Voyage MPD システム構築 by PCど素人 (Alix,CuBox,APU(New Alix))

PCど素人の文系リーマンがVoyage MPD(Alix,Cubox,APU(New Alix))構築に挑戦の顛末です。

No.36 ESS社 ES9018S Dual DAC基板の製作(その3)

2015-12-20 17:34:28 | 日記

2 準備その2

 私はど素人ですが、流石に本基板製作にあたってはど素人のままでは参りません

 こちらに基板頒布者さんが各頒布基板の半田レベルと回路理解レベルを表示されてますが、半田レベルは3段階の最高(「DIP(2.54mmピッチ)の半田付けなんて楽勝」)、回路理解レベルは3段階の2番目(「電源配線くらいはわかる」。ちなみに3段階は回路定数の意味がある程度分かる。)になっています。確かにその通り、と思います。

 ただ、半田については2.54mmピッチの半田付けが超難しいわけではないので、いくつか自作キット(IC表面実装の半田付けを伴うもの。SSOPの超ピッチ幅が細いものまではともかく・・・)などを作ってみることは最低限必要と思われます。半田のやり方はWeb上にいくつも例がありますので、まずこれを参考にしますが、唯一の正解手、というものはありません。いくつかの例の中から試しにやってみるのが良いと思います。

 また、電源配線は理屈がそれほど難しいわけではないですし、難しい回路理論の理解は不要でしょう。ただし、大きな本屋なら大抵売っているであろうアナログ回路の基本に関する本は一通り読んでおいて、そういえばあれはこんなことが、位の知識は頭に置いておかないと辛いと思われます。

 本基板のマニュアルにはどこにどの部品をどの向きに付けろとか懇切丁寧に書いているわけではなく、ブロック図とか部品表、概略回路図を見て自分で判断しないといけないので、アナログ回路理論の基礎位はないと、ということになります。オペアンプの詳細本までは読まなくてもいいですが、どうせこの基板はアナログ段が必要なので、ある程度理解できていたらよいかもしれません(基板頒布者藤原さんの提供する「シンプルIV(DUAL OPA版)」の定数はESS社が公表するES9018のアナログ段の推奨回路のままなので、書いてある通りに製作すれば音は出ますし、アナログ段の製作はデジタル段の製作より必要とする知識も半田技術も簡単ですみますが、なぜそうなっているのかが解ると色々と便利)。

 なお、基板頒布者さんが、別基板用ではありますが、製作上の基礎的な注意点を書いておられるので、参考となるかもしれません。

 

3 半田付け概論

 結局、いろいろWeb上で公表されている本基板の製作例を見ると、失敗の原因はほとんど ①半田付けの失敗 ②部品取り付けの間違い に尽きるように思われます。(静電気でICチップ破損、なんてのもあるらしい)

 ②は、当たり前乍らマニュアルをよく読んで、一ステップごとに確認、確認で進むしかないですが、①も結局は確認、確認、確認、に尽きるようです。

 例えば、本基板のWeb上の作例ですが、ここのPhoeniciaさんのコメントは非常に有益であり、また、当たり前じゃんと思いつつもついついすっ飛ばしてしまう手順と思います。現に、私が製作した折、何回もテスタや目視でチェックした後、フラックスリムーバを吹きかけ、乾燥後に今度は埃取りのPC用ダスタブロワを吹きかけて、再度全チップテスタチェックしたら、パスコンの半田ミスが発見されました。念には念を、という慎重さは、この基板製作においては特に必要と痛感したところです。

 また、半田付けの難しさの順番で言えば、

  ①ES9018本体 ②ジッタクリーナー表面 ③ジッタクリーナー裏面(ヒートシンク) ④パスコン でした。

  ただ④は、ここここの真似をしてパスコン重ねをしており、パスコンのランドの大きさぎりぎりのチップコンを付けるのが苦労、という当たり前の問題であり、また、小生に特異的な困難性と言えるかと。(キット付属のパスコンを使えば、それほど難しくはないと思います。)

  また、当然ですがICチップの半田時には、必要な静電気対策はしましょう。静電気対策の肝は、チップのリード間に不当に大きな電位差を発生させない、という点に尽きます。Web上には、いま顕在化しなくとも雑な対策だとチップにダメージを与え、いつかチップがダウンする(劣化を早める)との情報もあります。小生は、リストバンドとICチップ操作用の手袋をして、作業台にアルミホイル置いて、リストバンドだけでなくアルミからもアース取り、その上に基板作業用品並べてアルミも触りまくり、いろんなものの電位差を無くすようにし、チップは極力足ではなくパッケージを持つようにしましたが、ハテさて・・・

 

4 半田付け

 (1)ジッタクリーナー

  順番的には、ロジックICで腕慣らしするかどうかですが、ジッタクリーナーは基板の真ん中にあり作業性が後回しだと悪くなるため、とりあえずTPS7A4700の取り付けを腕慣らしにしてジッタクリーナーから取り付けてみました。

 【取り付け前】

 【取り付け後】(この後さらに電極とランドの溶着を確実にしたりするため再半田しており、最終形ではない)

 正直なところ、ピン数が多い分、TPS7A4700の5倍は難しいです(泣)。そもそもこの幽霊の如き足なしQFPパッケージは、足がないのが兎に角半田付け泣かせです。何せ、ほかのチップは取り敢えず1ピン仮半田で位置決めをすれば後の作業性は上がるのですが、仮半田もなかなか難しい・・・

 【私の手順】

 ① ランドに一つだけ仮半田する。

 ② チップの位置を決め(これがまた難しい(泣))、仮押さえする。小生は前述ですがこんなものを作りました。

 ラジオペンチと輪ゴムと爪楊枝で作っています。

 なお、こいつの肝は a)爪楊枝はあまり下を短くしない b)輪ゴムは把手の上の方を括る。その理由は、爪楊枝の下部分が短かったり(ふつう考えれば短い方が操作性は上がりそう)すると、輪ゴムの位置が下がり基板に接触する=ゴムのせいでペンチが揺れ動き仮押さえにならない、ためです。

 ③ こて先がチップの電極に接触する位の位置までもっていってしっかり半田付けする。

 ④ 仮半田した辺以外の辺について半田する。この際は20W位の半田ごてに、拙稿No.35の例ならHAKKOのBC(M)タイプのこて先をつけ、こて先に少しだけ半田を盛り、フラックスをドバドバ掛けて、ランドに平行にこて先をこすって半田を流す。

 ⑤ 結局ランドと電極がしっかり目視でも半田で溶着していないとまずいので、何か怪しげなところがあれば、上記④のやり方で、今度はランドの先からチップに向けてこすってみる。(小電力のこて先、極細のこて先ではあまりうまくいかなかった。小生は。) また、半田ブリッジは a)該当箇所を無水アルコールで綺麗にクリーニング b)フラックスドバドバ c)20W位のあまり細くないこて先の半田ごてでブリッジの辺りをちょいちょい・・・ で大抵解消します。(これはどんな個所にも当てはまる)

 ⑥ 最終形は、ランドと電極が半田で一連となっていること。28ピンと29ピン(CKOUT1+とCKOUT1-)はショートでOK。

 ⑦ なお、一回半田したところを再半田するときは、無水アルコールでヤニの焦げカスなどは綺麗に拭き取っておくこと(これはどんな時でも!)

 何か怪しいような気もするが、まあ良しとして・・・?(パスコン、エラいことになってますorz)

 

 ⑧ 裏のヒートシンクは、エイヤッと40Wの半田ごてでホールに半田を流し込むと上手くいくように見えるが、半田がこんもり盛り上がってしまい、試しに吸い取り線で吸い取ってみると中はガランドウ・・・(泣)。ICチップのGNDパッドとシンク部分を一体的に半田メッキできれば、半田と同じ金属面が表面に形成されるので後続の半田付けが楽らしいが、そのためにはGNDパッドとシンク部分の温度が適当な温度まで上がっていないとできない(半田ごてをホールに突っ込んでも、半田は半田ごての方にくっついて基板部品には付いてくれない)。ヒートガンでも使って半田の細切れ屑をホールに突っ込み熱するのが一番手っ取り早そうだが、そんなものないので小生は、60Wの半田ごてに40Wのこて先を換装し、半田屑をホールに少しちらしてこて先でホールの中をグリグリ・・・ ちなみに、60Wの太めのこて先の半田こてを、ヒートシンク部分の金属にしばらく当てて、真ん中のホールに半田が吸い込まれたら少しずつ先に、というのが最善かも。基板製作者さんのサイトのBBSにはこんな記述もあります。要はチップ温度上昇にビビるくらいなら最初から60Wとかでさっとやってしまった方が良い、ということでしょう。なお60Wでグリグリやったあとチップ表面を赤外線温度計(これ何気に便利、ただ高い)で計測しましたが、そんなにバカみたいな高温にはなっていませんでした。

 結果はこう。なんにしても余り加熱するとICの寿命が心配・・・

 

 (2) ロジックIC

  次に、真ん中辺にあって作業性の悪そうなIC11-18を半田付け。その次は端っこにあるIC2-7。こいつらは足の間隔も広く、そもそも足がちゃんとあるので・・・、ということなので、来るべきES9018の半田付けに向けた手慣らしも・・・

 ① ランドに一つだけ仮半田する。

 ② チップの位置を決め仮押さえする。

 ③ 20Wの半田ごてで、しっかり半田付けする。15Wだと熱量が低いように思えます(半田こてを話した瞬間半田が凝固し、半田に角が生えることが多い)。

 ④ 仮半田と反対の辺の足を半田。最初にフラックスをドバドバして半田する。引き半田でも良いが、上記(1)ジッタクリーナーの④のやり方で1~2ピンずつくらい半田していくのが吉のように思えました。

 ⑤ 完成形は、ICの足の終端の断面と基板のランドが半田で一体に溶着していること。

https://audit-tetchan-kaisetus.blogspot.com/2022/05/0.html

 


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