、朝の天気予報の情報がその日のメニュー提案放送に使われていたことである。キャッチした有効な情報の素早い活用に脱帽の思いである。多分、夕方には効果があったと思われる。

 2度目の驚きは、夜の10時半で家族のための買物をする主婦の来店がなく、来店しているのがほとんど単身者だけの時間帯に、「ご家族で……」、「鍋料理は……」の放送の違和感にである。主婦が夕食の買物をしている時間帯には、素晴らしい放送だったと思われるが、夜の10時半ともなれば、逆に、寒々しさを感じる。エンドレスで繰り返し流れていると、余計に違和感を覚える。多分、夕方のピーク時から流れ続け閉店まで放送は続いたのだろう。

 3度目の驚きは、店舗の従業員は誰も、その違和感を覚えなかったのだろうかということである。パート社員でもアルバイト従業員でも、それに気が付けば、責任者に言って放送のスイッチを切ってもらえばよい。その時間帯に流すより、切った方がよい。もしも、顧客が違和感を覚えて、従業員が平気だったとすれば、それこそ大きな問題である。与えられた時給に見合う仕事だけしていれば良いと考えているのだろうか。そういうことが言いにくい風通しの悪さがあるのだろうか。それとも、まったく不自然な放送と思わなかったのだろうか。パート社員とアルバイト従業員を例に挙げたが、少なくとも、社員は気が付かなければならない。社員の責任は重いと言える。パート社員やアルバイト従業員の比ではない。社員教育で教えられなかったのであれば、本部にも責任がある。

 顧客より従業員が早く気が付き修正すると顧客は違和感を覚えないが、顧客の方が早く気が付けば、顧客は管理の行き届いていない店と思ってしまう。

冬に限らず、季節に関連したメニュー提案はよく行われる。顧客への訴求がミスマッチになっている場面はよくあるのではないだろうか。特に、鍋料理の提案はよく聞く題材である。昨年の店舗が今年も同じことをしていないことを望むとともに、同じようなミスマッチの放送をする店舗が他に現われない ことを願いつつ、あえて、1年前に感じたことを書き記した。

(田中)

【月曜コラム】自由席/店ウォッチング  第5回 初めての店でも一人でみかんの缶詰が買えます

2009年11月09日 14時40分50秒 | 店ウォッチング(「今日の気づき」に統合)
【2009年11月9日(月)】近所の主婦がよく行くスーパーの話をしていた。買いやすいと評判が高かった。毎週、同じレイアウトのチラシが入ってくる。特別に目立つような表現はあまり見当たらない。毎週、同じように淡々と決まりごとのようにセールを打っているという印象だが、チラシを見ていると、常連客にはチラシが知らせていること、知らせたいこと、セールの目玉などが売場を思い浮かべるように頭に描かれているのではないだろうかと思ったりしていた。そう遠くないので、一度見に行こうと、2、3日前に店舗を訪れてみた。まず、缶詰売場に行くことにした。

 10月5日のこのコラムの第1回目に「一人でみかんの缶詰を買えますか」のタイトルで、みかんの缶詰が天井から吊り下げられた売場案内ボードの「缶詰売場」でなく、ケーキ材料売場の「フルーツ缶詰コーナー」で売られていて、売場案内ボードを頼りに探していたのでは、みかんの缶詰売場にはなかなかたどり着けなかった体験を書いた。そして、他の大型店と食品スーパーも見たが、大型店では缶詰売場に肉、魚からフルーツまで、「缶詰」を1か所に集めた売場づくりをしており、食品スーパーは、「缶詰売場」でなく洋菓子材料売場にフルーツ缶詰をまとめて置いていたことも紹介した。慣れない店や初めての店では、ありふれたみかんの缶詰を1つ買うにも、その陳列場所になかなか行き着けない「驚き」を綴った。

 そのこともあって、真っ先に、みかんの缶詰を探した。いとも簡単に陳列場所に行けた。先に挙げた店は何回か訪れていて、一人での買物が初めてだったのだが、まったく初めて訪れた店が一番早く目的の売場にたどり着けた。1つのゴンドラが缶詰売場とフルーツ缶詰が置いてあるケーキ材料売場になっていたからである。ゴンドラの右から肉、魚、コーンなどの缶詰が並び、その続きに甘酒などをはさんでフルーツ缶詰が陳列され、一番左端がケーキ材料である。「缶詰」という区分では、すべての缶詰商品が1つのゴンドラに並んでいるのである。

 第1回のコラム以降、みかんの缶詰は「缶詰売場」から離れたケーキ材料売場か、ケーキ材料売場から離れた「缶詰売場」のどちらかに置いてあるものと思い込んでいたが、缶詰売場とケーキ材料売場が同じゴンドラに設けられていることで、また1つ「驚き」を覚えてしまった。毎日利用している主婦には何でもないことと思われるが、違った視点から見ると、企業ごとで売場づくりは 随分と異なっていることに気が付く。

 併せて、帰りにもう1つ、気が付いたことがある。同じく、このコラムの2回目(10月19日)で「ネスカフェ エクセラ 250g」が特売で1日だけ598円で販売され、その前後は「お買得品」として698円の売価設定がされていたことを紹介し、「598円」の特売の意味を考えてみたが、みかんの缶詰売場に迷いもせずにたどり着け、近所の主婦が買いやすい店と評価していたスーパーの「コーヒー・紅茶・ココア」売場のゴンドラエンドで、「ネスカフェ エクセラ 250g」が「おすすめ品」の表示とともに988円の売価表示をして陳列されていた。

 顧客が感じる適正売価、店舗が設定する適正売価の関係も、改めて「深さ」を感じる店舗訪問だった。

(田中)

【月曜コラム】自由席/店ウォッチング  第4回 スーパーマーケットのデジタルサイネージの成功を祈る

2009年11月02日 22時33分42秒 | 店ウォッチング(「今日の気づき」に統合)
【2009年11月2日(月)】題材は半年余前に見た光景である。他の専門誌に書いた経験もある。これから普及していくと予想され、大きな活用可能性を持っているデジタルサイネージ(電子看板)のことだけに、発表する機会がブログマガジンに変わったことで、もう一度、確認の意味で原稿にすることにした。ここに取り上げた題材とは異なるスーパーを見ても、あまり代わり映えがしないようなので、業界全体としては状況は変わっていないように感じている。それならばと、題材のスーパーの状況が良くなっていることを期待しつつ稿を進めることとする。
 最近は、スーパーの食品売場で、商品説明やレシピ提案などを小さなディスプレイを使って動画で紹介している場面をよく見かける。小型の液晶テレビでテレビCMや料理番組を見ているようである。ところが、その効果が疑わしく感じられるのである。

事例:その1。(半年余前のことであることを再度確認した上で。「事例:その2」も同じ)

 大手総合スーパーの食品売場。成人男性の背の高さほどのロールボックスごと、特売たまごパックが大量に壁面陳列されている。ロールボックスは三方を金網で囲った車輪付きのワゴンのことで、バックヤードから直接運び込み、そのまま陳列している。顧客はロールボックスの前を通る時、たまごパックを手に取ってカートに入れると、すぐに次の目当ての売場に移動して行く。しかし、ロールボックスの上、顧客の頭の2mくらい上では、液晶ディスプレイでオムレツの作り方などの実演を流し続けている。
 顧客は誰も見ていない。やや下向き加減でカートを押しながら、素早く、たまごパックを手にして売場を離れていく顧客を、ディスプレイに映る料理講師が虚しく見送っているような光景である。この売場でのデジタルサイネージの効果に疑問が残った。
 次はハム・ソーセージ売場である。ウインナーソーセージの宣伝で、品質を訴求するように格調が高そうなテレビCMと同じ映像が流れている。ディスプレイは顧客の目の高さくらいに、陳列棚の一部に据え付けるように設置されていたが、ウインナーソーセージはセールの案内POPと一緒に平積みされているので、顧客はここでも下向き加減で平積みの商品を買っていく。ディスプレイの放映は30秒くらいあったと記憶している。顧客は誰もディスプレイを見ていないが、ディスプレイにはずっと商品名やメーカー名が映っていることはないので、顧客がディスプレイを数秒間見たとしても、商品名やメーカー名が訴求されたとは思えない。
 この総合スーパーでは、それ以前に納豆売場の上に納豆料理のレシピを紹介する映像を小型テレビで流していたが、映像のすぐ下の陳列棚には映像を提供するメーカーとは別のメーカーの納豆を大量陳列し特売されていた。映像を提供しているメーカーの納豆は少し離れたところに定番商品として数フェースで並べられていた。たまご売場とハム・ソーセージ売場を見た日には、納豆売場は少しレイアウト変更されディスプレイは外されていた。
 総合スーパー側が自主的、積極的に導入したのであれば、もっと、厳密な管理がなされていたのではないだろうかと思われる。

事例:その2。

 食品スーパーの惣菜売場。この食品スーパーでは、惣菜に力を入れており、大型ビジョンを導入して惣菜をアピールしている。訪れた店舗は、売場レイアウトの関係や設置スペースの関係もあったのだと考えられるが、その大型ビジョンは寿司売場の「寿司」と大書きされた、すぐその下に設置されていた。寿司売場の宣伝のために設置されているような光景である。
 大型ビジョンの画面は9分割されていて、9種類の惣菜コーナーを表示した後、1つ1つの惣菜の調理風景を9画面を全部使った大型画面で映し出している。もちろん、寿司の紹介もあるが、画面メニューの数から言えば、揚げ物、焼き物など、寿司とは対極にある、こってり系の惣菜が紹介されている画面が多い。「寿司」と大書きされた文字の下の大画面には相応しくないと思われる映像が目立つ。音声が流れていないことと、惣菜は平型のショーケースに平積みされているので、顧客は顔を上げないで平型のショーケースにばかり目を向けていることから、大型ビジョンを誰も見ていない。ただ、このチェーンに関しては別の店舗も訪れてみた。その店舗では弁当売場のところに大型ビジョンを設置していた。弁当には、様々な惣菜が入っているので、先の店舗ほどには違和感を覚えなかったが、弁当の訴求ではないので、もう少し工夫が必要ではないかというのが実感であった。
 既存店への大型ビジョン導入では、こうした問題は起こり得ると考えられるが、デジタルサイネージの訴求力、導入効果という観点では問題が残されているのではないだろうか。

 売場では、顧客への情報発信、商品の訴求、効果的な販促施策の実施等々、やるべきことがたくさんある。しかも、店舗は小売業の売上と利益を作る重要な場所である。ここの改善は売上と利益に直結する。一方で、労働力人口は減少基調である。売上と利益にかかわる顧客サービスのレベルを維持・向上させるためにはITの活用は不可欠となっている。そして、顧客接点でのIT活用では、デジタルサイネージが活躍するシーンは多くあると思われるが、まだまだ未開拓と考えられる。
 それだけに、その可能性を期待して、この稿をまとめたが、先の両店舗のデジタルサイネージを導入した売場風景が半年余前と変わっていることを期待するとともに、同じような状態の店舗があるとすれば、早い改善が望まれる。これから導入するところは、少しでも参考になることを願うものである。顧客に適切な情報が適宜、適時に提供できることは、何よりも、顧客のためになることである。(田中)

【月曜コラム】自由席/店ウォッチング  第3回 チラシ特売に「ひと工夫」でワクワク感がアップ

2009年10月26日 17時03分21秒 | 店ウォッチング(「今日の気づき」に統合)
【2009年10月26日(月)】今回は店舗の中でなく、店舗を訪れる前の「特売チラシ」の「今」をウォッチングする。日本経済新聞など複数の全国紙を購読しているので各新聞に同じチェーンの特売チラシが入る。チラシは貴重な情報源になるので取り置くことにしているが、同じスーパーのチラシはレイアウトもキャッチコピーも特売期間も同じで(厳密にはレイアウトは少し違うのだが…)、目玉商品も大きく写真入で掲載されている。重複保管を避けるため、同じスーパーの同じ特売チラシは1枚だけの保管としていた。しかし、今まではあまり気にしていなかったのだが、2枚の同じスーパーの同じ特売チラシを見比べてみて、改めて驚いた。結構、対象商品が違っていたりする。一方で対象商品になっていて、他方は対象になっていないとか、同じ商品でも売り出し期間が日替わりだったり2日間連続だったりする。レイアウトがほとんど同じなので、商品が変わっていても気付きにくい。確かに、チラシには広告商品の取扱い店舗が掲載されているが、そこまでは細かく見ない。
 歩いて5分もかからない近くのスーパーのチェーン名が大きく書かれたチラシが入ると、その店舗が新聞と一緒に届いた特売チラシの対象店舗と思ってしまうのは当然ではないだろうか。間違って対象店舗の異なるチラシを見ても、特売はどの店舗もチラシに掲載した期間で実施され、超目玉商品も変わらないので、大きな混乱を起こすことはないとも言える。事業所を除くと、複数の全国紙を購読している家庭は少ないだろうから、2枚の異なるチラシを見る生活者は少ないかもしれない。近くの店舗が特売対象になっていないチラシが入る新聞だけを購読している家庭があるかもしれないが多くはないと考えられる。様々なケースを考えても、顧客を惑わすようなことは少ないとは思えるが、もう「一工夫」があっても良いのではないだろうか。
 地域ごとの商圏特性に応じた細かな販促施策は評価できるが、それが異なるチラシを撒く境界地域の生活者には混乱を招くことにならないだろうかと懸念する。低価格指向を強めている消費マインドを考えると、以前にも増して特売チラシはよく見られている。来店する前にチラシの隅々まで目を通す生活者も多いと考えられる。例え、その商品を買わなくても、チラシに載っているにもかかわらず、店頭では特売価格とは異なる価格で売られているのに気付いた顧客の反応を考えると、広告商品取扱い店舗はチラシにきちんと明記しているといっても、「過失はない」という言い訳の理由にしかならないのではないだろうか。今回気が付いたケースは、新聞販売店の配達エリアを考えると、もしかして、その店舗の前の家庭にも、目の前の店舗が対象店舗になっていない特売チラシが配られているかもしれないと予想される。

 そこで、1つの事例として、同じチェーンの同じ期間の2枚の特売チラシに掲載された商品を以下に紹介する。1枚は15店舗を対象にしたチラシで、仮にAチラシとする。もう1枚は8店舗を対象にしたチラシで、Bチラシとする。チラシ特売対象商品はAチラシ掲載商品をベースに並べ、商品名の前が無印の商品はAチラシとBチラシに共通して掲載、商品名の前に○印が付いている商品はAチラシのみの掲載、商品名の前に●印が付いている商品はBチラシのみの掲載商品とした。すなわち、Aチラシには商品名の前が無印または○印の商品が掲載され、Bチラシには商品名の前が無印または●印の商品が掲載されているということになる。

 チラシはタテ38.0㎝×ヨコ54.5㎝の大きさで、黄色地に黒一色で文字・写真を表している。オモテ面、ウラ面とも同じ体裁。特売期間は2009年9月28日(月)~30日(水)の3日間である。特売対象商品は以下の通りである。表示価格はすべて税込価格。

★オモテ面は、日替わりの目玉プライス商品を並べ、左半分のスペースに28日限り、右半ページは29日限りの商品を掲載している。★

《オモテ面:28日限り》

  日本コカ・コーラ 森の水だより 2ℓ 79円 1人1ケース(6本)限り
  マルちゃん 赤いきつね・緑のたぬき・黒い豚カレーうどん 各98円 1人各5点限り
  日清オイリオ キャノーラ油 1000g 198円 1人1点限り
  サトウ 切り餅つきたて シングルパック 1㎏ 598円 1人2点限り
  クノール カップスープ各種 各8袋入 各224円 1人よりどり3点限り
  玉三 十勝片栗粉 450g 98円 1人1点限り
  ヤマキ マイルドカツオパック 3g×10袋入 178円 1人1点限り
  マルサン 純正こうじみそ 1㎏ 188円 1人1点限り
  はごろも シーチキンLフレーク 80g×3缶パック 298円 1人2点限り
  つくば山麓 さわやか仕立て 1000ml 168円
  森永 ミルクココア 300g 298円 1人1点限り
  ロッテ キシリトールニューライム ファミリーボトル 150g 598円 1人2点限り
  キリン 一番搾り 350ml×6缶パック 1,068円/500ml×6缶パック 1,450円
  アサヒ 甲乙混和25° かのか むぎパック・こめパック 各1.8ℓ 各980円
  日本盛 晩酌 辛口パック 2ℓ 798円 1人1点限り

《オモテ面:29日限り》

  キリン 極烏 2ℓ 128円 1人1ケース(6本)限り
  ネスカフェ ゴールドブレンド 100g 398円 1人1点限り
  マルちゃん 昔ながらのソース焼そば・ホットワンタン 各98円 1人各5点限り
  キューピーマヨネーズ(350g)・キューピーハーフ(300g)・ミツカンほんてり(1ℓ)・ミツカン料理酒(1ℓ)・マルコメお
    いしさいろいろ長熟みそ(11食) 各158円(よりどり2個300円) 1人よりどり5点限り
  クノール 中華スープふかひれ入り・たまごスープ 各5食入 各258円 1人2点限り
  ネスレ ブライト 300g 258円 1人1点限り
  ピエトロ ドレッシング 280ml 298円 1人1点限り
  ブルボン ふんわりチョコバーム(175g)・ミニシルベーヌ(170g) 各228円
  全農安心システム認証米 山形はえぬき 5㎏ 1,780円 1人1点限り
  キリン コクの時間 350ml×6缶パック 628円/500ml×6缶パック 898円

★ウラ面は、左半分は上3分の1のスペースに28日と29日の日替特売を載せ、下3分の2は28日・29日の2日間限りの98円均一商品で埋め尽くされている。一方、右半分は上3分の1に30日限りの特売商品を載せ、下3分の2は28日~30日の3日間の特売商品を訴求している。左半分にはホットメニューの提案として、おでん材料やラーメンなどの商品を載せ、右半分には運動会や行楽に対応した手作りお弁当特集として、弁当材料などをまとめて訴求している。★

《ウラ面:28日限り》

  福島県産などの国内産 きゅうり 3本 98円
○北海道・宮城県産などの国内産 生さんま 1尾 98円
●北海道・宮城県産などの国内産 生さんま 1尾 98円/お造り・1パック 298円
○アメリカ産・ロシア産など 子持ち浅羽がれい 解凍 1切 98円
○国産 冷凍豚肉 切り落し 100g当り 98円
  ヤマザキ ずっしりデニッシュ各種 各1個 各98円
  すこやか 低脂肪乳 1000ml 98円
  照り焼きチキン 切り落し 100g当り 98円

《ウラ面:29日限り》

  北海道産 玉ねぎ 3個 98円
  太子食品 有機2連 きぬ・もめん 各200g×2 各98円
  フジパン スナックサンド各種 各3個入 各98円
○青森県産などの国内産 生食用ボイルほたて 解凍 100g当り 98円
●青森県産 生食用ボイルほたて 解凍 100g当り 98円
  アメリカ産 豚肉 切り落し(バラ) 100g当り 98円

《ウラ面:30日限り》

  にんべん つゆの素ペット 1000ml 378円 1人1点限り
○新鮮たまご 生みたてくん ミックスサイズ 10個入 98円 (タイムサービス:夕方4時から先着200名、1人1
    点限り)
●新鮮たまご 生みたてくん ミックスサイズ 10個入 98円 (タイムサービス:夕方4時から先着300名、1人1
    点限り)
  お刺し身用 めばちまぐろ 赤身 解凍 100g当り 258円
  神戸屋 2個入菓子パン各種 各98円
○北海道・青森県産などの国内産 生するめいか 1杯 150円
●北海道・青森県産などの国内産 生するめいか 1杯 150円/お造り・1パック 298円
○国産 健康牛 切り落し 100g当り 198円
●国産 健康牛 切り落し 1パック200g入 500円(100g当り250円)
○明治 ブルガリアヨーグルト プレーン 450g 138円
●明治 ブルガリアヨーグルト プレーン・そのままでプレーン 各450g 各138円
  三幸 三幸の海苔巻 99g 128円
●秋田県産 美味豚 うす切り(バラ) 1パック180g入 398円(100g当り222円)
  オリジナル商品 上級あらびきポークウインナー 104g×2 298円
●ペルー産 有機栽培バナナ 1袋(約500g入) 198円
●太巻各種 各1パック 各280円
○北海道産 生秋鮭 切身 3切入 398円
●北海道産・宮城県産などの国内産 生秋鮭 切身 3切入 398円
  冷凍食品 5割引&4割引セール

《ウラ面:28日・29日限り 98円均一》

  チリ産 銀鮭(中辛) 養殖 1切
  プロッシモ スパゲティ 1.7㎜ 300g
  ヤマザキ 麦麗 6枚・8枚
  花王 ワイドハイター 詰替 720ml 1人2点限り
  熊本県・愛知県産などの国内産 活あさり 100g当り
○タイ産・インドネシア産・マレーシア産など バナメイえび 養殖・解凍 100g当り
●タイ産・マレーシア産など バナメイえび 養殖・解凍 100g当り
  オランダ産 あじ開き 1枚
●アメリカ産・ロシア産など 子持ち浅羽がれい 切身 解凍 100g当り
  アメリカ産など しまほっけ(半身) 1枚
  味付めかぶ 50g×3
●カネリョウ 味付もずく 三杯酢・黒酢 各70g×3
  青森県産などの国内産 サンつがる りんご 1個
  ニュージーランド産 食べ頃キウイフルーツ(グリーン) 1個
  オーストラリア産 オレンジ 1個
  アメリカ産 豚肉 生姜焼用(ロース) 100g当り
●国産 豚肉 煮豚用(肩) 100g当り
○国産 若鶏(もも) 100g当り
●若鶏手羽中 唐揚(味付・タイ産) 100g当り
  高崎ハム 直火焼きハンバーグ各種 各1個
●豚肉とんかつ(ロース) 1枚
  肉団子(国産鶏・豚肉使用) 100g当り
●フライ各種 各1個
  パンコーナー 98円均一
●インストアベーカリーも98円均一開催中
  サンフード にがり造り油揚げ 2枚入
  相模屋 やわらか厚あげ 4個入
  楽陽 横浜名物シウマイ 13g×12個入
  丸洋 生餃子 6個入
●旬のじゃがいも使用ポテトサラダ・国産野菜使用マカロニサラダ(小) 各90g
  菅野漬物 あっさり小なす 70g
  オーマイ 早ゆでサラダマカロニ 200g
  九州フーズ 切り干し大根 30g
  ヤマトタカハシ おだしに昆布 真昆布 30g
  大忠 芽ひじき 18g
  グリコ とろーりクリームonプリン 210g
●ミヤト 本造り黒糖 80g
●S&V 紫芋チップス 80g
  明治 がんばれ元気 65ml×10
  105円・126円小物アイス 1個98円(よりどり4個378円)
●ウインズ ハンドソープ 詰替 200ml
  白十字 ファミリー綿棒 200本入
○日本技研 不織布水切り袋 排水口用・三角コーナー用 各20枚入
●日本技研 不織布水切り袋 排水口用・三角コーナー用 各20枚入/パックドゥBOXタイプ 50枚入
  ユニチャーム シルコット 80枚入
  三菱 ホイル 8m
●やなぎ バリュー楊枝500 2個組

《ウラ面:28日~30日 3日間限り》

  北海道産 じゃがいも 1袋 178円
  北海道産などの国内産 大根 1本 198円
  モーリタニア産 お刺身用 真だこ(ボイル) 100g当り 198円
  イセ食品 森のたまご 10個入 258円
  エスビー おでんの素 80g 138円
●一正 おでんセット 16個入 498円
  マルちゃん 北の味わい 醤油とんこつ・味噌とんこつ 各2食入 各198円
  日清 チキンラーメン・出前一丁・焼そば 各5食入 各298円
●中野食品 3食うどん 3食入 138円
  ハウスこくまろカレー(甘口・中辛)・こくまろシチュークリーム・マカロニグラタンクイックアップ 各1個158円(より
    どり2個300円)
  ヤマザキ グルメボックス各種 各1袋 各98円
●肉まん 5個入 298円
  国産野菜豆腐ハンバーグ(きのこソース) 2個入 160円  4個入 298円
  ニッスイ 焼鮭ほぐし 160g入 298円
  野沢菜ちりめん 35g入 298円
  ふじっ子 おまめさん各種 各1袋 1個 158円(よりどり2個300円)
  ふじっ子 昆布各種 各1パック 各198円
  野崎 甘口かつお沢庵 220g 198円
  ヤマキ 徳一番 花かつお 100g 288円 1人2点限り
  オリジナル商品 シュリンクパック ロースハム・ベーコン 各140g 各268円
●丸大 いつも新鮮ロースハム 38g×4 298円
  冷凍食品 お弁当材料 4割引
  エバラ 生姜焼のたれ 230g 158円
  日清 から揚げ粉 お肉ソフトタイプ 100g 108円
  茨城県産などの国内産 生産者限定 トマト 1パック 298円
○豚肉とんかつ(ロース) 1枚 98円
  広島県産 かきフライ 12粒入 358円
  ファンタ手にピタ!(グレープ・オレンジ)各1.5ℓ・アクエリアスビタミンガード2ℓ・アサヒ十六茶2ℓ 各1本 158円
    (よりどり2本300円)
  サントリー 金麦 350ml×6缶パック 638円/500ml×6缶パック 918円
●サントリー ザ・プレミアムモルツ 350ml×6缶パック 1,298円/500ml×6缶パック 1,780円
  全農安心システム認証米 栃木コシヒカリ 穂の香 5㎏ 2,080円
●全農安心システム認証米 熊本ヒノヒカリ 5㎏ 1,980円

 以上、特売対象の商品を並べたが、チラシに掲載されている価格が表示されている数は約120である。このうち、○印が付いている商品は13個で、●印は30個となっている。一方のチラシにだけ載っている商品が13個あり、他方のシラシにだけ載っている商品は、その倍以上になっている。こういうチラシが同時に入ってくるのである。チラシ特売実施の店舗を間違わないようにしても、2つのチラシを同時に見て、生活者は「こういうのは、あって当然」と受け止めるのか、「そんなに離れてない店なのに、こんなにも違うのか」と思うのか、それはわからない。自宅でチラシを見て、外出先の帰りに同じチェーンの店舗で買物をしようとした時に、特売対象の商品が違っているということもあるかもしれない。特売を企画する時は商圏特性、購買傾向などを検討して対象商品を決めていくことになるが、それは商圏の「共通」項が大きな決定要件になる。チラシを受け取る側は「個」の立場でチラシを見る。「共通」と「個」の不一致もあり得る。
 1つの提案として、目玉商品は全店舗共通のものと店舗独自(地域独自)のものに分け、全店舗共通のものをチラシで訴求し、店舗独自(地域独自)の特売商品は店頭で発表するなど、来店すればわかるようにするという方法もある。顧客には、毎回の特売日にワクワク感を与えることもできる。継続していけば、顧客はチラシが入った時に買物をすれば、別の買得商品や特売商品があることがわかり、来店価値を感じるのではないだろうか。
 同時に届いた同じチェーンの同じ期間の、レイアウトなどは同一だが、掲載商品が一部で異なっている2つの特売チラシを前に、感じたことを書き留めてみた。(田中)

【月曜コラム】自由席/店ウォッチング  第2回 「598円」特売後の「698円」売価の魅力とは?

2009年10月19日 22時23分58秒 | 店ウォッチング(「今日の気づき」に統合)
【2009年10月19日(月)】消費の節約指向、低価格商品指向が続き、スーパーの特売攻勢が連日続く。1社の特売チラシが1週間に2回、3回と、新聞と一緒に入ってくる。特売商品、特売価格も周期的に同じものがチラシに掲載されてくるのでマンネリ感すら覚える。マンネリ感を覚えつつ、生活者はいつも買っている商品なら特売の時にしか買わなくなっている。特売で買われる割合が多い商品は、極端に言うと、定番売場をもっと小さくして、特売はもっと大きなボリューム陳列をし、もっと大量に販売して、スペースの空いたゴンドラの陳列を活性化させる智恵を絞るというのは無理なことだろうかと思うことがある。逆に、周期的に特売の対象になる商品の定番売場での販売状況はどうなっているのかと興味がわく。POSデータに販売の状況がきちんと記録されているわけだから、それを長年の経験を生かして分析していくと、定番販売、特売、それに応じた陳列、商品アピール等々、どうすれば良いのか、スーパーでは十分検討されていることと思われるが、生活者の立場から見て、こういう特売の設定の仕方、売価設定の仕方は、どういう根拠なのかと思うこともある。生活者の側で見た1つの例を挙げてみる。
 インスタントコーヒーとはいえ、内容量が多いので当然だが、普段は高い印象を持ってしまう商品が、「これは安い」と思う特売がある。月に1回程度の周期で同じ売価で特売チラシに載ってくる 。他のスーパーも同じだから、1か月を待たなくても、買う店舗を変えれば、いつでも買えるという気持ちになり、「これは安い」と思いつつ、「今日、買わなければ…」というワクワク感はなく、もともと内容量が多い商品なので、なくなりかけた頃に買えば良い、という落ち着いた気持ちでチラシを眺めてしまう。そして、スーパーに行ってみると、本当に、連日、こんなにも売れているのだろうかと思う商品がある。
 何年か前にチラシで、インスタントコーヒーの「ネスカフェ エクセラ 250g 598円」の掲載を見て、「これは安い」と思った。それ以降、注目していると、どのスーパーでも、ほぼ1か月周期で「598円」を打ち出してくる。たまに、もう少し高い売価で入ってくることもあるが、「598円」まで下げられると、通常価格より安いといっても、「698円」や「798円」は商品写真と一緒に掲載されるチラシ価格としては精彩を欠いた印象は否めない。チラシ特売の企画内容全体を見れば、魅力ある特売かもしれないが、企画自体が担当者の努力ほどには生活者への訴求力が大きくなっていないので、単品で見ると、どうしても魅力に欠けてしまう。それでも、担当者の努力が小さくなると、もっと訴求力が弱くなる。大変な厳しい時代を迎えたことになる。
 そこで、ある食品スーパーのチラシ特売を追ってみた。2009年9月5日(土)に5日(土)~8日(火)のチラシが入った。6日(日)限り、1人1点限りで「ネスカフェ エクセラ 250g 598円」が掲載されている。特売初日の5日(土)に店舗に行ってみた。定番売場と隣りの通路脇に段ボール箱のまま陳列し、青地に白抜き文字で「お買得品」と書かれたショーカードの下の電子棚札には「698円」と表示されていた。目当ての6日(日) 。同じ売場を訪れると前日と違っているのは、ショーカードが赤地に白抜き文字の「日替り商品」に変わり、電子棚札の売価表示が「598円」になっていることだけである。特売期間は通おうと、7日(月)も訪れてみた。ショーカードと電子棚札が「お買得品」と「698円」に戻っているだけである。8日(火)には新しく気が付いたことがある。こんなにも連日通うつもりはなかったので、「ネスカフェ エクセラ 250g」以外は目に留めなかった。反省の弁でもある。連日、買物カゴを手にして何も買わないで出口に向かうので、怪しまれないかという弱気が気持ちより足の方を先に出口に向かわせていたということもあるが、特売最終日の8日(火)は、まず定番売場のショーカードが「日替り商品」に変わっていた。電子棚札は「698円」である。実は9日(水)も訪れたが、9日(水)のショーカードは「お買得品」に戻っていたので、8日(火)のショーカード は間違いであったことがわかった。もっと驚いたのは、定番売場の「ネスカフェ エクセラ 250g」の横に「ネスカフェ エクセラ」詰替用220g(ビン重量を含まないのでビン詰250g用)が「おすすめ品」698円で販売されている。さらに、段ボール箱陳列の右横のゴンドラエンド棚に9フェースで「ネスカフェ エクセラ 250g」698円、段ボール箱陳列の通路の奥(壁面冷蔵ショーケースの前)のワゴン陳列では「ネスカフェ エクセラ 150g」と「ネスカフェ エクセラ」の詰替用120gをセットで「お買得品」として「698円」で販売していた。定番売場の「ネスカフェ エクセラ」詰替用220g、ゴンドラエンド棚9フェースの「ネスカフェ エクセラ 250g」、ワゴン陳列の「ネスカフェ エクセラ 150g」と「ネスカフェ エクセラ」詰替用120gのセット販売は5日(土)~7日(月)まではどういう状態であったのかは確かめようがない。結局12日(土)まで通ったが、「ネスカフェ エクセラ」の品揃え、陳列、ショーカード、売価は12日(土)までは8日(火)と同じであった。13日(日)以降のことはわからない。
 そして、10月に入ると、11日(日)限り、1人1点限りで「ネスカフェ エクセラ 250g 598円」が10月10日(土)~11日(日)特売のチラシに掲載されていた。今度は店舗を訪れていないが、このコラムを書くに当たって、19日(月)に店舗に行くことにした。定番売場と段ボール箱陳列で「お買得品」のショーカードと電子棚札「798円」の表示。特売の後の「お買得品」として普通に陳列されていた。9月の「お買得品」よりは100円高い売価設定である。
 250g入りだと1か月は持つ。持たなければ、家が近くであれば2人で来店するとか、時間を変えて来店すれば2個買うのは容易である。「598円」前に「698円」で売り、さらに「598円」後も「698円」で売り続けて、売れ続けるのであろうかと考えてしまう。しかも、1か月後には同じような特売が始まるのである。「698円」で売り続けた間の1日限りの「598円」が「ネスカフェ エクセラ 250g」を「698円」で売り続けるアクセルになったのかブレーキになったのか。生活者の目で見ても、知りたいところである。(田中)

【月曜コラム】自由席/店ウォッチング  第1回 一人でみかんの缶詰を買えますか

2009年10月05日 23時20分45秒 | 店ウォッチング(「今日の気づき」に統合)
【2009年10月5日(月)】「あなたは一人でスーパーに行って、みかんの缶詰を買えますか」と聞かれると、100人中100人が「買えます」と答えるに違いない。中には「そんな馬鹿な質問をするな」と、叱る人がいるかもしれない。それでは試しにスーパーに行ってみると、なぜ、そんな質問をしたのか、わかってもらえるかもしれない。これは筆者の体験である。
 駐車場4,000台規模、商業施設面積約7万3,000㎡の郊外型大型ショッピングセンターの食品売場。家族ともよく買物に行くし、家族には嫌がられるが、買物に行った時に売場づくりや品揃えの特徴を説明したりする。スーパーの売場は取材でも数え切れないほど訪れている。上京して一人暮らしを始めた学生の時から近所のスーパーでよく買物をした。みかんの缶詰を1個買うのに苦労などいらないと思ってきた。そのスーパーに一人でみかんの缶詰を買いに行くまでは。
 まず、何売場かを案内する天井から吊り下げられたボードを探した。「缶詰」の大きな文字はすぐに発見できた。これで買物の目的の90%は達成できたと思った。あとは缶詰を買物カゴに入れてレジで精算するだけである。ところが、その缶詰売場のゴンドラにはみかんの缶詰がないのである。パイナップルや桃の缶詰もない。生の果物は季節商品だが缶詰は年間商品のはずなのにと、一瞬、目の前の光景が同じ光景が見える異次元の空間に引っ張り込まれたSF映画を見ているようで、何かの間違いかと思ってしまう。肉、魚を中心とした缶詰が並んでいるだけである。こんなことはあり得ないと思うが、もしかして商品補充が間に合わないほど売り切れているのではないかと、棚のプライスカードを確かめながら、もう一度缶詰売場の商品を端から端まで見る。みかんの缶詰がないことを確認する。そして、ここにないのならと、天井から吊り下げられたボードを頼りに常温の一般食品売場を見落としがないように2回ほど回ってみたが見当たらない。それでは果物売場にあるかもしれないと、青果売場に行く。1アイテムだけ見つかる。中国産のみかんの缶詰が1種類だけ、果物を陳列した平台の下に置いてあった。
 これだけ広い売場でみかんの缶詰が中国産1アイテムということはないだろう。安全性で問題が生じて売場から撤収したというニュースは聞いていない。「なぜないのか」という思いばかりが頭をめぐる。あるはずの置き忘れたものを捜すような焦りすら出てくる。もう、店員に聞くしかない。
 その店員も即答はできずに、「探してきます。少し待っていてください」と。店員が戻ってくるまで、そんなに時間はかからなかったが、少し荒い息をして、「紅茶とかコーヒーと書いてあるボードの近くの柱の下辺りにあります」と丁寧に答えてくれた。この辺は2回も回ったのにと、早足で大雑把な回り方をしたことを反省しつつ、ゴンドラを細かく見ていかなくても大雑把に回っても見つかるはずの商品と思っていたのに、と半信半疑で教えられた売場に行ってみると、確かにあった。パイナップルの缶詰も桃の缶詰も蜜豆の缶詰もきちんと品揃えされていた。棚の仕切りには「フルーツ缶詰」の文字。そのゴンドラはケーキの材料売場だった。
 実は、わが家ではマカロニサラダやポテトサラダのトッピングにみかんの缶詰を使う。その日はマカロニサラダを作るというので、みかんの缶詰とロースハムを買ってくるように頼まれたのである。みかんの缶詰はケーキ材料としてしか使わないのか。サラダのトッピングには使わないのだろうか。デザートにはどうなのか。提案型の売場とはいえ、缶詰は「缶詰」と書いたボードの下にまとめた方がわかりやすく、買いやすいのではないだろうか。目の前の売場づくりを否定するような考えばかりが浮かんでくる。しかし悲しいことに、一度失敗を経験すると、次の買物では迷うことはないので、ここに書いたほど大したことではないと片付けてしまわれかねない。頻繁に利用する主婦にとっては、一瞬の買いにくい売場は、一瞬にして買いにくさなど過去のことと忘れてしまう売場になるのかもしれない。いわゆる、毎日の買物に対応した「デイリーストア」とは、そういうものか等々と、理屈を並べてしまう。
 しかし、この続きがある。ロースハムでも売場にたどり着けなく迷ってしまったのである。
 まず、精肉売場に行く。牛、豚、鶏の続きには、ハムやソーセージ、半加工のハンバーグなどが並んでいると想像して行くと、ロースハムは店のラベルが貼られた店でスライスしてトレー詰めされた商品だけしかない。ここでも、一瞬、目の前の光景が信じられない思いに占領された。売場のレイアウトは精肉コーナーを過ぎると揚げ物・焼き物・煮物の惣菜、デリカ、パンのコーナーへと続く。いつも家族と来ると最後に通る売場である。みかんの缶詰だけでなくロースハムもないのかと思った瞬間、思考のキャパシティが極端に小さくなり、この先は惣菜・デリカ売場か、と精肉コーナでUターンして、また売場を2回、早足でまわる。精肉売場以外のもう1か所でロースハムを見つけた。生めんのラーメン・冷やし中華の売場にPBのロースハムが1アイテムだけ置いてあった。よく確かめると、ラーメンの陳列ケースにはPBのロースハムと、メンマ、煮卵が並んでいる。冷やし中華の場所にはPBのロースハムと揚げ玉、刻みしょうが並ぶ。ちなみに、焼そばの場所は揚げ玉、刻みしょうが、ミックス野菜である。PBのロースハムは置いていない。見事な提案型の陳列と感心しながら、PBのロースハム以外のハムや焼豚を使いたい顧客もいるだろうから、ボードでトッピングの提案をして、好みのハムが選べる売場はデリカコーナーにあることを案内した方が親切ではないのか。それとも現物を置かないと、デリカコーナーに行くのならロースハムを使うのはやめようと、ロースハム全体の売上に影響するのか。POSデータの分析を駆使した結果、売上が最大になる陳列として考えられたものだろうかと考えがめぐる。
 肝心の買って帰らなければならないロースハムだが、かなりの時間、売場をぐるぐる回っているので疲れて、あれでいいと、精肉売場のトレーに詰められたロースハムを買物カゴに入れて、いつもの通りデリカコーナーを通ってレジに向かうと、山と積まれたハム・ソーセージ類を発見した。遠い過去のことで忘れてしまったが、迷子になって焦っている時に母親を見つけた時は、こんな気持ちになったのだろうかと。レジを通過して時計を見ると、みかんの缶詰を探し始めてから、ロースハムも買って精算が終わるまでに、約30分もかかっていた。家に帰ってそのことを話すと、「普段に使うのだから、ロースハムなら何でも良かったのに」と、あっさり切り捨てられた。
 さらに後日談がある。それなら、どこの店も同じだろうか。今はこういう売場づくり、陳列の仕方が一般的なのだろうかと、その店と競合している大型店と、近くの300坪型の食品スーパーに行くことにした。300坪型の食品スーパーでは、みかんの缶詰は「缶詰売場」でなく「洋菓子材料売場」にあった。しかし、ロースハムは店全体が大きくないので精肉売場の近く置いてあり見つけるのに時間はかからなかった。
 競合する大型店ではどうか。みかんの缶詰は「缶詰売場」にあり、「缶詰売場」には肉、魚からフルーツまで缶詰製品を一堂に集めていた。ロースハムはどうか。精肉コーナーは牛、豚、鶏に続いて大きくハム・ソーセージのコーナーが設けてあり、ハム・ソーセージ類がすべて揃っている。精肉の壁面陳列コーナーの向かいは平台の冷蔵ケースで島陳列をして、精肉や加工肉、ハム・ソーセージの買得品、セール品を大量陳列していた。わかりやすく、買いやすい売場である。基本的には、学生時代から経験しているスーパーの売場と変わっていないように感じる。変わっていたとしても、時間とともに少しずつ変わっていたのであれば大きな変化と思わないのだろう。しかし、ロースハムはまだしも、みかんの缶詰などは学生時代から買った経験はなく、他の缶詰を買った時に同じ売場にあったと記憶している程度である。その記憶を頼りにして、売場で迷ってしまった。
 ということは、筆者が体験した買いやすい売場は旧態依然とした陳列で、買いにくいと感じた売場が新しい提案型の陳列ということになるのだろうか。
 もう一度、「あなたは一人でスーパーに行って、みかんの缶詰を買えましたか」と聞かれて、100人中何人が「買えました」と答えるのだろうか。(田中)

【月曜コラム】自由席/店ウォッチング 【木曜コラム】万華鏡/電車の中から

2009年09月30日 18時18分58秒 | 店ウォッチング(「今日の気づき」に統合)
●店ウォッチング●小売業を取り巻く環境は一言で言うと「売れない時代」です。売れない理由を「売れない時代」だからとしていることが多いのではないでしょうか。店舗・売場を見ていると、もっと売れる売場を作れないのだろうかと思うことがよくあります。売場はまだまだ売上を作る大きな可能性を持っていると思います。そうした店舗・売場をウォッチングしていきます。

●電車の中から●電車にはいろんな人が乗っています。人の仕草や行動、会話を聞いていると、世の中の「今」を感じることがよくあります。小売業を取り巻く消費社会の現状が見えてくる思いがします。電車の中は小さな小さな空間ですが、万華鏡のようにちょっと角度を変えると、違う風景が映り、大きな社会が見えてきます。様々な「今」が見えてきます。電車の中をウォッチングしていきます。