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WINS通信は小売業のマネジメントとIT活用のための情報室

小売業・IT活用・消費市場の今をウォッチング/WINS企画/東 秀夫wins.azuma@sunny.ocn.ne.jp

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第24回 地域別価格は個店主義への原点回帰

2009年11月05日 00時24分13秒 | 今日の気づき
【2009年11月5日(木)】このコラムは、本来なら11月5日の新聞を読んで書かなければならないのだが、4日の日本経済新聞の夕刊1面トップの記事を読むと、この記事で書きたいという気持ちが強くなり、実は4日の夜に、この原稿を書いた。5日の朝刊はどういう記事が掲載されるかわからないが、とりあえず、この原稿を5日のコラムとすることにした。

 4日の夕刊1面トップ記事は主見出しが《外食・小売り 脱「全国一律」》、サブ見出しは《対応きめ細かく》、《ロイヤルHD 地方で値下げ拡大》、《ファミリーマート 弁当も地域独自色》である。ロイヤルHDがロイヤルホストで12月から立地別メニューを取り入れること、地域別価格は今春から既に導入していることなどを伝えている。リンガーハットは野菜を100%国産に切り替えたことで10月から値上げしたが値上げ幅を西日本と東京23区で変えていると。CoCo壱番屋は既に2007年秋以降にポークカレーを都心店と郊外店で値上げ幅を変えているという。デニーズも9月から立地や顧客層に応じて店舗ごとに昼食メニューを変更している。日本マクドナルドは2007年6月に外食企業で初めて地域別価格を導入した。
 地域別価格は外食だけでなく、コンビニエンスストアでは、ファミリーマートが東北や九州などで地域ごとの嗜好に合わせた食材を使った独自の弁当類を販売し価格も変えているという。

 この記事を読んで、すぐに、思い付いたのが、次の3点である。この3点が、5日のコラムを繰り上げて書くことをせり立てた要因でもある。

 ①チェーン店も個店主義でないと店舗は強くなれない。

 ②顧客は同一商品の地域別価格に納得するのか。

 ③チェーン店のスケールメリットと顧客価値の関係はどう考えるのか。

 ①チェーン店も個店主義でないと店舗は強くなれない。全国一律価格の価格は本部が決めたものという認識が店舗にも顧客にもあると考えられる。企業の方針は店舗を通じて顧客に伝わるので、店舗の役割は大きいが、顧客にとっては、「あの企業の品揃えは良くない」とか「あの企業の商品は安い」という見方になるのではないだろうか。しかし、地域別価格というのは顧客にとっては「店舗独自価格」というイメージが強くなるように思う。すなわち、「あの店舗の品揃えは良くない」とか「あの店舗の商品は安い」ということになる。企業より店舗の印象を強くした顧客に対応する店舗はというと、本部の方針を守り抜くのは当然だが、店舗としての強さを備えていかなければならない。
 個々の店舗を強くするというのは個店主義の考え方である。チェーン店と言えども、単独店と同様の強さを持つには、マニュアルだけでは成し得ない。マニュアルを超えた店舗力が求められる。日本では小売業やサービス業の原点を「商人道」として語られることが多い。店舗運営の仕組みのことではない。チェーン化は店舗数と企業規模を短期日のうちに拡大させたが、市場が縮小し出すと、チェーンストア理論では陰に隠れてしまっていた 原点への回帰が始まろうとしているのではないだろうか。

 ②顧客は同一商品の地域別価格に納得するのか。地域別であろうとなかろうと、価格を変える時は商品も変える方が顧客への説得力と顧客の納得性は強くなる。ナショナルブランド(NB)でも街中の価格と山の上の価格が異なることがあるが、これは説得力も納得性もある。販売環境が大きく変わらない限りは同一価格が望ましいのではないだろうか。飲食店のメニューでも、全国チェーンの看板の定番メニューはNBと同じである。POSデータには顧客の購入動機は反映されない。不満を持っていても、他にない商品だから仕方がないとか、他店より優れているので仕方がないとか、味が好みだから仕方がない、というケースもあると考えられる。顧客が商品を支持しているとはいえ、購入理由に「仕方がない」が付く要素はできるだけ小さくするか取り除くべきだと思う。その対応として、価格を変えるなら、商品名や内容を少しでも変えるべきだろう。外食メニューや弁当類などは対応しやすいと言える。もちろん、すべてが地域別価格ということではないが、全国同一価格と地域別価格の織り合わせ方の研究も今後の課題であろう。

 ③チェーン店のスケールメリットと顧客価値の関係はどう考えるのか。地域別価格を設ける理由を考える時、チェーン店のスケールメリットは顧客から見ればどのように映るかということである。地域ごとに見ていくと、単独店でもチェーン店に負けない品質と価格、サービスを提供している小売店や飲食店がある。仮に、100店舗のチェーン店が地域別価格を導入する場合、同一価格地域の店舗数が10店舗になったとする。地域で繁盛している単独店に対して10店舗というのはそれなりのスケールメリットが出せて有利だと考えられる。店舗数が増えることで本部の設備投資や管理コストなど間接経費が嵩んで、店舗数をもっと増やさなければスケールメリットが出せないのなら、単独店の集合体を作る方が顧客のためになると言える。例えば、行列ができるラーメン店と中華系ファミリーレストランを対比させると、業態が異なるので比べられないというのでなく、仮に強いラーメン店の横に強いギョウザ専門店、中華料理店を集めて、単独店の集積体としてファミリーレストランと同じメニューを提供できるようになれば、ファミリーレストランの存在価値はメニュー以外のところに求めなければならなくなる。顧客価値をどう提供するのかを考えた時、量の追求で得られるスケールメリットと顧客価値の関係をさらに研究する必要があるのではないだろうか。すなわち、地域別価格を導入してもその地域だけに限ったスケールメリットは十分に得られるのではないだろうかということである。それに、本部として得られるスケールメリットを加えれば、チェーン全体のスケールメリットはさらに得られることは間違いない。
 地域別価格を導入する機会に、顧客価値を高める最適なチェーン規模のあり方も考える必要があるのではないだろうか。(東)

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第23回 地方産品の「魅力」を日常の食卓に

2009年11月04日 18時30分59秒 | 今日の気づき
【2009年11月4日(水)】11月4日の日本経済新聞の朝刊では社会面に目が留まる。30面に《物産館人気ランキング》、《北海道が圧倒的首位》、《2位は沖縄 JTB調査》の見出しの記事が掲載されている。大手旅行会社のJTBが9月1日~10日にインターネットを通じて行ったアンケート調査の結果を紹介したものである。JTBの、物産館が観光客を獲得するきっかけになっている、とのコメントも伝えている。

 同調査による上位10都道府県は次の通りである。

 ①北海道
 ②沖縄
 ③宮崎
 ④鹿児島
 ⑤京都
 ⑥宮城
 ⑦青森
 ⑧熊本、長野
 ⑨岩手、山形
 ⑩広島、新潟

 1位の北海道の人気度は群を抜いている。2位の沖縄は3位宮崎の3.1倍の得票だが、北海道は沖縄のさらに3.2倍の票を獲得している。宮崎は東国原英夫知事のPR効果もあって人気が上昇しているが、北海道はなんと、宮崎の9.9倍の票を得ている。農産物、海産物、畜産物はもとより、菓子、加工食品でも人気の商品が揃う北海道の人気は揺るぎないものがある。

 売上不振にあえぐ百貨店は、売上の落ち込みを人気の物産展の催事で補おうとしているが、百貨店でも北海道物産展の人気が高く、今年9月には東京・新宿で、伊勢丹、京王百貨店、小田急百貨店が会期を重なり合って北海道物産展を開催し業界の話題を集めた。首都圏に拡大すると、9月は16か所の百貨店で北海道物産展が実施されている。

 一方、JTBは毎年、1泊以上の日本人の旅行(ビジネス・帰省を含む)と訪日外国人について、旅行市場の見通し調査を行っているが、2009年の見通しは2009年1月に発表した。それによると、国内旅行人数(延べ人数)は、2007年実績推計が2億9,981万人、2008年推計が2億9,651万人、2009年見通しは2億9,325万人としている。経済環境悪化の影響を受けて、年々減少傾向にある。とはいえ、毎年、国内旅行に出かける延べ人数は3億人規模にのぼる。また、「食」は旅行の楽しみの大きな要素となっている。衣食住の視点では、「食」は衣、住に比べて地方色が強く、食習慣、料理法を含めて、その地方性を体験し味わえることが旅行における「食」の魅力となっている。旅行で得た経験や帰省先の懐かしい味を求める心が物産展人気の背景ともなっている。

 小売業にとっては、物産展は大きなビジネスチャンスとなる。スーパーでも地方の物産展や全国駅弁フェアなどを開催しており、チラシ特売の目玉の催しとなっている。しかし、通常の営業日の売場を見ていると、顧客の目を引くような人気の地方産品に出会うことは少ないように思う。主婦のように高頻度で店舗を訪れないので気が付かないだけかもしれない。いずれにしても、優良な地方産品は売場活性化と魅力ある品揃えでは大変有力な商材と言える。フェアなどの大きな企画でなく、アイテム数は少なくても、いつも地方の優良産品を訴求するワゴンを置くとか、店舗独自の「定番商品」と位置付けることも可能ではないだろうか。百貨店の物産展が好評だからミニ物産展を開催するということでは、一時の売上効果だけしか期待できない。

 物産館ランキングの記事を見て、物産館やアンテナショップのイメージ、旅行先での経験、百貨店の地方物産展フェアなどのイメージは自然に出てきたし、ランキングの結果を見ても、その通りと、別段、インパクトを感じることはなかったのだが、ふと、最寄り利用の食品スーパーの売場を思い描いた時、生活者の地方産品人気が大きく企画された物産展フェアまでは1つの「糸」でつながってくるのだが、そこから先の日常の食卓との間になると、一種の「断線」を感じる。その「断線」感が、記事に目が留まった理由かもしれない。(東)

【月曜コラム】自由席/店ウォッチング  第4回 スーパーマーケットのデジタルサイネージの成功を祈る

2009年11月02日 22時33分42秒 | 店ウォッチング(「今日の気づき」に統合)
【2009年11月2日(月)】題材は半年余前に見た光景である。他の専門誌に書いた経験もある。これから普及していくと予想され、大きな活用可能性を持っているデジタルサイネージ(電子看板)のことだけに、発表する機会がブログマガジンに変わったことで、もう一度、確認の意味で原稿にすることにした。ここに取り上げた題材とは異なるスーパーを見ても、あまり代わり映えがしないようなので、業界全体としては状況は変わっていないように感じている。それならばと、題材のスーパーの状況が良くなっていることを期待しつつ稿を進めることとする。
 最近は、スーパーの食品売場で、商品説明やレシピ提案などを小さなディスプレイを使って動画で紹介している場面をよく見かける。小型の液晶テレビでテレビCMや料理番組を見ているようである。ところが、その効果が疑わしく感じられるのである。

事例:その1。(半年余前のことであることを再度確認した上で。「事例:その2」も同じ)

 大手総合スーパーの食品売場。成人男性の背の高さほどのロールボックスごと、特売たまごパックが大量に壁面陳列されている。ロールボックスは三方を金網で囲った車輪付きのワゴンのことで、バックヤードから直接運び込み、そのまま陳列している。顧客はロールボックスの前を通る時、たまごパックを手に取ってカートに入れると、すぐに次の目当ての売場に移動して行く。しかし、ロールボックスの上、顧客の頭の2mくらい上では、液晶ディスプレイでオムレツの作り方などの実演を流し続けている。
 顧客は誰も見ていない。やや下向き加減でカートを押しながら、素早く、たまごパックを手にして売場を離れていく顧客を、ディスプレイに映る料理講師が虚しく見送っているような光景である。この売場でのデジタルサイネージの効果に疑問が残った。
 次はハム・ソーセージ売場である。ウインナーソーセージの宣伝で、品質を訴求するように格調が高そうなテレビCMと同じ映像が流れている。ディスプレイは顧客の目の高さくらいに、陳列棚の一部に据え付けるように設置されていたが、ウインナーソーセージはセールの案内POPと一緒に平積みされているので、顧客はここでも下向き加減で平積みの商品を買っていく。ディスプレイの放映は30秒くらいあったと記憶している。顧客は誰もディスプレイを見ていないが、ディスプレイにはずっと商品名やメーカー名が映っていることはないので、顧客がディスプレイを数秒間見たとしても、商品名やメーカー名が訴求されたとは思えない。
 この総合スーパーでは、それ以前に納豆売場の上に納豆料理のレシピを紹介する映像を小型テレビで流していたが、映像のすぐ下の陳列棚には映像を提供するメーカーとは別のメーカーの納豆を大量陳列し特売されていた。映像を提供しているメーカーの納豆は少し離れたところに定番商品として数フェースで並べられていた。たまご売場とハム・ソーセージ売場を見た日には、納豆売場は少しレイアウト変更されディスプレイは外されていた。
 総合スーパー側が自主的、積極的に導入したのであれば、もっと、厳密な管理がなされていたのではないだろうかと思われる。

事例:その2。

 食品スーパーの惣菜売場。この食品スーパーでは、惣菜に力を入れており、大型ビジョンを導入して惣菜をアピールしている。訪れた店舗は、売場レイアウトの関係や設置スペースの関係もあったのだと考えられるが、その大型ビジョンは寿司売場の「寿司」と大書きされた、すぐその下に設置されていた。寿司売場の宣伝のために設置されているような光景である。
 大型ビジョンの画面は9分割されていて、9種類の惣菜コーナーを表示した後、1つ1つの惣菜の調理風景を9画面を全部使った大型画面で映し出している。もちろん、寿司の紹介もあるが、画面メニューの数から言えば、揚げ物、焼き物など、寿司とは対極にある、こってり系の惣菜が紹介されている画面が多い。「寿司」と大書きされた文字の下の大画面には相応しくないと思われる映像が目立つ。音声が流れていないことと、惣菜は平型のショーケースに平積みされているので、顧客は顔を上げないで平型のショーケースにばかり目を向けていることから、大型ビジョンを誰も見ていない。ただ、このチェーンに関しては別の店舗も訪れてみた。その店舗では弁当売場のところに大型ビジョンを設置していた。弁当には、様々な惣菜が入っているので、先の店舗ほどには違和感を覚えなかったが、弁当の訴求ではないので、もう少し工夫が必要ではないかというのが実感であった。
 既存店への大型ビジョン導入では、こうした問題は起こり得ると考えられるが、デジタルサイネージの訴求力、導入効果という観点では問題が残されているのではないだろうか。

 売場では、顧客への情報発信、商品の訴求、効果的な販促施策の実施等々、やるべきことがたくさんある。しかも、店舗は小売業の売上と利益を作る重要な場所である。ここの改善は売上と利益に直結する。一方で、労働力人口は減少基調である。売上と利益にかかわる顧客サービスのレベルを維持・向上させるためにはITの活用は不可欠となっている。そして、顧客接点でのIT活用では、デジタルサイネージが活躍するシーンは多くあると思われるが、まだまだ未開拓と考えられる。
 それだけに、その可能性を期待して、この稿をまとめたが、先の両店舗のデジタルサイネージを導入した売場風景が半年余前と変わっていることを期待するとともに、同じような状態の店舗があるとすれば、早い改善が望まれる。これから導入するところは、少しでも参考になることを願うものである。顧客に適切な情報が適宜、適時に提供できることは、何よりも、顧客のためになることである。(田中)

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第22回 大手PBの拡大にも試練

2009年11月02日 22時32分57秒 | 今日の気づき
【2009年11月2日(月)】11月2日の日本経済新聞朝刊1面左下に《PB売上高5000億円目標》、《セブン&アイ 3年で2.5倍》、《先行のイオン追う》の見出しの記事が3段で掲載されている。セブン&アイ・ホールディングスは2012年2月期にプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」の売上高を2009年2月期の同売上高2,000億円の2.5倍に当たる5,000億円の規模に拡大するというものである。スーパーにおける加工食品の売上高に占める比率は現在の約10%から20%へ引き上げることになるという。PB売上高の推移は、2009年度2月期2,000億円、2010年2月期3,200億円、2011年2月期3,800億円、2012年2月期5,000億円と予想している。セブンプレミアムは2009年9月末現在で約800品目になっているが、2010年2月期には1,300品目、2011年2月期には1,600品目、2012年2月期には2,000品目程度になると見られる。ちなみに、2012年2月期目標の5,000億円のうち約9割が食品で残りは日用雑貨だという。

 この記事が示唆するところは大きいと言える。これはPBの進展より、本格的なPB時代の幕開けを意味し、今後のPBあるいはナショナルブランド(NB)がどうあるべきかの本格的な模索が始まったことを意味していると感じるからである。

 スーパーの加工食品におけるPBの売上比率が10%に届いたということは、生活者の消費ニーズをとらえて定着してきたことと言えるが、さらに、同20%にまで引き上げる可能性があるということは、今後の商品開発にもよるが、まだ生活者のPBへの潜在ニーズがあり、そのニーズへの対応、掘り起しができていないということである。また、20%の比率は節約指向、低価格指向への対応策としてPBを揃えているというより、PBがメインの品揃え商品の一角に広く定着し、この商品はNBでなくPBで十分という位置を得る商品が登場することを物語っている。既に一部では登場している。さらに、PB市場の拡大はグループ外への商品供給の可能性も選択肢の1つとして考えられる。PBの存在価値を問うことがNBの存在価値の見直しを促している。
 一方、NBメーカーにとっては、PBのシェアが拡大していくとNBを圧迫し、PBの生産受託は小売業の下請け工場的存在になっていく可能性をはらんでいる。大手NBメーカーにとっても、大手スーパーは重要な販売チャネルであり、消費市場が縮小し、大規模な生産設備を持っていることから、販売チャネルの確保、PB生産の受託の両面で、製販の相互協力関係は相互の利害が一致するところでもある。NBメーカーにとっても、PBとの棲み分けをどうするのか、創造的破壊が求められている。

 セブン&アイ・ホールディングスは2009年10月16日に顧客参加型の商品開発を目的としたコミュニティサイト「プレミアムライフ向上委員会」をグランドオープンした。サイトの内容は①みんなの商品レビュー:セブンプレミアムの商品についての意見箱、②ななばた会議:セブンプレミアムについて、みんなで話し合う「セブンプレミアム」+「井戸端会議」=「ななばた会議」の場、③一緒に作るプロジェクト:みんなの声を集めて一緒に作るセブンプレミアムの商品化プロジェクト――である。2009年7月7日にβ版をオープンし現在の会員登録は約1,000人だが、グランドオープンにより初年度は約10,000人の会員登録を目指していく。顧客目線のPB開発が進められていくことになる。

 どの分野、どの局面でも、マイナス要因は様々な次の発展への問題提起をしてくれる。現在直面している、生活者の所得減少、消費経済の低迷、少子高齢化、消費市場の縮小、消費市場の成熟等々は、新しい消費社会を創造する機会を待ったなしで与えている。きれいに見える青い水を満々と湛えている時の池は長年の間に溜まった底の汚れを気付かせない。雨が降ると少し濁るが、雨がやむと元の水の色に戻る。しかし、水が干して底が見えると、長年にわたって積み溜まった汚れや捨てられたごみが見えてくる。池の水を底からきれいにするには、底の汚れを冷静に見つめ、受け止め、その掃除から始めなければならない。掃除の順序を決め、手順を考えることも必要となる。マイナスの局面はそういう現実を如実に示してくれる。問題点が見えてくれば解決は早いと言えるが、現実はそうは容易くない。入口を見つけるのに戸惑っているのに出口が見えるはずはない。そういう見えない出口を見つける舵取りが産業分野だけでなく、所得が安定しない生活者にも求められている。PBの大きな船出における舵取りが注目される。 (東)

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第21回 各店舗が“核店舗”となるテナントミックス時代

2009年10月30日 12時09分48秒 | 今日の気づき
【2009年10月30日(金)】10月30日の日本経済新聞朝刊は15面トップに《FC店舗数、初の減少》の主見出しで、サブ見出し《昨年度2.1%減》、《今年度さらに減少も 消費不振響く》が目を引く。社団法人日本フランチャイズチェーン協会が、毎年1回、日本国内のフランチャイズ・ビジネスの市場規模を把握することを目的に行っている、同協会加盟社以外のFC本部も含めた調査の結果を紹介している。現在の消費市場の現状を反映しており興味深く読んだが、同協会の発表資料によると、小売業の動向で、高い伸びを示しているのは家電量販店、ドラッグストア、ホームセンター関係である。
 家電量販店は大手チェーンによる地方チェーンや個人経営店のフランチャイズ化や店舗の大型化が要因となって店舗数は前年度比12.4%増、売上高は同16.8%増となり、唯一、店舗数、売上高とも2年連続の2桁成長となった。ドラッグストアはフランチャイズ方式による業界再編が急となり、店舗数は前年度比20.6%増、売上高は同28.1%増となった。また、ホームセンター関係も売上高が同10.2%増だった。
 家電量販店の動向が注目されるが、同記事下のヤマダ電機の《三越池袋店跡に旗艦店を開業 ヤマダ、きょう》の1行の記事に目が留まる。さらに、ヤマダ電機の記事の左上に《H&M、来秋にも出店》、《伊勢丹吉祥寺店跡に》の記事。両記事は35面の〔東京・首都圏経済〕面にも関連記事を掲載している。H&M(ヘネス・アンド・モーリッツ)の記事は《H&M、吉祥寺・武蔵村山進出へ》、《多摩の新集客拠点に》、《百貨店撤退跡 地元の期待高く》の見出し。ヤマダ電機の見出しは《池袋三越跡店舗 製品体験売りに ヤマダ電機》である。
 両記事に関心を持った理由は2つある。1つ目は、両方とも百貨店の撤退跡に大型専門店業態が出店したこと。2つ目は、集客力のある大型専門店であっても単独での集客力には限界があり、他業態売場との相乗効果を必要としていることである。
 H&Mは世界の3大カジュアルブランドの1つで、東京の銀座、原宿、横浜にも店舗を持つ。吉祥寺への出店は、伊勢丹吉祥寺店は2010年3月に閉店するが、撤退作業後の2010年11月の見込みだという。また、記事は来店客が集中する1、2階に出店する見通しだとも伝えている。伊勢丹吉祥寺店は本館が地上8階・地下1階建て、新館が地上7階・地下1階建てで、両館の地下2階が駐車場となっている。大型専門店とはいえ、百貨店の売場面積をそのまま使う規模ではない。ビルを運営する武蔵野市開発公社が相乗効果を高めるテナントミックスをどう作り出すのか注目される。H&Mは単独でも大きな集客力を持つキーテナントになるが、テナントミックスいかんによって、さらに集客力を高めることになるからである。
 武蔵村山への進出は、イオンモールが開発した、三越とジャスコをキーテナントとする大型ショッピングセンター「むさし村山ミュー」の三越撤退跡への出店である。三越跡には既に衣料品のフラクサスや家電量販店のノジマが出店している。三越1店舗で形成していたキーテナント機能を大型3店舗が担うことになる。
 一方、ヤマダ電機も三越池袋店跡への出店である。店名を「LABI1 日本総本店 池袋」とし、“この店を見ずして、家電は語れない”と同社の“家電維新”を示す店舗だとしている。品揃えは約150万点の規模となる。フロア構成は以下の通りである。

B2:日用品・医薬品・加工食品・化粧品
B1:理美容・健康家電・照明器具・書籍
1F:テレビ・デジタルレコーダー
2F:携帯電話・デジタルカメラ・オーディオ
3F:パソコンソフト・パソコンサプライ・BTOパソコン  企業法人・官公庁専用窓口
4F:パソコン・プリンタ・パソコン周辺機器
5F:冷蔵庫・洗濯機・調理家電・季節家電
6F:ブランド品・CD/DVDソフト・おもちゃ  キッズアイランド
7F:レストランモール(9店舗)
屋上:フットサル専用コート「アディダスフットサルパーク」

 駐車場は専用駐車場、契約駐車場など周辺に4か所。サンシャインシティバスターミナルからは無料シャトルバスも運行している。

 ここで、注目したのはテナントミックスである。本来、テナントミックスは主な来店顧客層のニーズに対応してワンストップショッピング性を高めることが目的である。百貨店では地階などに食品売場を、最上階に催事場やレストラン街を設けることで、噴水効果やシャワー効果をねらっている。しかし、百貨店も専門店ゾーンに100円ショップが出店する時代となっており、従来の百貨店の顧客層とは異なる顧客を集めないと集客が難しくなっている。大型店が従来の顧客数を維持・確保し、さらに集客数を増やして商業集積間競争を勝ち抜くための戦略の変遷と言える。百貨店の顧客層もトップ富裕層は別にして、百貨店を利用する中間所得者階層は品質が向上している低価格指向の専門店にも関心を強めており、テナントミックスのあり様も時代を反映していかなければならないが、そういう意味でも、ヤマダ池袋店は注目したいのである。
 10月30日にオープンしたが、ヤマダ電機の調べでは午前10時の開店前に1万5,000人の顧客が列を作って並んだという。オープニングセールのパソコン・オーディオ・家電製品の買得品がメインの顧客と考えられる。食品の顧客が前日深夜から並ぶとは考えられない。通常営業日でも、従来の家電量販店のメイン商品分野と食品、飲食、フットサルは顧客の来店目的が必ずしも一致するとは限らない。立地環境を考えると、飲食も同様である。買物の前や後に食事ができれば顧客に利便性を提供することになるが、飲食店の競争が激しい地域だから、顧客も配達商品の購入が中心で手荷物が少ない場合は、買物後の食事場所の選択肢はヤマダ店舗外にも多く存在する。買物前ならなおさらである。
 家族客にも対応した食品も家電のついで買いを誘うケースがどれくらいあるかは未知数である。食品のついでに家電を買うというのも少ないのではないだろうか。店舗全体の集客数の拡大は間違いないが、家電、食品、飲食がワンストップショッピングされるというより、それぞれが強さを出し、「行き付けの店舗」の位置付けを確固たるものにして、食品の顧客に、「家電を買う時はここで」という意識を植え付ける効果は大きいと言える。「ついで買い効果」というより、次回の買物への「下見効果」の方が大きいと言えるのではないだろうか。日常消費財の食品と耐久消費財の家電では来店頻度が異なる。「下見効果」は家電の固定客化につながる。そういう意味での「ワンストップ」と言うなら、「1度の買物を1か所で済ます」ということではなく、「買物をする時には、いつも1か所でストップする」ということになるのではないだろうか。そのためには、店舗集積による総合力でなく、個々の店舗の実力の集積が「1+1=n」になるような総合力が求められる時代に入ったと言える。
 H&Mとヤマダ電機の出店記事を読んで、強力な核店舗の集客が他の店舗を牽引し顧客に利便性と満足性を提供し固定客化を進めていくだけではなく、それぞれの店舗がそれぞれの店舗なりに“核店舗”の位置付けで最大の集客と固定客化に注力する中で、その相乗効果で強い店舗を作ることが求められていることを感じる。(東)

【木曜コラム】万華鏡/電車の中から   第5回 定着し進化するビニール傘

2009年10月29日 10時47分46秒 | 電車の中から(「今日の気づき」に統合)
【2009年10月29日(木)】電車の中で世の中の「今」を感じることができるが、逆に、「今」を知らなさ過ぎる自分を気づかせてくれる「鏡」となることもある。日本は世界一の傘大国で、一人当たりの所有本数でも、年間に購入される市場規模でも世界一というのである。
 朝から雨が降っていて、もちろん、皆、傘を差して歩いている。電車に乗ると、向かいに座る7人のうち6人が膝の前に傘を立てている。最近はビニール傘を見慣れているせいか、傘を立てている5人までがデザインの良い傘やカラフルな傘で、ビニール傘が1人というのが、なぜか新鮮に感じる。傘を立てていなくて折りたたみ傘の20代の女性が左端、ビニール傘の20代男性が右端で、デザインの良い傘やカラフルな傘が真ん中に集中したのが傘に目がいくのを後押ししたのかもしれない。
 5人の傘を見ると、40代と思われる女性は赤、30代の女性はピンク。雨の車内で目立っている。あと3人は男性である。1人は30代と見られるが、落ち着いた柄地の傘。あとの2人は上司と部下のような雰囲気で会話をしているが、上司と思われる60代くらいの男性は上品そうな長めの傘、横に座る30代の男性はやや短めだが、上司と差し並べてもバランスが取れるような印象の傘である。特に、男性の立場では、日常生活に使うもので濡れて汚れるものだから、数千円もするデザイン性のあるものやもっと高価なデザイナーズブランドの傘など要らないという意識でいた。特別な外出で使う時は別だが…。普段に使うのは、しっかりさえしていて、体やカバンが濡れなければ良いという考えでいた。前に座る男性たちは、ハレの外出という雰囲気でもない。
 次の駅で7人のうち3人が降りて、新しく乗ってきた男性3人が空いた席に座った。1人はビニール傘だが、30代の男性は持ち手が木製、50代の男性は銀色っぽい渋い色の持ち手の傘である。そして、さらに3つ目の駅で2人が降り、ビニール傘の20代の男性が2人座った。7人中4人がビニール傘になった。やや見慣れた風景に戻ったように感じた。
 日本の傘の市場をちょっと調べてみた。1年間に出荷される傘の本数は約1億3,000万本で人口に匹敵する。また、ビニール傘は世界で年間約7,000万本が生産されているが、そのうちの約5,000万本が日本で消費されているという。そのビニール傘も100円ショップで売られているものから選挙の時に候補者が差す「カテール傘」(4,200円、東京のホワイトローズ社が開発・販売)、さらには撥水性に優れた3万円の傘までピンキリである。傘のプリント柄の部分がUV99%カットと、日傘兼用のビニール傘も登場している。一方、安価なビニール傘は生活者には便利な使い捨て商品のような扱われ方をして容易に捨てられるが、ほとんどのビニール傘は先端部分が接着剤で固定され金属部分とビニール・プラスチック部分が分解・分別できず、ごみ処理場では埋め立て処理をされているという。エコ対策では厄介な存在でもある。工具なしで完全に分解・分別できる環境配慮型の商品も開発されている。
 傘の業界団体である日本洋傘振興協議会(Japan Umbrella Promotion Association=JUPA)は1963年に設立され、独自にJUPA(ジュパ)基準を設定し会員の洋傘の品質・信頼・安心の証としてJUPAマークを添付しているが、2006年にアンブレラ・マスター認定制度を導入した。百貨店、量販店、洋傘専門店の店員や流通担当者を主な対象とし、洋傘売場のスペシャリストをアンブレラ・マスターとして認定する資格制度である。認定試験の合格者は、これまでの2回で、流通関係251人、会員企業245人の合計496人になる。アンブレラ・マスターは既に全国の百貨店などで活躍している。第3回目の認定試験は2009年10月に東京と大阪で行われ、11月に合格者が発表される。
 外見の構造から、安価な商品という印象を持っていたが、認識が改まった思いがする。自らの、傘に対する知らなさ加減を恥じる思いだが、電車の中の1つの光景が、消費市場の「今」を見つめるきっかけとなったことに感謝したい。(荒井)

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第20回 ネット通販が大きな潮流になる兆し

2009年10月29日 10時46分48秒 | 今日の気づき
【2009年10月29日(木)】10月29日付の日本経済新聞朝刊15面にオンワードの記事が掲載されている。主見出しは〈百貨店に次ぐ販路強化〉、サブ見出しは〈販売不振で 通販サイトや路面店〉。記事は、オンワードは売上の約7割を占める百貨店の販売不振が続いており通販サイトの開設や都心部への路面店の展開など新しい販売チャネルの開拓を始めたことを伝えている。路面店の展開よりも通信サイトの開設に目が留まる。婦人服の主要8ブランドを揃えたパソコンと携帯電話向けの本格的なインターネット通販サイトで、サイト名は「オンワード・クローゼット」。12月1日に立ち上げるという。
 ネット通販に興味を持つのは、今後の消費市場を展望する時、必ず、店舗販売の有力企業がネット通販に参入するのは間違いないと見ているからである。ネット通販への参入には、ネット利用人口やネット利用頻度の増加などが大前提になるが、具体的な参入のきっかけは企業ごとに異なる。したがって、個々の企業の参入時期は異なるが、リアル店舗販売と同じようにネット通販がわが国の消費社会に根付くことは間違いない。
 これからの少子高齢社会、人口減少社会を前提に考えると、今後の消費社会の方向性を決めていく要素は「市場の成熟」、「商品の品質向上」、「環境問題への対応」(エコ)の3点だと考えている。販売チャネル間の競争は「商品の品質向上」が大きく様変わりさせた。販売チャネルが商品の信用を保証するということもあったが、商品の品質が保証されていると、販売チャネルは商品を保証する絶対的な条件ではなくなってきた。有店舗販売対無店舗販売という競争の構図が崩れてきたし、有店舗販売の中でも異業態間競争が当たり前になっている。かつての特売は「価格」の訴求力で成り立っていたが、商品の質が伴わなければ特売をしても売れなくなってきている。生活者はブランド品の特売には強い興味を覚えるが、ただ安いだけの特売では行動を起こさなくなっている。正月の百貨店の福袋に人気があり、アウトレットモールが繁盛するのは、ただ値段が安いだけでなく、品質の良い物が安いからである。
 有店舗と無店舗の競争という構図ではなく、生活者に商品を届ける企業の販売チャネルが1本通っていて、その中はリアル店舗の販売方法やネット通販の方法など様々な販売方法があって、顧客はケース・バイ・ケースで、その時で最も利便性のある方法を選択できるという形が描ける。ネットスーパーは、普段は店舗に足を運ぶが、雨の日や重い物の買物、外出できない事情がある時などはネットスーパーを利用するなど、1人の顧客が販売チャネルを適宜、使い分けられる環境を提供している。普段利用しているスーパーだからスーパー自体を信用していること、購入商品がいつも買っているブランドの商品であったり信用できるメーカーの商品であることがネットスーパーの利用に安心感を与えている。
 オンワードのネット通販に興味を持つのは、長年の百貨店での実績の中で、既に高いブランド信用力、商品の品質信用力を有しているブランドをネット通販に乗せてきたからである。同じような動きが他の業種でも出てくることは必至である。ブランド力があることで成功が約束されているわけではないが、今後の消費成熟社会における販売チャネルの方向性を示す動きとして注目される。 (東)

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第19回 人は空気に学び空気で育つ 

2009年10月28日 23時44分07秒 | 今日の気づき
【2009年10月28日(水)】日本経済新聞朝刊の〔企業総合〕面左肩に《人こと》という本文にして30行足らずの囲み記事が毎日掲載されている。記者が企業の経営者に様々な場面で聞いた話を、1つのポイントを切り口に紹介しているようである。時代の「今」をタイムリーに見抜いたコメントが多い。
 10月28日は、しまむらの野中正人社長が登場している。収益性の高い衣料品スーパーマーケットチェーンの業態を確立した企業として有名である。以前に何度か取材させてもらったこともある。新聞や雑誌に「しまむら」の見出しを発見すると、つい目が留まってしまう。今日も同じである。見出しは〈激安より値ごろ感を追求〉とある。野中社長の「安さだけでは売れない」というコメントとともに、昨年頃から主婦らに交じって女子中高生の来店が急増している要因の1つとして、ここ数年は商品調達担当者を年に何度も欧米視察に出し最新の流行デザインの把握に努めたことを紹介している。この、年に何度も欧米視察に出し、の箇所で学生時代の思い出が一気に出てきた。
 学生時代に新聞の全国紙の整理部で毎日見出しを付けている記者の話を聞く機会があった。その記者は休みになると、必ず、原宿や六本木に出かけるという。流行の先端をいく場所の空気を吸いに行くだけで、何かを見つけようとか、何かを積極的に得ようというのではなく、何も考えずに歩いているだけで良いと。原宿や六本木の空気に触れることで、見出しのセンスを磨いているのだとも。といって、具体的に何がどう影響したのかなどの因果関係はわからない。リアルの現場を経験することの大切さを覚えたことを思い出す。
 リアルの現場は直接仕事にかかわることでなくても、五感、ないしは、よく言われる第六感から吸収したものが無意識のうちに脳裏に吸収されるということがある。「企業風土」という言葉が使われたりするが、人が企業風土を作るとともに、企業風土が人を作る。かつて、食品スーパーマーケットチェーンの経営者が、海外研修など、社員教育に費用をかけて人材を育てるのは、決算書に表れない会社の資産を作る投資だと、よく話していた。海外視察で、五感、第六感から吸収するものは多いと言える。
 もちろん、企業では具体的な効果を描いて海外出張の計画を組み上げているが、見出しの、目に見える価格を強調した「激安」に対して、「値ごろ感」という言葉は、尺度は厳密に目に見える形で表せないが、きちんとした形で顧客を納得させる価値を提供することによって、表現が可能になるのであろう。 (東)

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第18回 ポイントカードの集客効果のウラにリスクあり

2009年10月27日 20時22分47秒 | 今日の気づき
【2009年10月27日(火)】10月27日の日本経済新聞は朝刊1面トップでポイントカードの大連合を報じ、同12面にも大きく関連記事を載せている。活況を示さない消費市場における顧客獲得施策の今後の展開が注目される。
 1面の記事は、主見出しは白抜き文字で〈ポイント共通化 国内最大〉。サブ見出しは〈ローソン・三菱商事など〉、〈来年3月新カード 5年後5000万人目標〉となっている。コンビニエンスストア大手のローソンと三菱商事、昭和シェル石油、音響・映像ソフトレンタルのゲオが買物で付与するポイントサービスで提携し、2010年3月から大手外食チェーンを加えて共通ポイントを発行、新カード『Ponta(ポンタ) 』も発行する。会員はカードを何枚も持たなくても1枚に集約できるので利便性が高まる。家族で貯めたポイントを1人に集約できる仕組みも検討しているという。新ポイントカード連合は1業種1企業に絞り込んで参加企業を集め、5年後に会員5,000万人の国内最大のポイントカード連合を目指すとしている。現在、食品スーパー、ドラッグストア、百貨店、外食チェーン、自動車メーカー、旅行会社、金融機関などと交渉中だという。同種のポイントカードでは、音響・映像ソフトレンタル最大手のTSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブが発行する『Tポイント』が先行し、提携企業56社・会員数3,300万人の規模となっている。今後、顧客囲い込みの強化、ポイント割引競争の激化 、価格引下げ圧力の強まりが進んでいくだろうとしている。
 また、12面の関連記事は、〈ポイント事業、陣取り激化〉を主見出しに、〈ローソン・三菱商事など連合〉、〈地域商店街も巻き込む〉のサブ見出し。買物客に利便性と割安感を訴求するポイントサービスは集客には欠かせなくなってきており、大型店が地域の商店街にサービスを広げる形態など、ポイントカードの提携先確保は地域の商店街をも巻き込んで陣取り合戦が激しくなってくるだろうと、報じている。
 電子化の進展は、電子マネー、ポイントカードなど、決済を含めて顧客サービスの分野で、既存の仕組みや枠組みに新しい風を吹き込んでいる。

 今回のポイントカード大連合に関連して、ポイントカードを軸に消費市場の競争の構図を考えてみる。まず、10%ポイントの家電量販店は単価の高い商品の購入が多いことが相乗効果となって、早くポイントが貯まりポイントはポイント取得店で繰り返し使われることが多くなる。顧客情報も蓄積できるので販促と固定客化で大きな効果をもたらす。
 しかし、一般的に大多数のポイントカードは1%還元である。1,000円の買物ができるポイントを集めるためには10万円の買物をしなければならない。単価の低い日常品を買う場合は同じ店舗で10万円の買物をするには1か月以上を要することは珍しくない。様々な物販店、サービス店で販促イベントが行われ、アウトレット店やディスカウント店が賑わっている。買物に使う10万円の一部を他店での有利な買物に回すことが増えれば、同じ店舗を繰り返し利用して貯めるポイントの魅力は薄らいでいく。10万円の買物で得た1,000円の買物サービスをポイント取得店以外でも使いたいという要望も出てくると思われる。さらには、1店舗でポイントを長い時間をかけて集めるより、日常の買物で利用している多くの店舗から広く集めて、使いたい時に使いたい店舗でポイントの買物サービスを利用する方が便利である。
 すなわち、1%還元のポイントカードは、ポイント取得店への再来店効果よりも集客効果が最も大きいと言える。ポイントも広く集められて、使える選択肢も多くなる方が顧客の利便性が高まる。固定客化は再来店効果への期待ではなく、来店した顧客に次も来店したいと思わせる店舗の魅力作りにかかっている。ポイント付与に要したコストを自店でのポイント利用で回収しようという固定客化は1%還元のポイントカードでは難しいと考えられる。
 一方、ポイントカードの連合体は『Tポイント』も『Tonta』も提携先を1業種1企業に絞り込んでいる。そうしないと、ポイントカードの差異化と提携企業のメリットは出せない。1業種1企業に絞り込むということは大手企業の連合体にしないとスケールメリットが出せない。同一業種における大手企業同士の競争が激しくなる。中堅・中小企業は大手企業間競争との同質化競争を避けつつ、同規模企業間競争でしのぎを削ることになる。また、ポイントサービスを推進する大手企業にとっても、ポイントカードはポイント付与率競争の消耗戦に陥る危険性がある。集客効果のウラにはリスクがある。集客効果を、リスクを上回る収益効果につなげていかなければならない。消費市場の成熟社会を迎えて、厳しい企業の生き残り作戦が展開されようとしている。今後の展開が注目される。(東)

【月曜コラム】自由席/店ウォッチング  第3回 チラシ特売に「ひと工夫」でワクワク感がアップ

2009年10月26日 17時03分21秒 | 店ウォッチング(「今日の気づき」に統合)
【2009年10月26日(月)】今回は店舗の中でなく、店舗を訪れる前の「特売チラシ」の「今」をウォッチングする。日本経済新聞など複数の全国紙を購読しているので各新聞に同じチェーンの特売チラシが入る。チラシは貴重な情報源になるので取り置くことにしているが、同じスーパーのチラシはレイアウトもキャッチコピーも特売期間も同じで(厳密にはレイアウトは少し違うのだが…)、目玉商品も大きく写真入で掲載されている。重複保管を避けるため、同じスーパーの同じ特売チラシは1枚だけの保管としていた。しかし、今まではあまり気にしていなかったのだが、2枚の同じスーパーの同じ特売チラシを見比べてみて、改めて驚いた。結構、対象商品が違っていたりする。一方で対象商品になっていて、他方は対象になっていないとか、同じ商品でも売り出し期間が日替わりだったり2日間連続だったりする。レイアウトがほとんど同じなので、商品が変わっていても気付きにくい。確かに、チラシには広告商品の取扱い店舗が掲載されているが、そこまでは細かく見ない。
 歩いて5分もかからない近くのスーパーのチェーン名が大きく書かれたチラシが入ると、その店舗が新聞と一緒に届いた特売チラシの対象店舗と思ってしまうのは当然ではないだろうか。間違って対象店舗の異なるチラシを見ても、特売はどの店舗もチラシに掲載した期間で実施され、超目玉商品も変わらないので、大きな混乱を起こすことはないとも言える。事業所を除くと、複数の全国紙を購読している家庭は少ないだろうから、2枚の異なるチラシを見る生活者は少ないかもしれない。近くの店舗が特売対象になっていないチラシが入る新聞だけを購読している家庭があるかもしれないが多くはないと考えられる。様々なケースを考えても、顧客を惑わすようなことは少ないとは思えるが、もう「一工夫」があっても良いのではないだろうか。
 地域ごとの商圏特性に応じた細かな販促施策は評価できるが、それが異なるチラシを撒く境界地域の生活者には混乱を招くことにならないだろうかと懸念する。低価格指向を強めている消費マインドを考えると、以前にも増して特売チラシはよく見られている。来店する前にチラシの隅々まで目を通す生活者も多いと考えられる。例え、その商品を買わなくても、チラシに載っているにもかかわらず、店頭では特売価格とは異なる価格で売られているのに気付いた顧客の反応を考えると、広告商品取扱い店舗はチラシにきちんと明記しているといっても、「過失はない」という言い訳の理由にしかならないのではないだろうか。今回気が付いたケースは、新聞販売店の配達エリアを考えると、もしかして、その店舗の前の家庭にも、目の前の店舗が対象店舗になっていない特売チラシが配られているかもしれないと予想される。

 そこで、1つの事例として、同じチェーンの同じ期間の2枚の特売チラシに掲載された商品を以下に紹介する。1枚は15店舗を対象にしたチラシで、仮にAチラシとする。もう1枚は8店舗を対象にしたチラシで、Bチラシとする。チラシ特売対象商品はAチラシ掲載商品をベースに並べ、商品名の前が無印の商品はAチラシとBチラシに共通して掲載、商品名の前に○印が付いている商品はAチラシのみの掲載、商品名の前に●印が付いている商品はBチラシのみの掲載商品とした。すなわち、Aチラシには商品名の前が無印または○印の商品が掲載され、Bチラシには商品名の前が無印または●印の商品が掲載されているということになる。

 チラシはタテ38.0㎝×ヨコ54.5㎝の大きさで、黄色地に黒一色で文字・写真を表している。オモテ面、ウラ面とも同じ体裁。特売期間は2009年9月28日(月)~30日(水)の3日間である。特売対象商品は以下の通りである。表示価格はすべて税込価格。

★オモテ面は、日替わりの目玉プライス商品を並べ、左半分のスペースに28日限り、右半ページは29日限りの商品を掲載している。★

《オモテ面:28日限り》

  日本コカ・コーラ 森の水だより 2ℓ 79円 1人1ケース(6本)限り
  マルちゃん 赤いきつね・緑のたぬき・黒い豚カレーうどん 各98円 1人各5点限り
  日清オイリオ キャノーラ油 1000g 198円 1人1点限り
  サトウ 切り餅つきたて シングルパック 1㎏ 598円 1人2点限り
  クノール カップスープ各種 各8袋入 各224円 1人よりどり3点限り
  玉三 十勝片栗粉 450g 98円 1人1点限り
  ヤマキ マイルドカツオパック 3g×10袋入 178円 1人1点限り
  マルサン 純正こうじみそ 1㎏ 188円 1人1点限り
  はごろも シーチキンLフレーク 80g×3缶パック 298円 1人2点限り
  つくば山麓 さわやか仕立て 1000ml 168円
  森永 ミルクココア 300g 298円 1人1点限り
  ロッテ キシリトールニューライム ファミリーボトル 150g 598円 1人2点限り
  キリン 一番搾り 350ml×6缶パック 1,068円/500ml×6缶パック 1,450円
  アサヒ 甲乙混和25° かのか むぎパック・こめパック 各1.8ℓ 各980円
  日本盛 晩酌 辛口パック 2ℓ 798円 1人1点限り

《オモテ面:29日限り》

  キリン 極烏 2ℓ 128円 1人1ケース(6本)限り
  ネスカフェ ゴールドブレンド 100g 398円 1人1点限り
  マルちゃん 昔ながらのソース焼そば・ホットワンタン 各98円 1人各5点限り
  キューピーマヨネーズ(350g)・キューピーハーフ(300g)・ミツカンほんてり(1ℓ)・ミツカン料理酒(1ℓ)・マルコメお
    いしさいろいろ長熟みそ(11食) 各158円(よりどり2個300円) 1人よりどり5点限り
  クノール 中華スープふかひれ入り・たまごスープ 各5食入 各258円 1人2点限り
  ネスレ ブライト 300g 258円 1人1点限り
  ピエトロ ドレッシング 280ml 298円 1人1点限り
  ブルボン ふんわりチョコバーム(175g)・ミニシルベーヌ(170g) 各228円
  全農安心システム認証米 山形はえぬき 5㎏ 1,780円 1人1点限り
  キリン コクの時間 350ml×6缶パック 628円/500ml×6缶パック 898円

★ウラ面は、左半分は上3分の1のスペースに28日と29日の日替特売を載せ、下3分の2は28日・29日の2日間限りの98円均一商品で埋め尽くされている。一方、右半分は上3分の1に30日限りの特売商品を載せ、下3分の2は28日~30日の3日間の特売商品を訴求している。左半分にはホットメニューの提案として、おでん材料やラーメンなどの商品を載せ、右半分には運動会や行楽に対応した手作りお弁当特集として、弁当材料などをまとめて訴求している。★

《ウラ面:28日限り》

  福島県産などの国内産 きゅうり 3本 98円
○北海道・宮城県産などの国内産 生さんま 1尾 98円
●北海道・宮城県産などの国内産 生さんま 1尾 98円/お造り・1パック 298円
○アメリカ産・ロシア産など 子持ち浅羽がれい 解凍 1切 98円
○国産 冷凍豚肉 切り落し 100g当り 98円
  ヤマザキ ずっしりデニッシュ各種 各1個 各98円
  すこやか 低脂肪乳 1000ml 98円
  照り焼きチキン 切り落し 100g当り 98円

《ウラ面:29日限り》

  北海道産 玉ねぎ 3個 98円
  太子食品 有機2連 きぬ・もめん 各200g×2 各98円
  フジパン スナックサンド各種 各3個入 各98円
○青森県産などの国内産 生食用ボイルほたて 解凍 100g当り 98円
●青森県産 生食用ボイルほたて 解凍 100g当り 98円
  アメリカ産 豚肉 切り落し(バラ) 100g当り 98円

《ウラ面:30日限り》

  にんべん つゆの素ペット 1000ml 378円 1人1点限り
○新鮮たまご 生みたてくん ミックスサイズ 10個入 98円 (タイムサービス:夕方4時から先着200名、1人1
    点限り)
●新鮮たまご 生みたてくん ミックスサイズ 10個入 98円 (タイムサービス:夕方4時から先着300名、1人1
    点限り)
  お刺し身用 めばちまぐろ 赤身 解凍 100g当り 258円
  神戸屋 2個入菓子パン各種 各98円
○北海道・青森県産などの国内産 生するめいか 1杯 150円
●北海道・青森県産などの国内産 生するめいか 1杯 150円/お造り・1パック 298円
○国産 健康牛 切り落し 100g当り 198円
●国産 健康牛 切り落し 1パック200g入 500円(100g当り250円)
○明治 ブルガリアヨーグルト プレーン 450g 138円
●明治 ブルガリアヨーグルト プレーン・そのままでプレーン 各450g 各138円
  三幸 三幸の海苔巻 99g 128円
●秋田県産 美味豚 うす切り(バラ) 1パック180g入 398円(100g当り222円)
  オリジナル商品 上級あらびきポークウインナー 104g×2 298円
●ペルー産 有機栽培バナナ 1袋(約500g入) 198円
●太巻各種 各1パック 各280円
○北海道産 生秋鮭 切身 3切入 398円
●北海道産・宮城県産などの国内産 生秋鮭 切身 3切入 398円
  冷凍食品 5割引&4割引セール

《ウラ面:28日・29日限り 98円均一》

  チリ産 銀鮭(中辛) 養殖 1切
  プロッシモ スパゲティ 1.7㎜ 300g
  ヤマザキ 麦麗 6枚・8枚
  花王 ワイドハイター 詰替 720ml 1人2点限り
  熊本県・愛知県産などの国内産 活あさり 100g当り
○タイ産・インドネシア産・マレーシア産など バナメイえび 養殖・解凍 100g当り
●タイ産・マレーシア産など バナメイえび 養殖・解凍 100g当り
  オランダ産 あじ開き 1枚
●アメリカ産・ロシア産など 子持ち浅羽がれい 切身 解凍 100g当り
  アメリカ産など しまほっけ(半身) 1枚
  味付めかぶ 50g×3
●カネリョウ 味付もずく 三杯酢・黒酢 各70g×3
  青森県産などの国内産 サンつがる りんご 1個
  ニュージーランド産 食べ頃キウイフルーツ(グリーン) 1個
  オーストラリア産 オレンジ 1個
  アメリカ産 豚肉 生姜焼用(ロース) 100g当り
●国産 豚肉 煮豚用(肩) 100g当り
○国産 若鶏(もも) 100g当り
●若鶏手羽中 唐揚(味付・タイ産) 100g当り
  高崎ハム 直火焼きハンバーグ各種 各1個
●豚肉とんかつ(ロース) 1枚
  肉団子(国産鶏・豚肉使用) 100g当り
●フライ各種 各1個
  パンコーナー 98円均一
●インストアベーカリーも98円均一開催中
  サンフード にがり造り油揚げ 2枚入
  相模屋 やわらか厚あげ 4個入
  楽陽 横浜名物シウマイ 13g×12個入
  丸洋 生餃子 6個入
●旬のじゃがいも使用ポテトサラダ・国産野菜使用マカロニサラダ(小) 各90g
  菅野漬物 あっさり小なす 70g
  オーマイ 早ゆでサラダマカロニ 200g
  九州フーズ 切り干し大根 30g
  ヤマトタカハシ おだしに昆布 真昆布 30g
  大忠 芽ひじき 18g
  グリコ とろーりクリームonプリン 210g
●ミヤト 本造り黒糖 80g
●S&V 紫芋チップス 80g
  明治 がんばれ元気 65ml×10
  105円・126円小物アイス 1個98円(よりどり4個378円)
●ウインズ ハンドソープ 詰替 200ml
  白十字 ファミリー綿棒 200本入
○日本技研 不織布水切り袋 排水口用・三角コーナー用 各20枚入
●日本技研 不織布水切り袋 排水口用・三角コーナー用 各20枚入/パックドゥBOXタイプ 50枚入
  ユニチャーム シルコット 80枚入
  三菱 ホイル 8m
●やなぎ バリュー楊枝500 2個組

《ウラ面:28日~30日 3日間限り》

  北海道産 じゃがいも 1袋 178円
  北海道産などの国内産 大根 1本 198円
  モーリタニア産 お刺身用 真だこ(ボイル) 100g当り 198円
  イセ食品 森のたまご 10個入 258円
  エスビー おでんの素 80g 138円
●一正 おでんセット 16個入 498円
  マルちゃん 北の味わい 醤油とんこつ・味噌とんこつ 各2食入 各198円
  日清 チキンラーメン・出前一丁・焼そば 各5食入 各298円
●中野食品 3食うどん 3食入 138円
  ハウスこくまろカレー(甘口・中辛)・こくまろシチュークリーム・マカロニグラタンクイックアップ 各1個158円(より
    どり2個300円)
  ヤマザキ グルメボックス各種 各1袋 各98円
●肉まん 5個入 298円
  国産野菜豆腐ハンバーグ(きのこソース) 2個入 160円  4個入 298円
  ニッスイ 焼鮭ほぐし 160g入 298円
  野沢菜ちりめん 35g入 298円
  ふじっ子 おまめさん各種 各1袋 1個 158円(よりどり2個300円)
  ふじっ子 昆布各種 各1パック 各198円
  野崎 甘口かつお沢庵 220g 198円
  ヤマキ 徳一番 花かつお 100g 288円 1人2点限り
  オリジナル商品 シュリンクパック ロースハム・ベーコン 各140g 各268円
●丸大 いつも新鮮ロースハム 38g×4 298円
  冷凍食品 お弁当材料 4割引
  エバラ 生姜焼のたれ 230g 158円
  日清 から揚げ粉 お肉ソフトタイプ 100g 108円
  茨城県産などの国内産 生産者限定 トマト 1パック 298円
○豚肉とんかつ(ロース) 1枚 98円
  広島県産 かきフライ 12粒入 358円
  ファンタ手にピタ!(グレープ・オレンジ)各1.5ℓ・アクエリアスビタミンガード2ℓ・アサヒ十六茶2ℓ 各1本 158円
    (よりどり2本300円)
  サントリー 金麦 350ml×6缶パック 638円/500ml×6缶パック 918円
●サントリー ザ・プレミアムモルツ 350ml×6缶パック 1,298円/500ml×6缶パック 1,780円
  全農安心システム認証米 栃木コシヒカリ 穂の香 5㎏ 2,080円
●全農安心システム認証米 熊本ヒノヒカリ 5㎏ 1,980円

 以上、特売対象の商品を並べたが、チラシに掲載されている価格が表示されている数は約120である。このうち、○印が付いている商品は13個で、●印は30個となっている。一方のチラシにだけ載っている商品が13個あり、他方のシラシにだけ載っている商品は、その倍以上になっている。こういうチラシが同時に入ってくるのである。チラシ特売実施の店舗を間違わないようにしても、2つのチラシを同時に見て、生活者は「こういうのは、あって当然」と受け止めるのか、「そんなに離れてない店なのに、こんなにも違うのか」と思うのか、それはわからない。自宅でチラシを見て、外出先の帰りに同じチェーンの店舗で買物をしようとした時に、特売対象の商品が違っているということもあるかもしれない。特売を企画する時は商圏特性、購買傾向などを検討して対象商品を決めていくことになるが、それは商圏の「共通」項が大きな決定要件になる。チラシを受け取る側は「個」の立場でチラシを見る。「共通」と「個」の不一致もあり得る。
 1つの提案として、目玉商品は全店舗共通のものと店舗独自(地域独自)のものに分け、全店舗共通のものをチラシで訴求し、店舗独自(地域独自)の特売商品は店頭で発表するなど、来店すればわかるようにするという方法もある。顧客には、毎回の特売日にワクワク感を与えることもできる。継続していけば、顧客はチラシが入った時に買物をすれば、別の買得商品や特売商品があることがわかり、来店価値を感じるのではないだろうか。
 同時に届いた同じチェーンの同じ期間の、レイアウトなどは同一だが、掲載商品が一部で異なっている2つの特売チラシを前に、感じたことを書き留めてみた。(田中)