六、POSデータ(商品の売上)から簡単に経営診断ができる
小売業の経営は、即ち、商売がうまくいくかどうかは、全面的に経営者の体力・気力・感性・人間味・企画力・先見性にかかっている。
理想的な経営者とは、これらをすべて兼ね備えていると言う事になるが、現実には、それ程の経営者は少ないし、繁盛店であれ、大企業であれ、多くの弱点を持ち合わせている。
しかし、繁盛店の経営者に共通して言える事は、自主性、積極性を持って、目的・目標に向かっていく行動力がある反面、細かい計数管理はちょっと苦手で、他人任せにしている事も少なくない。
経営者であれば、誰もが今日の売上や月間の売上、利益が気になり、毎日、全体売上を確認しているに過ぎない。そして、予算に達したら、『よく頑張ってくれました』、逆に、予算に達しない場合は、『もう少し、頑張って下さい』という感想で終わってしまう。
従業員は、何を頑張れば良いのか、さっぱり分からない。これでは、店は、何も変わらないし、刻々と変化するニーズには対応できない。繁盛店が、いつの間にか不振店になっていることもある。
チェーン本部のFC(経営相談員)から、いろいろと『経営指導』を受けているが、経営というよりも商品、或いは、店舗運営の事が中心で、それに、週2回来て、店舗の状態をチェックし、新商品等の説明をした後、1、2時間程度で帰ってしまう。その為、正直言うと、『あまり頼りにならない。しかも、若く、経営経験も少ない上、喋る内容はマニュアル通り』と言う事である。
繁盛している店のオーナーに秘訣を聞いたら、
『弁当、おにぎり、サンドイッチといった一日で売り切らなければならない商品の売上・廃棄だけを毎日ノートにメモをして、前週の同一曜日と比べたり、前月の売上と比べて分析した結果で、従業員に必ず作業指示を書いたメモを渡してシフト・チェンジを行っている。また、従業員にも、作業結果のチェックと気が付いた事をメモさせている。たったこれだけの事をずっと続けてきただけですよ』と言う。
更に、続けて、『この方法は、現在は契約更改で辞めてしまったオーナーから教えて頂いて、その通り実行しているだけです』と言う。
その方法とは、(図3 ─ 61参照)看板商品群の商品売上及び、推移、傾向を判断して、作業を指示するだけの事なので、誰でもできる。
この看板商品が売れていて、廃棄ロスが少ない場合は、店舗運営面(発注、補充、クリンネス、鮮度管理等)全般に渡って、商品管理(発注・補充・鮮度維持・接客等)が上手く行われていると判断できる。メモには、
【フレンドリー・クリンリネス】を心掛けよう
① お客様に対して関心を持って下さい
・ 進んでお客様に声をかける
・ お客様の顔や名前を覚える
・ 常連のお客様が買う商品を覚える
② 商品に対して関心を持って下さい
・ 新商品を味見して、感想をメモに書いて下さい
・ 新商品を使って、感想をメモに書いて下さい
・ 陳列場所を覚えて下さい
③ 気持ちの良い応対を心掛けて下さい
・ 接客用語を必ず使って下さい
・ 笑顔を忘れずにして下さい
・ スピーディな応対を心掛けて下さい
④ お客様が入り易いように、店頭・周辺・ごみ箱を奇麗にして下さい
⑤ 買い易く・清潔な売り場にして下さい
・ ゴミが落ちていたら拾って下さい
・ 清潔なユニフォームにして下さい(取り替えて下さい)
等の中で、少し乱れている項目だけを書き、必ずチェック印を付けて貰う。
反対に、売上が落ちたり、廃棄ロスが多い時は、発注上の注意点やロス原因を調査するように指示し、陳列状況を小まめに見て、整理整頓や鮮度チェックと温度管理の指示、或いは、商品入替情報、発注上の注意点(天候・行事等)、ストコン上の単品データの把握等、気が付いた事を書き(書かせたり)、情報を共有して、コミニュケーションを図る。これを毎日継続することで意識が一致し、一ヶ月もすると、提案や要望がメモで書かれているようになる。
従業員意識を高める為に、予算を決め、それが達成されたら、5000円を積み立ていき、一定期間働いた学生アルバイトには、退職時に退職金(就職祝いも含めて)代わりとして、5万円位の背広等プレゼントしている。
これが、好評で、アルバイト学生は自分が辞めた後、次の質の良いアルバイト(後輩)を紹介してくれるので、従業員には困らない。
一方、食品スーパーにも、看板商品として『精肉・鮮魚・惣菜』が該当するので、これらの売上、値下、廃棄の金額を管理(推移、傾向含む)して自店の経営診断を行うと、顧客からの評価(支持率)が分かり、何を改善すれば良いのか直ぐに判断できる。
食品スーパーの場合でも、最低10部門位あるが、店長をはじめとして管理職員は、その中で一、または、二部門しか担当しなかった人が多く、当然ながら、全商品の商品知識を把握しきれていない。
このような状況下で、商品を顧客(消費者)に買ってもらうのは、いささか難しい事である。当然ではあるが、店舗で扱っている商品について、(商品)知識を身につけなければ、販売面での強化を行うにもなかなか困難な時代(顧客の方が商品知識があると言う皮肉な現象も出ている)になったと言える。
NB商品は、どこの店舗でも取り扱いがあり、品揃えも似たり寄ったりで、店舗としての特長を出すのに、苦労しているが、繁盛店は、販売員の対応で成功している、その理由は、前述の商品知識は勿論のこととして、毎週のPOSデータを分析し、売れ筋・死に筋の把握とその理由を検証・確認して、接客に活用しているので、説得力が違う、単なる棚札でのお勧め商品や売上何位等のPOPだけでは、消費者は、なかなか商品を購入しなくなっている。
小売業の経営は、即ち、商売がうまくいくかどうかは、全面的に経営者の体力・気力・感性・人間味・企画力・先見性にかかっている。
理想的な経営者とは、これらをすべて兼ね備えていると言う事になるが、現実には、それ程の経営者は少ないし、繁盛店であれ、大企業であれ、多くの弱点を持ち合わせている。
しかし、繁盛店の経営者に共通して言える事は、自主性、積極性を持って、目的・目標に向かっていく行動力がある反面、細かい計数管理はちょっと苦手で、他人任せにしている事も少なくない。
経営者であれば、誰もが今日の売上や月間の売上、利益が気になり、毎日、全体売上を確認しているに過ぎない。そして、予算に達したら、『よく頑張ってくれました』、逆に、予算に達しない場合は、『もう少し、頑張って下さい』という感想で終わってしまう。
従業員は、何を頑張れば良いのか、さっぱり分からない。これでは、店は、何も変わらないし、刻々と変化するニーズには対応できない。繁盛店が、いつの間にか不振店になっていることもある。
チェーン本部のFC(経営相談員)から、いろいろと『経営指導』を受けているが、経営というよりも商品、或いは、店舗運営の事が中心で、それに、週2回来て、店舗の状態をチェックし、新商品等の説明をした後、1、2時間程度で帰ってしまう。その為、正直言うと、『あまり頼りにならない。しかも、若く、経営経験も少ない上、喋る内容はマニュアル通り』と言う事である。
繁盛している店のオーナーに秘訣を聞いたら、
『弁当、おにぎり、サンドイッチといった一日で売り切らなければならない商品の売上・廃棄だけを毎日ノートにメモをして、前週の同一曜日と比べたり、前月の売上と比べて分析した結果で、従業員に必ず作業指示を書いたメモを渡してシフト・チェンジを行っている。また、従業員にも、作業結果のチェックと気が付いた事をメモさせている。たったこれだけの事をずっと続けてきただけですよ』と言う。
更に、続けて、『この方法は、現在は契約更改で辞めてしまったオーナーから教えて頂いて、その通り実行しているだけです』と言う。
その方法とは、(図3 ─ 61参照)看板商品群の商品売上及び、推移、傾向を判断して、作業を指示するだけの事なので、誰でもできる。
この看板商品が売れていて、廃棄ロスが少ない場合は、店舗運営面(発注、補充、クリンネス、鮮度管理等)全般に渡って、商品管理(発注・補充・鮮度維持・接客等)が上手く行われていると判断できる。メモには、
【フレンドリー・クリンリネス】を心掛けよう
① お客様に対して関心を持って下さい
・ 進んでお客様に声をかける
・ お客様の顔や名前を覚える
・ 常連のお客様が買う商品を覚える
② 商品に対して関心を持って下さい
・ 新商品を味見して、感想をメモに書いて下さい
・ 新商品を使って、感想をメモに書いて下さい
・ 陳列場所を覚えて下さい
③ 気持ちの良い応対を心掛けて下さい
・ 接客用語を必ず使って下さい
・ 笑顔を忘れずにして下さい
・ スピーディな応対を心掛けて下さい
④ お客様が入り易いように、店頭・周辺・ごみ箱を奇麗にして下さい
⑤ 買い易く・清潔な売り場にして下さい
・ ゴミが落ちていたら拾って下さい
・ 清潔なユニフォームにして下さい(取り替えて下さい)
等の中で、少し乱れている項目だけを書き、必ずチェック印を付けて貰う。
反対に、売上が落ちたり、廃棄ロスが多い時は、発注上の注意点やロス原因を調査するように指示し、陳列状況を小まめに見て、整理整頓や鮮度チェックと温度管理の指示、或いは、商品入替情報、発注上の注意点(天候・行事等)、ストコン上の単品データの把握等、気が付いた事を書き(書かせたり)、情報を共有して、コミニュケーションを図る。これを毎日継続することで意識が一致し、一ヶ月もすると、提案や要望がメモで書かれているようになる。
従業員意識を高める為に、予算を決め、それが達成されたら、5000円を積み立ていき、一定期間働いた学生アルバイトには、退職時に退職金(就職祝いも含めて)代わりとして、5万円位の背広等プレゼントしている。
これが、好評で、アルバイト学生は自分が辞めた後、次の質の良いアルバイト(後輩)を紹介してくれるので、従業員には困らない。
一方、食品スーパーにも、看板商品として『精肉・鮮魚・惣菜』が該当するので、これらの売上、値下、廃棄の金額を管理(推移、傾向含む)して自店の経営診断を行うと、顧客からの評価(支持率)が分かり、何を改善すれば良いのか直ぐに判断できる。
食品スーパーの場合でも、最低10部門位あるが、店長をはじめとして管理職員は、その中で一、または、二部門しか担当しなかった人が多く、当然ながら、全商品の商品知識を把握しきれていない。
このような状況下で、商品を顧客(消費者)に買ってもらうのは、いささか難しい事である。当然ではあるが、店舗で扱っている商品について、(商品)知識を身につけなければ、販売面での強化を行うにもなかなか困難な時代(顧客の方が商品知識があると言う皮肉な現象も出ている)になったと言える。
NB商品は、どこの店舗でも取り扱いがあり、品揃えも似たり寄ったりで、店舗としての特長を出すのに、苦労しているが、繁盛店は、販売員の対応で成功している、その理由は、前述の商品知識は勿論のこととして、毎週のPOSデータを分析し、売れ筋・死に筋の把握とその理由を検証・確認して、接客に活用しているので、説得力が違う、単なる棚札でのお勧め商品や売上何位等のPOPだけでは、消費者は、なかなか商品を購入しなくなっている。