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ド・素人ゴルフ@大阪

100叩きのマン振ラー。その片手シングルへの軌跡

秋津原の件

2010年08月17日 22時08分23秒 | ゴルフと法律

古墳破壊で書類送検へ=無許可で掘削、ゴルフ場前支配人ら-奈良県警

文化財保護法違反ってなんでしょうか。

現状変更で書類送検というと非常にデカい話のようだが,現状変更の罰則は罰金20万円以下(文化財保護法197条)。飲酒運転(酒気帯び)が3年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金,過失傷害が30万円以下の罰金だから,20万円以下の罰金って実はものすごく軽い。

文化財保護法には損壊についての罰則(同法195条)もあって,これは懲役刑も定められているから,かなり重い。罰金の場合もあるが,これは50万円以下。懲役は5年以下だから,酒気帯びよりは重い(ただし自己所有の場合は特例あり)。現在,酒気帯びはかなり重く処罰されているから,それよりも重いわけだ。

古墳の一部を削った場合,それが現状変更なのか,損壊なのかは,区別が難しいと思う。本件では円墳4基を破壊したということだ。損壊という処理も充分にできたように思う。

それを現状変更としたということは,法的にはかなり軽く処理されているように思う。

しかし,秋津原の払った代償はあまりにも大きい。

奈良県オープンも,シニアトーナメントも返上。これから数年は「秋津原?あの古墳ぶっ壊したとこ?」となるだろう。

金銭的な面でも,評判も。

社会的制裁ってやつですかね。

ゴルフ会員権の時効

2010年08月12日 12時23分06秒 | ゴルフと法律
「もう時効だから言っちゃうけどね」

たまに飲み屋で聞かれる言葉だ。

「○○事件の時効が成立しました」

最近,凶悪事件には時効がなくなった。

時効というのは権利とか犯罪とかが何にも動かずに一定期間が経つとなかったことになるというシステムだ。ちょっと違うような気もするが,まあ,そういうことにしよう。

ゴルフ会員権は施設を利用をする権利であると一般的に考えられている。では,メンバーさんがそのゴルフ場に一定期間行かなかったら,時効でゴルフ会員権はなくなってしまうのか。

この答えが最判平成7年9月5日(民集49巻8号2733頁)である。判決本体はややこしい表現なので,私なりに簡略化してみたい。

ゴルフ場に何十年と行かなくてもゴルフ会員権が時効になって,なくなってしまうということはない。

しかし,ゴルフ場が会員を除名などで資格停止にすれば,その後の一定期間の経過でプレー権が時効で消滅して,一緒に会員権も時効で消滅する。

ゴルフ場は個々のメンバーに対してプレーをさせる義務があって,日々個々のメンバーのために施設を管理している。つまり,毎日毎日,個々のメンバーが来ようが来るまいが,プレーさせる準備を個々のメンバーに対して行っている。

このような場合は権利が何にも動かない状態ではない。メンバーはゴルフ場から毎日毎日プレーする環境を提供されていて,それをメンバー側の都合で受けていないだけだ。

しかし,資格停止になれば,ゴルフ場はそのメンバーに対してはプレー環境の提供を行わない。仕事はやっているが,当該そのメンバーには環境提供をしない。この部分が若干テクニカルであるが,そういう風に理解する。

そして,そのメンバーはプレーしない。そうすると権利が何も動かない状態になって,いつか時効になる。

少し小難しい話になるが,本判決は以上のように考える根拠は民法291条の継続的地役権の消滅時効と同様に考えている。そうすると,メンバー側が年会費を納入しているか否かという点については考慮されないと思われる。

ニギリは犯罪か

2010年06月18日 11時45分44秒 | ゴルフと法律
相撲取りの野球賭博が世間をにぎわせている。

シゴキで死亡,薬物,八百長疑惑,一般人を殴ってクビ,ヤクザに特等席提供ときて,今度は野球賭博。

野球賭博をやっていた人が29人で,その他,花札,賭けマージャン,賭けゴルフなどの小博打をやっていたのが65人という報道があった。

野球賭博という胴元が完全にヤクザと思われる博打と,賭けゴルフを一緒にするなと思うが,賭けゴルフ,つまりニギリは犯罪なのか。

刑法185条はこのように規定する。

「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」

よく問題となるのはただし書きの「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるとき」である。この場合は犯罪ではない。

しかし,判例は金銭は一時の娯楽に供する物には当たらないとする立場を取っている(最判昭和23年10月7日刑集2巻11号1289頁)。

この判例の事案は,300円を賭けたというものである。被告人の上告趣意によれば,うどん1杯が50円,ピース1箱が60円という時代だったそうだから,300円というのは,多く見ても2000円か3000円ということになるだろう。

2000円か3000円であっても,バクチで賭けたら,一時の娯楽に供する物ではないとするのである。

しかし,これでは,昼飯を賭けるニギリなら問題ないが,現金を賭けるニギリの場合,1点100円でも賭博だということになってしまう。

例えば,私が同伴者にしつこく「ニギろう,ニギろう」という。「1点10円でもいいからニギろう」という。同伴者は根負けして「いいよ,じゃ,タテヨコ1点10円ね」とニギってくれて,ラウンドを始めたとする。賭博罪はこの時点で既遂に達する。

ラウンド後,私が5点負けて,50円を精算をして,その足で私は警察に行き,自首する。

同伴者,逮捕。

おかしいですよね。

でも,理論上は正しいと思う。

現実には逮捕はされないだろうけど,理論上は私にも同伴者にも賭博が成立するのである。

しかし,いかにもおかしい。1点10円で賭博とは,いかにもおかしい。

そこで,私は,現金であっても額が低い場合は「一時の娯楽に供する物」とすべきという現在の有力的見解を支持したい。

では,いくらまでなら「額が低い」というべきか。

ここで私はゴルフ規則を持ち出したい。

アマチュア資格規則の3-2aである。

「アマチュアゴルファーは、統轄団体により規定されている小売価格の限度額を超える賞品(表象的賞品を除く)や賞品券を受け取ってはならない。この限度額は、ホールインワン賞を除き(規則3-2b参照)、アマチュアゴルファーが1競技、または1つのシリーズ競技で受け取る賞品や賞品券の合計額に対し適用する。
 日本国内における限度額は75,000円(ただし、ジュニア競技については50,000円)とする。 」

アマチュア規則では賞品や賞品券を換金してはいけないとされているが(規則3-3),75,000円相当までなら貰ってもいいとされている。

ニギリもこれに準拠してはどうだろうか。

1ラウンドのニギリ額が7万5000円というのは,ちょっと高すぎるように思うが,1競技で同等の賞品をもらっても「アマチュアである」と言えるわけだ。「一時の娯楽に供する物」としても不当とまでは言えないだろう。

ちょっと無理がある理屈にも思えるけれども。

貴重品ロッカー内の財布の盗難について

2010年04月23日 19時50分06秒 | ゴルフと法律
貴重品ロッカーというのがどこのゴルフ場にも大抵ある。暗証番号を入れて預ける。最近では指紋認証の場合もある。

その貴重品ロッカーに財布を預けていたら盗まれた。この場合,ゴルフ場に責任はあるのか。

東京高判平成16年12月22日である。

被控訴人というのがお客さんで,控訴人というのがゴルフ場です。

「被控訴人は、控訴人が設置した本件ロッカーに財布等を入れたことにより、被控訴人は控訴人に対してこれを預け、控訴人はこれを受領したものであり、被控訴人と控訴人との間において、財布等の保管を目的とする商事寄託契約(商法593条)が成立したと主張する。
 
 しかしながら、寄託とは、受寄者が寄託者のために物の保管をなすことを約し、その物を受け取ることによって成立する契約であり、物の保管という役務の提供と、保管の事務処理という委任の性質を帯びた契約であるところ、本件では、控訴人と本件ゴルフ場について利用契約を締結した被控訴人が、本件ゴルフ場のクラブハウスのロビーに設置された本件ロッカーを使用したという事実があるだけである。

 本件ロッカーの設備は、本件ゴルフ場の利用契約の一部として、商人である控訴人から提供されているものとはいえるが、これを使用するかどうかは本件ゴルフ場の利用客の判断に任されており、使用する場合の操作は利用客がこれを行い、使用した場合にも別料金が徴収されるわけではなく、控訴人も、個々の本件ゴルフ場の利用客の本件ロッカーの使用の有無や、使用された場合の各ボックスの内容物は把握していないことが認められる(乙3、弁論の全趣旨)。

したがって、本件ボックスの内容物であった財布等について、被控訴人が、控訴人に対し、保管を申込み、控訴人がこれを承諾して被控訴人から受け取ったものと認めることはできないから、これらについて寄託契約が成立したものとは認められない。」(一部段落改変)

要するに,ゴルフ場は預かってない,と言っている。

預かってないものをパクられても,当然ゴルフ場の責任ではない。

しかし,これでええんかなという疑問もある。

貴重品ロッカーに入れて下さいと案内が出ていて,入れて,パクられて,ゴルフ場は知りませんってどうなんだろ。

本来であればフロントで預かるべきだ。ホテルなどではそういう案内が出てますね。貴重品はフロントへ,ってやつ。ゴルフ場も本来はそうあるべきなんだろうが,お互いのために貴重品ロッカーがある。

しかし,実際に盗難にあったらゴルフ場に責任ナシってことだと,貴重品ロッカーの意味ないんじゃないですかね。

ロストボールと窃盗罪

2010年04月20日 20時26分05秒 | ゴルフと法律
ゴルフ場のOBゾーンや深いラフに落ちているロストボール。

ラッキーと思ってパクったら犯罪である。

最判昭和62年4月10日(刑集41・3・221)である。

「被告人らが本件各ゴルフ場内にある人工池の底から領得したゴルフボールは、いずれも、ゴルフアーが誤つて同所に打ち込み放置したいわゆるロストボールであるが、ゴルフ場側においては、早晩その回収、再利用を予定していたというのである。右事実関係のもとにおいては、本件ゴルフボールは、無主物先占によるか権利の承継的な取得によるかは別として、いずれにせよゴルフ場側の所有に帰していたのであつて無主物ではなく、かつ、ゴルフ場の管理者においてこれを占有していたものというべきであるから、これが窃盗罪の客体になるとした原判断は、正当である。」

第一審及び控訴審はロストボールになった時点で,無主物先占としてゴルフ場のものになるとしている。無主物先占(むしゅぶつせんせん)というのは,所有権がないものは一番最初に取った人のもの,というやつで,代表例は釣った魚である。

しかし,最高裁は無主物先占であるとはしていない。権利の承継取得ともしていない。その部分について判断していない。

単に,ロストボールを回収する予定のゴルフ場のロストをパクったら窃盗,としているに過ぎない。

つまり,土曜に私が私の名前入りのボールを打って,ロストしたけど,日曜に偶然見つけたので回収した場合,窃盗罪となる。少なくとも構成要件には該当するということになろう。

いかにもおかしい結論だ。私のボールだろ。

やはりロストボールを実際にゴルフ場が回収するまでは,打ち込んだ人に所有権があり,落ちているロストをパクったら窃盗罪ではなく占有離脱物横領罪が成立すると考える方が素直じゃないでしょうか。

と思ったけど,これだとゴルフ場が回収する時にも占有離脱物横領になるのか。

ロストになった瞬間に何らかの方法論でゴルフ場のものにならないと色々困ったことになるわけですね。

難しい問題だ。

打ち込みとクラブの関係 その2

2010年04月20日 10時28分30秒 | ゴルフと法律


打ち込みとクラブの関係 その1

の事例の検討をする。

意外だったのは,ドライバーショットで長距離を飛ばそうとした結果事故になったという事例が非常に少ないということだ。⑦の事例しかない。

探せなかった事案の中にはドライバーの事故もあるのだろうが,私はもっとドライバー,ドライバーと出てくるのかと思った。

では,どういう事故が多いか。

2打目のショットである。しかも,2打目で大きな番手のショットである。7つの事例のうち2番から6番という5つの事例が,すべて5番アイアン以上の大きな番手である。

そして,さらに興味深いのは,そんなに距離が残っていないということである。

まずは③事例。残り160Yをクリークで打っている。

⑥の事例。残り130Yを9番ウッドで打っている。

⑤の事例。これが最も興味深い。200メートルというのは220Yくらいだから4番アイアンで届いたらプロでも飛ばす方だ。つまり,この4番アイアンでのショットというのはレイアップなのだ。

しかし,欲を出したのだろう。できるだけ前へ,とマン振りしたと思われる。だから,引っ掛けて左に打ち込んだのだ。アイアンは引っ掛けると距離が出る。ロフトが立って当たり,しかもフック回転だからだ。その結果180メートル先の人に当たった。

ゴルファーなら誰しも分かっていることだが,長いクラブをマン振りすると方向性が定まらない。まずまずの当たりでも左右に打ち分けてしまう。まともに当たらなかったときなど,もうどこへ飛んでいくか分からん。

長いクラブをブン回すから訳の分からんところに飛んでいく。そして人に当たる。

しかし,ドライバーショットというのは案外安全なのだ。なぜならドライバーショットは危険だという認識があるから,ゴルフ場も安全管理を入念にするし,競技者も気をつける。全員が同じ場所(=ティーグラウンド)にいるから同伴者に当たるということもほとんどない。

キャディがいれば打球を見るから,さらに安全だ。

しかし,2打目は違う。2打目は全員バラバラになるし,目も行きとどかない。

そこででかいクラブを振り回すと,ミスになったときに,前に出ていた同伴者だの,隣のコースの人だの,そういう人に当たるのだ。

要するに,いくつかの裁判例を見て分かることは,「飛距離の出る人がブン回すドライバー」が危険なのではなく,もっとも危険なのは「飛距離の出ない人が2打目にブン回すロングクラブ」なのである。

私もドライバーがミスしたときや,ロングの2打目などは長いクラブを持つ。十分に気をつけてショットしたいと思う。

打ち込みとクラブの関係 その1

2010年04月17日 07時46分54秒 | ゴルフと法律
打ったボールが他のプレーヤーに当たってケガをする。

これについて,実際どういう事例があったのかを検討してみたい。

まずは,昨日紹介した①裁判例。残り100ヤードから9番アイアンで打ったらトップ&スライスで右のホールに飛び込んで,他のプレーヤーに当たった,という事例だ。

次は②大阪地判平成12年10月26日(判タ1071号202頁)。残り距離は不明だが,5番アイアンで3打目(判文ママ。正確にはOB後2打目,つまり4打目)を打ったら,前に出ていた同伴者に当たったという事例。

次に③浦和地裁熊谷支判平成11年1月29日(判時1709号39頁)。残り距離は160ヤード。クリークで打ったところ,左にひっかけてしまい,20ヤード前にいた同伴者に当たったという事例。

次に④東京高判平成6年8月8日(判タ877号225頁)。高裁判決で一審判決を省略しているため,正確には分からないが,5番アイアンで打ったところ,前方132ヤードのところにいた他のプレーヤーに当たったという事例。

次に⑤東京地判昭和60年5月29日(判時1206号49頁)。残り距離200メートル(判文ママ)を4番アイアンで打ったところ,左にひっかけてしまい,隣コースのティーグラウンド(180メートル先)にいた他のプレーヤーに当たった事例。

次に⑥大阪地判平成17年2月14日(判タ1199号112頁)。9番ウッドで130ヤードほど飛ばすことのできるプレーヤーが,つま先上がりの傾斜地で9番ウッドで2打目をショットしたところ,スライスしてしまい,40メートル先にいた同伴者に当ててしまった事例。

最後に⑦横浜地判平成4年8月21日(判タ797号234頁)。ドライバーでティーショットしたところ,ひっかけてしまい,左のホールに打ち込んで,140メートル(判文ママ)先の左のホールのプレーヤーに当たった事例。

この種の事例は和解で終結することも多いだろうから,判決になって公開されているものは案外少ない。

しかし,上記の7つの事例だけでもかなり興味深い。

せっかく色々調べたので,この記事はもうちょっと引っ張りたいと思います。

ということで,私の考えを述べる前に,ちょっとラウンドに行ってきます。

今日は注意深くプレーすることにしよう。

ゴルフ場の通常有すべき安全性

2010年04月16日 16時19分58秒 | ゴルフと法律
さきほどpitchさんへのコメントで「ゴルフ場は安全確保の義務がある」と書いたが,何の裏も取っていなかったので,少し調べてみると,興味深い事例を見つけた。

東京地判平成6年11月5日(判タ884号206頁)である。

事例は簡単である。とあるゴルフ場の10番のバックティーにいたところ,隣の18番からボールが飛んできて,目に当たった,というものである。

ミドルホールの18番。Yさんは残り100ヤードの第2打を9番アイアンで打った。そうするとボールはトップして,最初は直進したものの,ドスライスがかかって,右へ。そこの林の隙間を越えていってしまう。そしてそこには10番のバックティーがあって,そこにいたXさんに当たってしまったのである。

東京地裁はYさんの責任を否定する。

まずYさんの位置から10番のティーは木と地形により見えないし,当然Xさんの姿は見えない。そして,Yさんは全くの初心者ではなく,狙った方向と10番ティーは別のところだった。さらに打った後「フォアー」と叫んでいる。

このようなことからYさんはゴルフなどのスポーツにおける「許された危険」として責任ナシとしている。

しかし,東京地裁はゴルフ場には責任アリとする。

まず,10番のティーと18番のティーは非常に近く,しかも18番が右にドッグするところに10番のバックティーがあるという地形になっている。そして10番のトイレの扉には18番からの打球の痕跡が残っている。また,木はあるが,5,6メートルでしかない。

これらの事情を考慮して,次のとおり判断している。

「本件ゴルフ場の10番脇のスタートハウス付近は、18番からの打球飛来の危険性に晒されていた(この場合、打球は10番のプレイヤーにとっては斜め後方から飛来することになる)ものと見ることができるから、ゴルフ場としては、10番のプレイヤーの安全を確保するために、同ホールのバックティーグラウンドの後方に18番からの打球の飛来を防止するための防護ネットを設置すべき管理義務があったものと言うべく、本件ネットの設置以前においては、本件ゴルフ場は、ゴルフ場として通常有すべき安全性を欠いていたものと認めるのが相当である。」(一部改変)

本件は,ゴルフ場にしてみれば,たまたま木の隙間をボールが飛んできてXさんに当たったということができ,ゴルフ場にとってみれば予測できない事故だったともいえる。ゴルフ場もそういう主張をしていたようだ。

しかし,裁判所は「本件打球がたまたま松の樹間を進入してきたもので、ゴルフ場において、そのような進入の仕方自体を予測できなかったとしても、ゴルフ場の安全管理義務の懈怠と本件事故との間に相当因果関係が存することは否定できず、結局、本件ゴルフ場が通常有すべき安全性を欠いていたことによって本件事故が惹起された(設置に瑕疵あるに因りて他人に損害を生じた)ものと認めるのが相当であるから、ゴルフ場の右主張を採用する余地はない。」とばっさり切っている。

この事例からは,ゴルフ場が通常有すべき安全性というのは,非常に高度であり,安全確保はゴルフ場の当然の義務であるといえよう。

なお,この裁判例,面白いことを言っている。

「ゴルフプレイにおいては、自己の技量に応じた注意義務(例えば、ゴルフを始めたばかりのビギナーであれば、ボールを正確に打つことができないのであるから、打ちたい方向のみならず、前方180度に近い角度の範囲に人影のないことを確認したうえでプレーすべきであるが、上達するに従って自己の打球の癖に注意して、行きやすい方向に人影のないことを確認してプレイすべきであると言える。)を尽くしてボールを打つべき」

この判決書いた裁判官,ゴルフ,大好きだろ。

ゴルフ場利用税

2010年03月03日 09時52分08秒 | ゴルフと法律
ゴルフ場利用税というナゾの税金がある。

非課税対象者もいるが,大部分のゴルファーにかかってくる。私も毎回払う。結構バカにならない。ゴルフ場利用税廃止という動きもなくはないが,まあ,力はない。未来永劫続くと思われる。

この税金は憲法違反だ,スポーツをする自由を侵害している,として争ったゴルファーがいる。そして,最高裁判決が出ている。最判昭和50年2月6日(集民114号117頁,判時766号30頁)である。最高裁まで争うとは大した人物だ。ゴルファーの鑑というべきだ。

ちなみにゴルフ場利用税は合憲です。

この判決の理由が奮っている。

『ゴルフはスポーツであると同時に娯楽としての一面をも有し、原判決が確定した事実によれば、その愛好者は年々増加しているとはいえ、なお特定の階層、とくに高額所得者がゴルフ場の利用の中心をなしており、その利用料金も相当高額であって、ゴルフ場の利用が相当高額な消費行為であることは否定しがたいところであり、地方税法がゴルフ場の利用に対し娯楽施設利用税を課することとした趣旨も、このような娯楽性の面をも有する高額な消費行為に担税力を認めたからであると解せられる。

地方税法七五条一項二号は、ゴルフ自体を直接禁止制限しようとするものではないばかりでなく、もともとゴルフは前記のように高額な支出を伴うものであり、かかる支出をなしうる者に対し、ゴルフ場の利用につき、一日五〇〇円程度の娯楽施設利用税を課したからといって、ゴルフをすることが困難になるとはとうてい考えられず、右規定がスポーツをする自由を制限するものであるということはできない。』

読みにくいので途中で段落を分けましたが,本来は連続している文章です。娯楽施設利用税は消費税導入によってなくなったが,ゴルフ場利用税としては残っているので,先例としての価値は高いとされている。

はたして現在も通用する理屈なのだろうか。民事再生といえば聞こえは幾分いいが,バタバタとゴルフ場が潰れて,1万そこそこでビジター入れたら,そのビジターから「ちょっと高いですね」なんてGDOにコメントされる現在でも「高額所得者がゴルフ場の利用の中心をなして」いるんだろうか。担税力,すなわち,税金負担能力があると言えるのだろうか。

まあ,1回ゴルフに行けば1万,2万と使って,道具も5万,6万のドラやらアイアンセットやらが飛ぶように売れるんだから,ゴルフは「高額な消費行為」ということで仕方ないんですかね。

特許権侵害

2010年02月25日 11時50分54秒 | ゴルフと法律
ゴルフ用品って日進月歩の世界だ。そんなことは私が確認しなくても自明の理であろう。

ドラも,アイアンも,ウェッジも,ボールも,日々進化する。1年中フルモデルチェンジしているといっても過言ではない。

そして,抜本的な技術革新があると,誰かが特許を取る。糸巻きボールがソリッドボールになったとき,メタルクラブができたとき,そんなとき,である。

平成21年6月29日 判決言渡 平成21年(ネ)第10006号(PDF)

この判決は横浜ゴム(プロギア)とヨネックスのもめ事で,ヨネックスがプロギアの特許を侵害してますよという判断がされているようである。

損害額は引き続き審理ということで,どうなったのかは分からないが,和解とかになるんですかね。

横浜ゴム側の控訴の趣旨は一部請求で2億円。

すごい世界だ。


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