曲目
・ ダリオ・カステッロ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ第2番
・ フレスコバルディ:スピネットとヴァイオリンのためのトッカータ
・ フランチェスコ:ロニョーニ:パレストリーナの「春の野山は新しい愛におおわれて」によるヴァイオリンと器楽のためのディミニューション
・ ジョヴァンニ・アントニオ・バンドルフィ・メアッリ:ヴァイオリンとバスのためのソナタ「ラ・カステッラ」
・ ジョヴァンニ・パオロ・チーマ:「教会協奏曲集」~ヴァイオリンのためのソナタ
・ タルクイニオ・メールラ:二つのヴァイオリンとバスのためのチャッコーナ
・ コレッリ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ第1番
・ バッハ:ヴァイオリンとハープシコードのためのソナタ第6番 BWV1019
これは、2,3週間前によく聴いたCD。
その頃と言えば、ちょうどブログの引越しも含めてなかなか記事を書くヒマがなかった頃で、今はそれを思い出しながら書いております(笑)。
で、このCD。バロック・ヴァイオリンのアレッサンドロ・タンピエリと、アコーディオン奏者ジョルジオ・デッラローレによるデュオで、当時存在しなかったアコーディオンを伴奏にして、バロック期の曲をやってしまおうという企画。
ということなのだが、ぼくの場合はその企画に特に興味を惹かれたというわけではなくて、近頃バロック音楽からかなり遠ざかっていたので、ちょっと毛色の変わったものでも聴いてバロック復活のきっかけになったら、くらいの軽い気持ちだった。
で、そうして聴いてみたところが、これが意外とイケる。アコーディオンの音って、かなりヴァイオリンと相性が良くて、最初はちょっと物珍しさがあったけど、聴いていくうちにそんなことあまり気にならなくなってしまった。
・・・と、2回くらいまでは普通にそう思って聴いていたのだが、でも、聴いているうちに何だか変な気分が。というのは、どうもこのデュオの感じってそんなに突飛じゃないというか、これまでに聴いてきた音にかなり近いような気がしてきたのです。
それでふと思い出したんだけど、これって、要するにバロック期の小さいオルガンの音に近いのですよ。そう、昔のポルタティーフとかオルガネットとかの。で、気づけば、両者ともふいごで空気を送って音を鳴らすという仕組みの点でまったく同じ。
CDに付属の日本語解説を読むと、まだCDで演奏されている曲が作曲された頃はアコーディオンみたいに持ち運べる楽器はなかったと書いてあるけど、たしかに16世紀ごろになるとオルガンも足つきの室内用になっていたと思うけど、それよりもっと昔のオルガンは、簡易で運べるものがあったはず。
そして、当時のオルガンはまだ音も近代の大きいオルガンに比べたらずっと貧弱で、けっこうカワイイというか、こういう音に近かったのを思い出したのです。そう考えてみると、アコーディオンってある種の先祖がえりで、昔の音楽に合ってしまうのはむしろ当然ではないか。・・・ということを、かなり強く思っていたのでありますね。
ちなみに、何か参考になる画像でもないかと思って検索したら、西山まりえさんのサイトにオルガネットの音源があったので、ご紹介しておきます。
http://marienishiyama.com/?page_id=977
というわけで、ぼくとしてはこのCDを半分は現代に甦ったポルタティーフ・オルガンの末裔みたいな感じで聴いていたのだが、むろんそこにはアコーディオン独特のポップさみたいな要素も加わっていて、そこらへんがちょっとオツだったり。
その点を考えると、アコーディオンという楽器はやはり最後のバッハのソナタみたいに本格的な曲より、前半の通奏低音みたいな曲のほうが合っているのかなあ、なんてことも感じたりしました。この通奏低音のところで、気の効いた装飾とか、即興のアドリブとかがもっと入れば、もっとよかったかなあ、とも。
ともあれ、この盤は単なる変化球以上の、なかなか聴き応えある企画だと思います。