国際交流のススメ

舞台芸術・海外公演に関する情報をニューヨークから発信します。

ニューヨーク・タイムズ紙による写真撮影って

2010年01月12日 | 海外公演




今日はJeremy Wade 作・演出の“there is no more to end”の公演日です。
昨日の仕込は夜8時で終了。今朝は朝10時に集合して細かい手直しをしました。
12月に上演したばかりの作品の再演ということで、舞台上でのリハーサルは今日の午後の数時間だけ。
そして、リハーサルの合間をぬって午後4時から写真撮影を行いました。
写真撮影といってもニューヨークタイムズ紙から送りこまれた写真家、ただ一人のための会です。

すでに書いた通り、レビューが出る、特にNYタイムズのようなメジャーな新聞に出るというのは
プレゼンター(主催劇場)にとっても、アーティストにとっても非常に重要で、
NYタイムズ紙から批評家が来る、そして写真家が来てくれるとなれば
少々無理をしてでも、そのための時間を設けることとなります。

こういった感覚はあまり日本ではないんじゃないかな、と思うのですが、どうでしょう?


 


ジャパン・ソサエティのプロダクションマネージャーとして、公演のスケジュールは
基本的に僕が作るのですが、仕事を始めた当初、写真撮影のためにリハーサル時間が短くなったり
初日の前(つまり批評家が来る前)に必ず写真撮影の時間を設けるように言われ、反発を感じたのを覚えています。

「写真撮影や批評家のために上演しているんじゃない」
「劇場で一番重要なのはお金を払って見に来てくれる観客だ」

そういう思いは今も同じくありますが、今はもう少し総合的な見方をするようになりました。
前にも書きましたが、批評や公演に関する記事は活動に対するある種の通信簿だと思うし、
公演を見なかった、あるいは知らなかった人たちにも、こういう公演があった、
そしてそれはどういう公演であったのか、ということを知らしめる貴重な手段でもあるからです。
それは現場でのリハーサルの時間に割り込ませるだけの価値のあることだと思うようになりました。


 


もちろん、ケース・バイ・ケースで対応はいつも同じではありませんが、
しかし極端な話、260席の劇場で3回公演して満席にしても780人が見るだけですが
ニューヨークタイムズに載れば数十万人の人の目に触れることになります。
もちろん、“だからタイムズ紙のほうが重要”なんてことにはなりませんが、
制作としては、批評や記事が掲載されるように最善を尽くすのは当然のことでしょう。

現場は演出家やアーティストだけのものではありません。
制作者のものであって、主催劇場のものでもあります。
対等な立場でお互いの職域を尊重し合わなければ成立しないですよね。
そして、公的なお金や助成金を貰っているならば、コミュニティに対して活動を
説明する(知らせる)努力をする義務もある、とも言えます。

とまあ、そういうことで・・・
間もなくJeremy Wade 作・演出“there is no more to end”の開演ですー。

以下、舞台イメージからいくつか掲載ですー