ともちんたん

☆日記
☆Iラブ鹿島アントラーズ

王座奪還

2013-02-12 13:10:48 | 鹿島アントラーズNEWS
2013年Jリーグ「王座奪還」
鹿島アントラーズ編 

2012年シーズン、11位という不本意な結果に終わった鹿島アントラーズ。強化責任者を務める鈴木満常務は今季、ふたつのテーマを掲げた。「鹿島サッカーの復活」と「4年ぶりのリーグ制覇」だ。

 昨季は、鹿島らしくないタテに速いサッカーを展開。その点について鈴木常務は、「(選手の構成上)仕方がなかった。そのやり方を通すしかなかった。選手をそろえられなかったフロントにも責任がある」と結論づけ、そのうえで今季のチームの方向性についてこう明かした。

「長いリーグ戦で、安定した戦いをして優勝を目指すには、常に勝ち点を拾える、主導権を握るサッカーでなければいけない。今年は、それをやってもらう」

 決して簡単ではないミッションに挑むのが、トニーニョ・セレーゾ監督である。2000年から2005年まで指揮し、2000年には史上初の三冠(リーグ、ナビスコカップ、天皇杯)を果たすなど、多くのタイトルをチームにもたらした。もはやその手腕に疑いはない。

 加えて、ある能力を期待されての再就任になる。セレーゾ監督の1次政権時、クラブは大きな赤字を抱え、予算を大きく削らざるを得なくなった。選手の年俸を抑制するのと同時に、監督の年俸も大きく抑えることになった。就任5、6年目などは、鹿島の外国人監督で史上最低の年俸だったという。

 当然、移籍金を払って、新しい選手を獲得することなどできない状況だった。それでも、セレーゾ監督はクラブ状況を理解したうえで契約書にサインし、文句ひとつ言わずにチームの構築に取り組んだ。そして、リーグ戦では常に上位を演じるチームを作った。限られた環境の中で、クラブの最大限の力を引き出す能力に長けた指揮官なのだ。

 研究好きな一面が、その原動力。一見、ユーモアのある言動から楽観的な人間に映るかもしれないが、鹿島から貸与される自宅は、常にJリーグのデータを集めた紙と映像資料でいっぱいになっていたという。その量は机の上、本棚に収まりきらないほどで、紙は床の上にも並べられていた。練習以外の時間のほとんどは、自宅にこもって研究を続ける。現役時代、スターと言われた監督は感性に頼りがちだが、セレーゾ監督はそうではない。

 さらに、セレーゾ監督は練習時間が長い。午前9時から始まった練習が、午後1時、2時まで続くこともしばしば。特に若手や試合出場機会が少ない選手にとっては、厳しい練習が待ち受けることになる。その善し悪しは別にして、チームの世代交代には若手の台頭が必要不可欠であり、今のクラブ状況を考えれば、適任者と言える。

 また、今年は新井場徹(セレッソ大阪)、増田誓志(蔚山現代/韓国)、興梠慎三(浦和レッズ)と主力クラス3人が流出したが、代わってダヴィ(ヴァンフォーレ甲府→)、野沢拓也(ヴィッセル神戸→)、前野貴徳(愛媛FC→)、中村充孝(京都サンガ→)ら、遜色ないメンバーが加入した。優勝を狙うライバルクラブと比較して、決して戦力が抜きん出ているとは言えないが、的確な補強に成功したと言える。

 リーグ優勝を逃した要因として、最も大きかったのは決定力不足だ。チャンスは作る、ボールも持てる、だが、勝ち切れない。この連鎖を断ち切る意味でも昨季のJ2得点王で、過去にJ1でも実績のあるダヴィの獲得は大きい。

おまけに“鹿島サッカーの申し子”野沢の復帰で、伝統のポゼッションサッカー、流動的な中盤の復活は約束されたようなもの。プレースキックの正確さも持ち味で、セットプレイからの得点も上積みが見込める。

 中村も、長年探し求めていた攻撃にアクセントをつけられる2列目としてうってつけの選手だ。ここ数年の反省点を見極めたうえでの補強。大金を使ったわけではないが、強い鹿島がよみがえる可能性を十分に秘めた戦力が整った。

 セレーゾ監督は監督就任会見で、こう決意を示した。「目標というのは、当然ながらひとつでも多くの勝利を手にすること。今のJリーグは実力が拮抗している。昔は数チームが優勝争いする状況だったのが、今では全チームに優勝の可能性がある。でも、(自分たちは)昔と同じことをやっていく。相手に対してアグレッシブにプレスをかけて、ボールを奪いにいく。そこから攻撃に転じるという、変わらないやり方をしていく。全員で帰陣して、全員で守備をして、全員でボールを奪取しにいく。そして、アグレッシブにやる、ということに変わりはない。理想を言えば、相手に何もさせないサッカーを実践したい」

 選手の気持ちも同じだ。小笠原満男は「昨年は、サポーターに悔しい思いをさせてしまった。今年は、すべてのタイトルを目指す。目標は全勝」と語った。ふた桁得点を目指す大迫勇也も、「全部のタイトルを狙う」と断言する。

 余談であるが、試合を指揮する際、セレーゾ監督のトレードマークとなっていたジャージー姿、首に白い手ぬぐいを巻くというスタイルは、スーツサプライヤー契約を結ぶ関係で変更されそうだ。ジャージーの代わりに『NEWYORKER』のスーツ、手ぬぐいの代わりにはマフラーが用意される見込み。外見は変わるが、変わらない伝統のサッカーを取り戻すため、セレーゾ監督が鹿島復活に挑む。

宮崎キャンプ、練習試合

2013-02-11 11:47:43 | 鹿島アントラーズNEWS
横浜FMと甲府の練習試合の取材を終え、鹿島アントラーズ対宮崎産業経営大の練習試合の会場へ向かった。会場に到着した時には1本目の試合が、すでに始まっていた。そのメンバー構成が興味深かった。この4日間で複数クラブの練習試合を取材したが、どのチームも最初の試合に主力と思われる選手たちが出場していた。この場合、自分たちの試合を終えた選手たちは、若手の試合を見ることはほとんどない。

 だが、鹿島は違った。1本目を若手主体のメンバーで戦っていたのだ。ただでさえ、ピッチ内でトニーニョ・セレーゾ監督が笛を吹き、細かくゲームを止めて指示を出す。加えて、それをベンチからDF岩政大樹、MF小笠原満男、MF本山雅志ら、そうそうたる顔ぶれが見ているのだ。ピッチ内の選手は身が引き締まる思いだろうし、ベンチで見ている選手も若手の特徴をいち早くつかめる。そんな利点があるのではないかと思い、大岩剛コーチに聞いた。だが「(練習試合の順番に)深い意味はないと思いますよ。それが通常になっているだけで、特別なこととは思いませんし、たまたま最初は見る機会があっただけだと思います」と、否定されてしまった。

 それでも、この『通常』は、若手選手に良い刺激になっているようだ。2本目に出場したDF植田直通は「ミスも多かったし、パスの精度を一本一本大事にしたいと思います」と、この日の練習試合でのプレーを反省した。その後の3本目をベンチから見た植田は、入団会見でも手本にしたいと語っていた岩政のプレーを見ていたという。「プレーの流れで、同じような場面が何回かあるので。そのとき、大樹さんがどういう動きをするか。カバーのポジションとか、絞る動きとか、そういうちょっとした動きを学べます。そういう細かいところが一番大事だと思う。練習からもいろいろ教わっているので、早く取り入れてプラスにしていきたいです」。

 ピリッと引き締まった雰囲気の中で、練習試合を行った鹿島。試合のラストプレーでヘディングシュートをゴールに叩き込んだ岩政は「去年、あまり開幕で勝てなかったことをセレーゾも気にしていましたから、開幕までにある程度(チームを)つくっていくことをチームに言っています。過去2年、彼とやった経験がありますが、当時は(セレーゾ体制の)5、6年目で戦術的なこともほとんどやる必要がなく、キャンプはほとんどボールを使わずフィジカルをやっていました。そのときとは全然違うキャンプになっています。厳しさという面でここ数年足りなかった部分を追及していますし、一つのパスも細かく言う監督ですから、雰囲気は変わったと思います。僕の印象ですけど、過去歴代の鹿島の中でも急ピッチで仕上げていると思います」と、語っている。

 鹿島は15日まで宮崎キャンプを行う。分厚い選手層を誇るクラブの中で、誰がポジションをつかむのか。激しい競争の中で結束を高めながら、鹿島は開幕へ向かう

DF陣フォーメーショントレーニング

2013-02-10 01:59:00 | 鹿島アントラーズNEWS
J1鹿島の宮崎キャンプ第4日は8日、宮崎県総合運動公園陸上競技場で2部練習を行い、体力強化と同時にDF陣のフォーメーション練習に時間を割くなど、トニーニョ・セレーゾ監督が志向する戦術理解を進める段階に突入した。

午前はDFとそれ以外のポジションの2組に分かれた。DFは4バックが採用され、ラインコントロールやプレッシングのかけ方を繰り返した。FWとMFはサイド攻撃からのシュート練習。午後は10対10でボール支配を高める練習を徹底した。

DFラインでは新井場が抜けた注目の左サイドバックに中田や前野が入った。中田は「4、5年ぶり」という位置だったが、ベテランらしく落ち着いた対応。本職が守備的MFの青木は昨季同様にセンターバックへ。「しっかり監督のサッカーを理解したい」と話した。

右鎖骨骨折のけがが癒えた山村も「監督の意図をくんで、チームの戦術を理解するのが大事」と語った。第5日の9日はキャンプイン初の午後練習だけになる。

鹿島アントラーズ、補強診断

2013-02-08 04:22:15 | 鹿島アントラーズNEWS


昨シーズン、クラブ史上初めての二桁順位でリーグ戦を終えた鹿島アントラーズ。ジョルジーニョ監督は1年でチームを離れ、2006年までチームを率いたトニーニョ・セレーゾが新監督として就任した。勝負どころでしっかりと勝ち点を積み重ねていく、鹿島らしさを取り戻すことはできるのか。

2013シーズン 戦力の入れ替えIN OUT

ダヴィ〔完全移籍/ウム・サラル(カタール)〕
ドゥトラ〔完全移籍/KSCロケレン(ベルギー)〕
野沢拓也〔完全移籍/神戸〕
アレックス〔完全移籍/徳島〕
中村充孝〔完全移籍/京都〕
増田誓志〔完全移籍/蔚山現代(韓国)〕前野貴徳〔完全移籍/愛媛〕
興梠慎三〔完全移籍/浦和〕
川島大地〔期限付き移籍から復帰/山形〕
新井場徹〔完全移籍/C大阪〕
植田直通〔新加入/大津高校〕
岡本英也〔完全移籍/新潟〕
豊川雄太〔新加入/大津高校〕
宮崎智彦〔完全移籍/磐田〕
- レナト〔未定〕
- 佐々木竜太〔未定〕



鹿島らしい強さを取り戻せるか 

鹿島は昨年、5年間チームを率いたオズワルド・オリヴェイラ監督の後をジョルジーニョ新監督が引き継ぎ、新しい体制でシーズンに挑んだ。全体的に高齢化が進む中で、若返りを図りながら結果も求められるという、ジョルジーニョ監督にとって難しいミッションだったのは間違いないだろう。リーグ戦では開幕から5試合目まで1得点しか奪えず、1分4敗と非常に厳しいスタートとなった。

 開幕前に川崎からジュニーニョを、シーズン途中にはドゥトラとレナトの外国籍選手を補強したものの、序盤の躓きを取り戻すことは難しく、リーグ戦は最終的に11位で終えた。鹿島にとって、二桁順位でリーグ戦を終えたのはクラブ史上初めてのことだ。一方、これだけ苦しんだシーズンでありながら、ナビスコカップを制覇したところに、鹿島の持つ本質的な強さも垣間見られる。

 ジョルジーニョ監督は家族の問題もあり、1シーズンで監督を退任。その後の監督人事が注目される中、最終的に2000年~2005年まで指揮を執ったトニーニョ・セレーゾの就任が発表された。鹿島は伝統的にブラジル人監督がチームを率いることが多いが、トニーニョ・セレーゾはその中でも非常に“堅い”サッカーを展開する指導者だ。セレーゾはイタリアで長くプレーしたこともあり、ディフェンスに対する厳しい視点を持っている。

その手堅さは、どんな試合展開でもしっかりと勝ち点をものにする“鹿島らしい”戦いを取り戻す助けになるだろうし、今オフに獲得した選手を見ると、その意図は十分に伝わってくるのではないだろうか。

 今オフ、チームに加わった選手はウム・サラル(カタール)から加わったダヴィを筆頭に7人。一方チームを離れた選手は、ドゥトラ、興梠、新井場といったレギュラークラスを含めて9人であり、戦力ダウンを指摘されても仕方ないところはあるだろう。ただ、チームの方向性を考えた的確な補強がなされているのは間違いない。

 鹿島の戦いを特徴付けるポイントには、「堅いディフェンス」「鋭いカウンター」「セットプレーの強さ」が挙げられる。仮に相手に押し込まれても落ち着きを持って対処し、粘り強く守りながらカウンターのチャンスをうかがっていく。昨年のナビスコカップ決勝は、まさにその形を地で行くものだった。

 昨シーズンは、攻撃面で大きな役割を担っていた野沢の移籍した穴を埋められず、自分たちの形で戦うことができない試合が増え、それがリーグ戦11位という結果に結びついた大きな要因だったと言えるだろう。セレーゾの就任は、鹿島らしい強さを取り戻すための第一歩だと考えられる。前線にタレントは揃った。

ディフェンスラインが不安要素 

ヴァンフォーレ甲府から獲得したダヴィは、昨シーズンJ2の舞台で38試合・32得点と圧倒的なパフォーマンスを見せた。札幌、名古屋でも決定力の高さを存分に発揮していた選手であり、その能力に疑いの余地は無い。ただJ1で戦った最後のシーズンである2011年は、コンディションの調整が上手くいかず無得点に終わっているのも事実。また、鹿島の戦い方にすぐフィットできるかも不安の残る部分ではある。

 それでも、ダヴィの持つ高い決定力と一人で局面を打開できる突破力は大きな魅力で、彼の加入によって、鹿島のカウンターアタックがさらに対戦相手へ脅威を与えるものに進化する期待は高い。

 神戸から野沢が復帰したことも、鹿島のストロングポイントを取り戻すことに繋がるだろう。セットプレーのキッカーとして、直接ゴールを挙げるだけでなく、チームメイトのゴールを何度もアシストしてきた野沢の復帰は鹿島にとって大きなプラス材料だと言える。ボールポゼッションの面でもボールが収まり、周囲に落ち着きを与えられる選手だけに、京都から獲得した中村充孝や成長著しい大迫勇也らの若手アタッカーも、自分の力を発揮しやすい環境となる

ジュニーニョが残留したことも特筆すべきことだ。年齢を考えれば全盛期の働きを期待するのは難しいが、ベンチにジュニーニョが控えていることほど相手にとって嫌なことはない。また、ベテランの小笠原がシーズンを通してフルに働けるかという不安はあるものの、既に主力として貫禄すら感じさせる柴崎岳が中盤の軸となり、中盤から前線にかけてのメンバー構成は、期待を抱かせるだけの陣容になった。

 逆に少し不安を覚えるのが、ディフェンスラインの構成だ。新井場が抜け、愛媛から左サイドバックの前野貴徳を獲得して、人数的にはプラスマイナスゼロとなっているが、両サイドバックを高いレベルでこなすことのできた新井場の抜けた穴を埋めるのは簡単ではない。西と前野がサイドバックのファーストチョイスになるだろうが、バックアップメンバーに本職の選手がいないことも不安材料の一つだ。

 またセンターバックの陣容も不確定要素が多い。岩政大樹が軸となるのは間違いないが、ビルドアップに問題を抱えているのは長年の課題となっている。相棒の一人である中田浩二は長く負傷を抱え、高いパフォーマンスを継続して維持することが難しい。昨シーズンはセンターバックとして起用されることが多かった山村和也にしても、安定感のあるプレーを見せられたとは言い難いのが実情だ。

 2011年のU-17ワールドカップでベスト8進出の立役者となった、新加入の植田直通にも出場のチャンスはあるだろう。青木や昌子を含め適切な選手起用を行い、センターラインのディフェンスを安定化させることが、まずチームとして取り組むべき課題になると考えられる。

 チーム全体を見ると、攻撃的な役割を担う選手層には厚みを持つことができ、チームとしての方向性も明確となった。ディフェンスラインには若干の不安が残るが、トニーニョ・セレーゾ監督の手腕でどこまで手堅いサッカーを作り上げられるかが鍵になる。鹿島らしさを取り戻すことができれば、昨シーズンの11位から一気に覇権を奪回することも、十分に可能ではないだろうか。