地震とともに私たちの身近で起きる自然災害は水害です。増水・浸水、はんらんだけでなく、崖崩れなどの土砂災害も引き起こします。大阪芸大周辺では、川や用水路があふれる可能性があります。キャンパスの南側沿いには急斜面があり、崖崩れの危険性も潜んでいます。いざというとき、どのように命を守るか、考えてみましょう。<取材班>
大阪芸大のある南河内郡河南町周辺には、一級河川の石川(河内長野市〜藤井寺市・柏原市)と、それに流れ込む梅川(河南町)、飛鳥川(太子町)などがあります。石川は藤井寺市と柏原市の市境(この地図でいうと上の方)で大和川に合流します。
(画像:国土地理院地図 https://maps.gsi.go.jp/globe/index_globe.html#4004/34.51199686/135.62316059/1/0/-90/0/&base=std&ls=std&disp=1&lcd= )
この大和川水系はこれまでもはんらんの災害があった河川です。
川があふれると、住宅が浸水します。上の階に避難しないと溺れる危険があります(平屋建ての場合は、押入れの天井を破って屋根に上がり助かった例があります)。また、街や田畑に流れ込む水に自動車や歩行者が流されたり、深みにはまったりして(泥水は水底が見えません)溺れる場合があります。
また、葛城・金剛山系のふもとにある南河内は、山の斜面を流れてくる川や、ため池の決壊にも注意が必要です。
ふもとは晴れていても、上流に降ったゲリラ豪雨で、せせらぎが一気に増水することがあります。上流のため池が決壊して、いきなり土石流が押し寄せることもあります。
山がちで、雨が多い日本では、こうした水害や土砂災害は身近な災害といえます。
【関連サイト】
▽「大雨による救助要請で現場に向かうパトカー流される、警官2人と通報の男性連絡取れず…山形・新庄市」(読売新聞2024年7月26日)=https://www.yomiuri.co.jp/national/20240726-OYT1T50045/
▽「母、姉、弟の慰霊碑前にようやく立てた男子高校生 兵庫・佐用豪雨から6年」(産経新聞2016年7月28日)=https://www.sankei.com/article/20150728-MRPI4LBWTRJEVG7ECQNWF7MXK4/
▽「大阪府内の豪雨で鳥取池が決壊 死者・行方不明者51人」(阪南市サイト 1952年7月11日)=https://www.city.hannan.lg.jp/kakuka/syogai/syogai_s/bunkazai_shokai/bunkazai_arekore/1372842023285.html
▼近鉄大和川橋梁 増水で?橋脚が傾く(2018年)
川のはんらん以外にも生活に影響を及ぼした事例があります。2018年4月25日に矢田駅(大阪市東住吉区)と河内天美駅(松原市)の間に架かる大和川橋梁(1923年=大正12年建設)の橋脚の一部が傾き、橋梁上の線路がゆがんで1日半にわたって運転を見合わせる事態が発生したのです。
芸大生は、南海高野線などの振替輸送で大学に向かうことになりました。
9本の橋脚のうち1本が、前年10月の台風21号の影響で川底が削られて傾き、さらに前日の増水で足元がえぐられた影響が原因とされました。
【関連サイト】
▽「近鉄南大阪線、1日半ぶり運転再開 橋梁トラブルで計25万7千人影響」(産経新聞2018年4月26日)=
https://www.sankei.com/article/20180426-B5YTB736GRI6TGFH3CYOUO7A4M/
▼ハザードマップを見てみよう
では、大阪芸大周辺の災害発生の可能性を知らせる「ハザードマップ」を見てみましょう。
ハザードマップは各自自治体がホームページに掲載しています。
マップを見る前に、河南町、太子町、富田林市のカタチを見ておきましょう。大阪芸大は河南町の北西(地図でみると左上)の端にあります。近鉄喜志駅は富田林市の北東(右上)にあります。
(画像:国土地理院地図から)
▽河南町 崖崩れや梅川からの浸水に注意
河南町のハザードマップを見ると、芸大生が多く住む一須賀あたりでは、梅川の増水による浸水と、芸大キャンパスの崖下の土砂災害に注意が必要であることがわかります。
(画像:河南町ハザードマップ<北西部分 一須賀付近> 河南町サイトから)
河南町サイト ハザードマップ
https://www.town.kanan.osaka.jp/material/files/group/3/93240092.pdf
河南町地域版土砂災害ハザードマップ<東山地区>
https://www.town.kanan.osaka.jp/material/files/group/3/higashiyamahm.pdf
河南町サイト ため池ハザードマップ
https://www.town.kanan.osaka.jp/soshiki/sogoseisakubu/kikikanrishitsu/gyomuannai/1/3/1/1219.html
▽太子町 石川と梅川の流域で浸水に注意
太子町のハザードマップを見ると、石川と梅川の増水による浸水に注意が必要であることがわかります。山の斜面にあるため池が決壊した場合には、下流に水が流れ込むことにも注意が必要です。
(画像:太子町ハザードマップ<部分> 町サイトから)
太子町サイト 太子・葉室地区ハザードマップ
https://www.town.taishi.osaka.jp/material/files/group/3/HM_P13-14_map1_ForWeb.pdf
太子町サイト ため池ハザードマップ
https://www.town.taishi.osaka.jp/busyo/machidukurisuisinbu/kankyounourinka/kouti/1558410989002.html
▽富田林市 石川流域での浸水、粟ケ池の決壊も注意、
富田林市のハザードマップを見ると、石川の増水による浸水に注意が必要であることがわかります。粟ケ池が決壊した場合も、喜志駅方向に水が流れてくる可能性が指摘されています。
(画像:富田林市洪水・土砂災害ハザードマップ<部分> サイトから)
富田林市サイト 洪水・土砂災害ハザードマップ
https://www.city.tondabayashi.lg.jp/soshiki/7/32388.html
富田林市サイト ため池ハザードマップ
https://www.city.tondabayashi.lg.jp/soshiki/34/56319.html
▼どんな災害のパターンがあるかを知っておこう
あなたのふるさとで、旅行先で、就職先で…。これからの人生、どんな災害と出会うかわかりません。地震、津波、水害、土砂災害だけでなく、台風、竜巻、火山の噴火に直面するかもしれません。
あなたの愛する人を、そしてあなた自身の命をまもるために、いざというときどんな行動が必要か? そのシミュレーションは大切です。
そのためには、さまざまな災害を知っておくことが必要です。
▽気象予報士が振り返る「平成の災害」⑥1999年-2008年(日本気象協会tenki.jp 2019年)=https://tenki.jp/suppl/tenkijp_labo/2019/04/22/29019.html
▽「災害列島 命を守る情報サイト」(NHK)=https://www3.nhk.or.jp/news/special/saigai/basic-knowledge/
▽「ハザードマップポータルサイト」(国土交通省)=https://disaportal.gsi.go.jp/
▽「NHK全国ハザードマップ」(NHK)=https://www.nhk.or.jp/campaign/w-hazardmap/
了
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