沖縄県内では現在、「Suica(スイカ)」などの全国的な交通系ICカードは使えない状況だが、国土交通省が沖縄県でも使えるようにする仕組みを検討していることが分かった。
沖縄総合事務局が12日、「沖縄の新たな交通環境創造会議」報告会で明らかにした。
一方、沖縄県内の沖縄都市モノレールや路線バスなどで利用できるカード「OKICA(オキカ)」は今後も県外では使えない。【琉球新報電子版】
沖縄県内では現在、「Suica(スイカ)」などの全国的な交通系ICカードは使えない状況だが、国土交通省が沖縄県でも使えるようにする仕組みを検討していることが分かった。
沖縄総合事務局が12日、「沖縄の新たな交通環境創造会議」報告会で明らかにした。
一方、沖縄県内の沖縄都市モノレールや路線バスなどで利用できるカード「OKICA(オキカ)」は今後も県外では使えない。【琉球新報電子版】
今春卒業した沖縄県内高校生の就職内定率が、前年同期より0・8ポイント高い93・3%(3月末)で過去最高だったことが9日、分かった。県内の有効求人倍率が上昇するとともに新規高卒者求人倍率も上がったことに加え、キャリア教育を推進し就職支援員を配置するなど学校関係者らの取り組みも奏功した。内定率は7年連続で増加している。沖縄労働局や県教育庁、県商工会議所などの関係者らが参加する「県高等学校就職問題会議」で報告があった。
沖縄労働局によると、2016年度の県内の高校生を対象とした求人数は2838人(前年比97人増)、内定者数は1978人(前年比55人増)で、求人数、内定者数ともに過去最多だった。就職希望者数は2121人で、前年同月比2%増で、うち県内が4・5%増の1481人、県外が3・5%減の640人だった。
労働局職業安定部の比嘉均課長は「求人も増え、景気も向上していることが内定率向上につながった」と分析。ただ、全国の内定率より依然、県内が低い傾向にあることについては「県外と県内では企業数に差があり、それが就職内定率にも影響している」と話し、県内高校生の「県内志向」の高さが要因だとの見方を示した。
一方で、離職率が高い傾向にあることも明らかになった。県内の高卒者の1年目の離職率は前年より5・1ポイント減少の26・6%だが、全国の18・1%と比べると、依然高い。参加者からも「マッチングが不十分」との指摘があった。
県内の内定状況は、前年と同様で、サービス業が求人数・就職内定数ともに高く、産業別では「卸売・小売業」が最多の351人、次いで「宿泊・飲食サービス業」170人だった。
県教育庁担当者は「内定率は上がっているが、全国と比べるとまだ改善の余地がある。若者が夢を持って社会に出られるよう、関係機関と協力して取り組む」と話した。
第42代那覇観光キャンペーンレディに選ばれたバトルズ未来パトリシアさん(左)と金城希さん=5日、那覇港新港ふ頭
---------------------------------------------
那覇市の魅力を市内外に発信する第42代那覇観光キャンペーンレディに、バトルズ未来パトリシアさん(19)と金城希さん(25)が選ばれた。5日の第43回那覇ハーリーの会場で、那覇市観光協会の佐久本武会長から認定書が交付された。
2人は県内在住の35人の応募者の中から選ばれた。5日からの1年間、県内外のイベントなどで那覇市をPRするほか、市の公式行事を補助する。
交付式では紅型をあしらった色鮮やかなコスチュームに身を包んだ2人が登場した。コスチュームは「ラフィール・ココ」デザイナーの比嘉弥生さんが手掛けたもので、那覇市の市花木ホウオウボクや市花ブーゲンビリアをイメージした。
バトルズさんは「すてきな出会いにあふれる1年となるはずだ。変化し続ける那覇市と共に成長したい」と抱負を語った。金城さんは「那覇市の魅力を広く伝えられるよう、一生懸命務め上げたい」と意気込みを語った。
「ゴーヤーの日」にちなみ、1本58円の県産ゴーヤーを買い求める客でにぎわう店内=8日午前11時58分ごろ、糸満市のJAファーマーズマーケットいとまん・うまんちゅ市場
5(ゴ)と、8(ヤ)の語呂合わせで「ゴーヤーの日」の5月8日、県産ゴーヤーの消費拡大を目指すイベント(県農林水産物販売促進協議会主催)が糸満市のJAファーマーズマーケットいとまん・うまんちゅ市場で開かれ、浦崎唯昭副知事がゴーヤーの旬入りを宣言した。
会場ではゴーヤーが特売されたほか、ゴーヤーのジュースや天ぷら、サーターアンダギーなどの試食会などもあり、多くの買い物客でにぎわいを見せた。
今年のゴーヤー生産は当初、3月に夜間の低温が続いて栽培に影響が出ていたが、農家の頑張りもあって5月前半の生産は例年並みを見込んでいる。
県農林水産物販売促進協議会の大城勉会長(JAおきなわ理事長)は「待ちに待ったゴーヤーの季節がやってきた。ビタミンやミネラルが豊富な県産ゴーヤーの魅力を県内、全国に発信したい」と語った。
生産者を代表し、JAおきなわ糸満支店・蔬菜(そさい)生産部会の金城薫部会長は「今年は例年以上の出来だ。沖縄の豊富な太陽を浴びて育ったゴーヤーを食べてほしい」と呼び掛けた。
会場内では「いいゴーヤー」の語呂合わせで11時58分から、ゴーヤーが千本限定で通常の半額となる1本58円で販売され、多くの人が新鮮なゴーヤーを買い求めた。新垣ひとみさん(59)=糸満市=は「家族で天ぷらや、サラダ、あえ物にして食べる。4本買ったが、2日でなくなる」とうれしそうに話した。
県農林水産物販売促進協議会などは8日から「裏ゴーヤーの日」の8月5日にかけ、各種イベントを展開していく。【琉球新報電子版】
県内の2015年度国税徴収額(徴収決定済額)が3508億円と過去最高を記録し、初めて3500億円を突破した。
同年度の内閣府沖縄関係予算3392億円(補正後)を上回った。
他省庁分を除き、国から沖縄に入る予算よりも沖縄から国に納める税金が上回る「支払い超過」となった。
支払い超過は、1972年の復帰以降、9回目。また国税徴収額の最新値が公表されている15年度を含む過去10年度分の統計を見ると、うち6年度分で国税徴収額が沖縄関係予算を超えている。
沖縄関係予算を巡っては基地問題に絡めた「リンク論」もしばしば取り沙汰されるが、近年は沖縄から国に支払われた税額の方が大きくなる傾向が出ている。足腰の強い自立経済が出来上がってきたとも言えそうだ。
沖縄国税事務所の15年度国税徴収額は3508億1300万円で、前年度から10・6%(337億2300万円)の増加となった。
全国12都市に置かれた国税局(沖縄は国税事務所)が徴収する「局引き受け分」を除いた分で、15年度の都道府県別の国税徴収額を比較すると、沖縄は3455億2300万円で全国29位と、おおよそ中位にある。
15年度の国税徴収額が過去最高に達したことについて、沖縄国税事務所は「分析はしておらず確固たることは言えない」と前置きした上で、「長期的要因としては物価の変動が挙げられる。また短期的には県や沖縄総合事務局が分析しているように、観光や建設関連業種の売り上げが伸びていることも要因かと推察される」とした。
琉球新報のまとめによると、沖縄が日本に復帰した1972年度から2015年度までの間、県内の国税徴収額が内閣府沖縄関係予算を上回ったのは1990年度、91年度、2005年度、06年度、07年度、09年度、10年度、11年度、15年度。
16年度の国税徴収額は未公表。
2015年度の沖縄の国税徴収額が過去最高に達した。目標入域客数の上方修正が続く観光業などで経済情勢が好調に推移し、法人税や所得税額を押し上げていることが背景にある。16年度の有効求人倍率も復帰後初めて1を超えるなど企業活動は活発化しており、国税徴収額も当面増加が続くことが予想される。一方、沖縄からの国税徴収額が、国から投下される内閣府沖縄関係予算を上回る「支払い超過」の状況が定着しつつあることも浮き彫りになった。
沖縄は米軍基地の存在によって予算措置で「優遇されている」との認識が根強くあるが、実際はむしろ国税支払い額の方が多い。
政府は「骨太の方針」に沖縄を「日本のフロントランナーとして経済再生のけん引役となるよう国家戦略として沖縄振興策を推進する」と明記するが、既に沖縄は、復帰45年を経て自立型経済が構築されつつあることを示す。
産業構造の偏りや雇用環境の改善など課題はあるが、沖縄の実質経済成長率が全国トップクラスに位置する中、この状況をいかに維持・発展できるかが問われる。
こうした指標を踏まえ、基地と予算の「リンク論」に関する誤解をどう払拭(ふっしょく)するかが県にとってのもう一つの課題だとも言える。
15年度で見ると、沖縄の国税支払い額は全国47都道府県のうち29位とおよそ中位。併せて総務省の都道府県の分類で沖縄県は、財政指数が0・3未満の高知や島根など類似10県に含まれる。地方税や地方交付金、国庫支出金、地方債など歳入で沖縄の人口1人当たりの金額は、類似10県のうち2番目に少なく、全国では20位だ。つまり類似10県のうち沖縄よりも「もらっている県」は8県ある。一方で沖縄の国税支払い額はこれら類似県を大きく上回る。
沖縄は「国からもらいすぎ」でもなければ「国に払う税金が少なすぎる」わけでもない状況が、経済活動を背景に定着してきていると言えよう。
(島袋良太)