パペット劇場ふらり旅 ~広島~

芝居好きの私がめぐり合った人形劇の魅力、たっぷりとお伝えします。

あいうえお攻撃のススメ ~斉藤美奈子講演会~

2007-07-10 | Weblog
広島にあの斉藤美奈子が来ると知り野次馬の私はすぐに行くことを決めた。

2007男女共同参画週間記念・広島市女性教育センター会館25周年記念の講演会。演題は、『物は言いよう』~キーワードで読む女と男。

『物は言いよう』という同名の斉藤美奈子著の単行本が出ていてなかなか面白い。どうやら政治家の週末の地方遊説は問題発言の宝庫らしい。

『男女共同参画基本法』は、連立内閣で自社さのうち女性の代表が二人という奇跡的状況の中でかろうじて成立した。男女共同参画というこなれの悪いいかにもお役所ふうの言葉は、成立の折にどうしても男女平等という言葉を使いたくなかった議員たちがいたのだという。内心認めたくないのだ。それでも無いよりは法律があるほうがずっとマシだと考えなきゃいけないと斉藤美奈子は言う。

古い「女大学(おんなだいがく)」の古文書を集めるのが趣味だそうで、
女性の立場は江戸時代の女大学のころからあまり変わっていないのだという。
「・・・してはいけない」「・・はダメ」、とかく女に対する注文が多いのがこの指南書の特徴だとか。江戸から明治、戦前から現代の女子大生向け『面達』(「面接の達人」)まで。世間や男の意識が(日本では特に)変わらないことを順に紹介して会場は大うけである。

そんな力関係の中で、セクハラは力の強いものから弱いものに対してされる。上から下へ、男から女へである。しかも一度この「ちから」のバランスが崩れるとますます声を挙げにくい状況に陥る。

そんな中でまだ自著にも書いていないという「あいうえを攻撃」を紹介してくれた。
「女は嫉妬深い」「女は女らしく」「だから女はダメなんだ」・・・等々。そんな不当な言い方や対応にどんなに憤慨しても黙って我慢していては現状はかわらないのである。あいうえお順で覚えやすいのがミソ。

①あ・・・呆れる。
   「えぇ~、・・マジっすか」

②い・・・怒る。
   あくまでクールに。「ちょっと怒ったな、ワタシ」とゆっくり呟く。

③う・・・唸る
   「ほぉ~、そう思ってたんですか」

④え・・・「えっ?」と聞き返す。
   聞こえなかった振りをして相手の言葉を聞き返す。

⑤お・・・オオムがえし
   同じ言葉をゆっくりと繰り返す、何度もつぶやく。


実際にその立場になると憤慨のあまり逆上することも多いし、とっさに一言が返せず涙を呑むこともある。
男のいない場所でシュミレーションをして練習してみる。黙って引き下がることを一回でもやめる事ができれば最初の一歩である。反撃ではない、その言動の不適切さを相手(男)に自覚させることが目的なのだ。

男女差別に憤慨し真っ向から立ち向かっても上手くいかなかったウーマンリブの経験。でも自分たち一人一人が出来ることがあるのではと斉藤美奈子は言う。
ちいさな出来事を見過ごすことが大事故につながるという労働災害を分析したハインリッヒの法則がある。小さな芽を摘んでいくことが大きな不幸を防ぐのだと。

周囲が変わらないことに失望し諦める前に、自分ひとりでも始められること、出来ることがある。人の話は聞きにいってみるものであります。

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