Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

瀬戸内国際芸術祭2016 伊吹島編

2016-11-04 20:00:57 | 瀬戸芸


11月3日の文化の日、終わりかけてる瀬戸芸秋会期を、駆け込みを通り越して滑り込みで見に行ってきました。今回訪れたのは観音寺市の伊吹島。
観音寺駅からシャトルバスで港に行き、そこからフェリーで約25分で着く島です。これだけ書けば簡単に行けると思われるかもしれませんが、そうは問屋が卸さない。私の場合、朝6時半のフェリーで小豆島を出て、8時前に高松駅からJRに乗って、途中で1回乗り換えてトータル1時間半電車に揺られた結果観音寺駅に到着し、そこからシャトルバスに乗って…と長い旅になるわけです。そりゃ東京やニューヨークから来る人よりかは近いですけど、日帰りできる距離というのは日帰りしなくてはいけない距離でもあるので、なかなかのストレスです。

そして、そのストレスを増大させる出来事がいろいろありまして。箇条書きにしますと、

・高松駅の改札をICカードで通ったら、観音寺駅がICカード対応してなかった。

・観音寺駅の改札で、駅員に悪態をつかれる。

・観音寺駅を出入りる乗客が大勢いたにもかかわらず、改札の駅員は1人しかいない。ICカードの乗客は精算までかなり待たされた。

・その間に観音寺港行きのシャトルバスが出てしまう。

・次のバスを待つこと30分。

・やっとバスに乗ったものの、港に着くと伊吹島行きのフェリーは乗船オーバーでもう乗れない。

・次のチャーター便を待つこと1時間。

…といったところです。ICカードの件は私がうっかりしていたのですが、都市部からの来場者には日常的にICカードを使っている人が大勢いるのだから、ダメならダメで車内アナウンスをするとかわかりやすい告知をするとかあったんじゃないかとモヤモヤしました。

そんなわけで伊吹島へ到着するのは予定より1時間遅くなってしまったのですが、だからと言って帰りの船を1本遅くするわけにもいかないので、着いたらさっそく、わき目も降らずにさくさく作品を見て回りました。いや、坂道を上るのがきつくてヒーヒー言いながらだったので、さくさくではありませんでしたけど。

まずは旧伊吹小学校へ。



石井大五さんの「トイレの家」です。前回の瀬戸芸でもありました。構造が独特なので維持が大変だろうと思ってましたが、前回と同じ状態を保っていました。

いざ中へ。



伊吹小学校の校章。波の模様がシンメトリーでかっこいい。



入って最初の教室にあった、島の模型。これも前回の瀬戸芸で展示されていたもの。こうして見ると高低差がすごい。

2階にある、豊福亮+Chiba Art Schoolの「沈まぬ船」を見に行きます。これも前回の瀬戸芸で展示されていましたが、前回の作品に少し手を加えているそうです。

階段の踊り場。



見上げるとこうなっています。



いりこ(カタクチイワシ)に見立てた6万個の浮きが、渦を巻いています。吸い込まれそう。



2階の教室にあった船。



いりこと一緒に、どんどん奥へ。



数のパワーに圧倒されそうです。



ここでゴール。どんどん巻き上げられていくいりこたち。



少し変えているとはいえ、3年前にも見ているのだからあまり新鮮味はないだろうと思いきや、相変わらずそのパワーは圧倒的でした。うーん、これを見られたらもう満足!思い残すことはない!…というわけにはいかないけど。



校舎の1階には、コンタクト・ゴンゾの「伊吹島ドリフト伝説」という作品もありました。これは伊吹島の路地を舞台にしたゲームのような作品で、原付に乗って島の路地を駆け抜ける疑似体験ができるようになっています。時間がないので私はパスしました。けして、運転テクニックに自信がないからではありませんよ!ええ!

伊吹島の路地を歩いていると、あちこちでウィルフレド・プリエトさんの「限界/伊吹の静けさ打つ水の音」という作品を目にしました。



こんな感じで、地面に瓦が並べられてて、コスモスがぽつんと咲いていたり、ハンモックみたいな薄い網が風に揺れていたり。瀬戸内海のどの島々も抱えている問題ですが、空き地や空き家、崩壊寸前の家屋などが目立つ中に、すっと溶け込んだ作品でした(褒めてるんだか褒めてないんだか)。



伊吹島は猫が多かったです。近づいても逃げないのは、瀬戸芸で人が出入りするのに慣れてるから?それとも単に図太いから?

港の反対側、島の北側にあるのは、今回初出展のアルフレド&イザベル・アキリザンの「Here,There,Everywhere:Project-Another Country-Dap-Pay-」という長い名前の作品です。



「沈まぬ船」にも使われていた、いりこ漁で使っていた網みたいなもの(名前がわからない)を使っています。梯子がかけられていて、真ん中の穴から顔を出すことができます。

顔を出してみました。



左にある展望台から、誰かがカメラを向けていますが、知り合いではありません。1人で来たので、顔を出した私の写真を撮ってくれる人はいませんでした。こんな時もぼっちの寂しさを痛感するとは…よよよ。

悲しいので、振り返ってみました。



これを撮ってどうするつもりだったのか自分でもわかりません。

最後に、展望台から撮った風景。



こうして見ると家が結構あります。伊吹島の人口は500人で、西讃の島の中では一番多いんだとか。

この時、時刻は正午。いい加減お腹が空いてきたので、ランチにしました。



アンチョビとチキンのカレー、500円なり。アンチョビは島で獲れたカタクチイワシを使っているそうです。美味しかったです。美味しかったのですが、



なぜか水を入れる湯呑が「およげタイヤキくん」の絵でした。この湯呑、一体何年前のモノなの…?子門真人もびっくりだろうよ。



カレーを食べたお店の入口近くにあった模様。同じ模様を、島のあちこちの家で見かけました。きっと、何かの意味があるんでしょうね。

その後も、港に向かって坂道を下って、みかんぐみ+明治大学学生の「イリコ庵」に立ち寄って、



を、デザート代わりに食べました。なめらかでコクがあって香ばしくて、美味しかったです。

13時30分のフェリーに乗るべく、坂道をちんたら歩いていたら、港には12時45分ごろ着きました。まだ時間があるから漁協によってお土産でも買うかな~と思っていたのに!なんと!港には13時30分のフェリーに乗るための長蛇の、いや蛇を通り越して龍くらいの長さのある列ができてました。ががーん。このままだと13時30分のフェリーにも乗り損ねてしまうと、慌てて列に並びました。ああ、お土産…。

港の周りには、大漁旗がたくさん掲げられていました。

こんなのとか、



こんなのとか。ゆっくりじっくり眺める時間がなかったのが残念です。



結局、出航30分以上前からフェリーに乗ったのですが、フェリーは超満員だったので、一番下の窓もない客室に潜り込んで場所を確保しました。観音寺港に着いたら着いたで、駅に向かうシャトルバスになかなか乗れず、予定していた電車に乗れないかもしてないと焦ったのですが、さすがにそこはなんとかなりました。ただ、あともうちょっと時間に余裕があったら、観音寺まんじゅうで有名な白栄堂に立ち寄って、観音寺まんじゅう以外のお菓子にもトライできたのに…駅の売店で観音寺まんじゅうはがっちり買ったけど。

振り返ると、今回の伊吹島訪問は伊吹島で過ごした時間はとても楽しくて良い思い出なのですが、島にたどり着くまでと島から帰る過程にあまりいい印象がありませんでした。観音寺市にとってせっかくのビジネスチャンス…もとい観音寺市の良いところを世界に発信できる機会を、フルに活用できてない気がしてもったいなかったです。まあ、そんなこと言ってわが小豆島にそれができてるかどうか言われると困るんだけど!

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