これは、先日某ディスクユニオンで見つけた際、「ギャーッ!!」と心の中で叫んだLP。
というのはですね、この盤で演奏しているウェルナー・ハースというピアニストが、ぼくが10代の頃から知っていたピアニストでして、それが何でかというと、下の
このLPなんですが、これ、ぼくが中学でドビュッシーを初めて聴いてクラシック音楽に目覚めた時に、最初に買ったLPの中の、5枚目くらいまでには入る「超初期」の1枚だったのです。
で、当時ぼくはその演奏がいたく気に入りまして、その時「ウェルナー・ハース」という名前も自分の脳裏にしっかりと植え付けられたのですが、しかしこのLP、どこにもそのウェルナー・ハースの写真が掲載されていなかった。
そして、当時はまだネットなんてもちろんなかったし、偶然このピアニストのほかの盤に巡り合って顔が分かるということもなかったので、以後ほんの数日前まで、本当にずっと謎のままだったのです(というか、ほぼ忘れた状態ではあったけど)。
それがある日突然、しかも(LPだけに)こんなドアップでいきなり目の前に現れたものだから、もう驚いたのなんの。
いやあ・・・、でも昔、どんな顔なんだろうと虚しく(だって知りようがないんだから)想像していたのは、何となくシューマンに似たような顔だったけど、大分違っていましたねえ(笑)。
で、このウェルナー・ハース(ドイツ語読みだと「ヴェルナー」のはず)。
LPの解説によると、あのギーゼキングの弟子としてステレオ時代に登場して、そして師と同じくドイツ出身ながらやはりドビュッシー、ラヴェルを得意にしたピアニストで、さらにネットでいくつか情報を集めると、かつて彼のドビュッシー録音はフィリップス・レーベルの手持ちのドビュッシーの有力な音源となっていて、恐らくこのLPのようなドビュッシーの再発ものを1枚作る際にさかんに利用されたという人らしいのだが、でも正直、ぼくの超初期のピアノ好き人生の中ではもはや神聖なモヤの中に存在していたピアニストだったので、そんな下世話な業界事情みたいなことを今さら教えられてもちょっと困るんだけど、という気持ちが強いです(調べ始めたのは自分なんだけど)。
でもこのフォンタナのLPでのハースの演奏って、何十年ぶりかで今回久しぶりに聴いたけど(って、聴き始めた瞬間明瞭に思い出したから全部聴くまでもなかったんだけど)、今聴いても際立った個性はあまり強くないかも知れないけど全然素晴らしいし、特に「喜びの島」ほかの数曲なんて、今もってこの盤が個人的にベスト。
まあ、そんな評価って、多分に自分だけの思い入れ(刷り込みというべきか)が入っているには違いないとは思うけど、でもそれを他人に押し付けているわけでもないので、自分としてはもうそれで良いんじゃないか、なんて思うんですよ。
で・・・、
せっかくだから、最後に今回見つけた「トッカータ集」とも言うべきLPについて。
とりあえず、曲目は以下の通り(スミマセン、全部書き写すの面倒だった(笑))。
まあ、やっぱりぼくの中ではハースはフォンタナのドビュッシーのLPの人なので、この盤についてはすんなり受け入れるのにはやや複雑な心情が沸いてしまうのだが、しかしこの盤も、全然悪くないです(まだ5回くらいしか聴いていないけど)。
特に、個人的には後半の近代の曲が入っているB面が好きなのだが、中でもここでも1曲入っているドビュッシーの「ピアノのために」の「トッカータ」が、個人的に昔から秘かに超お気に入り。
というのが、この曲、中間部といえばいいのか、最初嬰ハ短調で始まったのが、3分の1くらい進んで4つのシャープが取れて楽譜が調性記号なしになったところで、左手でゆったりした旋律が発生して次第に盛り上がっていき、そしてまさに潮が満ちるようにして最高潮に達する高揚感。
もう、ここいつ聴いても素晴らしすぎて興奮してしまうんですよ(同意してくださる方、いるでしょうか)。
そして、かつてぼくがこの曲集全体を好きになった経緯はというと、ここから「トッカータ」の曲調がやっぱり最初の「前奏曲」と似ていると分かり、そして終始細かい16分音符が続く前後の曲に挟まれた「サラバンド」の荘厳な静けさに気づく、という流れでした(「サラバンド」の中間部も超絶美しい。というか、この曲集だけ見てもドビュッシーってダントツに超天才!)。
それでもって、話をこのLPに戻すと、このドビュッシーからラヴェル、プロコ、プーランク、ハチャトリアンにつづく流れがかなり最高。
特に、ここでのハースのハチャトリアンの弾き方なんて、かなり好きなんですけど。
・・・って、エッ、こんなマイナーなLPも今やYouTubeで全部聴けてしまうんですか。どこまでマイナーな音源が隠れているんだよ、YouTube。もうどうにでもしてくれ、って自分でも何言っているんだかよく分からないんだけど、見つかってしまった以上、とりあえず貼っておいたので、皆さまもよろしかったらどうぞ。
そして、ウェルナー・ハースのドビュッシーは、何度か全集がCDでも発売されているようで、地味ながらかなり評価されてきてはいたようです。
(と分かれば、今度見つかったらやっぱり自分なら買っちゃうよね、さっきからそっちもYouTubeで聴けるのがはっきりと分かってはいるんだけど(笑))。
Werner Haas 15 Toccatas Phillips 6504077
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