人生をひらく東洋思想からの伝言

様々な東洋思想の言葉やその精神を通じて、ともに学びながら一緒に人生や経営をひらいていけたら嬉しいです。

第15回 「利他のこころ(送りバントの話)」(白駒妃登美著 「子どもの心に光を灯す 日本の偉人の物語」より)

2021年12月16日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第15回 

「利他のこころ(送りバントの話)」

(白駒妃登美著 「子どもの心に光を灯す 日本の偉人の物語」より)

 

日本の文化や 歴史の素晴らしさを 国内外に発信されている白駒さんの本は、

様々な気づきを沢山いただけます。ぜひ、ご一読をオススメします。

沢山のエピソードがある中で、日本人の美意識や感性を

わかりやすく現しているエピソードがあるので、ご紹介致します。

 

これは、プロ野球・阪神タイガースの往年の名選手であり、

監督としても日本一を経験した吉田義男さんが

フランスのナショナルチームの監督を務めたとき(1990~1995)
のこと。

あるテレビ番組で、帰国した吉田さんがインタビューを受けていました。

 

「フランス人に野球を教えるのに、一番苦労したことは何ですか?」

 

このときの吉田さんの答えが、あまりにも意外だったそうで、

吉田さんの答えは、このようだったそうです。

「それは、送りバントです。フランス人に送りバントを教えるのに、3年かかりました。

フランス人は、『自分がアウトになることがわかっていて、なぜバントするんですか?』

と聞いてくるんです」

つまり、バントを教えるのに3年かかったというのは、技術の問題ではなく、

送りバントの概念を伝えるのに、それだけの時間と情熱が必要だったということなのでしょう。

 

野球とベースボールの違いがあるのかもしれませんが、

日本の野球における「送りバント」は、「自分がアウトになって他者を生かす」という意味ですが、

このような自己犠牲の精神を美しいもの、尊いものとする日本の精神や感性は、

昔も今も変わらないのではないでしょうか。

これは、仏教的には「利他のこころ」とも呼ばれているものです。

 

その本質は、誰かの幸せが私の幸せ。誰かのお役に立てることが私の幸せ、

というような感覚だと思います。

私自身もしっかりと理解し、受けとめて、自ら実践できる一人として

これからも生きたいと思っています。

そして、微力ながらも その精神性を伝えられる日本人の一人として、

これからも様々なことを学びながら、生きていければ本望です。

 

参考文献 『子どもの心に光を灯す 日本の偉人の物語』(白駒妃登美著 致知出版社)

 

 

 

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