拙稿No.19の続きです。
標題はズラズラ書きましたが、中味は一緒で、トロイダルトランス→ブリッジダイオード→平滑コンデンサ→電圧安定化(秋月電子通商 TPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル電源キット http://akizukidenshi.com/catalog/g/gK-06194/ )の構成、出力電圧や消費電力に合わせて、トランスの種類やコンデンサの容量が変わっているだけです。 ※秋月キットは、1Aまでです。よって電流が1A超える機器はこの構成は使えませんが、Alix3D2、CuBox、APU(New Alix)、HiFACE EVO & Clockいずれも、電流1A以上喰うものはありません。
なお、下記の記述は素人のやっていることなので、あまり当てにしないで下さい。
ちなみに、当方、実際に機器に接続するときは、秋月オシロなどで、電圧の異常な挙動がないかなど、かなりしつこくチェックして動かしていますが・・・(回路自体はヒューズ以外の安全回路はないですから)
結果については、No.22記述のとおり、テキトーな製作品にしては、自分的には上々の成果を得ています。
★2014年5月から6月にかけ製作。6月中に各種測定を行う。室温はおおむね29℃程度です。
【回路】
1 Alix3D2、APU用
上記回路は、2次側を一本にまとめていますが、この電源は、2次側の2出力をそれぞれからAlix3D2用、APU用の2本の電源ラインをとることにしています。そのため、トランス2次側のところが回路図とは違う構成となっています。
○ヒューズ 125V500mA (50VAを一次側に引き直しして。もっと低電流のものも試行してみる予定。)
○トランス 1次115V 2次12V50VA トロイダルトランス(RSオンラインで販売しているもの。50VAにしたのは、2出力同時に電源を取ることを考えたため)
○ダイオード ショットキーバリアダイオードでダイオードブリッジを構成
○コンデンサ APU側は10000μF Alix側は8000μF(それぞれの電流量や手持ちのコンデンサの中味からこうしときました)
○最終電圧 Alix、APUともに12V
★前のNo.22の比較試聴では、自作電源はAlix,APUとも、下のAPU用ラインから電源を取っています。現実の使用状況下では、Alix用ラインはコンデンサの前で回路を切っています。(AlixとAPU同時使用はまずしない。Alixを使う場合はAPU用電源をそのまま使うため。)
【運用試験の結果】
①回路図のBより右は未接続の状態
回路図A電圧(以下同じ):AC12.15V B:10.8V
②回路図のCより右は未接続の状態
A:AC12.2V B:16.3V C:16.3V
なお、秋月オシロで見てみると、Alixラインは手持ちの汎用品(オーディオ用ではない)を使っていますが、すこし雑音がのっているようでした。
③回路図のDまで接続した状態(負荷なし)
A:AC12.0V B:16.0V C:16.0V D:12.0V
④APUラインに20Ωの負荷を載せた状態
APUライン A:AC11.8V B:14.9V C:14.85V D:12.1V 負荷間12.0V 電流0.59A
(室温29℃ 通電10分間後) トランス33℃ APUライン ダイオード34℃ コンデンサ29℃ レギュレータ48℃
どうしてもAPUは、電流が大きいためか、発熱が出ますね。トランスもちょうどいい2次電圧のものがあるわけではないので、しょうがないか?という感じです。
2 CuBox用
○ヒューズ 125V0.2A (15VAを一次側に引き直しして。もっと低電流のものも試行してみる予定。)
○トランス 1次115V 2次6V15VA トロイダルトランス(RSオンラインで販売しているもの。CuBoxに消費電力を考慮し15VAに。)
○ダイオード ショットキーバリアダイオードでダイオードブリッジを構成
○コンデンサ 10000μF
○最終電圧 5.1V
【運用試験の結果】
①回路図のBより右は未接続の状態
回路図A電圧(以下同じ):AC6.2V B:5.5V
②回路図のCより右は未接続の状態
A:AC6.2V B:8.3V C:8.25V
③回路図のDまで接続した状態(負荷なし) レギュレータの設定出力5.0V
A:AC6.2V B:8.1V C:8.1V D:5.0V
④10Ωの負荷を載せた状態 レギュレータの設定出力5.0V
A:AC5.95V B:6.95V C:6.9V D:5.0V 負荷間5.0V 電流0.49A
(室温29℃ 通電10分間後) トランス31℃ ダイオード33℃ コンデンサ29℃ レギュレータ43℃
拙稿No.19のとき、トランスを変えることで電圧降下幅をもっと縮められるのでは、との疑問から、再製作しました。前回は室温23℃でレギュレータが37℃程度、今回は室温29℃で43℃。評価難しいですね。電圧降下は、今回はトランスの2次出力電圧が低いため、レギュレータでの電圧降下が前回の3.2Vから今回は約2Vとなったので、発熱は実際は少し低くなると思うのですが。室温が下がって再測定ですね。
3 HiFACE EVO, EVO Clock用
上記回路は、2次側を一本にまとめていますが、この電源は、2次側の2出力をそれぞれからEVO用、Clock用の2本の電源ラインをとることにしています。そのため、トランス2次側のところが回路図とは違う構成となっています。
なお、EVO及びClockの実際の電流量は次のとおりでした(付属品のスイッチング電源アダプタを接続して計測。この数値を設計基礎としています)。
EVO 電源8.0V 定常状態0.21A クロック接続時0.24A 作動中0.24A
Clock 電源9.1V 0.01Aで安定
○ヒューズ 125V0.2A (15VAを一次側に引き直しして。もっと低電流のものも試行してみる予定。)
○トランス 1次115V 2次9V15VA トロイダルトランス(RSオンラインで販売しているもの。15VAにしたのは、EVO+Clockの電流量を考慮して。)
○ダイオード ショットキーバリアダイオードでダイオードブリッジを構成
○コンデンサ EVO側は8000μF Clock側は3000μF(電流量をみて、後はテキトーですが・・・)
○最終電圧 EVO、Clockともに9.0V(上記の電流量測定時とは条件が変わります)
【運用試験の結果】
①回路図のCより右は未接続の状態
EVO側 A:AC9.25V B:8.2V C:12.6V
Clock側 A:AC9.2V B:8.2V C:12.6V
EVOライン B:10.6V C:10.6V 負荷間9.0V 電流0.30A
Clockライン B:11.8V C:11.7V 負荷間9.05V 電流0.009A
(室温29℃ 通電10分間後) トランス32℃
EVOライン ダイオード31℃ コンデンサ29℃ レギュレータ35℃
Clockライン ダイオード30℃ コンデンサ29℃ レギュレータ30℃
Clockは、レギュレータの発熱がほとんどありません。電流量が小さいためですね。
一応、以上の結果を見て、実用上の支障はないと判断して(実機器接続前にオシロとテスタでもう一回極性含め全部チェックして)使用しています。
★付記
今回は、ダイオードブリッジの既製品ではなく、ショットキーバリアダイオードを使用しました。
CuBox用に、No.19で作った半導体ダイオードでの既製品ダイオードブリッジでの試作品があったので、比べてみましたが、ショットキーバリアダイオードのほうが、音の広がりなど、良好な結果でした。また、ダイオードの電圧低下も小さいため、半導体ダイオードの既製品ダイオードブリッジと比べ、発熱は小さくて済んでいます。
★付記2
製造原価は、大雑把ですが
アルミケース 1,500~2,000円
トランス 同上
ダイオード 100円程度
コンデンサ 1,500円程度
秋月電源キット 1,200円+α(放熱器等)
ケーブル、基板、ヒューズ&ヒューズボックス、スペーサー、基板用端子ブロック など
あわせて、1個あたり7~8,000円、でしょうか(計3個製造)。もっとも、電気工作ど素人故、これだけで済んでいるはずも無く、試行錯誤で要らんものまで色々購入したり(トランスも結局使わないものとか結構出た)、1回だけですが秋月電源キットの入力の+-を逆にして電圧をかけてしまい、キットをパーにしたり(なにやら怪しいケムリが出て・・・10Vの電圧逆にかけたのですが、間違うと怖いものです。電解コンデンサ爆発したらエラいことでした。)、ということで、実際の製造コストは、この倍は行っていそうです。たぶん既製品だと同程度のコストで安全性も信頼性や基本性能も高いんでしょうし、コスト・パフォーマンスで言えば到底お勧めできませんが、自分的には大変勉強になりましたので、まあこれはこれでよかったのかな、と。また勉強して、色々モディファイしてみたいと思っています。