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インピーダンスについて 2

2008年12月24日 01時44分58秒 | オーディオ

こんばんは。
今日はインピーダンスについての続編です。今回のテーマではちょっと数字が出てきますが、このブログであまり細かいことや専門的なことを言うのもどうかと思いますので、ちょっぴり端折って書きますので大まかなイメージだけでもつかんでいただければと思います。

スピーカーユニットの設計でインピーダンスがどのような意味を持つかは意外に語られていませんが、最初に結論を言ってしまうと、設計者からしてみると結構悩ましいテーマなのです。そのため、海外製のプロ用ユニット等で同じモデルで8Ωと16Ω仕様があったりするのは結構驚きます。おそらく一般のユーザーの方からすれば、仕様の一部が違うだけで、基本的には同じというイメージをお持ちかも知れませんね。

ではインピーダンスが違うことで何が起きるかを述べてみます。一番影響を受けるのはやはりボイスコイルということになります。話を分かりやすくするために、例題として小型ユニットで一般的なボイスコイル径Φ25で具体的な数字を出してみましょう。数字が苦手な方にはちょっととっつきにくいかも知れませんが、そんな難しい話ではありませんので我慢してついてきてくださいね。

前にもお話したように一般の市販ユニットでは、4Ω、6Ω、8Ω、16Ωがありますが、代表的な4Ωと8Ωを例に話を進めることにします。(おい、PARC Audioは6Ωユニットがほとんどじゃないの? なんていうツッコミはご容赦を。あくまで分かりやすく説明するための例題ですから)

さてここからいよいよユニット設計の第一歩であるボイスコイルの設計に入ります。ユニットの公称インピーダンスが決まると、自動的にボイスコイルのおおよそのDCRが決まります。メーカーやモデルによって若干のバラツキはありますが、一般にDCRは公称インピーダンスの80%前後というのが相場です。先にも書いた聴感上の能率という点で、公称インピーダンスよりもプラスにDCRを設定するケースは非常にまれかと思います。

そこで、それぞれのDCRを仮に80%値の3.2Ωと6.4Ωとしてボイスコイルの設計値を見てみましょう。ボビン厚やボイス径は全て共通で、使用する線材は全て銅線、一般的な2層巻きとします。プレート厚は5mmとしましょう。基本的にXmaxは同じにすることが基本となりますので、巻幅は可能な範囲で同じになるように計算します。

1)DCR3.2Ω、線径Φ0.22、巻幅10.7mm (Xmax 2.85mm)
 線材重量2.3g、巻数86T

2)DCR6.4Ω、線径Φ0.17、巻幅10.2mm (Xmax 2.62mm)
 線材重量1.6g、巻数102T


上の数値を見ると、インピーダンス設定(DCR)を変えるだけで、同じボイスコイルサイズで設計しても使用する線材の線径サイズが大きく変わることが分かります。また線材重量や巻数も大きく違っています。ちなみに全く同じ巻幅になってないのは、通常量産されている線材が0.1ステップでしか存在しないためです。

ここでピンときた人もいらっしゃるかも知れませんね。そうなんです。線径が5ランクも違い、線材重量も大きく(50%)違うということは、もはやこの2つのボイスコイル言い換えればスピーカーユニットは別物と言ってもいいくらいなのです。

さらにボイスコイルの線材径が変わるということは、ボイスコイルそのものの最大外径も変わることになり、理想的な設計をしようとすると、磁気回路のギャップ寸法も変更することになります。当然線径の太い線材を使用する低インピーダンスのモデルは磁気ギャップが大きくなり、結果として磁束密度も落ちることになります。

ということで、聴感上の能率は別として、
スペックとしての能率(当然1W入力での)を考えれば、低インピーダンスのモデルは重く、磁束も弱く、なおかつ有効磁束内の線材長も巻数にほぼ比例して短くなるので、あまりメリットはないように見えます。

じゃあインピーダンスは高い方が良いのかというと、簡単にそう言えないのがユニット設計の難しいところなのです。というのはここで音質ということを考えると、音質的には低インピーダンスユニットで線径の太い線材を使用するメリットということも結構あったりするからです。

おいおい、じゃあ結論はどんなんだ~? ということですが、私自信の経験で言えば中間の6Ω設定というのが、そこそこ太目の線材が使えるわりにあまり磁気ギャップも大きめにせずにすみ、聴感上の能率も若干高めになることもあり、一番やりやすいかなぁといった感じです。

まぁ今日お話したかったのは、どっちがいいということではなく、インピーダンスが変わるということはスピーカーユニットにとってかなり大きな影響を受けるということなのです。今後、いろいろなモデルのスペック表を見るときにRe値(DCRに近い値)に注目してみるのも面白いと思います。同じインピーダンスでも各社、各モデルで微妙に違ったりして、設計者の苦悩を感じることも出来ます。(笑)

ちなみに、Reが分からないものは、実際にテスターでDCRを測ってそれを比較する方法もあります。では今日はこの辺で。


PS:いよいよ2008年も残り少なくなってきました。PARC Audioのキャンペーンも終了まであとわずかです。ご購入を検討されている方は、是非キャンペーン期間を見逃さないようにしてくださいね。


 

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19 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (UTP)
2008-12-24 12:53:13
>1周年キャンペーン
はい、それに後押しされて(それとK無線のキャンペーンと)前から予定していて、でも延び延びになっていたF131PPを買いました!…で、目下どの賞に応募するか、悩んでおります

ところで、インピーダンスの質問!

小学生の頃にどうにか読み始めた電気雑誌には、200Ωとか400Ωのユニットも載っていました。真空管式カラーテレビでは松下など実際に400Ωのユニットを用いていました(粗大ゴミTVの解体が趣味の1つでした)。

…これだと、ボイスコイルは髪の毛くらいの線材が必要なのですか?…それで廃れたのかな。
返信する
Unknown (kou)
2008-12-24 14:59:01
こんにちは、
インピーダンスのお話、とても参考になりました。
当方ではかなりパワーを入れた使い方をするため、昔全く同じユニットの4Ωと8Ωを聴き比べしたことがあります。ギャップ幅も同じだったと思います。

8Ωユニットは、中音量レベルまでで聞く分にはあきらかに音質が良かったです。しかし大音量にするとSPの音が歪んでしまうのです。
4Ωのほうは小中音量では8Ωユニットに対して音質が少し劣って聴こえるけど、大音量にしても安定して音が出てくるのです。
因みにアンプの定格出力は150Wのものです。
大音量時には平均でアンプ出力が20~30W程度の出力で聴いていました。(大きな部屋でかなり音量を上げた場合です)
ただ普通に小さな部屋で聴く分にはアンプ出力も2~10W程度です。

このことから十分パワーが入るのはインピーダンスが低いSPであるようですね。

やはり4Ωと8Ωとでは音質も違いますが、最も大きな違いは入力に対しての安定性も違ってくるということでしょうか?
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Unknown (PARC)
2008-12-24 22:15:06
UTP様

400Ωというのは、ちょっと普通の線材では厳しい感じがしますが、ひょっとして誤記かもしくはトランスでも付いているということではないでしょうか。

キャンペーンの抽選は1月中旬にはしたいと思っていますので、ご応募お待ちしておりますね。
返信する
Unknown (PARC)
2008-12-24 22:23:04
kou様

ご指摘の入力に対しての安定性については、あまり比較した経験がないので偉そうなことは言えませんが、もしあるとしたらやはり線径の違いが影響しているのかも知れません。

ただアンプから見れば、低インピーダンスのスピーカーは結構厳しいかとも思いますが。
返信する
Unknown (Yah!)
2008-12-24 23:03:13
こんばんわ、とても勉強になりました。

少し教えてください。(2点ほど)
1つは、「音質的には低インピーダンスユニットで線径の太い線材を使用するメリット」とありますが、これは、
①理論的なものがあり、音質がかわる
のか
②理論には現れないけど、確実にいえる経験則
のか、どちらでしょうか? いろいろお話をお伺いすると音には理論で語れないところがたくさんあるようで、この場合はどちらなのかな?と思いましたので。

2つめは、昔(20年ぐらい前?)ソニーのカタログだったと思いますが、「音源がレコードからCDに変わり、スピード感やダイナミック感(?)のある音を実現が求められはじめました。従来の8Ωでは対応が難しく、4Ωはアンプに厳しい。そこで、これからは6Ωです」なる文言をみた記憶があります。まぁ、かなり昔の記憶ですし、カタログはユーザーの心をつかむために、少し湾曲して書いてあることもありますが、インピーダンスでそのような傾向ってあるんですか?
話題の「インピーダンス」を見てふと思い出し、気になったもので...
変な質問ばかりですみません。
返信する
Unknown (元気です)
2008-12-24 23:32:19
その後、コアキシャル開発如何でしょうか?

本年待つ頃に発表予定と以前お伺いしました。

お待ちしていますのでよろしくお願いいたします。

返信する
Unknown (PARC)
2008-12-24 23:36:03
Yah!様

一つ目の質問への回答は、理論というより経験則といった感じです。今までの経験では、インピーダンスに関係なく線径をupすると音も太く(厚く)なるという印象を持っています。ちなみにバランス的に音が細めになった時は先ず線径upを検討するというのが私の定番メニューです。
ただスピーカーの場合、線径をupするということは巻幅や重量もupするので、純粋に線径upだけの効果を検証するのは無理かと思います。

ソニーの文言の件は、私も知りませんでした。私がやっていた当時は、6Ωの最大の目的は同時比較試聴時の聴感上能率up対策だったと記憶しています。単品スピーカーとして4Ωはさすがにアンプを選ぶので、8Ωか6Ωの選択だった中での話だと思います。
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Unknown (PARC)
2008-12-24 23:38:37
元気です様

コアキシャルですが、販売店様からもいろいろと価格等についてコメントをいただき、現在鋭意開発中です。残念ながら少し予定より延びて、何とかA&Vフェスタで発表できればと思っているのですが・・・。
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カーオーディオ (M田)
2008-12-24 23:38:58
の世界は2オームとかのSPを使うのではなかったですかね? 電源電圧が低いから電流値を稼ぐ為にこんな低いインピーダンスにするのでしょうか? クルマはボディを導体代わりにすることも関係あるのでしょうね?
返信する
Unknown (PARC)
2008-12-24 23:42:54
M田様

私も2年ほどカー用のユニットをやっていましたが、さすがに2Ωというのは無かったですね。でも4Ωをパラで使われている方はいるかも知れません。
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