ともちんたん

☆日記
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鹿島アントラーズ、補強診断

2013-02-08 04:22:15 | 鹿島アントラーズNEWS


昨シーズン、クラブ史上初めての二桁順位でリーグ戦を終えた鹿島アントラーズ。ジョルジーニョ監督は1年でチームを離れ、2006年までチームを率いたトニーニョ・セレーゾが新監督として就任した。勝負どころでしっかりと勝ち点を積み重ねていく、鹿島らしさを取り戻すことはできるのか。

2013シーズン 戦力の入れ替えIN OUT

ダヴィ〔完全移籍/ウム・サラル(カタール)〕
ドゥトラ〔完全移籍/KSCロケレン(ベルギー)〕
野沢拓也〔完全移籍/神戸〕
アレックス〔完全移籍/徳島〕
中村充孝〔完全移籍/京都〕
増田誓志〔完全移籍/蔚山現代(韓国)〕前野貴徳〔完全移籍/愛媛〕
興梠慎三〔完全移籍/浦和〕
川島大地〔期限付き移籍から復帰/山形〕
新井場徹〔完全移籍/C大阪〕
植田直通〔新加入/大津高校〕
岡本英也〔完全移籍/新潟〕
豊川雄太〔新加入/大津高校〕
宮崎智彦〔完全移籍/磐田〕
- レナト〔未定〕
- 佐々木竜太〔未定〕



鹿島らしい強さを取り戻せるか 

鹿島は昨年、5年間チームを率いたオズワルド・オリヴェイラ監督の後をジョルジーニョ新監督が引き継ぎ、新しい体制でシーズンに挑んだ。全体的に高齢化が進む中で、若返りを図りながら結果も求められるという、ジョルジーニョ監督にとって難しいミッションだったのは間違いないだろう。リーグ戦では開幕から5試合目まで1得点しか奪えず、1分4敗と非常に厳しいスタートとなった。

 開幕前に川崎からジュニーニョを、シーズン途中にはドゥトラとレナトの外国籍選手を補強したものの、序盤の躓きを取り戻すことは難しく、リーグ戦は最終的に11位で終えた。鹿島にとって、二桁順位でリーグ戦を終えたのはクラブ史上初めてのことだ。一方、これだけ苦しんだシーズンでありながら、ナビスコカップを制覇したところに、鹿島の持つ本質的な強さも垣間見られる。

 ジョルジーニョ監督は家族の問題もあり、1シーズンで監督を退任。その後の監督人事が注目される中、最終的に2000年~2005年まで指揮を執ったトニーニョ・セレーゾの就任が発表された。鹿島は伝統的にブラジル人監督がチームを率いることが多いが、トニーニョ・セレーゾはその中でも非常に“堅い”サッカーを展開する指導者だ。セレーゾはイタリアで長くプレーしたこともあり、ディフェンスに対する厳しい視点を持っている。

その手堅さは、どんな試合展開でもしっかりと勝ち点をものにする“鹿島らしい”戦いを取り戻す助けになるだろうし、今オフに獲得した選手を見ると、その意図は十分に伝わってくるのではないだろうか。

 今オフ、チームに加わった選手はウム・サラル(カタール)から加わったダヴィを筆頭に7人。一方チームを離れた選手は、ドゥトラ、興梠、新井場といったレギュラークラスを含めて9人であり、戦力ダウンを指摘されても仕方ないところはあるだろう。ただ、チームの方向性を考えた的確な補強がなされているのは間違いない。

 鹿島の戦いを特徴付けるポイントには、「堅いディフェンス」「鋭いカウンター」「セットプレーの強さ」が挙げられる。仮に相手に押し込まれても落ち着きを持って対処し、粘り強く守りながらカウンターのチャンスをうかがっていく。昨年のナビスコカップ決勝は、まさにその形を地で行くものだった。

 昨シーズンは、攻撃面で大きな役割を担っていた野沢の移籍した穴を埋められず、自分たちの形で戦うことができない試合が増え、それがリーグ戦11位という結果に結びついた大きな要因だったと言えるだろう。セレーゾの就任は、鹿島らしい強さを取り戻すための第一歩だと考えられる。前線にタレントは揃った。

ディフェンスラインが不安要素 

ヴァンフォーレ甲府から獲得したダヴィは、昨シーズンJ2の舞台で38試合・32得点と圧倒的なパフォーマンスを見せた。札幌、名古屋でも決定力の高さを存分に発揮していた選手であり、その能力に疑いの余地は無い。ただJ1で戦った最後のシーズンである2011年は、コンディションの調整が上手くいかず無得点に終わっているのも事実。また、鹿島の戦い方にすぐフィットできるかも不安の残る部分ではある。

 それでも、ダヴィの持つ高い決定力と一人で局面を打開できる突破力は大きな魅力で、彼の加入によって、鹿島のカウンターアタックがさらに対戦相手へ脅威を与えるものに進化する期待は高い。

 神戸から野沢が復帰したことも、鹿島のストロングポイントを取り戻すことに繋がるだろう。セットプレーのキッカーとして、直接ゴールを挙げるだけでなく、チームメイトのゴールを何度もアシストしてきた野沢の復帰は鹿島にとって大きなプラス材料だと言える。ボールポゼッションの面でもボールが収まり、周囲に落ち着きを与えられる選手だけに、京都から獲得した中村充孝や成長著しい大迫勇也らの若手アタッカーも、自分の力を発揮しやすい環境となる

ジュニーニョが残留したことも特筆すべきことだ。年齢を考えれば全盛期の働きを期待するのは難しいが、ベンチにジュニーニョが控えていることほど相手にとって嫌なことはない。また、ベテランの小笠原がシーズンを通してフルに働けるかという不安はあるものの、既に主力として貫禄すら感じさせる柴崎岳が中盤の軸となり、中盤から前線にかけてのメンバー構成は、期待を抱かせるだけの陣容になった。

 逆に少し不安を覚えるのが、ディフェンスラインの構成だ。新井場が抜け、愛媛から左サイドバックの前野貴徳を獲得して、人数的にはプラスマイナスゼロとなっているが、両サイドバックを高いレベルでこなすことのできた新井場の抜けた穴を埋めるのは簡単ではない。西と前野がサイドバックのファーストチョイスになるだろうが、バックアップメンバーに本職の選手がいないことも不安材料の一つだ。

 またセンターバックの陣容も不確定要素が多い。岩政大樹が軸となるのは間違いないが、ビルドアップに問題を抱えているのは長年の課題となっている。相棒の一人である中田浩二は長く負傷を抱え、高いパフォーマンスを継続して維持することが難しい。昨シーズンはセンターバックとして起用されることが多かった山村和也にしても、安定感のあるプレーを見せられたとは言い難いのが実情だ。

 2011年のU-17ワールドカップでベスト8進出の立役者となった、新加入の植田直通にも出場のチャンスはあるだろう。青木や昌子を含め適切な選手起用を行い、センターラインのディフェンスを安定化させることが、まずチームとして取り組むべき課題になると考えられる。

 チーム全体を見ると、攻撃的な役割を担う選手層には厚みを持つことができ、チームとしての方向性も明確となった。ディフェンスラインには若干の不安が残るが、トニーニョ・セレーゾ監督の手腕でどこまで手堅いサッカーを作り上げられるかが鍵になる。鹿島らしさを取り戻すことができれば、昨シーズンの11位から一気に覇権を奪回することも、十分に可能ではないだろうか。