前面の宿儺の後ろから顔を覗かせている宿儺の手はどこにあるか、発見されましたか。
写真に赤丸で囲ったところが宿儺の手です。右手は人差し指が異様に長く中指と薬指を折り、漫画家楳図かずお作「まことちゃん」が「ぐあっし!」をしているようではありませんか。左手は全面の宿儺の肩を抱くようにしています。
そして前面の宿儺の顔は眼を落し瞑想しているようですが、後ろの宿儺の顔は悪ガキの顔。どちらの顔も実に愛らしい、と僕は感じています。今僕はこの「両面宿儺像」が円空仏の中でも一番好きになっています。それでは円空さんはこの宿儺像をどういう思いで製作したのか想像をふくらませてみたいと思います。
両面宿儺のことを日本書紀では次のように記しています。
--------------------------------------------------------------------------
六十五年 飛騨國有一人 曰宿儺 其為人 壹體有兩面 面各相背 頂合無項 各有手足 其有膝而無膕踵 力多以輕捷 左右佩劒 四手並用弓矢 是以 不随皇命 掠略人民爲樂 於是 遣和珥臣祖難波根子武振熊而誅之
(現代語訳)
六十五年、飛騨国にひとりの人がいた。宿儺という。一つの胴体に二つの顔があり、それぞれ反対側を向いていた。頭頂は合してうなじがなく、胴体のそれぞれに手足があり、膝はあるがひかがみと踵がなかった。力強く軽捷で、左右に剣を帯び、四つの手で二張りの弓矢を用いた。そこで皇命に従わず、人民から略奪することを楽しんでいた。それゆえ和珥臣の祖、難波根子武振熊を遣わしてこれを誅した。
-------------------------------------------------(https://ja.wikipedia.org/wiki/両面宿儺)より
ところが飛騨から美濃にかけての旧飛騨街道沿いには様々な伝承がのこり、それは『日本書紀』の記述と異なります。要約しますと両面宿儺はヤマト政権の地方支配に抗した豪族であったというのです。詳しくは先に紹介したウエブサイトをご覧ください。
日本書紀はヤマト政権の正当性を記した書物です。支配の正当性を強調します。しかし支配された側は口伝で抵抗の歴史を継承するものです。僕は地方の民衆が両面宿儺を抵抗のシンボルとして語り継いできたのではないか、円空さんはその両面宿儺を自らの出自、自己同一性を求めて製作をしたのではないかと、想像するのです。
そのような想像をもとに円空製作の「両面宿儺」を見ますと一層愛らしく、いとおしくなるのでした。
写真に赤丸で囲ったところが宿儺の手です。右手は人差し指が異様に長く中指と薬指を折り、漫画家楳図かずお作「まことちゃん」が「ぐあっし!」をしているようではありませんか。左手は全面の宿儺の肩を抱くようにしています。
そして前面の宿儺の顔は眼を落し瞑想しているようですが、後ろの宿儺の顔は悪ガキの顔。どちらの顔も実に愛らしい、と僕は感じています。今僕はこの「両面宿儺像」が円空仏の中でも一番好きになっています。それでは円空さんはこの宿儺像をどういう思いで製作したのか想像をふくらませてみたいと思います。
両面宿儺のことを日本書紀では次のように記しています。
--------------------------------------------------------------------------
六十五年 飛騨國有一人 曰宿儺 其為人 壹體有兩面 面各相背 頂合無項 各有手足 其有膝而無膕踵 力多以輕捷 左右佩劒 四手並用弓矢 是以 不随皇命 掠略人民爲樂 於是 遣和珥臣祖難波根子武振熊而誅之
(現代語訳)
六十五年、飛騨国にひとりの人がいた。宿儺という。一つの胴体に二つの顔があり、それぞれ反対側を向いていた。頭頂は合してうなじがなく、胴体のそれぞれに手足があり、膝はあるがひかがみと踵がなかった。力強く軽捷で、左右に剣を帯び、四つの手で二張りの弓矢を用いた。そこで皇命に従わず、人民から略奪することを楽しんでいた。それゆえ和珥臣の祖、難波根子武振熊を遣わしてこれを誅した。
-------------------------------------------------(https://ja.wikipedia.org/wiki/両面宿儺)より
ところが飛騨から美濃にかけての旧飛騨街道沿いには様々な伝承がのこり、それは『日本書紀』の記述と異なります。要約しますと両面宿儺はヤマト政権の地方支配に抗した豪族であったというのです。詳しくは先に紹介したウエブサイトをご覧ください。
日本書紀はヤマト政権の正当性を記した書物です。支配の正当性を強調します。しかし支配された側は口伝で抵抗の歴史を継承するものです。僕は地方の民衆が両面宿儺を抵抗のシンボルとして語り継いできたのではないか、円空さんはその両面宿儺を自らの出自、自己同一性を求めて製作をしたのではないかと、想像するのです。
そのような想像をもとに円空製作の「両面宿儺」を見ますと一層愛らしく、いとおしくなるのでした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます