松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆令和時代の政策法務(1)地方分権は法務を変えたのか 

2020-09-09 | 地方自治法と地方自治のはざまで
 地方分権では、条例制定権の範囲が広がった。機関委任事務の廃止で、これは間違いない。



 政策法務のテキストを見ると、条例制定権の範囲が広がったので、だから政策法務だといった論調で書かれている。私の問題意識は、確かに範囲は広がったが、ではその条例制定の内容は、地方分権によって変わったのかというものである。

 地方分権は、ガバメントからガバナンスへの発想の転換である。ガバメントでは、行政は統治する主体、市民は統治される対象という関係になる。これに対して、ガバナンスは、行政、市民、企業等の多様な主体が相互に協働関係を持ちながら、社会や地域の問題解決に向かって役割を担い合う統治スタイルである。

 マスク条例で言えば、マスクをつけましょうという条例は、相変わらずガバメント型であり、ガバナンス型ならば、犯人捜しをせずに、みなで支えあい、助け合いましょうという条例になる。地方分権といっても、結局、国がやってきたことを地方が肩代わりするだけにとどまっていないかというのが、私の問題意識である。法務もその範疇にとどまっている。

 空き家問題も、ごみ屋敷問題も、勧告、命令、代執行では、ほとんど解決しない。いったんはきれいになっても、3か月後には、前よりももっとゴミが集まってしまう。一生懸命集めてくるからである。福祉的解決方法がセットでなければ十分ではないが、こうした連携を体系化するのが、令和時代の政策法務なのだろう。

 以前、地方分権に一番で遅れるのは、法務担当ではないかと書いたことがあるが、140年続く、霞が関法務からの頸木を免れるのは容易ではない。結構、そこは安住の地でもあるので、その分、踏み出すことが、余計難しいのではないか。
 
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