凛太郎の徒然草

別に思い出だけに生きているわけじゃないですが

フランケンシュタイナー

2005年09月17日 | プロレス技あれこれ
 フライングヘッドシザースについて書いたのだけれども、その結文でも触れたように、フランケンシュタイナーはフライングヘッドシザースの発展系であるかのように思える。技の目指すところは違うし形状も異なるのではあるが。

 フランケンシュタイナーという技は、その名の通りスタイナー兄弟の弟スコット・スタイナーの必殺技である。ジャンプして相手の頭を足に挟んで、(スタイナーからみて)後方に反って勢いよく回転するように挟んだ相手の頭を引っ張り込み、相手の脳天をマットにたたきつけるというえげつない技である。
 相手の頭を足で挟んで倒す、という面から見ればそれはフライングヘッドシザースと同じ。形状が異なって見えるのは、相手の頭を挟む方向がフライングヘッドシザースの場合側面からのことが多いのに対し、フランケンシュタイナーは確実に相手の正面からである。そしてフライングヘッドシザースが相手を倒す、或いはその倒す過程で相手の首を捻って痛めることに主眼があるのに対し(だから投げるときに捻りを加える)、フランケンシュタイナーは相手の脳天をマットに突き刺す技である。捻って投げるのと違い正面から後方へ相手を投げるのであるから、相当の背筋力が必要となる。表現力に欠けるところはお許し下さい。

 スタイナー兄弟は日本マット登場後すぐにファンを魅了した。パワーとスピード感。タッグチームとしてはウォリアーズ以来の衝撃だったかもしれない。兄リック・スタイナーの投げっぱなしジャーマンと弟スコットのフランケンシュタイナーは日本マットでも流行し模倣するレスラーが次々と現れた。流行技になったとも言える。
 日本ではJr.ヘビー級の選手が多く使用した。ヘビー級では武藤敬司が第一人者だろう。武藤は少ない個性的な技で試合を組み立てる天才的レスラーだが、フランケンシュタイナーをレパートリーに加えることによってさらに魅力を増したと言える。なんと言っても派手。つなぎ技でなくシャニングウィザード、ムーンサルトプレス、4の字固めと並んで堂々のフォール技としている。前記の技を全て返されたとき、武藤はフランケンシュタイナーを繰り出す。蝶野との三冠へビー級の試合だったか(記憶があいまいなのだが)、「みんな技は返された。フランケンシュタイナーを持っていて本当に良かった」と語ったことがある。この技を信頼しているのだ。
 日本ではさらに雪崩式フランケンシュタイナーまで生まれた。最初にやったのはライガーだったように憶えているが正確なところはわからない。武藤もこれをやり、破壊力は凄まじいと言える。

 しかしながら、日本でこのフランケンシュタイナーが発展するとともに、ちょっと首をかしげる場面も出てくるのである。それはさんざん「第一人者」と言っているので矛盾するようだが武藤のフランケンシュタイナーにも言えることである。
 元祖スコット・スタイナーは、このフランケンシュタイナーを必殺技としていて、あくまでもノックアウト・フォールを目指す。脳天をマットに叩きつけて失神、体固めで3カウントである。しかし日本で多く見られるフランケンシュタイナーは、叩きつけた段階で相手の両肩に座り込むような形状になるため、そのまま後ろ手に相手の足を取り、エビ固めのような状態でフォールを取る。うーん。こういう形だと、フランケンシュタイナーが固め技に見えちゃうじゃないか。
 僕はジャーマンスープレックスよりバックドロップが好き、と以前に書いたことがあるが、それはバックドロップの方が相手をノックアウトして体固めでフォールだからである。ジャーマンはそのまま固めるので、ノックアウトじゃなくてもフォールが取れるように見える。そこに威力の強弱が見えてしまう。パワーボムも同様。テリー・ゴディはまっ逆さまに相手をマットに叩きつけて体固めでフォール。しかし日本では天龍をはじめとして、叩きつけた形状のままエビ固めにしてしまう。パワーボムの威力を信じて体固めにした方が3カウントに説得力が生まれるではないか。僕はずっとそう思っている。プロレスというものは、単純に3カウントを奪うだけを目標にすると力の優劣が見えない。相手に立ち上がる気力を失わせる破壊力のある技をフィニッシュにすることが魅力の原点ではないかと思うのだ。
 クドクドと書いてしまったが、フランケンシュタイナーを放ち後ろ手でエビ固め、は技の価値を半減させてしまうように思える。やはり体固めで決めて欲しい。
そして、もうひとつ体固めにして欲しい理由がある。そのまま固めれば、それはウラカン・ラナと非常に近しい技になってしまうからである。

 ウラカン・ラナというのは、いわゆるあっという間の固め技のひとつである。
そのネーミングから想像出来るようにこれはメキシコのルチャリブレの技。ウラカン・ラミレスが元祖と言われる。相手の肩の上に乗り(肩車されているような状態ですね)、そのまま前方へ倒れこんで相手をエビ固めに丸め込む。高角度回転エビ固めだ。
 これは相手の後ろから頭に飛びつくわけであるが、これが正面から飛びつけばもうフランケンシュタイナーと変わらない。そして、正面から飛びつく「ウラカン・ラナ・インベルティダ」という技もあるのである。ウラカン・ラナ・インベルティダの方がむしろメジャーになって、単にウラカン・ラナと言えばこのインベルティダを指すことすらある。
 形状からすれば、ウラカン・ラナは相手の肩に乗る、という定義があるが、そんなもの技の攻防の中では何がなんだかわからない。相手の頭を足で挟み込むフランケンシュタイナーも、深く入れば(モモあたりで挟み込めば)もはや肩車とさほどかわりはないのである。そしてエビに固めればもうほとんど同じだ。プロレスに詳しくない人が見れば両者の違いには気づかないだろう。こんなことでいいのか。

 フランケンシュタイナーは相手の脳天をマットに叩きつける「高角度パイルドライバー」とでも称すべきもの。回転エビ固めと同じでは必殺技の名が泣く。ぜひともフランケンシュナイダーを放てば体固めでフォールを奪って欲しい。

 小技さんのブログにフランケンシュタイナーの掲載あります。イラスト参照してみてください。金村キンタローのフランケンシュタイナーはこちら♪ この状態から相手の脳天をマットに叩きつけるわけです。キクのですよねぇ。小技さん、いつもお世話になります。


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4 コメント

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90年代の技 (明石屋_1955)
2005-09-19 01:34:09
スタイナー兄弟と馳健の試合は良かったですね。

ジュニアでは一時期トップロープからが流行りましたね。
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TBありがとうございます (小技)
2005-09-19 08:15:58
ウラカン・ラナとフランケンシュタイナー。

最近は区別つかないですね。

武藤選手の相手の頭を両手で押さえ付ける

ポーズは好きです。
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>明石屋_1955さん  (凛太郎)
2005-09-19 10:09:55
もうフランケンシュタイナーは前世紀の技か(笑)。

トップロープからよく放つのを見ますが危険やね(汗)。金本の雪崩式フランケンシュタイナー(しかもリバース)なんかは全く怖ろしい。受身とれませんがな^^;
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>小技さん (凛太郎)
2005-09-19 10:15:14
こちらこそいつもお世話になっています。

ウラカン・ラナと区別をつけるがためにも「体固め」でフォールして欲しいと思うのですが、武藤の乗っかって頭を押さえつけるフォールは確かにカッコいいのですね。見得を切れますし。固め技じゃないんだぞ、という姿勢を示してくれればいいのですが。

小技さんならわかっていただけると思いますが、タイガースープレックスとオースイスープレックスは違うのだぞ、ということが静止画ではわかりにくいので、それならバックドロップの方が判りやすい、と言いたいわけなのです(笑)。

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