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WINS通信は小売業のマネジメントとIT活用のための情報室

小売業・IT活用・消費市場の今をウォッチング/WINS企画/東 秀夫wins.azuma@sunny.ocn.ne.jp

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第17回 HC・ドラッグストアの食品展開に思う

2009年10月26日 17時02分29秒 | 今日の気づき
【2009年10月26日(月)】消費不振はいろいろな問題点を炙り出してくれる。所得が減り、かつ所得が安定しないということは、生活者にとっては大変厳しい現実だが、炙り出された問題点が改善されて消費生活が豊かになることは望ましいことである。そういう方向に進んでいくことは間違いない。生活者に支持されないと、特に生活者に直接かかわりを持つ川上・川中・川下の企業の存続は危ぶまれるからである。言い換えれば生活者の支持を得られない「生活関連企業」は生き残れないということであり、しかも、生活者は豊な消費社会への様々な局面を経験して「見る目」を養ってきたので、生活者に納得させるべく説得力のある対応をしないと生き残れないということである。
 10月26日付の日本経済新聞 9面の《経営の視点》に〈規模の追求、幻想にすぎず〉、〈低価格商品、智恵でつくる〉の見出し。旧態依然の低価格商品の開発手法に1つの疑問符を投げかけている。大手スーパーの、規模による仕入でコストを引き下げ低価格を実現する、という考え方はスーパー台頭期から変わっておらず、川上への対応を考えていかなければ、低価格化の結果として得られる利益を確保できなくなってしまう、と。大手スーパー各社の2009年3月~8月期の営業赤字は低価格化攻勢に生活者が価値を見出さず生活者の求める商品を提供し切れなかったことも一因だったのではないかとも言える、と解説している。そして、規模の追求が利益をもたらすというのは幻想に過ぎない、規模がないと低価格品ができないというのは言い訳だ、センスと智恵でいい商品はできる、といった、消費財と小売業に詳しい専門家や小売業経営者のコメントを紹介している。結論として、「身近な店舗にいい商品があること。これが強い会社をつくる第一歩だ。」と結んでいる。
 これだけ厳しい経済環境下、消費環境下では、企業が利益を出すのは並大抵のことでは実現できない。もともと、企業の利益は、企業活動を構成するすべての部門が関係し合って生み出されるものである。仕入では規模を拡大するだけでなく新しい仕入先の開拓も必要になる。商品開発、物流、販促、販売、人材の育成・活用・配置、情報の活用、意思決定の速さ等々、様々な要素で改善・改革が求められる。 
 また、同記事では、大手ホームセンターがメーカーと共同開発し448円(750ml)で販売する南米チリ産ワインの成功を紹介している。
 記事の内容とは離れるが、ホームセンターの食品販売で日頃感じていることがある。発端は10年以上も前になるかもしれない。その辺りは非常に曖昧だが、正月の何日目かに、正月料理に飽き、冷たい炭酸飲料を飲みたくなった。幸い冷蔵庫にストックがあったので、その思いはすぐに叶えられたが、正月明けに入ってきたドラッグストアの新聞折込チラシを見て、「驚愕」という言葉が相応しいほど驚いたことがある。炭酸飲料が1アイテムだけ、食品スーパーのチラシ価格に負けない破格の値段で特売にかかっていた。まだドラッグストアが取り扱う食品数が今のように多くない時である。チラシ紙面の中でも周りの商品との対比で違和感すら覚えるほどである。多分、冷蔵庫に炭酸飲料のストックがなかったら近くにチラシの店舗があるので、すぐに買いに行ったと思う。その時は、銘柄、種類は問わずに炭酸飲料であれば何でも良いというように、選択の許容範囲は極めて広かった。チラシに載った1アイテムの炭酸飲料が与えたインパクトを忘れることができない。もし、同じ商品がスーパーのチラシに載っていれば、ほかの買物がない限りはスーパーまで行こうとは思わなかったであろうし、ドラッグストアのチラシを見なかったら、通常価格でもコンビニエンスストアに走ったことと思う。品揃えは、顧客個人のニーズよりは顧客共通のニーズが優先される。品揃えのアイテム数や特売対象商品のアイテム数、特売商品の組み合わせによるメニュー提案など、スーパーとドラッグストアやホームセンターとでは同じ次元で特売を論じることはできないが、ドラッグストアやホームセンターの特売がスーパーに与える影響も少なからずあるのではないだろうかと考えている。
 そこで、2009年10月中旬を中心とするチラシを見ることにした。見たチラシは、ホームセンター2社、ドラッグストア3社、総合スーパー3社、食品スーパー3社の合計11社である。チラシ特売の期間、特売対象アイテム、特売対象の同類商品の種類・商品数など、すべてを同じ条件で比べられないので、あくまでも参考だが、一部商品において、「ホームセンター・ドラッグストア」対「総合スーパー・食品スーパー」で同類または同アイテムの特売価格比較を試みた。
 ビール系発泡酒と新ジャンル。ホームセンターA社は発泡酒のキリン・淡麗と淡麗グリーンラベル350mlを1ケース・24缶で2,880円(6缶当たり720円)。ドラッグストアE社は新ジャンルのアサヒ・ クリアアサヒ350mlを6缶で639円。一方、総合スーパーG社は新ジャンルのサントリー・金麦350mlを6缶で628円。総合スーパーH社も同じく金麦350ml6缶を637円。食品スーパーJ社も同金麦350ml6缶を628円としている。ビール系は新商品が次々と市場に投入され、ビール、発泡酒、新ジャンルの違いは商品名からだけではわかりづらく、価格を見て初めてわかるということもあるが、特売価格などが混じってくると、特に発泡酒と新ジャンルの区別がつかなくなる。味も良くなっており、生活者のブランドロイヤルティは弱くなっている。ビールには固定ファンが多いが、発泡酒や新ジャンルにブランドスイッチをした生活者はブランドへの固執がなくなり、価格やテレビCM、キャンペーンなどの影響を受けやすくなっている。ホームセンターやドラッグストアのビール系商品の特売はスーパーへの影響力を増している。
 次は、緑茶飲料のサントリー・伊右衛門2ℓの価格を比較した。ホームセンターB社148円。ドラッグストアC社168円。ドラッグストアD社147円。対して、総合スーパーF社158円。食品スーパーK社158円(他の対象商品を含めて、よりどり2個300円)である。緑茶に限らず、ブレンド茶、ミネラルウォーター、炭酸飲料などのノンアルコール系飲料もホームセンターやドラッグストアではよく品揃えされている。この商品群での異業態競合も激しくなっている。
 米も両業態群でよく特売の対象となるが、ドラッグストアや食品スーパーは5㎏袋が対象の中心になっている。米は同じ銘柄でも産地が多く、同じ産地でも農協によってパッケージの商品名表示に違いがある。例えば「秋田県産あきたこまち」、「秋田産あきたこまち」などの違いがある。さらには味を良くするためのブレンドが行われたりする。ここでは商品名は産地と銘柄だけとしたので、ここに挙げた商品はひとつとして同一のものはない。ただし、すべて平成21年産の新米である。ホームセンターA社の新米100%(チラシでは産地の表記はない)は10㎏3,080円。ドラッグストアD社の茨城県産こしひかりは5㎏1,680円。総合スーパーF社の秋田県産あきたこまちは10㎏3,480円。総合スーパーG社のPB秋田県産あきたこまちは5㎏1袋1,780円・5㎏2袋3,480円。食品スーパーI社の福島県産こしひかりは5㎏1,880円で同食品スーパーでは日替わり限定(1日限り)で茨城県産こしひかり5㎏を1,580円で特売。食品スーパーK社は秋田県産あきたこまち5㎏が1,980円だった。
 さらに、マーガリンの雪印ネオソフト320gがドラッグストアE社が189円、総合スーパーH社が248円という比較もできた。
 ここに挙げたのは、ある特定期間のチラシ広告に掲載された商品の比較であり、他の期間の特売では価格が違っていることもある。「チラシ特売」施策の比較ではない。しかし、単品ベースで見る限りは、ホームセンター、ドラッグストアの特売対象商品の訴求度は総合スーパー、食品スーパーと変わらない。単品購買であれば、最寄型のドラッグストアに顧客の足が向くだろうし、特売対象食品アイテムがホームセンターやドラッグストアの購買を促進することは間違いない。同類商品の競合だけでなく、特売対象商品に限定しても、異業態間で激しい競合が繰り広げられていることがわかる。
 先述の大手ホームセンターの「448円ワイン」の成功事例は、低価格商品の開発ということだけではなく、様々な視点を与えている。(東)

【第1回 セルフレジ成功の100ヶ条】セルフレジの成功が小売業の成功を導く  第16回

2009年10月23日 22時28分01秒 | セルフレジ成功の100ヶ条(内容整理中)
第3章 セルフレジは経営者のリーダーシップで決まる

第25条、第26条


【2009年10月23日(金)】

◆第25条 経営者は店舗で情報を得る

 情報は現場で発生する。正確な情報は発生現場に行かないと得られない。セルフレジは店舗に設置されている。セルフレジに関する情報は店舗で発生している。セルフレジ導入と運用の最高リーダーである経営者が店舗で情報を得るのは当然である。現場へ行けば、レジ係、チェッカーチーフ、店舗オペレーション担当、店長からも情報を得られる。多くの情報源は情報発生の背景理解をより正確にする。報告書などの紙情報は結果が情報の中心になる。結果の背景、プロセスまでは伝わりにくい。情報にも「行間」がある。「行間」を読む力が情報を読む力でもある。現場に行けば「行間」の生情報がある。紙情報で「行間」を読むのと生情報から読むのとでは情報を読む精度に格段の差が出る。店舗経営は企業経営そのものである。店舗経営の現場で経営者が情報を取得することで「店舗経営=企業経営」の図式が明確になる。
 また、直接、間接に顧客からも情報を得られる。顧客と会話をしなくても、顧客の行動、態度、表情を見ているだけでも伝わってくる情報がある。アテンダントが対応している状況からも貴重な情報を得られる。その上で、顧客に話を聞くことができれば最高の情報収集となる。顧客にとっても、経営者と話を交わしたことでストアロイヤルティが強くなることが考えられる。強くなったストアロイヤルティは他の顧客へのクチコミ効果も期待できる。店舗は顧客の来店、顧客の買物で経営が成り立っている。すなわち、小売企業は店舗での顧客の買物で経営が成り立っているのである。経営者が顧客に関心を持ち、顧客と接し、顧客の情報を得ようと努力をし、顧客の満足度を向上させることは、企業経営そのものである。アメリカ・コネチカット州に日本人も視察によく訪れるスーパーマーケット「スチューレオナルド」がある。ディズニーランドのようなエンターテイメント性も有名だが、店舗入口正面に置かれた大きな御影石が有名である。石には、企業哲学とも言える2つのルールが刻まれている。ルール1は「顧客は常に正しい」、ルール2は「顧客が間違っていると思えば、ルール1を読み返せ」とある。これを見た時、顧客を大事にすること、顧客第一主義、顧客との関係性の大切さなど、店舗と顧客の関係について考えさせられたが、一方で考えたことは、「否定」からは情報は得られず、「肯定」からは様々な情報を得られるということであった。例え、思索の結論では否定することになっても、入口が「否定」であれば、それ以上は前に進まない。「肯定」から入るのと「否定」から入るのとでは、得られる情報に天地雲泥の差がある。経営者が店舗の現場で「肯定」から入って顧客と接することの重要性を改めて感じる。
 さらに、人を動かすには、説得力と納得性が大事になる。人は納得すれば積極的に動くが納得しないと行動に心が入らない。笑顔であいさつしても笑顔が相手に通じない。経営者には、従業員が納得するだけの説得力が求められる。思考または発言の元に明確な情報源があると説得力が増す。その強い説得力を生む情報源は現場、すなわち店舗にある。経営者が店舗で情報を得ることは、発言に説得力が増し、従業員を納得させ自信を持って行動させることになる。その自信を持った行動は顧客に伝わり、顧客へのサービス向上にもつながっていくのである。


◆第26条 経営者は店舗を軸足に改善点を考える

 問題は現場で起こっている。改善点も現場で発見できる。しかし、改善点は現場で生じた問題を改善するだけではない。問題は現場で顕在化するが、その原因は問題発生の現場にある場合と、現場以外のところにある場合がある。セルフレジを考える時の現場はレジ設置場所であり店舗である。セルフレジの設置または運用段階で問題が発生していることと、システム自体の問題、本部施策の問題など店舗以外で問題が発生していることがある。すべての施策は最終的には売上を作り利益を得る店舗に行き着き、問題が顕在化するのは店舗の現場であるから、問題が発生した現場を見ると、原因の所在、すなわち改善すべきところが見えてくる。店舗に軸足を置いて改善点を考えるのが改善の近道である。
 また、改善はマイナス面をゼロないしはプラスに変えるだけではない。プラス面をさらに高いレベルのプラスに押し上げていく改善がある。この改善点は見えにくい。見るには2つの視点が大事になる。1つは、強い問題意識を持つことである。良好な結果が得られても「これで良いのか」ともう一度考え直すことである。2つは、現場を見ることである。現場を見ていると、問題を感じれば、それが改善点に結び付いていく。強い問題意識を引き出すのが現場情報である。
 主にマイナス面が改善される第一段階は、どこの企業でも得られる改善効果と言えるが、改善によるプラス効果をさらに高める第二段階の改善が競合他店との差異化につながっていく。ただし、マイナスが生じている問題の改善点はわかりやすいが、プラスからさらにプラスへの改善点となると、机上の理想論に走る懸念がある。机上論に走ることを防ぐのは現場からの発想である。現場に軸足を置くと改善点を見る視点がぶれない。そこに経営者がかかわってくると、さらにぶれることがなくなる。
 店舗を軸足に改善点を考えるメリットには、改善点がより具体的になるということがある。具体的になれば、改善の道筋が見えやすく、目的達成意欲が出てくる。経営者が店舗に軸足を置いて、情報を収集し、改善点を打ち出し、達成された改善の成果を公平に評価することで、経営者ならびに施策に対する求心力が増し、店舗力、企業力を強くすることになる。

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第16回 コンビニにFCビジネスのほころびを見る

2009年10月23日 22時24分09秒 | 今日の気づき
【2009年10月23日(金)】このところ、時代の変化、その変化の基軸が変化していることをうかがわせる記事が多い。そういう視点から、「今」起っていることを新聞記事を1つのセンサーとして見ていくと、時代の大きな転換点に来ていることを感じる。10月23日付の日本経済新聞朝刊11面の左肩に連載《先読みビジネス天気》の4回目が掲載されている。〔コンビニ〕業界を取り上げている。見出しは《低価格対応に遅れ試練》。消費不振の影響を受けて、生活者の節約指向、低価格指向のスピードが予想外に速く、対応が追い付いていないこと、たばこ自動販売機用成人識別カード「タスポ」効果が一巡したことなどが要因に挙げられている。タスポ効果については「特需」と考えるべきで、特需の好影響があった売上に対する前年比を評価するのは少し酷なように感じる。むしろ、特需を生かしきれなかったこと、生かし切れないほど厳しい状況にあることが、コンビニエンスストアの置かれた状況の厳しさを物語っていると言える。また、低価格対応の遅れも、同じくコンビニエンスストアの置かれた状況の厳しさを物語っている。すなわち、不振の原因となった事象の底流にあるものは同じ要素を持っているということである。
 その要素とは、一言で言うなら、これまでの成長を支えてきた従来の「フランチャイズチェーン」というビジネスモデルが時代に適合しなくなってきているということではないだろうか。
 フランチャイズチェーンは、チェーン本部(フランチャイザー) が、店舗規模、営業形態、品揃え、価格、サービス、経営指導などをも含めて、標準化された店舗経営パッケージを加盟店(フランチャイザー)に提供し、加盟店は決められたルールに従って、店舗経営をするというビジネスモデルである。市場の状況が厳しいとはいえ、ある特定の店舗だけが別の運営形態をとることは、原則論ではフランチャイズチェーンのビジネスモデルに反することである。フランチャイズビジネスの根幹にかかわる問題である。セブン-イレブンが消費期限直前の弁当値下げを加盟店に認めたことは時代の大きな変化を象徴する出来事であった。
 社団法人日本フランチャイズチェーン協会はホームページの中で、フランチャイズビジネスのメリットとデメリットを説明している。メリットとしては、知名度のあるチェーン名やマーク・イメージを利用できる、事業経験がなくても本部の指導で事業を開始できる、本部の蓄積された実績と経験・ノウハウが生かされるので成功の確率が高い、本部の経営指導や援助が受けられ営業に専念できる、独立した事業者として営業できる、本部の大量仕入により安価で安定した商品の供給が受けられる、開業物件の立地調査を本部に依頼できる、スケールを生かした販売促進活動に参加できる、等々を挙げている。
 一方、デメリットについては同説明の記述を引用する。「(1)フランチャイザーの提供するフランチャイズパッケージのルールにより、チェーンの統一性が優先され、フランチャイジーは個人のアイデアを自由に生かすことが制限される。店舗のイメージ、取り扱い商品やサービス、メニューなどすべて本部の経営方針に従わなくてはならない。たとえば、勝手に指定以外の商品を販売したり、金額が安いという理由だけで、指定外の備品を使用することなどにも制約がある。また、営業時間・休日なども厳守しなくてはならない。(2)営業権の譲渡や、秘密保持義務などがある。また、契約期間途中での事業終了には一定の条件がある。」とある。いわば、事業経験がなくても独立した店舗オーナーとして事業者になれるが、独立した事業者としての自由度は低い。逆に、事業経験が豊富で経営ノウハウを積んでいる人や自分のアイデアや考え方を経営に大いに反映させていきたいという人には向いていない。
 しかし、当初は、このビジネスにかかわるすべての人にメリットがあったと言える。フランチャイザーは急速にチェーン網を拡大でき収益を上げ事業基盤を強くできる、フランチャイザーは事業経験がなくても店舗オーナーになれ高い収入が得られる、生活者は便利な店ができてありがたく思い消費環境が良くなる、商品メーカーは販売チャネルが拡大し業績がアップする、商品の取引や什器・設備関係の企業、店舗の建築業者、不動産業者も潤う、ことになる。
 これは競合もなく、新業態の市場が店舗を出せば出すほど拡大している時の話である。それでも、直営方式のレギュラーチェーンと加盟店方式のフランチャイズチェーンでは事情が異なるとはいえ、自社競合してでも他社より早く好立地を確保して出店した方が事業として有利に働く時期があった。自社競合しながらも売上が伸びたからである。ところが、競合が激しく、市場が縮小基調にあり、前年対比横ばいが「良好」と言われ、前年割れば「当然」のような状況下では、自社競合で負ける店舗を自ら作るわけにはいかない。時代は大きく変化しているのである。
 東海道新幹線が開通した時、その動力方式は「動力分散方式」を採用していることが話題になった。動力分散方式とは、各編成車両に動力装置を付けて、各車両の総合力で高速走行を実現しようとするものである。各編成車両に動力装置を付けるので車両の製造コストが高くなり、重量が重くなりメンテナンスの手間とコストもかかる。貨物列車であれば動力装置の重量を考慮しなければならないので最大積載重量が減るなどのデメリットがあると言われている。
 これに対峙する方式が「動力集中方式」である。動力装置のない軽量の車両を強力な動力装置を備えた機関車が引っ張る方式である。貨物列車によくある形態である。日本はもともと、曲線、勾配が多く、地盤が弱いなどの理由で、重量が非常に大きくなる機関車を走らせるのは軌道に大きな負担がかかり、軌道を強固にする工事が必要になるため、動力集中方式には向いていないと、動力分散方式が研究され、採用されてきた。両者のデメリットは技術革新が進み、改良が進んで縮小されつつあるが、ともあれ、フランチャイズチェーンのビジネスモデルは、列車の動力集中方式に似ている。技術的なノウハウを蓄積し磨き抜かれた能力を持つ機関車である本部が、店舗である編成各車両の負担をできるだけ軽くし仮説検証を繰り返して見通しが良くなった軌道(市場)を力強く走っているようなものである。ところが、軌道が変化の兆しをあらわにし始めた。それでも走り続けている軌道を外すわけにはいかず、一部の車両に突風が吹いて軌道上を走るのが難しくなるような状況が出てきたりする。それが常態化してきているのである。ビジネスモデルを再構築しなければ脱線の危険性がある。
 そういう意味では、本部の強力な指導によるチェーンオペレーションの展開、加盟店の資本の独立など、フランチャイズチェーンとの共通点はあるが、加盟店(または卸と加盟店)が本部組織を結成していること、本部は加盟店によって結成されたものだから本部の持続的な利益の還元が受けられること、加盟店同士の横のつながりがあることなどの特徴を持つ、動力分散方式に似ているボランタリーチェーンが、さらに注目される時代に来ているのかもしれない。しかし、ボランタリーチェーンであっても革新を続けていかなければ時代の変化に取り残されてしまうことになる。ボランタリーチェーンの詳細については、次の機会に譲るとして、コンビニエンスストアとしては、成功したビジネスモデルの優等生だったフランチャイズビジネスの従来の事業手法が成立しないほどの厳しい地殻変動的な変化の時代を迎えていることは間違いない。地殻変動だから、フランチャイズビジネスの手法自体が時代の変化に適合しなくなってきているのであって、業種業態ごとに差はあるが、他の業種業態でも同様の状況が生まれてくるものと予想される。
 小売業の優等生業態としてトップランナー的存在であったコンビニエンスストアの今後を様々と考える時、鉄道の優等生としてトップランナーだった新幹線とどこか参考になるところがあるように思えてならない。(東)

【第1回 セルフレジ成功の100ヶ条】セルフレジの成功が小売業の成功を導く  第15回

2009年10月22日 06時18分55秒 | セルフレジ成功の100ヶ条(内容整理中)
第3章 セルフレジは経営者のリーダーシップで決まる

第23条、第24条


【2009年10月22日(木)】

◆第23条 経営者は準備のリーダーシップを執る

 経営者は決断して、方針を出したら、導入に向けた具体的な準備段階でもリーダーシップを執ることが導入、運用をスムーズにする。準備で経営者がリーダーシップを執る最大の理由は、準備に携わる人たちに安心を与えることと、迅速に決済をするためである。もちろん、自らが出した方針に沿って準備が進められているかどうかを確かめるためでもある。大事な会議に出席したり、要所要所の進捗状況の報告を受けて迅速に決済するなど、常に要にいることがポイントとなる。
 準備の良し悪しで、その後の導入と運用がスムーズに進むかどうかが決まる。「安心」の反対語は「心配」「不安」である。初めての導入であったり、導入店舗が少なくて経験が浅い状態では、担当者は「心配」と「不安」がいっぱいである。それを取り除くのが「安心」を与えることである。
 その地方で初めてセルフレジを導入した店舗を取材した。店長は顧客にレジ操作をさせてクレームが来るのではないか、顧客サービスが低下するのではないかなど、「不安」と「否定」がいっぱいだった。しかし、経営者のトップダウンで導入が決まり、その地方で初めてのセルフレジ導入で成功させなければならないという強いプレッシャーも感じていた。しかし、導入が始まってみると、子供連れの顧客が楽しそうに使うなど、導入前に抱いていた「否定」が1つ1つ「肯定」に変わっていったことで、導入に自信が持てるようになった。その自信が積極的に顧客の利用を推進するようになったという。経営者の方針だから「仕方なく…」ということもあったが、経営者が決断し、方針を出し、導入のリーダーシップを執ったことで「不安」「心配」を「安心」に変えた。成功の理由を店長に聞くと、「否定」が1つ1つ「肯定」に変わり、自信が持てたことだと振り返る。



◆第24条 経営者は店舗に足を運ぶ

 導入後も機会を見つけて店舗を訪れ、実際に、顧客がセルフレジをどう感じ、どう利用しているかを確かめることが大事となる。繰り返し述べていることだが、企業経営は店舗経営でもある。店舗は企業の顔であり、経営方針も本部の施策も店舗に反映される。売上、利益を得るのも店舗であり、売上を支えているのは来店してくれる顧客の買物である。経営者が現場を肌で感じることが重要である。顧客にも経営者が店舗を大事にしていること、顧客を大切にしていることが伝わる。印刷物など間接的な媒体では伝え切れないものが、実際に店舗を訪れることで伝えられる。
 従業員に対しても同じである。経営者がリーダーシップを執っていることは理解していても、実際に訪問を受けると、そのことの伝わり方が違ってくる。経営者との一体感も強くなるし、経営者の方針を実行しているという目的達成意欲も強くなり、モチベーションが上がる。モチベーションが上がると、目的達成感においても、感じ方が違ってくる。逆に、そうならないとすれば、何かが欠けていることになる。そういうことの発見も実際に店舗を訪れてみなければわからないことである。
 導入後もリーダーシップを執るということは店舗にも足を運ぶということだが、店舗に足を運ぶことは導入準備の段階でも必要なことである。導入の目的、考え方をレジ係だけでなく、他部門の店舗従業員にも伝えることで、セルフレジ導入がレジ業務の問題だけではないことを理解させることができる。印刷物などで間接的に説明するのと、対面で説明するのとでは伝わり方が違ってくる。レジにおける顧客との関係と同じである。顧客サービスのレベルを上げるためにレジでの対面の接客を大事にしてきたのである。ここまでは経営者が対面で説明するのと同じである。その先で、対面で接客しないことも顧客サービスの1つの形態ととらえ、広く顧客サービスのあり方を考えた時、現行の有人レジで対応できないところが見えてきて、それをセルフレジで補完し、セルフレジだからこそ実現できる顧客サービスのあり方を考えた時、有人レジを上回る顧客サービスが可能となったのである。「対面で直接」という原理は、レジ係が顧客に対するのと、経営者が店舗を訪れるのと同じである。セルフレジの顧客サービスの原点、起点も「対面で直接」ということである。

【木曜コラム】万華鏡/電車の中から   第4回 グローバルにもローカルにも成り切れない昼下がり

2009年10月22日 06時17分25秒 | 電車の中から(「今日の気づき」に統合)
【2009年10月22日(木)】グローバルとローカルの合成語で「グローカル」という表現がある。グローバルの視点とローカルの視点の両方を持ち合わせて、企業経営ではグローバルの視点、店舗経営ではローカルの視点を大事にしていくことと理解しているが、グローバルにもローカルにも成り切れないことが日常的によく起っている。日本にも多くの外国人が住み、多くの外国人が訪れる。特に東京は多い。留学生もいる。外国の人たちと電車に乗り合わせる機会も多くなっている。最近ではアジアの人たちともよく乗り合わせる。その時のことである。
 電車が駅に止まると、男女2人ずつの4人の中国人らしい若いグループが乗ってきた。向かいの7人がけの椅子が3人分空いていたので3人が座って1人の男性がつり革を持って立っていた。4人の方が先に乗ってきたので、座るタイミングが遅れて、その横に50代後半から60代前半くらいのサラリーマン風の男性が、同じくつり革を握っていた。中国人のグループは周りを気にすることなく大声で話している。周りに気遣って声を落としてかけている携帯電話の方が余程マナーが良いように感じる。
 隣りに立っている男性も苦虫を噛み潰したような表情で、横をチラチラにらんでいる。言葉が話せれば一言文句を言いたそうな素振りがありありである。それほど嫌気を感じるなら、周りは空いているので場所を移動すれば良いと思うのだが、逃げ出すようなことはしたくないと、意地を張っているようにも見える。言葉がわからないので話の内容は不明だが、楽しそうな表情だけは伝わってくる。その60歳前後の男性の表情と正反対なので、ちょっと見ているのが面白く感じる。しかし、確かに話し声は携帯電話より迷惑なくらい大きい。
 そうした状態が続いて、何駅目かの駅に止まった時に、その男性の顔に異変が起こった。中国人が座っている隣りの人が降りようと席を立ったのである。立っていた、もう1人の中国人男性が座ろうとしたが、横の男性に気が付いて、笑顔で席を譲った。横の日本人男性はちょっとためらったが、中国人男性の「どうぞ」という手の仕草に誘われて座ると、表情を一気に崩して、席を譲ってくれた中国人男性に笑顔を返したのである。椅子に座った男性の顔を向かいから見ていると、立っている時と全然違う表情になっていた。あの苦虫を噛み潰したような表情は言葉が話せず、話している内容もわからず、どう対応すれば良いのかもわからず、といって、その場を逃げ出すように移動することもできず、ただ戸惑っているだけの表情だったのかもしれない。
 知識の国際化は進んでいる。お年寄りであっても、「リーマンショック」という言葉を知っている日本人は多いと思われるが、身近なところで「外国人ショック」から抜け切れない、グローバルでもローカルでもない日本人は多いのではないだろうか。何か、自分のことを鏡に映し出しているような、ちょっと苦い思いをしながらも、ちょっとユーモラスな光景を味わった、昼下がりの10分余の電車の中であった。(荒井)

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第15回 川中・川下連携で生活者指向の強化を望む

2009年10月22日 06時14分42秒 | 今日の気づき
【2009年10月22日(木)】10月22日はやはり同日付の日本経済新聞朝刊1面のトップ記事である。《伊藤忠、ユニーに出資》を主見出しに、サブ見出しは《実質筆頭株主に》、《中国に出店、共同事業》、《農作物 栽培・調達でも提携》。13面トップにも関連記事として、《伊藤忠、ユニーに出資》《スーパー、商社と提携加速》の主見出しに、《海外ネットワークに期待》、《商社 消費関連 強化狙う》のサブ見出しが目に留まる。記事によれば、これで商社と大手小売の提携の枠組みがほぼ固まったと、伊藤忠商事・ユニー、三菱商事・イオン、丸紅・ダイエー、三井物産・セブン&アイ・ホールディングスの提携関係を図で説明している。そして、大手商社と大手小売の提携は、海外進出による新たな消費市場の開拓と国内の低価格指向に対応した海外からの商品調達網の拡充を図りたい大手小売と、消費関連ビジネスを強化したい商社が、お互いにメリットを得られると判断したことによるものとしている。伊藤忠とユニーの提携では、ユニーは2011年以降に中国で10~20店舗の出店を計画しているが、この店舗展開において、伊藤忠が出資する中国の食品最大手の頂新グループが持つ調達・物流網の活用も視野に入れている。「食」の安全に対応した契約栽培事業にも共同で取り組んでいくという。
 新聞の大手小売の記事に商社の名前が出るのが珍しくなくなってきた。小売業のM&Aなどでは銀行の名前より商社の名前が目立つこともある。1960年代に当時の東大助教授の林 周二氏が流通革命論を出版し、その問屋無用論以降、卸売業は危機感を持ち続けてきた。その後、商社も大手小売との関係を強化してきたが、その背景には大手小売が業容を拡大していく中で、大手商社といえども 、中間流通企業として、かなり強い危機感を持っていたと言われている。しかし、時代とともに両者の関係は強まり、厳しい経済環境下での事業展開と商品開発・商品調達は両者の関係をより強固にしつつある。
 改めて見出しを見てみる。伊藤忠とユニー、スーパーと商社、(農作物)栽培・調達、(商社)消費関連強化等々の文字が並ぶ。両社の利害が一致したことによる提携には違いはないが、大手小売と大手商社の文字が並ぶと、生活者に対して、何かの価値を提供してくれるだろうと期待感が沸く。連日、新聞等で報道されているように、生活者を取り巻く経済環境の厳しさが、そういう目で見出しを見てしまうのかもしれないが、川中・川下連携が、さらに生活者指向へのシフトを強めていくことを望みたい。(東)

【第1回 セルフレジ成功の100ヶ条】セルフレジの成功が小売業の成功を導く  第14回

2009年10月21日 08時23分18秒 | セルフレジ成功の100ヶ条(内容整理中)
第3章 セルフレジは経営者のリーダーシップで決まる

《章のはじめに》および第21条、第22条


【2009年10月21日(水)】

 《第3章のはじめに》第3章のテーマは「セルフレジは経営者のリーダーシップで決まる」とした。人はリーダーの率先垂範の行動に付いて来る。成功はかかわる1人1人の行動によって決まる。1人1人の行動は1人1人がどれだけ自分の力を発揮できるかがポイントとなる。1人1人が持てる力をより大きく発揮するには1人1人が強いモチベーションを持ち続けなければならない。モチベーションを持ち続けるには目的意識、目的達成意欲、目的達成感、目的達成評価、その繰り返しが必要である。また、発揮した1人1人の力が最大の効果を出すのは1人1人の力を集めた総合力が最大になった時である。総合力は1人1人の力が1+1=2でなく1+1=3になった時、より大きくなる。総合力の大きさは求心力の強さで決まる。セルフレジにかかわる1人1人のモチベーションを強め、持続させ、強い求心力を生み出すのが経営者のリーダーシップである。経営者のリーダーシップがセルフレジ成功のカギを握っている。
 そして、経営者の強いリーダーシップはセルフレジにかかわる1人1人に安心と勇気を与える。安心と勇気は良い思索、良い行動、良い結果をもたらす。良い結果は次の良い思索、良い行動、良い結果を生む。企業経営は店舗経営の集積である。経営者が店舗経営でリーダーシップを執ることは企業経営そのものである。セルフレジの成功は店舗経営の根幹にかかわる大きな経営課題でもある。
 第3章は以下の10ヶ条の構成とした。第21条~第23条は導入前、第24条~第26条は導入後、第27条~第30条は結果の評価と次への出発、である。
  
 第21条 経営者が決断する

 第22条 経営者が方針を出す

 第23条 経営者は準備のリーダーシップを執る

 第24条 経営者は店舗に足を運ぶ

 第25条 経営者は店舗で情報を得る

 第26条 経営者は店舗を軸足に改善点を考える

 第27条 経営者が効果をチェックする

 第28条 経営者が効果を評価する

 第29条 経営者が結果の責任を持つ

 第30条 経営者が次の方針を出す



◆第21条 経営者が決断する

 セルフレジの導入はレジコーナーの変更、新しいレジの追加、人件費の削減、レジ係の採用難対策など、1つの業務部門だけの問題ではない。小売業は接客を大事にする。特にセルフサービス販売方式を採用しているスーパーでは、顧客と店員が唯一必ず対面で接する場所としてレジを重要視してきた。また、小売業の営業は顧客に商品を買ってもらい、顧客の大事なお金を受け取ることで成り立つとして、レジでの商品の扱い方に気を配り、代金・釣銭の受け渡し場所としてのレジ業務に注力してきた。そして、丁寧なあいさつと応対で精算を終えることは、買物の終わりでなく、次の来店、次の買物の始まりとも考えられてきた。その小売業が店舗で最も重要視しているレジの仕組みの変更である。しかも、顧客と店員が唯一必ず対面で接する場所として、その接客スキルの向上に努めてきたレジからチェッカーがいなくなり、アテンダントを配置しているとはいえ、レジ操作を顧客に委ね、金銭授受を顧客が機械に向かって行うのである。
 ここの部分だけを見ると、顧客サービスが低下するような印象を持つが、実際の導入店舗では、セルフレジの導入で顧客サービスが向上しているというのが一致した評価である。レジ待ち時間の短縮やプライバシーの保護といったハードメリット的な評価だけではない。親子やカップルで楽しく使ってもらえるエンターテイメント性やアテンダントの接客レベルの向上などソフトメリット的な評価、対面で接客しないことも顧客サービスの1つの形態という認識も共通している。セルフレジの導入で従来の有人レジがなくなるわけではない。有人レジをなくしてセルフレジの利用を強要するのではなく、顧客にはセルフレジも有人レジも自由に選べるように、選択肢を増やしているのである。導入店舗の利用状況では、1人の顧客がセルフレジと有人レジを使い分けているケースが多いこともわかっている。レジ操作を顧客に委ね、金銭授受を顧客が機械に向かって行うことが顧客サービスの低下になっていないことが検証されている。
 小売業では企業経営の良否は店舗経営に表れ、店舗経営の良否が企業の業績を左右させる。小売業の収益は店舗からしか得られない。収益は店舗で商品が販売され代金を得ることで可能となる。商品が店舗に届くまでの仕入や物流、商品が売場に並ぶまでの店舗バック業務が改善され利益が出る仕組みが構築されたとしても、来店客が減り商品が売れなければ、後方部門の収益構造は企業の業績に反映しない。店舗で顧客サービスが向上し、ストアロイヤルティが高くなり、顧客の来店回数が増えれば、後方部門のレベルが下がらない限りは、企業の業績はアップする。
 セルフレジが顧客サービスとのかかわりを強くした時、セルフレジは企業経営との関係性が大きくクローズアップされることになる。しかも、店舗経営は企業経営そのものである。セルフレジの導入は経営者が決断し、経営者がリーダーシップを執って推進するのが成功への直道と言える。
 また、経営者のリーダーシップが導入店舗はもとより社内の成功への結束力を高める。経営者が先頭に立つことで、店舗の1つの業務を「改善」するものではなく、企業レベルで業務を「改革」するというような強い意思表示ができ、成功への強い求心力を生む。さらに、経営者がリーダーシップを執ることで、店舗、本部、あるいはセルフレジ納入業者を含めたセルフレジ導入にかかわるすべての人に安心と勇気を与える。安心は良い思索、良い行動、良い結果に結び付く。セルフレジ成功のすべての出発点は経営者の決断とリーダーシップにあると言える。


◆第22条 経営者が方針を出す

 セルフレジの導入で経営者がリーダーシップを執るということは、経営者が明確な方針を打ち出すことである。方針は具体的でなければならない。方針が具体的になることで方向性が定まる。達成すべき方向性が定まれば、従業員の行動の方向性が明確になり、導入店舗、社内に一体感が生まれ、結束が強まる。日々の業務の推進が企業の方針、経営者の方針を実現することになるが、日々の業務を担うのは1人1人の従業員である。従業員が業務を遂行しやすい環境を作るのが経営者の責務である。
 また、具体的な方針を打ち出すためには、「近く」を見て、「遠く」も見なければならない。「近く」は導入店舗や未導入店舗の状況、それをマネジメントする本部の現場、人材の状況などである。一方、「遠く」は経営計画、投資計画をはじめとする中・長期の経営方針など企業の近未来像といった企業固有の問題、および顧客の動向、消費の動向、競合の動向、ITの動向、さらには金融・証券市場の動向など経営環境全般にわたる見通しである。経営にかかわる方針の決定は高度な判断力だ必要である。具体的な方針を示せるのは経営者しかいない。
 そして、経営者が方針を明確に示すことで、方向性がぶれなくなる。物事を進めていく時には必ず予期しないことが起り得る。再検討が必要になったり、中止を選択肢の1つにするような判断に迫られることもある。そういう時には立ち戻れる基本方針があることが大事になる。方針がぶれると判断もぶれる。越えられる壁も越えられなくなる。常に立ち戻れる、ぶれない方針を出せるのは経営者しかいない。

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第14回 低価格指向には不況以外の必然性がある

2009年10月21日 08時22分37秒 | 今日の気づき
【2009年10月21日(水)】今回は10月21日付の日経MJの記事に注目した。1面から4面まで同紙がまとめた2009年版「eショップ・通信販売調査」の結果を紹介している。2008年度の通信販売の総合売上高(前年と比較可能な252社)は前年度比3.9%の増加。消費が低迷している中での増加は成長市場と言えるが、全体の伸び率は3年連続して縮小し消費市場の厳しさを映し出している。しかし、記事を追っていくと、初めから最後まで調査結果の内容は納得のいくことばかりである。
 例えば、全体では伸び率が鈍化しているが、インターネット通販は12.4%増。このうち携帯電話通販は13.2%増である。ネット通販では価格比較サイトの利用者が増えており、最低価格保証も始まっているという。宿泊施設や興行チケットなどのネット予約も引き続き好調でリピート客も増えているようである。商品分野別では、成長を支えているのは「家電・PC」で、北京オリンピックで地上デジタル放送対応テレビへの関心の高まりを背景に、家電を主要取扱商品とする企業の売上高は平均で14.4%増だったと伝えている。「書籍・エンターテイメント」、「食料品」の取扱店も2桁の伸びを示している。
 これら、記事で好調が伝えられている商品や企業で共通しているのは「安心感」と「信頼感」があることだと考えられる。家電やPCなどの高額商品を通販で購入するのは商品に対する「安心感」と製造メーカーに対する「信頼感」、製造メーカーの保証体制への「安心感」があるからだと言える。現物は家電量販店で確かめられるし、店員の説明も受けられる。さらには、店頭価格との比較もできる。一般的には、店舗経費がかからないのでネット通販の方が価格は安く設定されている。宿泊施設の予約もサイトは知名度があり、旅行代理店も名の通った企業である。宿泊先もネットや電話で調べられる。旅行代理店の窓口でカタログによる説明を受けるのと変わらない。ネットでは不安な場合は旅行代理店の窓口に行けば良い。利用者が納得できる方法をケース・バイ・ケースで選択すれば良いのである。ネット通販の企業と商品に利用者の「安心感」と「信頼感」が満たされてきたのである。
 「安心感」と「信頼感」が保証されれば、あとは「便利さ」、「価格」、「サービス」の差で顧客はどの販売チャネルを利用するかを決める。顧客に「安心感」と「信頼感」を与える品質が保証される時、価格競争が出てくるのは当然である。経済環境がそれをより鮮明にしていることはあるが、価格競争は起こるべくして起きていることだと言える。
 1975年(昭和50年)4月30日、最高裁は薬事法の薬局開設における距離制限規定が違憲であるとの判決を下した。これにより薬事法を受けて各都道府県で制定されていた薬局等の適正配置条例が撤廃された。距離制限規定は、一部地域での過当競争により一部業者に経営の不安定が生じ、その結果として施設の欠陥等による不良医薬品の供給の危険が生じることを防止すること、薬局等の一部地域への偏在の阻止によって無薬局地域または過少薬局地域への薬局の開設等を間接的に促進すること、を理由に設けられたものである。配置基準は都道府県の条例で定められたが、その主な内容は新規に薬局等を開設する場合は開設場所が既存薬局等からある一定の距離以上、離れていなければならないというものであった。人の往来が多い駅前や賑わう商店街などの好立地への実質的な出店制限となった。
 しかし、適正配置条例の撤廃後は既存薬局の近くにも出店が可能となり、直営またはテナント誘致で食品スーパーや総合スーパーにも医薬品売場が設けられるようになった。現在の好立地へのドラッグストアの複数出店やスーパーへのドラッグストアの出店は、この時から加速してきた。そして、それ以降の激しい競争の中で、日本的なドラッグストアの業態が確立されてきたのである。
 1970年代後半のある時、当時、医薬分業の先進地域と言われていた地方都市の薬局を取材した。適正配置条例に守られて競争がなく、処方箋調剤が進んでいたので、大衆薬も相談薬局として健康管理、適正な用法などのアドバイスをしながら定価販売を行ってきた。そこへ、適正配置条例が撤廃されたことで、駅前の総合スーパーに医薬品売場が開設され、東京や大阪など大都市部で行われているのと同じ程度の値引販売を展開した。地元では大騒ぎである。メインストリートの数店の薬局に飛び込んで話を聞いた。自分たちは相談薬局として薬剤師の専門知識と経験を生かして、風邪薬を売るにも、育児用ミルクを売るにもアドバイスをしながら販売し、強い顧客との関係を築いてきたから定価販売も可能だったのに、総合スーパーが安売りをするので顧客が奪われてしまったというのである。ずっと固定客だと思っていた顧客が総合スーパーの医薬品売場で買物をしているのを見てショックを受けたという話も聞いた。
 顧客は、テレビや雑誌、新聞でよく宣伝している大手製薬メーカーの風邪薬や大手乳業メーカーの育児用ミルクを買うのに、何回かアドバイスを受けると、ある程度の知識は得られる。病院に行くほどの症状ではないので薬局で風邪薬を買っているのだから、毎回毎回、相談しなくても、いつも服用している大手製薬メーカーの風邪薬なら安心できるので、安く買えるのなら、そちらを選んでも不思議ではない。相談が必要な時には従来からの行き付けの薬局へ行けば良い。育児用ミルクも同じである。
 「安心感」と「信頼感」が満たされれば価格に関心が向くのは当然の成り行きだと言える。日経MJの記事を見て、当時の取材の様子を昨日のように思い出した。(東)

【第1回 セルフレジ成功の100ヶ条】セルフレジの成功が小売業の成功を導く  第13回 

2009年10月20日 14時35分35秒 | セルフレジ成功の100ヶ条(内容整理中)
第2章 セルフレジは顧客サービスを向上させる

第19条、第20条


【2009年10月20日(火)】

◆第19条 本部で経営者、本部マネジャー、店長を交えた情報交換の場を持つ

 セルフレジの導入が与えるメリットを企業全体、本部全体の経験・ノウハウにまで高めていくことが大事である。第18条では、個々の導入店舗の経験・ノウハウを本部の問題ととらえることの重要性を説明したが、第19条は、未導入の店舗も交えて、セルフレジの導入で得た経験・ノウハウを企業全体、本部全体の財産にすべく、経営者と本部マネジャー、全店長で情報を交換し、情報の共有化を図ることで、企業の総合力を強固にしていくことの重要性を説明する。ここで対象となる本部マネジャーは情報システム部などセルフレジに関係する部署だけでなく、できるだけ多くの部署のマネジャーが参加することが望ましい。第17条は、セルフレジの導入をレジ部門だけの問題でなく、店舗の問題としてとらえるために、店長、他部門担当者を交えた情報交換の場が必要であることに焦点を当てたが、それを、第18条を経て、企業全体、本部全体の問題として昇華させた。セルフレジ未導入の店長からの視点、質問、問題提起が導入店舗の参考になることがある。原理は第17条と同じである。
 1店舗で得た情報とノウハウは普遍性を持つ。どの地方、どこの地域でも、同じ形態の店舗、同じような品揃え、同じような価格帯で販売するスーパーが存在する。店舗の形態、品揃え、価格帯は商圏特性によって決まる。全国どこの商圏も共通項が多いことになる。顧客ニーズに共通性も認められるはずである。まして、1つの企業が同じコンセプトを持つ同一業態で出店する地域であれば、共通した顧客ニーズ、顧客の傾向性があることは間違いない。顧客サービスに求める要素も共通していることになる。
 セルフレジ導入の成功事例は、セルフレジ未導入の店舗にも参考になる。セルフレジで顧客サービスが向上した店舗があることは、その店舗が他の店舗には持つことが不可能な成功する特別な要素を持っていない限り、他の店舗でも成功することが可能であることを示している。すべてが有人レジであるセルフレジ未導入店舗においては、自店舗内でセルフレジと有人レジの比較はできないが、セルフレジ導入店舗の顧客サービス向上の経験・ノウハウは、有人レジの顧客サービスの見直しに生かされることになる。また、セルフレジを導入して失敗したという店舗があれば、成功した店舗に比べて改善すべき課題があるということである。この課題も特別な要素でない限り、改善可能なものである。
 セルフレジ導入店舗で、セルフレジが有人レジを上回る顧客サービスを実現できたという経験・ノウハウの共有は、セルフレジ導入店舗と未導入店舗ともに、その店舗のレジにおける顧客サービスの見直し、向上に役立つことになる。
 セルフレジ導入の経験・ノウハウを全店舗で共有することは、企業の総合力を強くしていくことにつながる。顧客サービスが競争に勝ち残る大変重要な位置を占める時代を迎えている。商圏特性、顧客ニーズに大きな差がない限りは、同質化を追求する中で競争力を強める要素を築き、一方で同質化競争を避ける差異化の要素を強めていかなければならない。顧客サービスは、それらの要求を満たす要素の1つである。企業の総合力が問われている。企業の総合力は経営者の考え方が末端のアルバイト、パート社員にまで行き届き、店舗数が多くなっても、経営者が店長を務める1店舗のような強さを築けるかどうかがカギを握ることになる。新しいことへの取り組みは、それを材料にして、企業の総合力を強くするチャンスとなる。セルフレジの導入は、そのチャンスとしても注目されるのである。


◆第20条 現場からの提案は平等に扱い、得られた成果は全員の成果とする 

 店舗あるいは企業の総合力が求められる時代においては、店舗における1人1人、企業における1店舗1店舗が大事な主役でなければならない。突き詰めれば1人1人が企業の主役だということである。何事の提案でも最初の提案者が大事である。最後にまとめの意見が出る頃には最初の提案内容が一片も残っていないことがある。それでも、最初の提案は大きな評価に値する。最初の提案はタタキ台となるが、タタキ台が最後には何も残っていないことは十分な議論が重ねられた証左である。タタキ台が残っているとすれば、議論が尽されなかったのか、タタキ台が結論に匹敵するくらい優秀だったのか、どちらかである。いずれにしても、議論を重ね、出された結論においては、タタキ台は非常に大事な役割を果たしたことになる。タタキ台が多くの意見を引き出す重要な役割を果たし、出された結論が優秀であるということは、導かれた結論は、途中の1つ1つの意見をきっかけに議論が重ねられてきたわけだから、最後には消え去っていても、途中の意見もまた重要な役目を果たしたことになる。
 また、提案者と実行者は平等に区別することが大事である。提案者が提案の内容を一番理解しているとして、実行者の中心にならなければならないとすれば、提案者は自分の実行可能な範囲のことしか提案しなくなる。提案は例え実行不可能な要素があるとしても自由に行われなければならない。それがきっかけとなって、実行可能な新しい提案が出てくることがある。提案された事を皆で検討し実行可能となれば全員の責任で実行し、その成果も全員の功績としなければならない。そうすることで、全員のモチベーションが上がり、上がったモチベーションは良い結果をもたらす。一方、素晴らしい提案であっても、実行できない現状があれば、皆の責任において見送ることも必要である。提案から結論までのプロセスにかかわった人たちは、すべて、それぞれの役目を果たしたと考え、平等に評価すべきである。
 担当部署内、店舗内、企業内、または、その縦断的、横断的な情報の交換、情報の共有による成果は、情報を交換した人と部署、情報を共有した人と部署のすべての成果と考えるのが正しいと言える。
 レジ係など部門のチームワーク力、店舗の総合力、企業の総合力で差異化を実現していく時代である。4番打者を9人揃えた野球チームを作っても強いチームにはなり得ない。1人1人が自らの役目をきちんと果たす9人で編成したチームが強いチームになる。情報を皆で交換し、情報を共有するということは、強いチーム力、強い総合力を作ることである。まさに、セルフレジはチーム力、総合力で顧客サービスを向上させ、競争力のある企業力を作る最良のシステムである。

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第13回 弁当市場は短期決戦・長期戦略

2009年10月20日 14時33分05秒 | 今日の気づき
【2009年10月20日(火)】10月20日付の日本経済新聞朝刊31面の一番下に「店員発案の弁当 ローソンが発売」の見出しで、本文19行の小さな記事が載っている。見出しの「店員発案」の文字に目が留まる。スーパーでは、地元の地域催事や食事の嗜好など地元の生活情報を豊富に持っている主婦のパート社員の意見を取り入れた商品開発や品揃え、価格設定、売場づくりなどには、かなり前から取り組んできた。事例もたくさんある。珍しい言葉ではなかったが、コンビニエンスストアでも、そういう時代に来たのかと。また、最近話題になっているコンビニエンスストアの価格競争。スーパーなどとの同質化競争を避けた業態の開発、展開で定価販売を維持してきたビジネススタイルがほころび出している。コンビニエンスストアも、かつてスーパーが経験した激しい競争状態を迎えているということが伝わってくる。しかも、異質化路線を成り立たせなくしているのは、同業態間競争より異業態間競争、多業態間競争の激しさである。定価販売を基本としているコンビニエンスストア間の競争では、これほどまでの価格競争は起きないからである。コンビニエンスストアも「地域密着」が求められるようになってきたのだろう。
 かつて、大手コンビニエンスストア本部の広報室で、商圏の考え方を聞いた。答えは「商圏という発想はない。半径何百メートルという商圏のとらえ方はしていない」と。続いて「車を運転している時に弁当が欲しくなった。その時にコンビニエンスストアの看板が目に入った。駐車場もある。買いたい弁当があった。便利である。顧客が必要になった時に、その商品を売っている便利な店が、そこにある。それがコンビニエンスストアである。道路は日本中につながっている。強いて商圏と言うなら、道路でつながっている日本全土が商圏ということになる」と説明をされた。そういう発想ができない時代に来ていると言える。
 もう1つ。本文の中に弁当の名称が「くる弁」とある。何の略称か知りたくなって、ローソンのホームページを開いた。驚くこと頻りである。弁当など中食市場の競争の厳しさは、それなりに理解していたつもりだが、何も理解していなかったことを知らされ、汗顔の思いでもある。
 「くる弁」とは「クルー弁当コンテスト」の略である。ローソンでは様々な加盟店参加の取り組みを行っているが、クルー弁当コンテストは2009年3月から4月にかけて、地元の食材を使った料理や地域の伝統料理などに一工夫を加えたメニューをテーマに弁当のアイデアを募集した企画である。ローソンではアルバイト・パートタイマーを「クルー」と呼んでいる。コンテストには、ローソンで働いているオーナー、店長、クルーであれば誰でも参加できた。全国から321件のアイデアが集まり、7支社ごとに審査し、各支社1品の代表作品を商品化して、10月27日から支社エリア内で発売する。その後、各支社での期間中の販売結果などにより1~3作品を選定し、2010年2月に全国発売する予定だという。
 ちなみに、10月27日から発売する「くる弁」は、次の7作品である。

◆北海道「ザンギソース丼」(450円)
◆東北「十和田バラ焼き弁当」(498円)
◆関東「信州名物 山賊焼き弁当」(530円)
◆中部「イタリアン味噌カツ丼」(498円)
◆近畿「ご当地!!B級グルメ対決弁当(加古川かつめしVS高砂にくてん)」(480円)
◆中四国「焼豚玉子めし」(498円)
◆九州「鳥人(ちょうじん)パワー弁当」(450円)の7作品である。

 一方、ローソンは全国発売、地域限定発売で様々な弁当を開発・販売し、それも短期間のサイクルで展開し、常に弁当売場の活性化を続けている。
 「くる弁」を発表した翌日の10月20日には「付け焼き 牛カルビ重」(480円)を「くる弁」と同じ10月27日から全国発売をすると発表している。「付け焼き 牛カルビ重」は、同社の「驚きの商品開発プロジェクト」の弁当第5弾の商品である。同プロジェクトは2009年7月に、顧客の「たまには良いもの」の要望に応えるために、原材料を起点に商品価値を3割アップさせた商品の開発を目指してスタートしたものである。弁当、デザート、パスタ、おにぎりの4カテゴリーで商品開発を進めており、これまで、弁当は5商品、デザートは1商品を開発している。10月にはパスタの商品化に着手する予定である。開発した商品は長期にわたって売り続けるのではなく、短期間で集中的に販売し、開発の頻度を高めているのが特徴である。食材を一括で仕入れ、商品部がその原材料を元に多種多様なメニュー開発をすることで、価値の高い商品を手ごろな価格で提供できるようにしている。
 同プロジェクトのこれまでの商品開発、販売の実績は次の通りである。

◆弁当第1弾「スタミナ牛焼肉弁当」(450円)。7月22日全国発売。約10日間で約110万食を完売。販売終了。
◆弁当第2弾「ダブルポークステーキ重」(500円)。9月15日全国発売。約2週間で約100万食を完売。販売終了。
◆弁当第3弾「大海老天重」(480円)。9月29日全国発売。約2週間で約100万食を完売。販売終了。
◆弁当第4弾「直火焼炙りチャーシュー弁当」(450円)。10月13日全国発売。第1弾~第3弾とほぼ同様に推移。現在販売中。
◆弁当第5弾「付け焼き 牛カルビ重」(480円)。10月27日全国発売。
◆デザート第1弾「プレミアムロールケーキ」(150円)。9月29日全国発売。発売から5日間で100万個以上を販売。現在販売中。

 そのほか、地域限定の弁当も開発、販売している。10月には6日から「鹿児島黒豚焼肉弁当」(500円)を関東・甲信越地区限定で発売した。約35万食の数量限定で、今回の売れ行き状況を踏まえて、全国もしくは他地区に拡大して販売する予定である。
 北海道では、北海道限定で、10月20日から11月2日まで、北海道の人気シェフ、勝山ヨシミ氏プロデュースのメニュー5品を順次発売する。北海道では、「驚きの商品開発プロジェクト」の弁当第4弾「直火焼炙りチャーシュー弁当」が完売する頃に、同第5弾の「付け焼き 牛カルビ重」が10月27日から発売され、その発売を挟むように、勝山ヨシミ氏プロデュースのメニュー5品が発売されていく。
 また、「驚きの商品開発プロジェクト」の弁当第5弾「付け焼き 牛カルビ重」は「もっとボリュームのある焼肉弁当を食べたい」という顧客の声を反映して、同第1弾「スタミナ牛焼肉弁当」より肉の量を増やすなど、より充実させた内容にしている。常に顧客を飽きさせない品揃えをし、開発した商品が顧客の要望をキャッチするアンテナの役割を果たし、キャッチした情報を次の商品開発に生かしている。しかも、価格設定は500円ラインを維持している。「驚きの商品開発プロジェクト」は消費の二極化に対応した高付加価値の高価格帯商品の開発を進めている。改めて、弁当類を中心にした中食市場の競争の激しさ、厳しさを学ぶことができた。(東)