Oka-Changと櫻田宗久の往復書簡

迷わず読めよ。読めば分かるさ。

宗久くんへ  戦いすんで、日が暮れて……

2008-09-23 05:06:58 | Weblog
また間があいてしまった。ごめん。

宗久くん、いかがお過ごしですか?
こちらは先週より、ようやっと執筆体勢に入ってくれたみたい。2本同時に書いてる。
「みたい」なんて、相も変わらず他人事だったりするのは、
普段のあたしの生活が、
ものを書くことを生業としている人たちのそれとは
比べようもないくらい日当たりが良く……
あ、そうそう、
最近は『粉粧楼(フンショウロウと読みます)』って名前のバラがあることを知り、なんて綺麗な名前なんだろうと小さく感動した。
中国産のバラで、それほど希少な品種でもないところも気に入ってて。
わりと小ぶりのまあるいバラ。うつむき加減に咲くそうな。
宗久くんとこの植木は元気ですか?


その後、伝えるべきことは伝わった?
あたしは案外伝えてないことが多いな、そういう場合。
「まんま、伝わるはずがない」って、はなから物事を諦めてるふしがある。
昔っからそういう性格なんだよね。
だからかえって、伝えなければいけない場面が苦手で。
なるったけ、人生にそういう局面が訪れないようにうまくやってる。
どうしたらそうなるって具体的な方法があるわけじゃないけど、
なんかこう、空気の隙間をボクサーみたいによけるみたいな……こう、あんだよね、やり方が。


今日はね、夕方雨が上がったじゃん?
メダカの餌持って、屋上にあがってみたのね。
夕焼けがきれいなもんだから「わーーい」つって、
睡蓮が咲いてた池(というか、水槽?)あったじゃん?あそこに向かって歩いていくと、
池のすぐ近くに並べてあるガーデンチェアーに、杖ついたままで座ってるおじいさんがいて。
新宿の方を向きながら、
♪戦いーすんでー、日が暮れてー
って、大声で歌ってるんだな。補聴器つけてた。
邪魔しちゃ悪いなと思って、遠慮がちに近づき、
池の縁に座ってそれでもメダカとグッピーに餌あげたの。
20も30もグッピーが寄ってきて、
ピチピチって餌を食べてるのがほんとかわいくて眺めてるんだけど、
おじいさんはさ……満州に行ってたんかな?「ここはお国のー」って、
あたし、それを聴きながら、目が潤んでしまってさ。
それがなんとも極めて小説的な場面で…… 困ったよ。

今日は他にも、同じく屋上で犬の散歩をしてるおばさんから、
「11月になるとサギがやって来て池の鯉を食べちゃうから、
夏の時期に解禁される屋上プールの方へ、
管理人さんたちが鯉を逃がしてやってる件」とか、
「ここのグッピーも、冬になると死んじゃうから、
地下のたらいかなんかの中に一時避難させてる件」とか、
いろいろブロードウェイニュースが聞けたんだけど、
やっぱりおじいさんの歌の方が今も頭から離れてくれない。
人って、「哀しい」の方が心に残るんだね。

今、書いてるお話、ぜんぜん哀しくないんだよなー……(遠い目で)


そんな秋分の日です。
しばらくこんな調子ですので。

突然寒くなってきたから体気をつけてね。
あたし、今日、セーター出したよ。

Oka-Chang