大船渡でグランドゴルフの大会があり
それにおふくろが参加するのだとか。
いつもは仲間の車に乗って行っていたけれど
申し訳ないので今回は、自分の車で自分で運転して行く事にしたらしい。
しかし、道が分からないので休みの日に下見に連れて行ってくれという事だった。
おふくろと、その下見に行って来た。
片道2時間は覚悟だな…と思ったので
8時に出発と言う事にした。
途中、トイレ休憩などを考慮しての早めの出発である。
出発して早々におふくろはいろんな話をし始めた
一人で運転して行こうと思った経緯であるとか
おやじの愚痴とか
他愛のない事だったのだけれど
俺は『うん。うん。』と話を聞きながらの運転。
出発してから10分ほどして
おふくろの話す隙間を狙って質問してみた
『あのさ、ところで大船渡のなんて言う所に行けばいいの?』
『あっ!!!書いてる紙を置いてきた!!』
…
あのさ。
今日は一体何をしに来たわけ??
おやつや飲み物を準備して来てくれたのはいいけれど
一番のメイン。肝心なやつを忘れてきちゃダメじゃね?
『とりあえず、大船渡の盛駅(さかり)に行けば分かるはず』
と、言うので向かう事に。
グランドゴルフの楽しさや、仲間との交流の話
おやじも寝てばかりいないで一緒にグランドゴルフをすればいいのにとか
以前、勤めていた病院の職員たちへの不満とか
その中の誰かが、さんざん男に貢がせてその男を捨てた話とか
骨粗しょう症の話
料理の話
美味しい蕎麦屋の話
地域の集まりの話
俺が子供の頃の話。
…
とにかく壊れたみたいに良く喋るのである
おやじも弟も、おふくろのこういう雑談には付き合わない
その反動が大きくて余計に俺が聞くことになる
『へぇ~そっか。そんで?うん。それは大変だぁ。』
ずっとそれ。
俺の近況報告を少し始めると
『そう言えば似たような話でこういうのがあった!』
みたいになって
いつの間にかおふくろが主導権のトークになってる始末。
それでも俺は『ふむふむ。』と話を聞くのである
親孝行ってこういう事なのである。たぶん。
トイレ休憩などをしながら約2時間後に盛駅に到着した
その瞬間におふくろが言った
『え?どうやって来たの?どこで曲がったの?』
あのさ…
道を覚えながら来たかったんじゃないの?
メインがおしゃべりになって、景色を全然見ていないんだよね。
『標識の「盛」って文字を目指しながら来ただけだよ。そしたら駅の表示があったんだよ。』
大丈夫なんだろうか…。
一人で来たら、一体どこへ到着するんだろう。
とりあえず、大船渡のどこでグランドゴルフをするのかも分からないと言うので
駅の人に聞きに行った…
するとご丁寧に外まで出てきておふくろに説明してくれて。
無事にその場所に到着することが出来ました。
以前もそこで大会をやった事があると言うおふくろに
『どう?ここで間違いない?』
『う~ん…こんな感じだったかな。うん、ココだ!…あれ?でもなぁ』
…
たいがい覚えていると思うんだ
どんなに記憶力が悪くても。
大会で2回は来てるっていうんだから。
それなのに…キョトンとしている。
『ほら、あの山のトコの煙突なんて特徴的じゃん。見覚えは?』
『だってゴルフの時は下を見てるからなぁ…あはは』
あははじゃねぇよ。
『そう言えば、立派なトイレがあったのを思い出した!』
『さっき過ぎて来たトイレ?』
『トイレあった?』
…頼むから見ていてくれよ
『ほら、あそこに立派なトイレあるじゃん。あれじゃなくて?』
『あ!ここだ!何となく。』
確定じゃないのかよ。
俺もボケてる所があるから、おふくろに似たんだと思う。
ゆっくりとその場所を見せてたら納得したようで
『やっぱりここだ!』(やかましいわ
一応、覚えてもらうために
大船渡に入ってから初めて曲がる交差点まで戻って
『ほら、ここからちゃんと景色見て覚えなよ?』
目印になる建物や看板を教えながら
曲がる場所を教えて
それを2回ぐらい…。
これで迷子になるならもう俺はお手上げである。
昔、この近辺の海によく釣りに来ていた
おふくろも釣りに夢中になったので
何となく覚えている場所もあったみたいだ
しかし、津波の影響で目印になる建物がなくなっていたり
かさ上げ工事、防潮堤の工事で見える景色が記憶の物と一致しない
遠くの山の形は見覚えがあるんだけれど
近辺が変わりすぎて分からない…
『懐かしいね~』とか言いながら走るつもりだったのに
『全然わからん。変わっちゃった。』ばかり言っていた
帰りに海の美味しいものでも食べて…と思っていたのに
『特に海の物を食べたいわけじゃない。ご飯は朝食べたから麺がいい』
と、俺の希望とか関係なく言い放った
…まぁいいさ。
今日はおふくろの言うとおりにしてやろうじゃないか。
帰りに美味しいパン屋さんに寄って
パンを購入し
我らの住む街まで戻ってきた
『よく行く蕎麦屋さんに行きたい』と言うので
その蕎麦屋さんまで行った
この蕎麦屋がまた遠いのだ
市内だとは言え、ずっと山の方まで向かわないといけない
…で、到着したら定休日なのね。
火曜定休らしい。後から聞いた話によると。
食べ物を探して
やっと入った食堂で食べて来た
おふくろがタンメン
俺はカツ丼だった
…
パン屋の支払いも
飯の金も出したんだけど
おふくろが申し訳なさそうに
『休みに付きあわせたのにお金も出してもらって…』
と言うので
『次回は、おっかあのゴチで寿司にでも行くべし』
って言ったら笑っていた
ずっとグルグル走って合計で6時間近くも走っていた…
疲れた
でも、おふくろがとても楽しそうだったので良かった事にしよう
盛駅
BRT(震災の影響で使えなくなった路線をバスで運行してる
大船渡のサンマは美味しいそうなので是非。
肉厚のカツ丼(普通盛り