Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

瀬戸内国際芸術祭2016 春の三都半島編

2016-03-21 16:11:27 | 瀬戸芸


昨日、3月20日から、瀬戸内国際芸術祭が始まりました。私の住む小豆島でもオープニングセレモニーが執り行われ、その後町主催でマイクロバスで作品を見て回るツアーがあるというので参加してきました。オープニングセレモニーが始まるのが14時30分、バスツアーは15時から…のはずでした。はずだったのですがよくある話でセレモニーが長引き、ツアーは30分遅れのスタートになりました。ああ。始まる前、ツアーの所要時間は約2時間と聞いていたので、
「うう…終わるのは5時半か…遅いけどまあ仕方ない」
と納得することにしました。体力的にマイカーで回るのはきついところに行くので、文句は言えません。

ツアーは小豆島町の三都半島(うちから近い)をまわるコースと、旧内海町(遠い)を回るコースの2種類がありましたが、体調があまりよくなかったのでマイクロバスでも長距離移動はきついと思い、うちから近い三都半島のコースに参加しました。

が、しかし。

私が乗ったバスの乗客は、私以外は皆スタッフか展示作品の作家さん&その家族で、一般参加者はいませんでした。いませんでしたー。つまり私以外は皆顔見知りで和気あいあい。雑談で盛り上がっております。居たたまれません。その昔、母親と一緒に観光バスの日帰りツアーに参加したら、参加者の大半が同じ一族だったということがありましたが、それよりさらにハードでした。うう…。

以降、ツアー終了までその居たたまれなさは続くのですが、ここに書いても仕方ないので省きます。

バスが最初に行ったのは、三都半島の吉野地区。使われなくなった倉庫に、尾身大輔さんの「空想と虫籠」がありました。



はーい、どーん。雌カマキリが、交尾が終わった雄カマキリを食べています。よくある自然の営みですが、哀れ。



バッタもあるでよ。広げた羽に躍動感があります。



壁には蝉。実際にこのサイズの蝉が家の網戸に引っかかってたら…「巨大生物の島」みたいですね。若い人は知らないか。



バッタの横顔。複眼もしっかり彫ってあります。



オリーブの天敵、ゾウムシです。

尾身さんの作品は去年の9月に行われた作品展「潮耳荘」でも公開されてましたが、それより作品も増えてパワーアップしてました。こうやって、作品の変化というか成長を見守れるのがいいですね。

同じ吉野地区には、久保寛子さんの「段山遺跡群」もあります。



吉野にある段山をピラミッドに見立て、その横に巨大なイノシシがスフィンクスのように鎮座しています。春会期はイノシシだけですが、これから遺跡は増えるそうで楽しみです。



反対方向から撮ったイノシシ。青空をバックにすると、イノシシの顔がはっきり見えてますますスフィンクスっぽい?

またバスに乗り、次に向かうのは三都公民館。かつての三都小学校です。

黒田大祐さんの「チョウジマカズミについて」も、「潮耳荘」で公開されていましたが、この作品も今回さらにパワーアップしてました。
小学校の校舎に黒いカーテンを張って、階段の踊り場、廊下の奥、2階の教室をフルに使って作品を表現しています。まあ、正直何を伝えたいのかは「潮耳荘」の時と同じくやっぱりよくわからないんですけど、作品の放つオーラというかパワーは強まっていたように思います。



扇風機の樹。つまり扇風樹?



廊下の奥に突き進むと、ぼや~んと人影が…最初に気づいたとき、「ひぃっ!」って言いそうになりました。

体育館には友定睦さんの「島の誕生」がありました。ここも暗かったので写真は撮れませんでしたが、この作品も「潮耳荘」の時よりパワーアップ、スケールアップしていてとても面白かったです。ひろい体育館の内部が、まるっと作品になっていました。細かいことはよくわからないけど、その大きさには圧倒されます。

三都公民館を後にして、次は蒲野地区にある土井満治さんの「境界線の庭」です。
かつて水害で埋め立てられた土地に、鳥居に見立てた石彫を展示しています。



鳥居の向こうは海。石段を下りて、鳥居の下をくぐることもできます。



鳥居の上には、さらに小さい鳥居。誰かが花を挿してました。

このころには少し日が傾いてきて肌寒かったのですが、ツアーはまだまだ続きます。

三都半島の先端、釈迦ヶ鼻まで、伊東敏光さんの「怪物と少年II / この彫刻は一万年の生命を持ちヒトの一生の間には10mほど歩くIII」を見に行きました。



はい。怪物の上に乗っている、大人と子供は作品ではありません。この作品には脚立を使って乗ることができるそうです。私は芸術祭開幕早々、作品をダメにするわけにはいかないので遠慮しましたが。(誰もいないときにこっそり乗りたい)



少年。ハチの巣です。
怪物には顔も目もないので、進行方向がどちらなのかわかりませんが、少年が向いている方向が進行方向なんだろうなぁ…でも逆方向でも面白いかな。

もうひとつの、タイトルが長いほうの作品はさらに半島の先端の浜辺にあります。



一番奥の怪物に座っているのは、作家さんのお子さんだそうです(多分)。一般のお客さんは、浜辺の怪物に乗ることは禁じられています。脚立もないし、危ないし。
浜辺をエイリアンみたいな謎の生物が群れを成して歩いている様子は、SF映画のワンシーンのようで面白かったです。彼らはどこに向かっていくのかな?



怪物のアップ。ちょっとスパイダーマンに見えなくもない。

大きな怪物を見た後は、あっとびっくり小さな小さな世界を見に行きます。神浦地区にある、入江早耶さんの「ククリヒメノソノ」です。これも「潮耳荘」で公開された時よりさらに作品が増え、小さな民家がワンダーランド状態になっていました。

玄関入ってすぐの場所にいた、馬。



その馬はどこからやってきたのかというと、



この絵から。絵を消しゴムで消して、でた消しゴムのカスを練って作ったのが上の写真の馬です。すごい!
普通に消しゴムを練って作るだけでもすごいのに、絵を消したカスでその絵を立体に再現するという発想がすごいです。



この作品のメイン、観音様。細部まで見事に再現されているので、ぜひ実物を見に行ってください。ぜひ!絵に描かれたものが抜け出してきたかのようなファンタジックな世界を、たくさんの人に味わってほしいです。

最後は、神浦地区の太鼓蔵にある、チャールズ・ウォーゼンさんの「ひとりおどり」。テトラポットを踊る人に見立てています。



このポーズはアラベスクですね。見慣れているものも、視点を変えるとまったく違うものに見えるんですね。

ツアーの最後に、神浦地区でおもてなし用にふるまっていたイノシシ汁をいただきました。こういう、今回の瀬戸芸のテーマは「食」だそうですが、あちこちの会場でこういう風にその土地の食べ物がふるまわれているのでしょう。

小豆島以外にも、見たい作品、行きたい島はたくさんあるので、予定を立てるのが大変です。これから先も、見に行ったらできるだけブログにUPしようと思います。全部周るのは体力的に厳しそうだけど。


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