第2章 セルフレジは顧客サービスを向上させる
第17条、第18条
【2009年10月19日(月)】
◆第17条 店長、他部門担当者を交えた情報交換の場を持つ
セルフレジの導入は店舗の問題ととらえるべきである。レジ係の採用難の解消やレジコーナーの活性化でも、レジコーナーにおける顧客サービスの向上、顧客満足度の向上というのでもなく、店舗として来店する顧客に提供する顧客サービスの向上策と考えるべきである。店舗の問題だから、現場のことを熟知している店長とはいえ、レジ係と正面から向き合って情報交換をすべきである。マニュアル通りの接客ができているかどうかの確認や意見を聞くといったことではない。レジは人と人がリアルに接する現場である。リアルの現場情報は現場の最高責任者が現場担当者に直接聴くのが当然である。作業状況をチェックしたり、報告を聞くのではない。店長の視点ということもあるが、そういう立場からの見方も含めて、上下関係を取り外した情報交換が大事である。
また、現場担当者以外から見える問題点や感想、意見がある。セルフレジについての顧客の声を他部門の担当者が聞くこともある。問題点が発見されれば、全従業員がメモや口頭で迅速に関係部署に伝えることはもちろんだが、店舗の問題ととらえると、顔を付き合わせて情報を交換し、店長や他部門担当者も含めて、情報を共有し、改善点があるなら智恵を出し合って改善策を考えることが必要である。
レジコーナーの範ちゅうで考えると、レジ係同士の情報交換、情報共有が必要だが、店舗の範ちゅうになると、店長、他部門担当者など店舗全体の責任者間での情報交換、情報共有が不可欠となる。1つの部署より2つの部署、2つの部門担当者より3つの部門担当者の目を集めた方が店舗全体の視点から、個々の問題点や改善点がよく見えてくる。
これはセルフレジの問題だけではない。仮に、惣菜に力を入れているのなら、それを惣菜担当者だけでなく、惣菜部門以外の担当者も店舗施策、会社の方針であることを理解すると、様々な意見を引き出し、改善点の抽出と改善策の実行で智恵を集めることができる。売場を歩いていて陳列の乱れがあれば、従業員はどこの陳列でも整え直すのが当たり前だが、惣菜に力を入れていること、その背景などの情報を共有していれば、売場や陳列への関心が強くなる。機敏に商品を整え直す態度は、顧客には陳列されている惣菜商品のイメージを良くする。かつて、青果一筋のベテラン担当者に商品陳列の仕方を聞いたことがある。担当者は、商品が売場から顧客に向かって買ってくださいと声をかけているような陳列を心がけている、と話していた。抽象的だが、具体的な行動が目に浮かぶような印象を持ったことを思い出す。
そういう店舗風土がそれぞれの売場や業務部門で養われれば、店舗力が強くなる。セルフレジの導入は、そういう店舗の風土作りのきっかけを与える。そういう風土がすでに出来上がっていれば、セルフレジの導入は、顧客サービスの向上、顧客満足度の向上を、さらに押し上げる効果を生み出し、店舗力を強めていくことになる。
◆第18条 店舗で経営者、本部マネジャーを交えた情報交換の場を持つ
セルフレジの導入、店舗力の強化を企業経営の問題、本部の問題ととらえることが重要である。店舗は売上、利益を生み出す企業経営の最も大事な要である。どんなに素晴らしい経営方針を打ち出しても、どんなに利益の出せる仕入をしても、どんなに魅力的な商品を揃えても、どんなに競争力のある価格設定をしても、店舗にそれらを顧客に提供する力がなければ、売上を上げられないばかりか、ロスを生み出し、利益の確保も難しくしてしまう。店舗の実態は、企業経営そのものを映し出すものであり、本部施策そのものが評価される場所である。企業のすべての活動、すべての業務が結実する場所が、顧客に商品を販売することで売上を作り、利益を得る店舗である。経営者や本部マネジャーは本部で報告を受けるのではなく、企業経営の最も大事な要である店舗に自ら足を運び、現場の状況を自らの目で確かめ、現場の声を自らの耳で聴くことが大事である。店舗数の関係などで、経営トップが店舗に行けない場合は、「経営者が、まず店舗に行く」ということを代替する仕組みを作ることが求められる。
経営者や本部マネジャーが行動で店舗の重要性を考えていることを示すことは店舗従業員に勇気を与える。勇気を持った従業員はモチベーションを上げ、スキルを向上させ、顧客サービスの向上に結び付いていく。こうした本部と店舗の一体感が店舗力を強め、企業力を強くしていくことになる。それにはどうしても、セルフレジが稼働し、顧客が実際にレジ操作をしている店舗の現場で、セルフレジ担当者と他部門担当者を交えた情報交換により現場のことを一番よく熟知している店長を中心に、セルフレジ担当者を交えて、経営者、本部マネジャーが情報交換をし情報を共有することが不可欠となる。
厳しい消費環境と激しい競争の中で、今、小売業に求められているのは生活者の支持を集める強い企業力である。それは、消費生活の向上に向けて、人の力と店舗の力を強固に束ね、顧客サービスと顧客満足度を向上させることで実現できる。セルフレジの導入は、そのチャンスと言える。
第17条、第18条
【2009年10月19日(月)】
◆第17条 店長、他部門担当者を交えた情報交換の場を持つ
セルフレジの導入は店舗の問題ととらえるべきである。レジ係の採用難の解消やレジコーナーの活性化でも、レジコーナーにおける顧客サービスの向上、顧客満足度の向上というのでもなく、店舗として来店する顧客に提供する顧客サービスの向上策と考えるべきである。店舗の問題だから、現場のことを熟知している店長とはいえ、レジ係と正面から向き合って情報交換をすべきである。マニュアル通りの接客ができているかどうかの確認や意見を聞くといったことではない。レジは人と人がリアルに接する現場である。リアルの現場情報は現場の最高責任者が現場担当者に直接聴くのが当然である。作業状況をチェックしたり、報告を聞くのではない。店長の視点ということもあるが、そういう立場からの見方も含めて、上下関係を取り外した情報交換が大事である。
また、現場担当者以外から見える問題点や感想、意見がある。セルフレジについての顧客の声を他部門の担当者が聞くこともある。問題点が発見されれば、全従業員がメモや口頭で迅速に関係部署に伝えることはもちろんだが、店舗の問題ととらえると、顔を付き合わせて情報を交換し、店長や他部門担当者も含めて、情報を共有し、改善点があるなら智恵を出し合って改善策を考えることが必要である。
レジコーナーの範ちゅうで考えると、レジ係同士の情報交換、情報共有が必要だが、店舗の範ちゅうになると、店長、他部門担当者など店舗全体の責任者間での情報交換、情報共有が不可欠となる。1つの部署より2つの部署、2つの部門担当者より3つの部門担当者の目を集めた方が店舗全体の視点から、個々の問題点や改善点がよく見えてくる。
これはセルフレジの問題だけではない。仮に、惣菜に力を入れているのなら、それを惣菜担当者だけでなく、惣菜部門以外の担当者も店舗施策、会社の方針であることを理解すると、様々な意見を引き出し、改善点の抽出と改善策の実行で智恵を集めることができる。売場を歩いていて陳列の乱れがあれば、従業員はどこの陳列でも整え直すのが当たり前だが、惣菜に力を入れていること、その背景などの情報を共有していれば、売場や陳列への関心が強くなる。機敏に商品を整え直す態度は、顧客には陳列されている惣菜商品のイメージを良くする。かつて、青果一筋のベテラン担当者に商品陳列の仕方を聞いたことがある。担当者は、商品が売場から顧客に向かって買ってくださいと声をかけているような陳列を心がけている、と話していた。抽象的だが、具体的な行動が目に浮かぶような印象を持ったことを思い出す。
そういう店舗風土がそれぞれの売場や業務部門で養われれば、店舗力が強くなる。セルフレジの導入は、そういう店舗の風土作りのきっかけを与える。そういう風土がすでに出来上がっていれば、セルフレジの導入は、顧客サービスの向上、顧客満足度の向上を、さらに押し上げる効果を生み出し、店舗力を強めていくことになる。
◆第18条 店舗で経営者、本部マネジャーを交えた情報交換の場を持つ
セルフレジの導入、店舗力の強化を企業経営の問題、本部の問題ととらえることが重要である。店舗は売上、利益を生み出す企業経営の最も大事な要である。どんなに素晴らしい経営方針を打ち出しても、どんなに利益の出せる仕入をしても、どんなに魅力的な商品を揃えても、どんなに競争力のある価格設定をしても、店舗にそれらを顧客に提供する力がなければ、売上を上げられないばかりか、ロスを生み出し、利益の確保も難しくしてしまう。店舗の実態は、企業経営そのものを映し出すものであり、本部施策そのものが評価される場所である。企業のすべての活動、すべての業務が結実する場所が、顧客に商品を販売することで売上を作り、利益を得る店舗である。経営者や本部マネジャーは本部で報告を受けるのではなく、企業経営の最も大事な要である店舗に自ら足を運び、現場の状況を自らの目で確かめ、現場の声を自らの耳で聴くことが大事である。店舗数の関係などで、経営トップが店舗に行けない場合は、「経営者が、まず店舗に行く」ということを代替する仕組みを作ることが求められる。
経営者や本部マネジャーが行動で店舗の重要性を考えていることを示すことは店舗従業員に勇気を与える。勇気を持った従業員はモチベーションを上げ、スキルを向上させ、顧客サービスの向上に結び付いていく。こうした本部と店舗の一体感が店舗力を強め、企業力を強くしていくことになる。それにはどうしても、セルフレジが稼働し、顧客が実際にレジ操作をしている店舗の現場で、セルフレジ担当者と他部門担当者を交えた情報交換により現場のことを一番よく熟知している店長を中心に、セルフレジ担当者を交えて、経営者、本部マネジャーが情報交換をし情報を共有することが不可欠となる。
厳しい消費環境と激しい競争の中で、今、小売業に求められているのは生活者の支持を集める強い企業力である。それは、消費生活の向上に向けて、人の力と店舗の力を強固に束ね、顧客サービスと顧客満足度を向上させることで実現できる。セルフレジの導入は、そのチャンスと言える。