【2009年10月26日(月)】今回は店舗の中でなく、店舗を訪れる前の「特売チラシ」の「今」をウォッチングする。日本経済新聞など複数の全国紙を購読しているので各新聞に同じチェーンの特売チラシが入る。チラシは貴重な情報源になるので取り置くことにしているが、同じスーパーのチラシはレイアウトもキャッチコピーも特売期間も同じで(厳密にはレイアウトは少し違うのだが…)、目玉商品も大きく写真入で掲載されている。重複保管を避けるため、同じスーパーの同じ特売チラシは1枚だけの保管としていた。しかし、今まではあまり気にしていなかったのだが、2枚の同じスーパーの同じ特売チラシを見比べてみて、改めて驚いた。結構、対象商品が違っていたりする。一方で対象商品になっていて、他方は対象になっていないとか、同じ商品でも売り出し期間が日替わりだったり2日間連続だったりする。レイアウトがほとんど同じなので、商品が変わっていても気付きにくい。確かに、チラシには広告商品の取扱い店舗が掲載されているが、そこまでは細かく見ない。
歩いて5分もかからない近くのスーパーのチェーン名が大きく書かれたチラシが入ると、その店舗が新聞と一緒に届いた特売チラシの対象店舗と思ってしまうのは当然ではないだろうか。間違って対象店舗の異なるチラシを見ても、特売はどの店舗もチラシに掲載した期間で実施され、超目玉商品も変わらないので、大きな混乱を起こすことはないとも言える。事業所を除くと、複数の全国紙を購読している家庭は少ないだろうから、2枚の異なるチラシを見る生活者は少ないかもしれない。近くの店舗が特売対象になっていないチラシが入る新聞だけを購読している家庭があるかもしれないが多くはないと考えられる。様々なケースを考えても、顧客を惑わすようなことは少ないとは思えるが、もう「一工夫」があっても良いのではないだろうか。
地域ごとの商圏特性に応じた細かな販促施策は評価できるが、それが異なるチラシを撒く境界地域の生活者には混乱を招くことにならないだろうかと懸念する。低価格指向を強めている消費マインドを考えると、以前にも増して特売チラシはよく見られている。来店する前にチラシの隅々まで目を通す生活者も多いと考えられる。例え、その商品を買わなくても、チラシに載っているにもかかわらず、店頭では特売価格とは異なる価格で売られているのに気付いた顧客の反応を考えると、広告商品取扱い店舗はチラシにきちんと明記しているといっても、「過失はない」という言い訳の理由にしかならないのではないだろうか。今回気が付いたケースは、新聞販売店の配達エリアを考えると、もしかして、その店舗の前の家庭にも、目の前の店舗が対象店舗になっていない特売チラシが配られているかもしれないと予想される。
そこで、1つの事例として、同じチェーンの同じ期間の2枚の特売チラシに掲載された商品を以下に紹介する。1枚は15店舗を対象にしたチラシで、仮にAチラシとする。もう1枚は8店舗を対象にしたチラシで、Bチラシとする。チラシ特売対象商品はAチラシ掲載商品をベースに並べ、商品名の前が無印の商品はAチラシとBチラシに共通して掲載、商品名の前に○印が付いている商品はAチラシのみの掲載、商品名の前に●印が付いている商品はBチラシのみの掲載商品とした。すなわち、Aチラシには商品名の前が無印または○印の商品が掲載され、Bチラシには商品名の前が無印または●印の商品が掲載されているということになる。
チラシはタテ38.0㎝×ヨコ54.5㎝の大きさで、黄色地に黒一色で文字・写真を表している。オモテ面、ウラ面とも同じ体裁。特売期間は2009年9月28日(月)~30日(水)の3日間である。特売対象商品は以下の通りである。表示価格はすべて税込価格。
★オモテ面は、日替わりの目玉プライス商品を並べ、左半分のスペースに28日限り、右半ページは29日限りの商品を掲載している。★
《オモテ面:28日限り》
日本コカ・コーラ 森の水だより 2ℓ 79円 1人1ケース(6本)限り
マルちゃん 赤いきつね・緑のたぬき・黒い豚カレーうどん 各98円 1人各5点限り
日清オイリオ キャノーラ油 1000g 198円 1人1点限り
サトウ 切り餅つきたて シングルパック 1㎏ 598円 1人2点限り
クノール カップスープ各種 各8袋入 各224円 1人よりどり3点限り
玉三 十勝片栗粉 450g 98円 1人1点限り
ヤマキ マイルドカツオパック 3g×10袋入 178円 1人1点限り
マルサン 純正こうじみそ 1㎏ 188円 1人1点限り
はごろも シーチキンLフレーク 80g×3缶パック 298円 1人2点限り
つくば山麓 さわやか仕立て 1000ml 168円
森永 ミルクココア 300g 298円 1人1点限り
ロッテ キシリトールニューライム ファミリーボトル 150g 598円 1人2点限り
キリン 一番搾り 350ml×6缶パック 1,068円/500ml×6缶パック 1,450円
アサヒ 甲乙混和25° かのか むぎパック・こめパック 各1.8ℓ 各980円
日本盛 晩酌 辛口パック 2ℓ 798円 1人1点限り
《オモテ面:29日限り》
キリン 極烏 2ℓ 128円 1人1ケース(6本)限り
ネスカフェ ゴールドブレンド 100g 398円 1人1点限り
マルちゃん 昔ながらのソース焼そば・ホットワンタン 各98円 1人各5点限り
キューピーマヨネーズ(350g)・キューピーハーフ(300g)・ミツカンほんてり(1ℓ)・ミツカン料理酒(1ℓ)・マルコメお
いしさいろいろ長熟みそ(11食) 各158円(よりどり2個300円) 1人よりどり5点限り
クノール 中華スープふかひれ入り・たまごスープ 各5食入 各258円 1人2点限り
ネスレ ブライト 300g 258円 1人1点限り
ピエトロ ドレッシング 280ml 298円 1人1点限り
ブルボン ふんわりチョコバーム(175g)・ミニシルベーヌ(170g) 各228円
全農安心システム認証米 山形はえぬき 5㎏ 1,780円 1人1点限り
キリン コクの時間 350ml×6缶パック 628円/500ml×6缶パック 898円
★ウラ面は、左半分は上3分の1のスペースに28日と29日の日替特売を載せ、下3分の2は28日・29日の2日間限りの98円均一商品で埋め尽くされている。一方、右半分は上3分の1に30日限りの特売商品を載せ、下3分の2は28日~30日の3日間の特売商品を訴求している。左半分にはホットメニューの提案として、おでん材料やラーメンなどの商品を載せ、右半分には運動会や行楽に対応した手作りお弁当特集として、弁当材料などをまとめて訴求している。★
《ウラ面:28日限り》
福島県産などの国内産 きゅうり 3本 98円
○北海道・宮城県産などの国内産 生さんま 1尾 98円
●北海道・宮城県産などの国内産 生さんま 1尾 98円/お造り・1パック 298円
○アメリカ産・ロシア産など 子持ち浅羽がれい 解凍 1切 98円
○国産 冷凍豚肉 切り落し 100g当り 98円
ヤマザキ ずっしりデニッシュ各種 各1個 各98円
すこやか 低脂肪乳 1000ml 98円
照り焼きチキン 切り落し 100g当り 98円
《ウラ面:29日限り》
北海道産 玉ねぎ 3個 98円
太子食品 有機2連 きぬ・もめん 各200g×2 各98円
フジパン スナックサンド各種 各3個入 各98円
○青森県産などの国内産 生食用ボイルほたて 解凍 100g当り 98円
●青森県産 生食用ボイルほたて 解凍 100g当り 98円
アメリカ産 豚肉 切り落し(バラ) 100g当り 98円
《ウラ面:30日限り》
にんべん つゆの素ペット 1000ml 378円 1人1点限り
○新鮮たまご 生みたてくん ミックスサイズ 10個入 98円 (タイムサービス:夕方4時から先着200名、1人1
点限り)
●新鮮たまご 生みたてくん ミックスサイズ 10個入 98円 (タイムサービス:夕方4時から先着300名、1人1
点限り)
お刺し身用 めばちまぐろ 赤身 解凍 100g当り 258円
神戸屋 2個入菓子パン各種 各98円
○北海道・青森県産などの国内産 生するめいか 1杯 150円
●北海道・青森県産などの国内産 生するめいか 1杯 150円/お造り・1パック 298円
○国産 健康牛 切り落し 100g当り 198円
●国産 健康牛 切り落し 1パック200g入 500円(100g当り250円)
○明治 ブルガリアヨーグルト プレーン 450g 138円
●明治 ブルガリアヨーグルト プレーン・そのままでプレーン 各450g 各138円
三幸 三幸の海苔巻 99g 128円
●秋田県産 美味豚 うす切り(バラ) 1パック180g入 398円(100g当り222円)
オリジナル商品 上級あらびきポークウインナー 104g×2 298円
●ペルー産 有機栽培バナナ 1袋(約500g入) 198円
●太巻各種 各1パック 各280円
○北海道産 生秋鮭 切身 3切入 398円
●北海道産・宮城県産などの国内産 生秋鮭 切身 3切入 398円
冷凍食品 5割引&4割引セール
《ウラ面:28日・29日限り 98円均一》
チリ産 銀鮭(中辛) 養殖 1切
プロッシモ スパゲティ 1.7㎜ 300g
ヤマザキ 麦麗 6枚・8枚
花王 ワイドハイター 詰替 720ml 1人2点限り
熊本県・愛知県産などの国内産 活あさり 100g当り
○タイ産・インドネシア産・マレーシア産など バナメイえび 養殖・解凍 100g当り
●タイ産・マレーシア産など バナメイえび 養殖・解凍 100g当り
オランダ産 あじ開き 1枚
●アメリカ産・ロシア産など 子持ち浅羽がれい 切身 解凍 100g当り
アメリカ産など しまほっけ(半身) 1枚
味付めかぶ 50g×3
●カネリョウ 味付もずく 三杯酢・黒酢 各70g×3
青森県産などの国内産 サンつがる りんご 1個
ニュージーランド産 食べ頃キウイフルーツ(グリーン) 1個
オーストラリア産 オレンジ 1個
アメリカ産 豚肉 生姜焼用(ロース) 100g当り
●国産 豚肉 煮豚用(肩) 100g当り
○国産 若鶏(もも) 100g当り
●若鶏手羽中 唐揚(味付・タイ産) 100g当り
高崎ハム 直火焼きハンバーグ各種 各1個
●豚肉とんかつ(ロース) 1枚
肉団子(国産鶏・豚肉使用) 100g当り
●フライ各種 各1個
パンコーナー 98円均一
●インストアベーカリーも98円均一開催中
サンフード にがり造り油揚げ 2枚入
相模屋 やわらか厚あげ 4個入
楽陽 横浜名物シウマイ 13g×12個入
丸洋 生餃子 6個入
●旬のじゃがいも使用ポテトサラダ・国産野菜使用マカロニサラダ(小) 各90g
菅野漬物 あっさり小なす 70g
オーマイ 早ゆでサラダマカロニ 200g
九州フーズ 切り干し大根 30g
ヤマトタカハシ おだしに昆布 真昆布 30g
大忠 芽ひじき 18g
グリコ とろーりクリームonプリン 210g
●ミヤト 本造り黒糖 80g
●S&V 紫芋チップス 80g
明治 がんばれ元気 65ml×10
105円・126円小物アイス 1個98円(よりどり4個378円)
●ウインズ ハンドソープ 詰替 200ml
白十字 ファミリー綿棒 200本入
○日本技研 不織布水切り袋 排水口用・三角コーナー用 各20枚入
●日本技研 不織布水切り袋 排水口用・三角コーナー用 各20枚入/パックドゥBOXタイプ 50枚入
ユニチャーム シルコット 80枚入
三菱 ホイル 8m
●やなぎ バリュー楊枝500 2個組
《ウラ面:28日~30日 3日間限り》
北海道産 じゃがいも 1袋 178円
北海道産などの国内産 大根 1本 198円
モーリタニア産 お刺身用 真だこ(ボイル) 100g当り 198円
イセ食品 森のたまご 10個入 258円
エスビー おでんの素 80g 138円
●一正 おでんセット 16個入 498円
マルちゃん 北の味わい 醤油とんこつ・味噌とんこつ 各2食入 各198円
日清 チキンラーメン・出前一丁・焼そば 各5食入 各298円
●中野食品 3食うどん 3食入 138円
ハウスこくまろカレー(甘口・中辛)・こくまろシチュークリーム・マカロニグラタンクイックアップ 各1個158円(より
どり2個300円)
ヤマザキ グルメボックス各種 各1袋 各98円
●肉まん 5個入 298円
国産野菜豆腐ハンバーグ(きのこソース) 2個入 160円 4個入 298円
ニッスイ 焼鮭ほぐし 160g入 298円
野沢菜ちりめん 35g入 298円
ふじっ子 おまめさん各種 各1袋 1個 158円(よりどり2個300円)
ふじっ子 昆布各種 各1パック 各198円
野崎 甘口かつお沢庵 220g 198円
ヤマキ 徳一番 花かつお 100g 288円 1人2点限り
オリジナル商品 シュリンクパック ロースハム・ベーコン 各140g 各268円
●丸大 いつも新鮮ロースハム 38g×4 298円
冷凍食品 お弁当材料 4割引
エバラ 生姜焼のたれ 230g 158円
日清 から揚げ粉 お肉ソフトタイプ 100g 108円
茨城県産などの国内産 生産者限定 トマト 1パック 298円
○豚肉とんかつ(ロース) 1枚 98円
広島県産 かきフライ 12粒入 358円
ファンタ手にピタ!(グレープ・オレンジ)各1.5ℓ・アクエリアスビタミンガード2ℓ・アサヒ十六茶2ℓ 各1本 158円
(よりどり2本300円)
サントリー 金麦 350ml×6缶パック 638円/500ml×6缶パック 918円
●サントリー ザ・プレミアムモルツ 350ml×6缶パック 1,298円/500ml×6缶パック 1,780円
全農安心システム認証米 栃木コシヒカリ 穂の香 5㎏ 2,080円
●全農安心システム認証米 熊本ヒノヒカリ 5㎏ 1,980円
以上、特売対象の商品を並べたが、チラシに掲載されている価格が表示されている数は約120である。このうち、○印が付いている商品は13個で、●印は30個となっている。一方のチラシにだけ載っている商品が13個あり、他方のシラシにだけ載っている商品は、その倍以上になっている。こういうチラシが同時に入ってくるのである。チラシ特売実施の店舗を間違わないようにしても、2つのチラシを同時に見て、生活者は「こういうのは、あって当然」と受け止めるのか、「そんなに離れてない店なのに、こんなにも違うのか」と思うのか、それはわからない。自宅でチラシを見て、外出先の帰りに同じチェーンの店舗で買物をしようとした時に、特売対象の商品が違っているということもあるかもしれない。特売を企画する時は商圏特性、購買傾向などを検討して対象商品を決めていくことになるが、それは商圏の「共通」項が大きな決定要件になる。チラシを受け取る側は「個」の立場でチラシを見る。「共通」と「個」の不一致もあり得る。
1つの提案として、目玉商品は全店舗共通のものと店舗独自(地域独自)のものに分け、全店舗共通のものをチラシで訴求し、店舗独自(地域独自)の特売商品は店頭で発表するなど、来店すればわかるようにするという方法もある。顧客には、毎回の特売日にワクワク感を与えることもできる。継続していけば、顧客はチラシが入った時に買物をすれば、別の買得商品や特売商品があることがわかり、来店価値を感じるのではないだろうか。
同時に届いた同じチェーンの同じ期間の、レイアウトなどは同一だが、掲載商品が一部で異なっている2つの特売チラシを前に、感じたことを書き留めてみた。(田中)