Voyage MPD システム構築 by PCど素人 (Alix,CuBox,APU(New Alix))

PCど素人の文系リーマンがVoyage MPD(Alix,Cubox,APU(New Alix))構築に挑戦の顛末です。

No.19 CuBox用 電源開発の試み&テスト運用

2014-05-06 01:54:01 | 日記

★注意★

 以下の記事は、ど素人が色々本とかWebとかの情報を渉猟してCuBox用電源を作った記録ですが、あくまでど素人のやっていることなので、理論的な裏付けとかは抜けがかなりあります。よって、参考とされるのはともかく、この記事内容を自作の根拠情報とするのは、かなり危険であることを申し上げておきます。

 

CuBox用の電源を開発。取り敢えず作ってみて、色々テスト実測してみました。なんせこのようなものを自分で作ったことがないですから桑原桑原・・・

 

【用意したパーツ】

ヒューズ 125V2A 通常のヒューズ

トランス(トロイダルトランス)

 Nuvotem Talema 70050K 1次115V 2次定格電圧7V 定格電流1071mA 定格電力15VA 出力数2

  http://jp.rs-online.com/web/p/toroidal-transformers/2239317/ (RSオンラインの該当製品のページ)

  http://www.talema-nuvotem.com/en/products/std_pcb2x115v.shtml (製造元の基板マウント用トロイダルトランスシリーズのページ)

ブリッジダイオード

 東芝 3B4B41 100V3A

  http://www.datasheet-japan.com/datasheet-html/3/B/4/3B4B41_Toshiba.pdf.html (データシート検索サイトDATASHEET-JAPAN.COMの該当製品のページ)

電解コンデンサ 10000μF

定電圧対応

 秋月電子通商 TPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル電源キット

   http://akizukidenshi.com/catalog/g/gK-06194/ (秋月の当該製品のページ)

 

★CuBoxの最大電流は5.1Vで0.5Aに行かないため(記事No.15)、秋月の上記電源キットが使えると判断。この電源キットは、入力電圧は出力設定電圧の+1Vを要求するため、トロイダルトランスで2次7V、1A程度のものをみて、上記のトランスを選択。ブリッジダイオードはなんぼなんでもこれなら大丈夫だろう、というだけで部品屋で選択。平滑コンデンサは、色々な情報を当たってみると、この半分でも良さそうではあったが、電源キットの負荷を軽減できるのでは?という裏付け理論なき仮説のもとで(これ以上増やしても却って怖そうだし)10000μFに決定。ここらへん、理論的裏付けとかないので、極めて適当。また大容量コンデンサを繋ぐことにより懸念される突入電流は、実験実測で試してみることに。ヒューズは一応遅延型も買っといて、ためしにやってみようか、という感じ。トランスの2次も細いし(根拠があるのか?)。

★一番厄介だったトランス選定の条件設定

 ・ 2次側電流は1A程度

 ・ 2次側電圧は、電源キット入力に6.1V+ちょっとの余裕、と考えると、

    X(トランス2次定格電圧) ÷ 115(トランス1次定格電圧) × 141(AC電源の電圧最大値) - 1.5(ブリッジダイオードでの損失想定。実際に購入した東芝3B4B41は、1.2Vの損失らしい。) = 6.1+α

    X = 6.1 × (115/141) + 1.5 = 6.5V と見て、2次電圧は7V以上あまりこれ以上行かないものを選択。なぜなら、降圧するパーツの電源キットがやたら無駄に熱を出すから。

 

 【設計】 

 ちなみに、トランス2次側、試しに直列でつないだら、予定の2倍の電圧となりました(当たり前か)。このトランスは出力数が×2なのですが、パラレル(並列)接続が正解のようです。1次側は当然並列ですね(データシートもそのように指定)。

 【実験実測】

1 上表の「B」以下に未接続の状態まで製作して通電。

 「A」の電圧 AC7.89V (データシートだと8.7V(1次115V)よって8.7/1.15=7.57V) 「B」の電圧 DC測定で6.5V

 予測では、「B」電圧は7.89×2×1.41/3.14=7.1Vからダイオードの電圧降下分を差し引き、6V程度と見込んだが、実測値はこれより少し高い。自分の大勘違いか?

 なお秋月のオシロキットで「A」の波形を観察(縦軸1マス5V 横軸は5ms,10ms,2msの順)。秋月オシロキット5,000円くらいだったか、秋葉原の店舗で衝動買いした代物です。細かいことは出来ませんが、異常の有無チェックには十分役立つと思います。

 ちなみに、画像の左側Y軸の左に、Tの字を左に寝かせたような小さいマークがありますが、あそこが0Vラインで、波形状況で設定を変えています(直流の場合は最下線に、交流の場合は大体真ん中あたりに)。

 画像を見ると、まあ、普通の交流波形ですね。当たり前だな。

 

 

 次に「B」の波形を観察(縦軸1マス5V 横軸は5ms,10ms,2msの順)

 一応教科書とおりの全波整流の脈流ですね。よく見ると波によって少し波形に乱れがあるようです。10万クラスのオシロで見ればよく分かるんでしょうが。

 

★もう少し縦幅を拡大してみます。縦軸1マス2Vです。時間軸(横軸)はやはり順に5ms,10sms,2ms。

 何気に、波ごとの波形がありますね。何でだろう?

 

2 上表の「C」以下に未接続の状態まで製作して通電。

 「A」の電圧 AC7.91V 「B」の電圧 DC測定で10.02V 「C」の電圧 10.00V

 「B」は波形が予測外。計算すれば7.91×1.41=11.2Vからダイオードの電圧降下を差し引くと、ほぼ10Vとなるが、実測値はこれにほぼ近い値となった。

 「A」の波形を観察(縦軸1マス5V 横軸は5ms,10ms,2msの順)。

 1と同じですね。当たり前だな。

 「B」の波形を観察。(縦軸1マス2V、時間軸5ms) 直流になっちゃいましたね。別にダイオードが壊れているわけではないです。ブリッジダイオードからの電圧が下がったときはキャパシタから電流が流れてるのかなあ?誰か理屈を教えてください。

 ※AC電源をOFFにしても、「B」で電圧を計測すると、しばらく一定の電圧が観測できます。テスタで測るとかなりゆっくりと電圧低下していっている。電源キットから20オームの負荷を繋いだ状態でも基本現象は同じ。コンデンサに繋がない状態で当然の如くAC電源をOFFにすると即時に0Vになるので、コンデンサの容量がかなりなのでしょう(電流もAC電源OFFにするとほとんど流れないから)。ちなみに電源キットに通電すると基板上のLEDがつくのですが、AC電源をOFFにしてもしばらくLEDは点灯状態が続きます(ゆっくりと光度が減衰していっている)。

 「C」の波形を観察。(縦軸1マス2V、時間軸5ms)。綺麗な直流です。後に負荷がないから直流のまんまですね。

 

3 上表の「D」まで製作し、負荷を繋がずに通電。

 「A」の電圧 AC7.95V 「B」の電圧 DC測定で9.60V 「C」の電圧 9.59V 「D」の電圧 5.10V 「D」の電圧は、設定とおりですね。

 「A」の波形を観察(縦軸1マス5V 横軸は5ms,10ms,2msの順)。

 「B」の波形を観察。(縦軸1マス2V、時間軸10ms)

 「C」の波形を観察。

 「D」の波形を観察。(縦軸1マス1V)

 

4 「D」のあとに、20オームのセメント抵抗を繋いで通電。

 何で負荷を20オームにしたかというと、CuBoxに5.1Vを掛けたときの定常時の電流は大体0.3Aくらいなので、これに近い電流を流してみようかと。負荷20オームなら大体0.25A程度が流れるはずです。 中学校で習うオームの法則で、E=IR から 5.1V = 0.255A × 20オーム、ですか。ということで・・・

 「A」の電圧 AC7.65V 「B」の電圧 DC測定で8.39V 「C」の電圧 8.33V 「D」の電圧 5.10V 「D」の電圧は、設定とおりですね。負荷が軽い所為か、トランスから出るとき、あんまり無負荷より電圧が下がりませんね。そのため、電源キットで約3V電圧降下させることになりました。また、「B」の電圧は、単純計算では7.65×1.41=10.8となるが、差が2.4Vと、ダイオードの電圧降下を差し引いてもかなり大きい。何故だろう?

 電流は、0.255A、計算とおりです。なお、電源ON時、電流はすぐに0.255Aとなり、動きませんでした。つまり、電源ON時の電流の増大(突入電流)は、何遍試行しても認められませんでした(テスタがデジタルであり、瞬時の計測には限界がありますので、全く電流量の増大なしかというと、??ですけど)。

 「A」の波形を観察(縦軸1マス5V 横軸は5ms,10ms,2msの順)。

 「B」の波形を観測。負荷を繋ぐと、少しリップルが出現するんでしょうか。(時間軸1マス5ms)

 「C」の波形を観測。(時間軸1マス10ms) 目立った乱れは消えましたが・・・

 「D」の波形を観測。(縦軸1マス1V)

追記 実際にCuBoxに繋いだところ、電流は定常時で0.4A程度となります。写真は撮っていませんが、10オームのセメント抵抗を負荷とした実測(電流約0.5A)もしましたが、あんまり上記負荷20オームのときのものと結果は変わりありませんでした。セメント抵抗は更にアチチですけど。

 

5 おまけ コンデンサのあとに電源キットではなく、直接抵抗を繋いだとき。

 負荷50オームを繋いだときの、負荷間の電圧の状況。結構綺麗に直流です。

 ちなみにここでの電圧は8.75V、電流は0.17Aでした。電源ON時の電流を何べんか観測しましたが、0.87Aが最高でした。

 負荷を20オームにしたとき。リップルでしょうか?乱れが目立ちます。負荷間の電圧は8.00V、電流は0.40Aでした。セメント抵抗、かなり熱くなります。しばらくたつと、長時間手で持つことが出来ない位。

 電源ON時の電流を見てみましたが、maxで1A近くまで行きました。

 負荷20オーム接続時の、「C」のところの電源ON時の電圧の立ち上がり具合です。80msecくらいで所定の電圧に立ち上がるようです。

 次に、電源OFF時の電圧の下がり具合。

 次に、負荷を50オームのときの電源ON時の電圧の立ち上がり。ちょっと立ち上がりが20オームより緩いようです。電流量が少ないためでしょう。

 電源OFF時の下がり具合。やっぱり20オームのときより緩やかな電圧降下です。電流量が少ない所為でしょうね。電圧が1/2となるのは、ほぼ暗算とおり、20オームのときの2.5倍程度、というところです。

 次に、電源キット及び負荷20オームを接続しての、「D」地点での電源ON,OFF時の電圧の挙動です。

 

6 主要パーツの発熱状況

 20オームの負荷を繋いで、しばらく通電したときの主要パーツの温度です。ケースを開けた状態での測定です。室温は22度。

 結論を言えば、触って熱い、というパーツはありません。ただセメント抵抗は10分も通電すると、手で長時間持つのが辛いくらい熱くなりますが。

【通電1分後】

 トランス23.6度 ブリッジダイオード28.4度 コンデンサ23.1度 電源キット(表面IC付近28.6度 放熱フィン24.0度) セメント抵抗32度

【通電3分後】

 トランス23.1度 ブリッジダイオード32.2度 コンデンサ22.1度 電源キット(表面IC付近31.8度 放熱フィン25.1度) セメント抵抗39度

【通電10分後】

 トランス23.3度 ブリッジダイオード34.5度 コンデンサ22.1度 電源キット(表面IC付近37.2度 放熱フィン25.0度) セメント抵抗42度

 

7 CuBoxに接続してのテスト

 出力電圧、突発的に大きな電圧がかかったり不安定になったりすることがないようなので、大丈夫と踏んで、CuBoxに実際に接続してみました。秋月オシロ、何気に役に立ちました。(テスタは通電の瞬間、電圧表示が少し不安定です。)

 結論。動作は全く問題なしです。

 そのため、今度は実際の使用条件にほぼ近い形で、電圧電流や各部温度を測定してみました。(電流電圧は拙稿No.15のやり方で測定)

 接続状況は CuBox(梅雨入りver.) →(USB)→ HiFace Evo (+EvoClock) → (同軸) → DA-200です。当blog No.15のときとは、DDCが間に入っている点、接続状況が異なります。

 ○電圧 「A」7.61V(AC) 「B」8.15V 「C」8.12V 「D」5.10V (CuBoxが作動OKとなった状態)

 ○電流 電源ON時 0.48A

      StandBy状態(LED点灯) 0.39-0.56A程度

      動作モード(LED間欠点灯) 0.38-0.42A MPD client動作時に最大0.55A程度

      SSHからpoweroffコマンド投入後 0.52Aで安定(poweroffコマンドを入れても電流は流れています)

  つまり、定常作動時の電流は0.4A程度、消費電力は2Wめぐり、というところでしょうか。

 ○パーツ温度 室温23度、通常の使用状態(適当に音楽流しっ放し。あまりMPDでいじっていない)、ケース開放。

  ・通電05分後 トランス(Tf)24.0度 ブリッジダイオード(BD)40.4度 コンデンサ(C)22.8度 電源キット基板上面(R1)39.5度 電源キット放熱フィン(R2)27.8度

  ・通電10分後 Tf:25.1度 BD:45.0度 C:23.1度 R1:40.3度 R2:30.3度 CuBox:31.7度

  ・通電20分後 Tf:26.1度 BD:44.6度 C:23.6度 R1:42.4度 R2:31.1度 CuBox:35.8度

  ・通電30分後 Tf:27.6度 BD:42.7度 C:24.1度 R1:44.3度 R2:32.1度 CuBox:37.5度

  ・通電40分後 Tf:28.9度 BD:46.2度 C:24.1度 R1:45.6度 R2:32.2度 CuBox:36.8度

  ・通電50分後 Tf:28.9度 BD:46.5度 C:25.0度 R1:44.1度 R2:30.5度 CuBox:36.4度

  ・通電60分後 Tf:29.1度 BD:46.8度 C:25.4度 R1:46.0度 R2:30.0度 CuBox:37.3度

  ・通電90分後 Tf:30.2度 BD:47.1度 C:25.5度 R1:45.6度 R2:28.6度 CuBox:38.9度

 

8 結局音はどうなったのか?

 バッハの無伴奏、室内楽、マーラー3番終楽章(バンスタDG盤)で試聴。音がより前で鳴るようになる。クリアネス向上効果と思われる。また音の輪郭を滲みぼやけさせる要素が減るように思われる。例えばマーラー。曲の出だしはより静寂さが増し、ホルンの強奏が入ってくる練習番号6 fpからffまでcrescendoして、そのまま練習番号8まで行くところでも、ホルンの響きがまとまり音像の乱れが少なくなる(どうしてもこういうところではホルンの音像が乱れ勝ち)。

 上記はSpeaker(B&W 805D)を通しての試聴結果ですが、電源を製作して試聴できるまで約1週間のインタバルがありました(要は休日の夜に製作し、次の休みまで間があった)。そのため、最初は製作電源をCuBoxに繋ぎ、Headphoneで聞いてみましたが、普通ヘッドフォンでは音質の差は良く分からないものですが、試聴してすぐ、あ、これはいつもの電源より音が静かだ、という第一印象がありました。

 なお、スイッチングアダプタを秋月TPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル電源キットに直接くっつけて電源とした場合(記事No.18)より、やはり一定の向上が認められます。

 総括すれば、HiFACE EVO+EVO CLOCK導入時くらいの効果はあったと(定性的に見ればですが)思いました。

 

9 とりあえずここまでの(現時点での)小括

 初めての製作で、色々と勉強になりました(といってもまだ知らんことだらけ。トンデモ記述も色々あると思います。)。特に気になるところ、電源キット段階で3Vの電圧低下となり、それなりにここが発熱しています。説明書きを読む限り、大きな問題はなさそうですが、いずれにしても負荷が軽い所為か、トランスからの2次電圧が思ったより高かったのが原因となっています。機会があれば、今度試しに2次6Vのトランスを使用して再挑戦してみよう思っています。ブリッジダイオードが発熱するのは、電流量からしてまあしょうがないのでしょうか、これもデータシート上はfatalな値ではないですが・・・ ダイオードもありきたりのブリッジダイオード既製品ではなく、ショットキーバリアダイオードを試してみようかな、とか、ヒューズはぐっと容量を下げてみようかとか(よく考えると、1次側で2Aだと2次側は20Aになるか・・・)。

 別パーツ試行を考えており、その折は別記事にて追記します。