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【第1回 セルフレジ成功の100ヶ条】セルフレジの成功が小売業の成功を導く  第16回

2009年10月23日 22時28分01秒 | セルフレジ成功の100ヶ条(内容整理中)
第3章 セルフレジは経営者のリーダーシップで決まる

第25条、第26条


【2009年10月23日(金)】

◆第25条 経営者は店舗で情報を得る

 情報は現場で発生する。正確な情報は発生現場に行かないと得られない。セルフレジは店舗に設置されている。セルフレジに関する情報は店舗で発生している。セルフレジ導入と運用の最高リーダーである経営者が店舗で情報を得るのは当然である。現場へ行けば、レジ係、チェッカーチーフ、店舗オペレーション担当、店長からも情報を得られる。多くの情報源は情報発生の背景理解をより正確にする。報告書などの紙情報は結果が情報の中心になる。結果の背景、プロセスまでは伝わりにくい。情報にも「行間」がある。「行間」を読む力が情報を読む力でもある。現場に行けば「行間」の生情報がある。紙情報で「行間」を読むのと生情報から読むのとでは情報を読む精度に格段の差が出る。店舗経営は企業経営そのものである。店舗経営の現場で経営者が情報を取得することで「店舗経営=企業経営」の図式が明確になる。
 また、直接、間接に顧客からも情報を得られる。顧客と会話をしなくても、顧客の行動、態度、表情を見ているだけでも伝わってくる情報がある。アテンダントが対応している状況からも貴重な情報を得られる。その上で、顧客に話を聞くことができれば最高の情報収集となる。顧客にとっても、経営者と話を交わしたことでストアロイヤルティが強くなることが考えられる。強くなったストアロイヤルティは他の顧客へのクチコミ効果も期待できる。店舗は顧客の来店、顧客の買物で経営が成り立っている。すなわち、小売企業は店舗での顧客の買物で経営が成り立っているのである。経営者が顧客に関心を持ち、顧客と接し、顧客の情報を得ようと努力をし、顧客の満足度を向上させることは、企業経営そのものである。アメリカ・コネチカット州に日本人も視察によく訪れるスーパーマーケット「スチューレオナルド」がある。ディズニーランドのようなエンターテイメント性も有名だが、店舗入口正面に置かれた大きな御影石が有名である。石には、企業哲学とも言える2つのルールが刻まれている。ルール1は「顧客は常に正しい」、ルール2は「顧客が間違っていると思えば、ルール1を読み返せ」とある。これを見た時、顧客を大事にすること、顧客第一主義、顧客との関係性の大切さなど、店舗と顧客の関係について考えさせられたが、一方で考えたことは、「否定」からは情報は得られず、「肯定」からは様々な情報を得られるということであった。例え、思索の結論では否定することになっても、入口が「否定」であれば、それ以上は前に進まない。「肯定」から入るのと「否定」から入るのとでは、得られる情報に天地雲泥の差がある。経営者が店舗の現場で「肯定」から入って顧客と接することの重要性を改めて感じる。
 さらに、人を動かすには、説得力と納得性が大事になる。人は納得すれば積極的に動くが納得しないと行動に心が入らない。笑顔であいさつしても笑顔が相手に通じない。経営者には、従業員が納得するだけの説得力が求められる。思考または発言の元に明確な情報源があると説得力が増す。その強い説得力を生む情報源は現場、すなわち店舗にある。経営者が店舗で情報を得ることは、発言に説得力が増し、従業員を納得させ自信を持って行動させることになる。その自信を持った行動は顧客に伝わり、顧客へのサービス向上にもつながっていくのである。


◆第26条 経営者は店舗を軸足に改善点を考える

 問題は現場で起こっている。改善点も現場で発見できる。しかし、改善点は現場で生じた問題を改善するだけではない。問題は現場で顕在化するが、その原因は問題発生の現場にある場合と、現場以外のところにある場合がある。セルフレジを考える時の現場はレジ設置場所であり店舗である。セルフレジの設置または運用段階で問題が発生していることと、システム自体の問題、本部施策の問題など店舗以外で問題が発生していることがある。すべての施策は最終的には売上を作り利益を得る店舗に行き着き、問題が顕在化するのは店舗の現場であるから、問題が発生した現場を見ると、原因の所在、すなわち改善すべきところが見えてくる。店舗に軸足を置いて改善点を考えるのが改善の近道である。
 また、改善はマイナス面をゼロないしはプラスに変えるだけではない。プラス面をさらに高いレベルのプラスに押し上げていく改善がある。この改善点は見えにくい。見るには2つの視点が大事になる。1つは、強い問題意識を持つことである。良好な結果が得られても「これで良いのか」ともう一度考え直すことである。2つは、現場を見ることである。現場を見ていると、問題を感じれば、それが改善点に結び付いていく。強い問題意識を引き出すのが現場情報である。
 主にマイナス面が改善される第一段階は、どこの企業でも得られる改善効果と言えるが、改善によるプラス効果をさらに高める第二段階の改善が競合他店との差異化につながっていく。ただし、マイナスが生じている問題の改善点はわかりやすいが、プラスからさらにプラスへの改善点となると、机上の理想論に走る懸念がある。机上論に走ることを防ぐのは現場からの発想である。現場に軸足を置くと改善点を見る視点がぶれない。そこに経営者がかかわってくると、さらにぶれることがなくなる。
 店舗を軸足に改善点を考えるメリットには、改善点がより具体的になるということがある。具体的になれば、改善の道筋が見えやすく、目的達成意欲が出てくる。経営者が店舗に軸足を置いて、情報を収集し、改善点を打ち出し、達成された改善の成果を公平に評価することで、経営者ならびに施策に対する求心力が増し、店舗力、企業力を強くすることになる。

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