Voyage MPD システム構築 by PCど素人 (Alix,CuBox,APU(New Alix))

PCど素人の文系リーマンがVoyage MPD(Alix,Cubox,APU(New Alix))構築に挑戦の顛末です。

No.26 聞き比べ Voyage MPD on APU と LightMPD on APU 【一応完結】

2014-08-14 19:27:29 | 日記

【あくまで個人の感想です(藁)】

 ええ、分析的な聞き比べではなく、自分の環境での感想レベルです (^ ^;

 第一、私の部屋は冷房が無く、3分じっとしていても暑い(関係ないですが)

 機器構成は、前述の通り、APU-(USB)-HiFACE EVO+EVO CLOCK-(Coax)-DAC(Lux DA200)からそろそろヘタレ気味の国産セパを通してB&Wの805dから間近で聞いています。(部屋狭いのと物多いので環境良くないですが)。電源は自作を使っているほか、アクセサリとか凝ったものは全く無く、ケーブルも不要な色付けを嫌った結果ベルデンの安いやつ、ネットワークもありきたりの物です。ヴォリュームは家庭環境等の都合でかなり絞り気味、SPに近接位置で聞いています。

 

 Voyage MPDは、ヴァージョン0.9.2、LightMPDは2014年8月11日に作者様が公開された版です。

 

 曲は、次の順で聞いていきました。LightMPDは、この曲順の聞き取りが初聴取で、この稿を起こしている時点では他の曲は聞いていないので、また、一曲ごとに所感を本稿に落としたので、要するにこのとおりの順番で感想が固定化、または変遷したということになります。曲の選定は、演奏経験があるとか、とにかく曲の構造をある程度見通しているものを、優先して択んでいます。

 

1 バッハ ブランデンブルク協奏曲4番 カフェ・ツィマーマン

 

 個々の音が聞こえる純然たる室内楽ですね。弦ベースの合奏体にリコーダーやチェンバロといった異種の響きが混じっている点を選択では重視しました。

 

 Voyage MPD、LightMPD(32bit、64bit)に大違いはありません。出てくる音場像、広がり、音の実質感など。

 ただ、本当にほんの僅かですが、VoyageよりLightMPD 32bitのほうが音のクリアさがより高いと思いました。また、若干ですがVoyageよりLightMPDの方が、「滑らか」に感じる音となっており、これは32bitより64bit版の方がより顕著な傾向、となっています。

 さらに、違いの傾向として、Voyage < LightMPD 32bit << 64bit で、全体に包み込まれる一体的な感じの響きとなっています。とくにヴァイオリンの音、擦弦のビーンという基音部分を包み込む倍音が、64bit版で、より「包み込む」感じです。ただ、これが倍音の描写能力の向上なのか、音が丸くなっているのか、判りづらいところではありました。

 結論でいうと、三者間に顕著な差異はないですが、LightMPD 64bitは相対的に「滑らかで聞きやすい」音である、ただこれが音楽ファイルの再現性の高さと判断はできない、というところです。

 

2 バッハ 無伴奏ヴァイオリンソナタ1番第1曲(シェリング) 無伴奏チェロ組曲3番第1曲(ビルスマ旧盤)

   

 純然たる弦の響きですね。シェリングはアナログ時代の古典的、中庸なトーンコントロールに、ビルスマはオンマイク気味+残響音を加味した複雑な音響感を選択のポイントにしました。

 

 これは、かなりの違いがありました。

 まず、LightMPD 64bitは論外。音に完全にオブラートがかかっている。

 次にVoyage MPDとLightMPD 32bitの比較ですが、ざっくり言うと、Voyageは生音らしさ、LightMPDは滑らかさ、綺麗さが勝っている。LightMPDのほうは、綺麗にお化粧した感じ、Voyageはより生で弾いている感じが強い。

 とくにチェロ組の方で顕著だったけど、Voyageだと、擦弦基音のビーンとかズーとかいう音がきちんと鳴り、それと倍音、反射音が綺麗に混ざって聞こえる。生っぽさはそこから来ていると思われる。実際に弦楽器の音を聞くと、弦の基音が緻密にきちんと聞こえ、良い楽器だとそれが遠くでも実質性を伴って聞こえるから。チェロはヴァイオリンより弦の鳴る音が強い分、その違いが顕著に出たように思える。

 一方LightMPDだと、倍音のみならず反響音までぞっくり拾って基音にかぶせている感じ。かなり反響音が優位に立った音作りとなる。ビルスマ旧盤は明らかにかなり近くに立てたマイクがあるが、Voyageだと、生で聞いているように思える一方、LightMPDだと、反響音用の少し遠いマイクの音とミキシングしてハイ綺麗に作りました、という感じで、奏者との距離感が掴み辛い。(ひょっとしたらビルスマ盤のトーンエンジニアは盛大に反響音も盛り込んだ音作りをしたのかもしれないし、それならVoyageからは一部の音が聞こえなかった、と判断できるが、実際どうなのかはわからないのでどちらとも判断できない。)

 なお、上記については、ヴァイオリンでも同様な傾向はあるが、チェロほど顕著ではないです。繰り返しですが、チェロの方が弦自体の振動エネルギーがはるかに大きいなので、判りやすかったのだと思います。

 その他の音像描写、音場の感覚、明瞭性などでは、VoyageとLightMPD 32bitは顕著な違いは感じられません。

 結論でいうと、

  生弦の演奏を聞くなら、64bit版はまるで使い物にならない。

  LightMPDは「滑らかさ」をpositiveに評価するかしないか、で評価が変わると思う。

  筆者は、より生らしい音の傾向、という点で、Voyageに高い評価を与えます。

 

3 モーツァルト ピアノ協奏曲23番終楽章 ゼルキン アバド ロンドン響

 

 ピアノの音と小編成オケの響きの中味に着目しました。異種同曲盤の中では、響きの中を掴み易い演奏を選んでいます。

 

 基本、所感については、いままでの傾向は変わりませんが、流石に小編成とはいえオケとなると、あまりあからさまに差は出ません。

 差分を抜き出せば、LightMPDで、ピアノの打弦の弦の音、すこし金属的な音が他よりも前に出ており、自分的にはよりピアノらしい音に聞こえました。また、Voyageと比べると、LightMPD 32bitだと、響きが広く豊かになる反面、ほんの僅かですがパートの明瞭さは落ちるようにも思えました。これが本来的にトレードオフのものかどうかはわかりませんが。LightMPD 64bitだと、ピアノの音は逆に丸くなり、オケの響きも渾然一体化が一層進行します。

 やはり、VoyageとLightMPD(特に32bit)については、「響きの滑らかさ」(加工臭?)をどう評価するかで判断が分かれると思われますが、オケなら、聞きやすさ、響きの一体感を優先するという判断は十分ありと思います。(聞きやすいから)

 

4 ブラームス 交響曲2番1楽章 アーノンクール BPO

 

 今度は標準的な2管編成の中編成オケです。普段は聞かないアーノンクールを引っ張り出しました。対向配置の弦のバランスや、伝統的演奏に比べ甚だ室内楽チックな響き作りに着目しました。

 

 まあ、はっきりいってストバイだけで10人以上の2管編成クラスとなると、顕著に違いは出ません。響きの広がり、透明感など、そんなに差異があるわけではありません(考えてみればハードが同じなんだから)。

 ただ、Voyageは、弦も管もミもフタもない感じの音であり、オケの中の響きのバランスなどは相当に優秀、ブラスの響きも生音に近い感じです。LightMPDは32bitのほうが64bitより、響きの広がりが僅かにあるでしょうか。あとは、VoyageとLightMPDの差異は、今までの他の曲と同傾向のものが認められます。

 

5 ブラームス ヴァイオリンソナタ1番1楽章 オイストラフ バウアー 70年ヴィーンでのメロディア録音

 

 ヴァイオリンとピアノが張り合う二重奏ソナタにしました。選択はあまり残響を入れない録音、聞きなれている、曲の構造がわかる、という点から。

 

 これまで1~4と聞いた感想は上記の通りですが、今回は少し印象が変わりました。

 まず、LightMPDは32、64bit版ともバックグラウンドがVoyageに比べ静か、という点。静けさの中からピアノとヴァイオリンが浮き上がってくる感じです。僅かではありますが。

 音場の広がり等は今まで通り、VoyageもLightMPDもほとんど変わらず。Voyageは、ピアノとヴァイオリンの位置関係もはっきりしており、各楽器の音もより生っぽく、実際に会場で聞いているような感じ。LightMPD 32bitは、ピアノとヴァイオリンの位置関係が、Voyageより僅かながらより明確、一方響きの特性はこれまで通りで、LightMPDのほうがVoyageより残響音などが基音回りを包んでいる感じ。Voyageが一部の情報を切り落としているのか、LightMPDが余分な情報を強調しているのかは判然としないが、筆者にはVoyageのほうが生っぽく聞こえる。ただし、位置関係の明瞭さなど、僅か2人の奏者の空間的な情景をLightMPDは上手く描ききれているように思えました。

 LightMPD 64bitについては、32bitと比べ奏者の位置関係などが明瞭でないように思えます。例えばVoyageや32bit版ではヴァイオリンとピアノの位置関係ははっきりしており、ピアノが前にでしゃばってくることは無いが、64bit版だと、フォルテとかでヴァイオリンとピアノが我先に前へ出て来る。音はピアノヴァイオリンともより残響優位で残響音などに完全に包まれている感じ。情報が多いというよりは音の焦点がボケている様に筆者には思えました。確かに聞きやすい、て言や、聞きやすいんでしょうけど、筆者的には余り、普段聞きなれたピアノとヴァイオリンの音には聞こえにくい、というところです。Voyageや32bit版に比べ、ですが。

 

6 ベートーベン 英雄2楽章 フルトヴェングラー VPO 44年12月録音(モノラル) TAHRA盤

 

 この夏の最中に背筋の凍るような暑苦しい曲を更に暑苦しい演奏で(苦笑)

 この演奏は大量の種類のCDが発売されており、いくつか自分も所有してますが、その中でTAHRA盤を選んだのは別に意味ありません、たまたまこの演奏がDBの見つけやすい位置にあったから(^ ^;

 着目点は、限られた情報量の中でのオケの異常な緊張感、深い闇から湧いてくるような音(特に再現部のはじめ)。

 

 やはり、LightMPDは、バックグラウンドの静けさがVoyageよりはっきりとしています。

 音場の広がりなどは今までの所感と変わりませんが、本当に静かな中からオケの音がでてきますね、LightMPDは。Voyageのほうは、1944年の録音の粗、というかマスターの劣化とともに音が乗ってきている感じがすこし顕わです。Voyageがあけすけ無く録音の粗まで出していてLightMPDはそれを覆い隠しているのかも知れませんが。(はァ?)

 あと、LightMPD 32bitだと、Voyageよりすこし前に音が出てきます。その所為もあってか、「44年(70年前)のヴィーン・フィルが目の前で弾いてる」感で言えば、VoyageよりLightMPDのほうがはっきりしています。別にVoyageの音のリアリティが低い、とは思いませんが、バックグラウンドの静けさか録音の粗かわかりませんが、そっちにすこし楽音が負けているのか、とも。僅かな差ですが。

 なお、この録音は磁気録音とはいえ戦前(しかも敗戦直前)の代物で、モノラルかつ音源の劣化も結構なものですが、それでもVPOの弦が目の前で弾いてる感は大したものでした。(ターラはノイズリダクションとか悪口色々言われますが。)没後既に60年、モノラルしかないフルトヴェングラー録音ですが、緻密に再生できる装置で聞くと、本当に音楽の中味が良くわかります。

 

7 マーラー 交響曲9番4楽章 バンスタDG全集

 

 4管編成本格的大編成オケを聞いてみました。ただこの曲って、弦合奏が大層目立ちますけど。

 流石にこのくそ暑い真夏に30分のこの曲を3回聞きとおすのは辛かった(じゃあやんなきゃいいじゃねえか、と呼ばわる声す)。

 

 結論で言えば、三者ともそんなに違いはありません。違いで言えば、今までの曲と同じ傾向だけど、Voyageの音は(特に弦)あけすけ、LightMPD 32bitは弦合奏のパート間の位置関係がVoyageよりクリアであること、というところでしょうか。64bit版は少し混濁した印象がありました。音場感で言えば、わずかにLightMPDが広いかな、という程度。その他で特に三者間に大きな相違ないしは特異的な優位性、劣位性は感じませんでした。

 

8 ベートーヴェン ラズモフスキー3番終楽章 ズスケSQ  ピアノソナタ8番(悲愴)1楽章 グルダ(2回目全集)

 ラズモは、細かい弦の音の受け渡し、見通しの良いパート間構成の再現性。悲愴を選んだのは特に理由なし。ピアノ聴きたいと思っただけ。ズスケは同曲異種演奏のうちでスレテオプレゼンスの自然さを重視して選択。グルダは、、、まあいいじゃん。

 

 

 これは案に相違して、弦の音、弦四重奏のトータルな響きの再現性ではLightMPD 32bitがVoyageより優位でした。VoyageよりLightMPD 32bitのほうが音がクリアであり、これがかなり奏功しているのか「室内楽の演奏会場で聞いているような弦の音」により近く響く。Voyageは相変わらずあけすけな音であり、LightMPD 32bitと比べ、クリアさが落ちることによる音の不明瞭さが少し耳につきます。楽器の位置関係などはVoyageの方が明瞭なんですが。例えて言うなら、スカイツリーに上がって、無風低湿度大快晴、富士山がばっちり綺麗に見えてGood Job!つうのがLightMPD 32bit版。晴天ではあるんだが、ここずーっと晴天続きで少し埃が立ってんのか富士山ちょっと見えにくいね残念、というのがVoyage。64bit版は、明瞭性で32bitよりはっきり落ちる。

 ピアノについては、Voyageが少しデッド、LightMPD 32bitが少しLiveな感じ。反射音反響音が少し勝っているよう。音の志向性はそんなに変わらない。後は聞きやすいかどうか。64bit版は序奏部の音の金属っぽい響き(打弦の生音と反響音か?)が気になる、というか、なぜ序奏部とアレグロで音が変わるんだろうか?、謎。

 

9 以上の曲を聞いてみて

 私の環境だと、LightMPD 32bit と Voyage MPD 0.9.2 は、そんなに大きな違い(どっちが良くてどっちが駄目)はなく、多少の違いをどう評価するか、好むか、個々の条件で違うように思えました。

 ただ、SDカード一発ですぐに起動するのはLightMPDの強みで、これは楽。

 LightMPD 64bit版は、明らかに前2者と勝負にならない。まだ試作的段階なのか、ハードの能力と合っていないのか???というところです。

 以上、2014年8月14-16日に行った聞き比べの結果でした。


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