On a bench ブログ

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聴いたCD Hutchinson Andrew Trio : Prairie Modern

2016年09月06日 | ジャズ(グループ、複数名義、オムニバス 等)
Prairie Modern
 
Imports

 Chris Andrew(p) Kodi Hutchinson(bass) Karl Schwonik(ds) Donny McCaslin(s) Regério Boccato(per)

 これは、ここ1,2週間、ちょこちょこ聴き返したアルバム。

 カナダ西部はアルベルタ州という、普段あまり耳慣れない地域出身のピアニスト、 Chris Andrew と ベースの Kodi Hutchinson の2人の名を冠したピアノ・トリオに、ゲストのDonny McCaslin と部分的にパーカッションが参加した作品です。

 実はこの Hutchinson Andrew Trio 、今作が初めてではなく、過去に「Lost But Not Forgotten」という作品も聴いていて、これがかなり気に入っていた(このブログにも書こうと思ったけど、その時は考えがまとまらなかった)。それが、この盤はDonny McCaslin も参加ということで、以前から秘かに狙っていたCDの一つ。

 で、前作も含めて、このトリオに目下一番興味を惹かれるのは、何といってもその地域性。この辺、まだ全然詳しくないのだが、それまで自分が知らないジャズの盤を普段いろいろ拾っている中で、時々シアトル、というかアメリカ北西部(中西部とかも)あたりのジャズに接することがあり(例えば、以前記事にしたTad Brittonの「Black Hills」とか)、最近どうもこの辺りの地域のジャズに、似たような雰囲気というものがあるんじゃないかと、少しずつ感じるようになってきた。

 この盤にしても、今回はカナダなので国境を越えるわけだけど、やはり全体的に雰囲気はかなり近いのではないかと。実際、今作はジャケットを見ても明らかに地域性を意識しているし、タイトルも「プレーリー」。だが、そのプレーリーが普通の青空の下どこまでも広がる草原みたいなイメージではなくて、ジャケット写真は黒い雲で覆われ、内側のトリオのメンバーの写真も古い納屋を背に廃材に腰かけたりしていて、単純に牧歌的というには翳りがある。

 この「うらぶれた」とまではいかないが、やはりこの広大な農業地帯の地方性というか、独特の「翳り」みたいなもの(日本の地方性とはまたいろいろと違うと思うが)が、この辺のジャズを聴いてしばしば感じられるところで、それがニューヨークみたいなエネルギーに満ちてスタイリッシュなジャズとは別の魅力があるというか、段々と放っておけない感じにもなってきたところ。

 が、そんな一方で、この Hutchinson Andrew Trio も言うまでもなく今というグローバルな時代の現代的なピアノ・トリオのひとつであって、さっきも書いたように今回そのフォーマットにDonny McCaslin というメジャー・プレーヤーが参加してどうなるか、というのも興味のひとつ。

 で、その結果が、McCaslin は全曲のうち約半数の参加なのだが、トリオのやや繊細でメランコリーな雰囲気に変化や活性を与えている一方、それ以上に非常にこのトリオを理解して馴染んでいて、むしろ元々カルテットかとも思える感じ。

 実は、McCaslin は以前聴いた盤が気に入らなくて遠ざかっている人だったんだけど、いや、なかなか素晴らしいのではないでしょうか。

 ・・・まあ、実は見つけた時はちょっと高くて一瞬迷ったりしたんだけど、予想以上に好感触で、買ってよかったという盤でした。

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