今日は、聞法会でした。今回から、九品(くぼん)の所に入ります。
そこで今日は、九品についての概略をお話ししました。
九品とは、人間を9種類に分けたものです。
1.上品上生(じょうぼんじょうしょう)
2.上品中生(じょうぼんちゅうしょう)
3.上品下生(じょうぼんげしょう)
4.中品上生(ちゅうぼんじょうしょう)
5.中品中生(ちゅうぼんちゅうしょう)
6.中品下生(ちゅうぼんげしょう)
7.下品上生(げぼんじょうしょう)
8.下品中生(げぼんちゅうしょう)
9.下品下生(げぼんげしょう)
善導以前の高僧は、上品は菩薩、中品は聖者や善人、下品は一時的に悪に陥ったものの臨終時に念仏して善人になった人というように解釈していました。「一生懸命頑張って修行して、すばらしい人になって、往生していく」という考え方です。
しかし、善導は、そういった考え方を真っ向から否定して、「上品は大乗仏教に遇った凡夫、中品は小乗仏教に遇った凡夫、下品は悪に遇った凡夫である」と断言しました。全部、凡夫だ、と。そして、九品を菩薩や聖者と考えるのは、仏の心を全く分かっていないからだと、厳しく批判されました。
「今、現に苦しんでいるものを救いたいというのが、仏の心であって、そういう苦悩の海に沈んでいる凡夫を安らかな浄土へ救い取ることが説かれているのが、この『観経』なんだ! 苦悩を克服した菩薩や聖者のために説かれた教えではない!」と、善導は独り、仏の本当の心を明らかにされたのでした(「善導独明仏正意」)。
自分の心さえコントロールできず、すぐに欲望と怒りが暴れ出して、愛憎に振り回されている私たちを、なんとかして救おうとされているのが、阿弥陀仏です。「散り乱れたその心のままでいいから、私の名前を称えなさい。必ず救うから、絶対に見捨てないから」と誓われた阿弥陀仏の行が、念仏です。南無阿弥陀仏。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます