今日は、ふと思い出した彫刻家、多和圭三について。
かつて90年代だったか、土曜・朝のテレビ東京に恐らく「新・美に生きる」というテレビ番組があって、けっこうマイナーというか前衛の芸術家が取り上げられていてぼくは好きだったのだが、この多和圭三も、その番組で取り上げられていた一人だった。
しかし、当時はホントにびっくり。なにしろ、四角に切り出された(というべきか)鉄のかたまりを、ハンマーでもってひたすら叩くというだけのことを、何年も続けているらしいのだ。その鉄のかたまりは、ハンマーで叩かれることによって表面が少しずつ変化し、やがて一面に文様のような表情が現れるという点が芸術なのだが、そこには東洋的な無念無想の境地を垣間見る想いもしたものの、しかしこんなことよくやるよ、と半ばあきれたものだった。
そしてもうひとつ驚いたのは、その工事現場の肉体労働みたいなことをひたすらやっている人が、多摩美かどこかの先生だというのだから、世の中分からないというか何というか、一体どういう仕組みでもって美大と鉄をハンマーで叩くという行為が結びつくのか、不思議に思ったものだった。
で、今日、何年ぶりかでネットで見てみると、何とまだ鉄を叩き続けているとのこと。まあ、必ずしもこればかりをやっているわけでもないみたいだけど、この継続力というのは、けっこうスゴイかもと思ってしまった。
とりあえず、Youtubeで動画を見つけたので、貼っておきます。これからも、ずっと叩き続けてほしいな。
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