夜明けの曳航

銀行総合職一期生、外交官配偶者等を経て大学の法学教員(ニューヨーク州弁護士でもある)に。古都の暮らしをエンジョイ中。

プロ野球のスト-法律家のぼやき

2004年09月10日 | Weblog
私は野球のことは全くわからない。
昔大洋ホエールズはドラマ「太陽にほえろ」の出演者・スタッフの作っている球団だと思っていたくらいだ。
野球の選手も、TVのCMに出ているか、『巨人の星』に出ていた選手しかわからない。
だから、堀内はわかる。『巨人の星』はビルドゥングス・ロマンとしてすごい傑作だと思う。
夫が広島の大ファン(ほとんど感情を表に出さない人なのに、広島の勝ち負けだけは喜怒哀楽を露にするのが理解できない)なので、絶対眼には入っていると思うが、広島の選手の誰一人名前と顔が一致しない。12球団名もそらではあげられない。
非難覚悟であえて言えば、贔屓の球団の勝ち負けに一喜一憂する人生って悲しくないか?自分の人生を戦うのを諦めたから、贔屓の球団に代理戦争させている人もいるような気がするのだ。

また、野球中継が延びるために、ドラマの予約録画を24分多めにしておかなければならないのが大変うざいし、DVDの無駄遣いでもある。うっかり長めに予約するのを忘れたりすると大変だし。それで最終回の最後のところを見逃したこともある(私はドラマフリーク、そっちの方がよほどくだらないという人もたくさんいるだろうが)。
経済の先生に、プロ野球中継が、野球に興味がない人に課している余分なコストがどれくらいか(もちろん、ファンが多く、日本全体の経済にプラスになっているのは承知しているが)、一度ぜひ計算してほしい。

前置きが長くなったが、それでなぜ、このタイトルかというと、連日話題になっているこのニュースを見るたびに、疑問に思うことが、たぶん多くの人と違うからだ。

ー選手会は法人格がないので、誰の名義で仮処分申請をしたのだろうか?
ー「オーナー」は、法的には何か?株式会社である球団の代表取締役社長は別にいるようだし、会社法上の何に当たるのか?
ー合併や新規参入を制限する業法はあるのか?ないなら、報道されているような規制は独禁法上の問題はないのか?

会社法上は、株主(球団の株主は1社の企業だけだろう)の利益を考えればいいのだから、ファンの意見に配慮するのは「会社の社会的責任」という論点の格好の事例にはなるだろう。
学生時代故竹内昭夫先生が会社法の授業で「会社の社会的責任」を強調しすぎると本質を見失うとおっしゃったのを思い出す。

法律を知っていると、ドラマなんかも楽しめないことがある。
よくあるエピソードで、地主や大家が不動産を売るから店子が出て行かねばならず、それは困るので買い取るお金を必死で集めるというのも、法律上は、住んでいる借家人、登記した建物を持つ借地人は不動産の買主に対抗できるから、おかしな話だと思ってしまう。

先日も反町隆史主演のドラマ『ワンダフル・ライフ』で、商店街を買収するつもりだった不動産会社の社長(沢村一樹)が余命いくばくもない息子がその商店街の少年野球チームに入れてもらったので、 独断で計画を中止するというエピソードがあった。
本来感動的なエピソードなのだろうが、「株主が社長の一族だけならいいけど、そうじゃなければ背任になるし、株主代表訴訟の対象にもなる」と考えてしまった。

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国際取引法

2004年09月10日 | profession
一昨日から、柏木昇先生の集中講義「国際取引法」を受講させていただいている。
柏木先生は、三菱商事法務部を経て東大法学部教授になり、現在は中央大学法科大学院で教鞭をとっていらっしゃる。私も銀行法務部出身だが、今でも実務家が大学教員になるのは狭き門で、学界に転出できるだけで幸運と、とりあえず初めて赴任する大学は選択の余地がないものだ。
ましてや1993年に実務家出身の東大法学部教授として初めて選ばれた柏木先生は、実務家出身大学法学教員のホープといってもいい方だ。
そんな方の講義が聴けることがどれほどラッキーなことなのか、本学の学生がわかっているかどうかは?だが、とにかく私は、前々から楽しみにしてた。

企業法務に携わっている者は、「経営法友会」等を通じた横のつながりがあり、柏木先生には私の結婚式にも出席していただいたりした。

講義はすばらしく、教員としても参考になることばかりだ。
おなじ国際取引といっても、銀行員の視点と商社の視点は違うからだ。
とくに、貿易は、銀行員の時はL/C発行関係等の貿易金融の観点しかなかったので、傭船契約を含む商社独自の視点は非常に勉強になった。

商社時代のいろいろな国での具体的な経験談も臨場感にあふれとても面白い。
私も前期の契約法で自分の銀行員時代の体験を話したり、「契約締結上の過失」のところでUFJをめぐる攻防を解説したり、実務の話をするよう工夫したが、民法の授業だと、条文や判例でカバーすべき範囲が決まっているので、実務の話も時間と戦いながらになるが、こういう応用科目なら、と思った。

 アメリカの司法制度を解説するための映像資料等について情報を交換させていただいた。
私が先日国際商事法務8月9月号に掲載した、新入生ゼミナールで裁判員制度を理解させるために『いとこのヴィニー』『12人の怒れる男』『12人の優しい日本人』等を授業で見せたりした教育方法の論考も読んでいてくださっていた。


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good news (でも大変そう)

2004年09月10日 | profession
法科大学院の設立について、設置審から中間回答があった。

自分のことだけなら書いてもかまわないと思うのだが、
各教員予定者に科目ごとに○×がつけられるのだが、私は全ての科目でセーフだったようだ。
ちなみに私の担当科目は
民法第3部(債権総論)
民法第4部(債権各論)
民法第6部(担保法)
英米法
中国ビジネス法

論文の数だけは(単行本除く)40近くあったので自信がないわけではなかったが、実際に結果を聞くまでは心配だったのでほっとした。

既に設立された法科大学院で民法を教えているベテランの先生に聞いたら、法科大学院の1コマの準備は学部の4倍の時間を要する上、未修クラスでは、正規の講義の半分くらいの時間、プラスで補講してやらないと無理だそうで(学部教育は準委任だけど、法科大学院は司法試験合格という仕事の完成を目的とした請負だもの、仕方ない)来年からは研究の時間は全くなくなりそうである。

今年のうちに今着手している研究の目処をつけておかなければ、と覚悟した。

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