Amazon.co.jp: グラス:交響曲第3番: ミュージック
〔曲目〕・交響曲第3番 ・間奏曲第1番~《シヴィル・ウォーズ》より ・メカニカル・バレエ~《航海》 ・間奏曲第2番~《シヴィル・ウォーズ》 ・光
う~ん、このCD。AmazonのHPではジャケット画像もちゃんと載っているのに、たぶん「再入荷見込みが立っていない」とかの理由で、アフィリエイトでは使えないみたい。ちょっと不便だなあ・・・。
それはともかく、今日はめずらしくフィリップ・グラスなんて聴いてみる。
フィリップ・グラスは、なにしろ大物だから現代音楽にあまり興味がない自分なんかも結果的にちょこちょこと聴いてはいて、聴くたびにけっこういいなあと思うんだけど、でもやっぱり本格的な興味にはつながらずに、気づけばまたいつのまにか忘れてしまっている感じ。
それが、今回は「交響曲」という、「ミニマル」とは二律背反するような曲目が目に入ってきたので、ちょっと興味をそそられてしまった。
で、聴いてみたところ・・・、これが非常に聴きやすくて清新(グラスだといつものことではあるけど)。
気になっていた「交響曲」という点でも、たしかに多楽章での構成ということでの説得力みたいなものは分かったし、しかしそんなことを上回って、久しぶりに聴くグラスの音楽が、ブランクがあっただけに一層効いたというか、リラックスできるようなやさしい楽想が耳の深部にまで到達してきた。
実際、グラスって、「現代音楽=聴きにくい」の思い込みの真逆を行っているというか、ある種保守的にさえ感じられてしまうほど聴きやすいんですよね。
で、解説を読んでいて面白かったのは、20世紀のアメリカ音楽は、非常に多くのアメリカ人音楽家を受け入れた有名音楽教師であるパリのナディア・ブーランジェ、及びフランス6人組などのフランス音楽による影響が大きく、まさにこのグラスもパリでブーランジェに西洋古典主義音楽をみっちり鍛え直された一人だったという話。
そう言われると、これまで熱心ではないが散発的には聴いてきたアメリカ現代作曲家のかなりの作品での、あまり前衛というものを感じさせない聴きやすさの理由も分かるし、明るくて都会的な軽さともいうべき雰囲気の源の一端が少し垣間見れたようで、ちょっと霧が晴れたような気分にも。
そもそも、自分はこれまでアメリカ現代音楽にそんな潮流があるという発想すらしたことがなかったもので、でも考えてみればヨーロッパ発祥のクラシック音楽があってこそのアメリカ現代音楽だったわけなのだから、そこに直接・間接さまざまなヨーロッパの影響が流れ込んでいても不思議ではなかったわけだ。
それに、今回のCDでもそうだけど、理知的で乾いた都会性みたいな中に流れるグラスの持つ抒情性が、ミニマルの中でこそ一層際立って感じられるという側面もきっとあるのかなあ、と。
それと、このCDの作品、軒並み作曲年代が1980~90年代で、しかもその後グラスは交響曲を10以上も作っているらしくて、ここまで年代が下ると、本当に「現代の音楽」という気がしてくる(20世紀前半のシェーンベルクなんかといまだに現代という括りで一緒くたになっているイメージがあるのって、いい加減に限界なのではないのだろうか)。
この点、個人的にはグラス他の作品って、かなり20世紀後半という時代性というものを捉えているような印象があるんだけど、でも例えば、これから50年後、100年後の時代に20世紀後半の音楽というものを回顧してみた時に、これらの作品はどのくらいこの時代の精神を反映していると評価さされることになるのだろう、なんてことを考えたりした。
⇓ たぶんこのYouTube、デニス・ラッセル・デイヴィス指揮だからCDと同じ音源だと思うんだけど(でも、聴き比べたりはしていません)。ていうか、音楽にこういうグラフィック付けるのって面白いですね。
Philip Glass, 3rd Symphony 3. Movement