松下啓一 自治・政策・まちづくり

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公務員の地域参画・消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法

2024-05-06 | 地方公務員法

 地方公務員が地域のために活動することを推し進める法律が、「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法」である。

1.「公務員は、元々国民の福祉の向上のため働いています。そして安全の確保は福祉の根本ともいえますから、率先垂範、消防団に入団することは望ましいといえるでしょうが、一 方、公務員にはいわゆる兼職禁止などの規定があり、許可などが必要です。今回は、これ について公務員が消防団に入団したいと申し出た時は、「職務の遂行に著しい支障がある 時を除き」認めなければならないと定められ、そのほか、入団しやすいように規定が定め られました(第10条)」としている。

 平成 28 年 4 月 1 日現在、地方公務員の消防団員は64,138 人で年々増加しているものの、全消防団員に占める地方公務員団員の割合は 7.5%にとどまっています。これを増やそうということである。

2.特例規定 第10条(公務員の消防団員との兼職に関する特例)

(1)原則、兼務を認めるべき
第1条第1項 一般職の国家公務員又は一般職の地方公務員から報酬を得て非常勤の消防団員と兼職することを認めるよう求められた場合には、任命権者(法令に基づき国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百四条の許可又は地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第三十八条第一項の許可の権限を有する者をいう。第三項において同じ。)は、職務の遂行に著しい支障があるときを除き、これを認めなければならない。
 
 これまでも許可を受ければ消防団員になれたが、原則兼職が認められるべきで、例外は職務の遂行に著しい支障があるとき。兼務の許可の手続きも簡易、スムーズにする

第2項 前項の規定により消防団員との兼職が認められた場合には、国家公務員法第百四条の許可又は地方公務員法第三十八条第一項の許可を要しない。

(2)職免について柔軟かつ弾力的な運用
第3項 国及び地方公共団体は、第一項の求め又は同項の規定により認められた消防団員との兼職に係る職務に専念する義務の免除に関し、消防団の活動の充実強化を図る観点からその任命権者等(任命権者及び職務に専念する義務の免除に関する権限を有する者をいう。)により柔軟かつ弾力的な取扱いがなされるよう、必要な措置を講ずるものとする。

 できる限り職免の対象とする
 不利益を受けないようにする

3.まとめ・特例規定の意味
(1)原則
 地方公務員が特別職の消防団員になるにあたっては、地方公務員法の職務専念義務(35条)と兼職許可(38条)の適用がある。
 ・勤務時間内 職務専念義務の免除、兼業の許可
 ・勤務時間外 兼業の許可
を得ないと消防団の仕事はできない

(2)特例規定の意味
①原則兼業を認める、手続も簡易
 ・消防団員の兼職請求書
 (兼職の請求)
 第2条 職員は、法第10条第1項の規定により、報酬を得て非常勤の消防団員を兼職しようとするときは、消防団員との兼職請求書(別記第1号様式)を任命権者に提出しなければならない。
 ・兼職の原則承認
 (兼職の承認)
 第3条 任命権者は、前条の規定により職員から消防団員との兼職請求書が提出されたときは、職務の遂行に著しい支障があるときを除き、これを承認しなければならない。
 2 前項の規定により、消防団員との兼職が認められたときには、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第38条第1項の許可を要しない。

②職務専念義務の免除の承認
(職務専念義務免除の承認)
第5条 第3条の規定により、消防団員との兼職の承認を得た職員(以下「兼職職員」という。)は、勤務時間中(時間外勤務を命じられた場合の当該時間外勤務中を含む。)において消防団員として活動をするときは、横芝光町職員の職務に専念する義務の特例に関する条例(平成18年横芝光町条例第31号)第2条の規定により、職務に専念する義務の免除について任命権者又はその委任を受けた者(以下「任命権者等」という。)に承認を受けるものとする。
2 前項の手続は、横芝光町職員服務規程(平成18年横芝光町訓令第21号)第16条第1号の規定にかかわらず、職務専念義務免除承認願(別記第3号様式)により行うものとする。  簡易、定型化
3 職務に専念する義務の免除は、事前に承認を得なければならない。ただし、緊急の場合は、口頭で所属長の承認を得るものとし、事後速やかに前項に規定する手続をとらなければならない。
4 前3項の規定による承認の申請があった場合においては、任命権者等は、当該職員が所属する組織の運営に支障がある場合を除き、当該申請を承認しなければならない。

③不利益の排除(給料の減額)
 地方公務員法には、給料の重複支給の禁止「兼職している職員に重複して支払ってはいけない」(24条③)という原則がある。
 「一般職の職員が特別職を兼ね、その職務に従事する場合 は、明文の重複給与禁止規定がなく、従って、特別職としての報酬を受けることは可能であ るが、受けた場合には、給与は、その勤務に対して支給されるものであるという原則から、 特別職としての勤務をなしたために本務について勤務しなかった時間に対する給与は減額するのが妥当である。」(行政実例昭和26年3月12日)

 しかし、消防団活動の実態は
 ・職員の消防団員としての活動は基本的に勤務時間外に行われることが想定
 ・個別の勤務実態に応じた報酬ではなくて、年間支給等の定額払いとされている
 ・その額も極めて限定された額である
一般職の職員としての給与を減額することなく消防団員としての報酬を支給することも差し支えない(「一般職の職員が消防団員を
兼ねる場合における等の取扱いについて」(平成 25 年 10 月9日付け消防災第 372号)というのが国の考え方

 そこで、自治体では、規定を置いている。
(職務専念義務の免除時間に係る給与の調整)
第6条 前条第4項により職務専念義務を免除された時間に係る職員としての給与等については、「一般職の職員が消防団員を兼ねる場合における報酬等の取扱いについて(平成25年10月9日付消防災第372号消防庁国民保護・防災部防災課長通知)」に基づき、減額を行わないものとする。

4.これらを規則、要綱等で定めている
○菊池市職員の消防団員との兼職等に関する要綱(平成31年3月25日 訓令第5号)
(趣旨)
第1条 この要綱は、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律(平成25年法律第110号。以下「法」という。)第10条の規定に基づき、職員が報酬を得て非常勤の消防団員と兼職すること及び兼職に係る職務に専念する義務の免除に関することについて、必要な事項を定めるものとする。

(兼職の請求)
第2条 職員は、法第10条第1項の規定により、報酬を得て非常勤の消防団員を兼職しようとするときは、消防団員との兼職請求書(様式第1号)を任命権者に提出しなければならない。

(兼職の承認)
第3条 任命権者は、前条の規定により職員から消防団員との兼職請求書が提出されたときは、職務の遂行に著しい支障があるときを除き、これを承認しなければならない。
2 前項の規定により、消防団員との兼職が認められたときには、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第38条第1項の許可を要しない。

(兼職の終了)
第4条 職員は、消防団員を退職したときは、消防団員との兼職終了届(様式第2号)を任命権者に提出しなければならない。

(職務専念義務免除の承認)
第5条 第3条第1項の規定により、消防団員との兼職の承認を得た職員(以下「兼職職員」という。)は、勤務時間中(時間外勤務を命じられた場合の当該時間外勤務中を含む。)において消防団員として活動をするときは、菊池市職員の職務に専念する義務の特例に関する条例(平成17年条例第35号)第2条の規定により、職務に専念する義務の免除について任命権者又はその委任を受けた者(以下「任命権者等」という。)に承認を受けるものとする。
2 前項の手続は、菊池市職員服務規程(平成17年訓令第26号)第19条の規定にかかわらず、職務専念義務免除承認願(消防団員兼職)(様式第3号)により行うものとする。
3 職務に専念する義務の免除は、事前に承認を得なければならない。ただし、緊急の場合は、口頭で所属長の承認を得るものとし、事後速やかに前項に規定する手続をとらなければならない。
4 第1項の承認願があった場合において、任命権者等は当該職員が所属する組織の運営に支障がある場合を除き、承認しなければならない。この場合において、菊池市事務決裁規程(平成17年訓令第6号)別表に規定する総務課長の合議は要しないものとする。

(職務専念義務の免除時間に係る給与の調整)
第6条 前条第4項により職務専念義務を免除された時間に係る職員としての給与等については、一般職の職員が消防団員を兼ねる場合における報酬等の取扱いについて(平成25年10月9日付消防災第372号消防庁国民保護・防災部防災課長通知)に基づき、減額を行わないものとする。

(正規の勤務時間外における消防団活動の取扱い)
第7条 兼職職員が、正規の勤務時間外において消防団活動に従事又は従事しようとしている場合に、職務命令により勤務を命じられたときは、速やかに消防団活動を中止し、職務に服するものとする。

 

 

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