Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

瀬戸内国際芸術祭2016夏 犬島&豊島

2016-08-27 16:26:37 | 瀬戸芸


8月26日金曜日、お休みを取って犬島と豊島へ瀬戸芸のアート作品を見に行ってきました。
犬島から小豆島までは、瀬戸芸期間中の特別便に乗って移動しました。犬島から豊島までは、これも瀬戸芸期間中の特別航路で。豊島と小豆島は定期便で結ばれているので、まあ行こうと思えばいつでも行けるのですが、犬島も豊島も前回の瀬戸芸以来3年ぶりの訪問となりました。犬島は岡山県なので情報が少なくてわからないけど、豊島は瀬戸芸期間以外でもいろいろ話題を耳にするので、ちょっともったいなかったかな。。。

まずは午前10時に土庄港を出る高速艇に乗って犬島へ。平日だけど、船は瀬戸芸のアート作品を見に行く人でいっぱいでした。港の切符売り場で、係員の人が外国人旅行者に英語で説明しているのを見て、頑張ってるなと思いつつ、自分も見習わないとと身が引き締まりました。一応、私も職場で外国の方と接する機会が多少はあるので…どちらかというと同じ日本人同士で会話が成立しないことのほうが多いけど。(遠い目)

犬島に着いたら、豊島行の船の切符を先に買い、それからアート鑑賞です。備えあれば憂いなし。

最初に見たのは、犬島チケットセンター内にある、高橋啓祐氏の「The Fictional Island」です。真っ暗な部屋の中に入ると、うず高く積まれた砂の山があって、そこに光が当たって波のような模様を描いたり、等高線のような曲線で山の形を浮き上がらせたりしていました。この砂は、かつて犬島にあった精錬所で銅を製錬する際にできた、黒いスラグだそうです。光の粒が描いた模様が広がったり小さくなったりする様子はとても幻想的で、なおかつ太古の昔にタイムスリップしたような気分になりました。この作品だけでも、何十分もずーっと見ていたい気がしましたが(涼しいし)、時間がないのでそれは断念。次の作品を見に、暑い屋外へ出て行かねばなりません。ひー。ちなみにここは撮影禁止でした。今回見た作品は撮影禁止のものが多かったのですが、まあ仕方ないですね。撮影に夢中で事故があってもいけないし。

次に行ったのは、犬島精練所美術館です。



こちらも中は写真撮影禁止なので、外観だけ。美術館内は角を曲がるたびに鏡があるだけの真っ暗な通路を通ると、最後に三島由紀夫をモチーフにしたアート作品「ヒーロー乾電池」が置いてある、というシンプルな造りなのですが、精錬所の持つ独特の雰囲気が、“なんだかここはすごいところだぞ”という説得力を持って迫ってきます。あと暑い。建築は三分一博志氏、アート作品は柳幸典氏によるものです。この犬島精錬所美術館は、建物だけでなく周辺の景観を含めて作品だと思うので、美術館を出た後も周りをゆっくり散策するとなお良さがわかる…と思うのですが、今回はさくっとショートカット。時間がないのと、暑さで体力を奪われるのを避けるためです。ホントならゆっくり回りたかったんだけど。

細い道を上ったり下りたりして、着いたのは淺井裕介氏の「石職人の家跡」です。こちらは前回の瀬戸芸にもありました。



前回から少しメンテナンスしてあるかな?描かれている模様のひとつひとつがかわいらしかったです。

次に行ったのは、F邸にある、名和晃平氏の「Biota(Fauna/Flora)」です。こちらも撮影禁止。この作品も前回からあるものですが、屋外に置いてある作品が素敵で、ひと目見てつい「うふふ」と笑い声を漏らしてしまいました。不審に思った人もいるかもしれない…。

次の作品も、前回から継続の作品。S邸にある荒神明香氏の「コンタクトレンズ」。



大きさの異なる無数のレンズの中に映る、家と空と雲…見る角度によって映る景色が変わるのが面白いです。



同じアーティストによる、A邸の「リフレクトゥ」。造花の花びらでできた、極彩色のシンメトリーは、まるで熱帯魚のよう。今回の瀬戸芸では、小豆島の土庄町にも荒神さんの作品があるので、期間中にぜひ見に行きたいな、と思います。近いとつい後回しになっちゃうけど…。

中の谷東屋でちょっと休憩した後、C邸にある下平千夏氏の「エーテル」を見に行きました。こちらも作品内では撮影禁止なのですが、外からOKということだったので、外から撮らせてもらいました。



はりめぐらされた黄色い糸は光の線を表現していて、糸が集まった場所には光の溜りができています。建物の真ん中あたりにある網には、ハンモックのように座ることもできます。気をつけて歩かないと糸に引っかかってしまうので危なっかしいですが、面白い作品でした。

最後に見た、小牟田悠介氏によるI邸の「プレーンミラー」「リバース」も、撮影不可の作品でした。庭に植えてある花々は暑さのせいかくたびれモードだったので、ここは春に来た方が見栄えが良かったかも。鏡を使った面白い演出と、建物の中と外にいる鑑賞者が、お互いにとって作品の一部になるのが興味深かったです。

豊島行の高速艇に乗る前に、チケットセンターのカフェで昼食をいただきました。たこ飯セットが食べたかったけど品切れだったので、焼きおにぎりセット。



タコ入りのまぜごはんをおにぎりにして、軽く焼いてあります。香ばしくて美味しかったです。ちなみにチケットセンターにたどり着く前に、手前にあった雑貨屋さんで岡山産のジェラートも食べました(白状)。

腹ごしらえを済ませたら、船に乗って豊島へ。さらば犬島、また会う日(多分3年後)まで。

豊島行きの船もほぼ満員でした。大きなスーツケースを持って移動している人もいます。暑いのに大変そう。

豊島の家浦港に着いたら、まずはこれ。



湊の近くにある、いちご屋さんのかき氷。中にソフトクリームが入ってます。さっきジェラートを食べたと言いましたが、これは別腹に入るので問題ありません。
このかき氷がどんな味なのか簡単に説明すると、つめたいあまいうまいつめたいあまいうまいつめた(以下略です。多分、このかき氷を食べている瞬間の私は、ピープル誌の“世界で最も幸せそうな顔10人”にエントリーされると思います。なので、食べ終わって容器が空になった時の哀しみといったらもう…ううう(他に悩みはないのか)

かき氷を食べたら、家浦港近くの豊島横尾館へ。名前にある通り、横尾忠則氏の作品が展示されている、永山祐子氏建築の美術館、というかこれ自体がひとつの作品になっています。前回の瀬戸芸の時に来ているので、今回はパスしてもいいかなと思ったのですが、この作品の持つ江戸川乱歩さを久しぶりに味わいたいなと思って立ち寄りました。私のお気にいりは滝のインスタレーションですが、パノラマ島奇譚を再現したような庭のインスタレーションも好きです。だからといってここに住めと言われたら困るけど。

豊島横尾館からてくてく歩いて、大竹伸郎氏の「針工場」へ。こちらも中は撮影禁止だったので、入口の廃材を使って作ったドアだけ写真に撮りました。



向かって右のドア。



向かって左のドア。これが作品の一部なのか全然無関係の誰かの作品なのかわかりませんが、ラピュタっぽくてかわいいので、写真にのこしました。
「針工場」という作品は、かつてメリヤス針の工場だった場所に、愛媛県の造船所から運んできた漁船の木型を展示しているものです。工場は鉄枠だけで屋根がないので、木型は雨ざらしの状態。いまに劣化して木枠が朽ちるのではないかと思うのですが、それも作者の意図するところなんでしょうかね。

「針工場」からスプツニ子!氏の「豊島八百万ラボ」まで、てくてく歩いて向かっていたら、通りかかった島の人が車で乗せて行ってくれました。地図を見て、なんとなく「歩いて行けるだろ」と甘く見ていたのですが、実際に車で通るとこれが遠い遠い…バスもそんなに頻繁に通らないので、知らずに歩いて向かっていたら日が暮れているところでした。おそろしや。

親切な人のおかげでスプツニ子氏の「豊島八百万ラボ」にたどり着きました。ここも撮影禁止。映像作品なので当たり前っちゃ当たり前ですが。

入口の看板。自分が映らないように気をつけたつもりだけど、大丈夫かしら?お見苦しいものをお見せしてないかしら?


夜になると光るんだろうか…。

建物の中には、実験道具やキムワイプや資料になる書籍が並んでいる、ラボをイメージした部屋と、遺伝子組み換えをした蚕を使って「運命の赤い糸」を紡ぐというストーリーの映像作品を上映する部屋に分かれていました。映像作品の方は時間が無くてゆっくり鑑賞できなかったのですが、「運命の赤い糸」で紡いだスカーフの柄がかわいくて、グッズ化すればいいのにーなどとゲスなことを考えてしまいました。



入口で売ってる絵馬に、願い事を書いてつるす場所。この絵馬のデザインもしゃれていてかわいいので、何も書かずに買って帰ろうかと一瞬迷いました。え…願い事は書いたのかって?いやーん、そんなことして知り合いに見つかったら、私もう生きていられないじゃないですかー!

この後、近くにあったケグ・デ・スーザ氏の「豊穣:海のフルーツ/豊穣:山の恵み」を見て、唐櫃港行きのバスに乗りました。バスの中で、遠方からの旅行者と思われる若い女性が、窓から見える景色に驚きの声を上げていたのが、妙に心地よかったです。島に暮らす私たちには慣れきってて見落としがちなものを、旅行者の彼女たちが見つけてくれるのだな、と。そういうのも瀬戸芸のいいところですね。

唐櫃港から乗った帰りの船は高速艇ではなくフェリーだったのですが、これも人がいっぱいでした。平日でこれなんだから、休日はどうなってるのやら…。

炎天下の中を歩き回ったので、途中ふらふらすることもありましたが、こまめに水分補給と休憩をとったおかげで無事に帰ることができました。ただ、家に帰ってからふと胸元を見たら、日焼け止めを塗り忘れて真っ赤っかになっていたのはショックだったけど…。うう、今なら耳なし芳一の気持ちがよくわかる…。

今回時間が無くて見逃した豊島の作品は、秋会期に持ち越しです。その頃には涼しくなってますように!

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