Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

瀬戸内国際芸術祭2016 本島&高見島編 その2

2016-11-01 23:26:47 | 瀬戸芸


はい。本島でタコ入りコロッケをひとつ食べただけの私たちは、すきっ腹を抱えて高見島に到着しました。

高見島に着くと日差しは弱いものの雨は降っておらず、まずはひと安心。

港のそばにある作品から、見に行きました。中島伽耶子さんの「時のふる家」です。



古い民家の壁にアクリル板を通して、光が矢のように暗闇を貫いています。造りはシンプルなのに、インパクトがあります。
奥にある丸いのは、もとからあった灯り取りのようで、この民家の歴史を感じました。



アクリル板から発する無機質な光は近未来的で、古い民家とのギャップが面白いです。

もうひとつ、港の近くにあったのは、田辺桂さんの「漁師と職人」。



細かな絵付けを施した蛸壺が、漁船に積まれています。高見島の人々の生活を支える漁業と芸術のコラボ。あまりに自然においてあるので、瀬戸芸の作品だと知らなかったら「高見島の漁師さんはシャレてるな~」で終わっちゃうところでした。

上の2作品と、港を挟んで反対方向にある、若林亮さんの「錆色の旅」。



あまりに大きいので、スマホのカメラでは収まりませんでした。パノラマで撮ればいいじゃんと言われそうですが、自分、不器用なので。

ここから先は、島の東側の集落にある作品を見て回りました。急な坂道をえっちらおっちら上り、人が一人歩くのが精いっぱいの細い道を曲がり…。うん、間違いない、明日は筋肉痛だな!と断言できるハードさでした。実際、私みたいなアラフォーになると、筋肉痛が出るのは翌日じゃなくてもっと後だったりするんだけど。

さて、高見島に着いたときにはすでに正午を過ぎていたので、さすがにお腹はぺっこぺこ、本気で何か食べないといけなくなりました。そこで入ったのが野村正人さんの「海のテラス」。ここでは、香川県民なら誰もが知っている某イタリアンの料理が食べられるのです。

が、その前に、「海のテラス」と同じ建物の2階にある、山本基さんの「たゆたう庭」を見に行きましょう。この作品は人数制限があるので、長蛇の列ができてました。私たちは30分ほど並んで待ったのですが、いやそれだけ待つ甲斐のある作品でした。

言葉で説明するのはアレなんで、写真をどうぞ。



古い民家の2階に、床を埋め尽くすような潮の流れが、塩を使って描かれています。



渦を巻く潮。これがすべて塩で出来てるなんて。



部屋の奥には、ここに住んでいた人が使っていたと思われる、古い道具が打ち捨てられるように置いてありました。中には、結婚式の記念写真もありました。



スタッフの方いわく、この作品は塩で出来てるため湿度に弱く、9月に台風が来た時に一度ダメになってしまい、作り直したんだそうです。これだけ緻密なものを作るには、どれだけの集中力と根気が必要なんだろう、しかも2回も…と気が遠くなりました。私には無理!いや誰も作れって頼まないだろうけど!

芸術を堪能したら、次は美味しいものを堪能しましょう。

前菜。オムレツとポテトサラダのせバケット、茶色いのはデザートのチョコレートケーキでした。



美味い美味いと食べてるところに、パスタ登場。同行の友人が頼んだのは白みそソースのパスタ、私が頼んだのはトマトソースのパスタでした。
ウェイターが「お待たせしました~」と運んできたパスタを「わーおいしそう」と喜んで食べようとしたところ…

「あっすいません、鶏肉をのせるのを忘れてました」

と言ってさっと持って帰るウェイター。おいおいおい!忘れるか普通!?

そんなわけで、危ないところをなんとか切り抜けた私のパスタはこちら。



きのこいっぱい、鶏肉いっぱい、パスタもいっぱいです。美味しかったけど、強風の吹きすさぶテラス席で食べたので、食べてる最中に猛スピードで冷めていくのが残念でした。
余談ですがこのお店はアルコールも置いていて、私たちの隣のテーブルにいた4人組の女性陣は、料理と一緒にワインとビールを召し上がっておられました。なんとも開放的で羨ましい限りでした。私がやったら、足元がふらついて坂道を転がり落ちること間違いないので。

お腹いっぱいになった後、中島伽耶子さんのもうひとつの作品、「うつりかわりの家」を見に行きました。この作品は前回の瀬戸芸にもあったものですが、何度見ても良いものです。



古い空き家の壁と天井に開いた、無数の小さな穴。穴にはアクリルの細い管が埋められています。天候によって、または通りかかる人の服の色によって、屋内に差し込む光の色と量が変わる、面白い作品です。こういうのを作ろうという発想は、どこから生まれるんでしょう。


お次はさらに坂道を上って、内田晴之+小川文子+田辺桂の「除虫菊の家」。

除虫菊の栽培が盛んだったこの島の歴史を振り返って、民家の2階に巨大な蚊取り線香が置かれています。この作品も前回の瀬戸芸からありますが、迫力は相変わらずです。



蚊取り線香がずらりと並んでいる様子は、荘厳な雰囲気があります。秋会期が始まってだいぶ経つので、線香が半分以上燃え尽きているのが寂しく思えました。

「除虫菊の家」を見たら、後は坂を下るだけ。旧小中学校の校舎の向かいには、APP ARTS STUDIOの「よなべのみやげ」があります。



煮炊きをしたり、お風呂を沸かしたり、陶器を作ったりするためのかまどがあります。反対側に廻ってみると、



かまどの精…?胴体がタコみたいなのは、タコ漁が盛んな瀬戸内の島のイメージなのかしら。



青く塗った板に、彫刻刀で島の風景が彫られています。



これも。



これも。小学校の頃の、図工の授業を思い出しました。こんなに上手に彫れなかったけどね。



旧小中学校の校舎にどーんと張ってあった、後藤靖香さんの「覚悟のイロハ」。咸臨丸で太平洋を渡った塩飽水夫たちの姿を、巨大な布に豪快に描いた作品。高見島に向かう船の窓から島を見上げた時、山の中腹で白い布が揺れててるのが見えて「あれは何だろう?」と思ったのがこの作品でした。こんな大きな作品をどうやって描いたのか不思議です。風にあおられて布が大きく揺れるたびに、マストにしがみついている水夫たちが落っこちてきそうだなと想像してしまいました。左の水夫なんて特に。

すべての作品を見終わって港に戻ったら、ちょうど多度津行きの臨時便が来たところだったので、予定よりも早く島を出ることができました。臨時便があることは瀬戸芸のサイトで調べたときはわからなかったのでラッキーでした。

瀬戸芸秋会期、2016年の瀬戸芸は残りあと5日でおしまいです。果たしてあといくつ回れるか…とりあえず伊吹島には行きたいな~てか観音寺まんじゅう買いに行きたいからそのついでに!(←おい)


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