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凛太郎の徒然草

別に思い出だけに生きているわけじゃないですが

スリーパーホールド

2005年02月17日 | プロレス技あれこれ
 旧聞で申し訳ないけれども、正月(2005年)の鈴木vs飯塚を見て感じたことは、スリーパーホールドもずいぶん派手な技になったのだということ。スリーパー合戦なんて僕がプロレスを見始めた頃には考えられなかった。これは、近年の総合格闘技ブームから派生したものだと思うけれど、以前は地味な技であった。相手のスタミナを奪う技として比較的誰もが使用してはいたが、これをフィニッシュに使うレスラーはまず見かけなかった。

 しかし、本来は必殺技の範疇であった。おそらく柔道の裸締めから派生したと思われるが、誰が最初にプロレスに持ち込んだのかは寡聞にして知らない(誰か教えてください)。ただ、これをフィニッシュとして一世を風靡したレスラーが居る。「AWAの帝王」バーン・ガニアである。
 バーン・ガニアの全盛期を知らないのが残念だ。ビデオで見た程度なのだが、さほど上背のなかったガニアは背後から飛びつくようにスリーパーに入り、相手を引きずり倒して気絶に追い込んでいた。文字通り相手を眠らせる「スリーパー」ホールドであり、決してスタミナを奪う技ではなかったことが知れる。ただその姿はやはり地味であり、フィニッシュに用いるレスラーが少なくなっていったのも頷ける。他にはマーク・ルーインがいる程度か。「アナコンダ殺法」と言われたよねぇ。
 痛め技としてなら柔道出身の坂口征二がよく使っていたけれども、坂口のスリーパーは左手が空いていたと憶えている。文章で書きにくいのだけれど、ガニアその他の普通のスリーパーは、右手を首に回して絞め、左手は相手の後頭部を押さえて絞めている右腕に首を押し付ける力を加えて絞めを強くしていた。しかし坂口は左手で相手の頭を押すことはしなかった。今にして思えば、豪腕坂口が本気を出すと相手が直ぐに落ちるため、加減をしていたのではないかと思えるがどうだろうか。それほどスリーパーはフィニッシュに使えない地味な技だったのだ。

 甦らせたのは、やはり猪木だったと記憶している。80年代半ば、新日にリターンしたUWF軍の頂上決戦で、猪木は藤原喜明と対戦した(猪木の急所蹴りらしき技と試合後の前田のハイキックで有名)。そのフィニッシュで、猪木は背後からガクン、と音がするような勢いでスリーパーを仕掛け、一瞬のうちに藤原を落としてしまった。
 スリーパーは極めるのに時間がかかるもの、と認識していた僕たちプロレスファンは大いに驚いた。こののちこの技は「魔性のスリーパー」と呼ばれ、ジャーマンも出来なくなり延髄斬りにも切れ味が無くなった、言わば老いたキラー猪木のフィニッシュホールドになっていく。
 猪木は語っていた。「このスリーパーが一瞬で極まる秘密は絶対に言えない。墓場まで持っていく」と。今考えればチョーク・スリーパーなのではなかったかと邪推するが、あまり考えることに意味はあるまい。

 さて、チョーク・スリーパーは、総合格闘技のおかげで今認知度が非常に高い。
 スリーパーホールドとは、本来頚動脈を絞めるもの。血が頭にいかなくなって気が遠くなり「落す」技である。ところがチョーク・スリーパーは文字通り「首を絞める」わけだ。ノドに腕をめり込ませ呼吸を止める。ムチャな技だな。むろんプロレスでは反則である。死んじゃうもん。
 総合ではレフェリーストップなりタップするなりするから死なずにすんでいるが危険だ。頚動脈なら「落ちる」から死ぬ前に勝負が決まるものを。
 ノゲイラが「スピニングチョーク」なる技を編み出して、総合にしてはなかなか派手な技でいいなぁと思った。総合は見せる要素が少ないのだが、さすがノゲイラはセンスがある。

 プロレスにおいても、スリーパーホールドは今ではフィニッシュとして認知され頻度も高い。だから鈴木vs飯塚なんてカードも組まれる。ただ、時々チョークに入っているものもあるように思う。窒息するからヤバいですよ。総合は総合なんだから、ちゃんと頚動脈を絞めなさいよ(汗)。

 派生技もいくつかあるが、ほとんど複合技になっていて、頚動脈絞めという観点からみると少しづつみんな違う。ドラゴン・スリーパーも落すというより首を極めている。バッファロー・スリーパーは腕極めとの複合。コブラクラッチは本来のスリーパーに近いか。フロントスリーパーも、どちらかと言えばネルソン系の首極め技に近いと思う。

 甦った必殺技というより、いろいろ付加価値がついて以前よりも脚光を浴びている。こういう技もあってもいい。さて、バーン・ガニアはどう思っているだろうか。

[追記]
小技さんのブログに掲載あります。イラスト参照してみてください。神取忍のスリーパー・ホールドはこちら♪ 



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