大阪芸大ジャーナリズム研究会

ツイッター @oua_journal
メール oua.journal@gmail.com

金剛タクシー、6月末で事業廃止へ 71年間、地元に親しまれた“足”

2023-06-10 15:02:39 | ニュース

河南町や富田林市など、南河内地区で営業している「金剛タクシー」が、6月30日で廃業すると公式サイトで発表。昭和26年の開業から71年の歴史にピリオドを打つことになりました。同業者からは、乗務員不足などが原因ではないかと指摘されています。事業者の金剛自動車によると、金剛バスの営業は続けるとしています。<大坪千成>

(写真:喜志駅前の金剛タクシー。2023年6月撮影)

 

 金剛タクシーは、金剛自動車株式会社(本社・富田林市本町)が運営するタクシー・ハイヤー事業です。

同社ホームページ(http://kongoujidousha.com/index.php)には、2023年5月29日付で、「金剛タクシー事業廃止のお知らせ」が掲載され、「諸般の事情により、下記の通り令和5年6月30日をもってタクシー事業を廃止する」とお知らせが掲載されました。

路線バスの営業は引き続き継続するとしています。

 

営業エリアは、富田林市、河内長野市、大阪狭山市、堺市美原区、南河内郡太子町、河南町、千早赤阪村の各市区町村。近鉄長野線の富田林駅前と喜志駅前に乗り場があります。

同社ホームページによると、昭和26年9月に3台が認可され、同年12月に営業を開始。現在は、富田林市昭和町に事業部を置き、「車両20台で営業」としています。71年間、地域の移動手段として親しまれてきました。

 

(写真:金剛自動車のホームページに掲載された、2023年5月29日付の「事業廃止のお知らせ」)

 

●乗務員不足で稼動率下がる

 

近年、コロナ禍の影響による客離れや、燃料費の高騰で経費がかさんでいることから、タクシー業界は厳しい経営を迫られています。

大阪府内のタクシー運賃は、6月1日に運賃が改定されたばかり。これまでは1.7キロで680円だった初乗り運賃の上限が、1.3キロで600円になるなど、約12%から14%値上げされました。

同業他社の幹部は、「乗務員の高齢化と人手不足で、車両をフルに運行できないことも(金剛タクシーの経営環境悪化の)背景にあるのではないか」と指摘します。「金剛タクシーは一時は20台あった車両が、最近は3、4台しか運行できなくなっていた」という証言は、社の内外から聞かれました。

金剛タクシーに詳しい関係者も、「昔はひっきりなしに乗務員希望者が面接に来ていたが、最近はさっぱりやった」と証言します。

(写真:喜志駅前の金剛タクシー乗り場。2023年6月撮影)

 

●「急ぎの時は使っていた」 大阪芸大の学生や教員

 

   廃業を知った大阪芸大の教員は、「えっ。本当ですか。急ぎの時は使っていたんですけどね」と驚いた様子。「あまり普段使わないが、物を運ぶときや急いでいるときに重宝した。緊急時には必要な交通手段だと思う」という声が、学生からも聞かれました。

 河南町の町民は、「近所の人はみんな使っている。電話で呼んで、乗り降りしている様子を何度も見た。なくなると不便になる」と話していました。

 免許返納などで自家用車を持たない住民にとっては、影響は少なくないと見られます。

 

●第一交通と近鉄タクシーの2社だけに

 

 大阪タクシー協会によると、「河南B地区」と呼ばれる南河内のタクシー事業者は、旧南海電鉄系の大阪第一交通の長野、金剛の2営業所(106両)と、近鉄タクシーの富田林と河内長野の両営業所(14両)の2社となります。

 70年以上にわたって親しまれた金剛タクシーの廃業で、地域住民の交通手段の選択肢が減ることになります。

 

▼金剛タクシーサイト「金剛タクシー事業廃止のお知らせ」=http://kongoujidousha.com/pkobo_news/upload/75-0link_file.pdf

 

(写真:廃業が決まった金剛タクシーの車庫。しばらく運行していないと思われる車両が、ナンバープレートや行灯を外されて埃をかぶって並んでいた。 2023年6月9日 富田林市昭和町1で撮影)

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿