今夏は、何故かブタナが目立ちます。あまり聞き慣れない名前でしょうが、きっとどこかで一度は目にされていると思います。
「よく見かけるけれど、アレは何というの?」と度々訊かれます。「ブタナです」と云うと、「タンポポじゃぁないの?」とよく言われます。
タンポポかと思われるも無理ありません。ヨーロッパ原産のブタナHypochaeris radicata は、1933年(昭和8年)に札幌市で確認された当初は「タンポポモドキ」と呼ばれましたから。しかし翌年の1934年、六甲山で見つかった同種の植物には、「ブタナ」と名付けられて以来ブタナの方が主流となりました。(今では各地で帰化が確認されて定着しています) フランスでの俗名“豚のサラダ”(Salade de porc)を翻訳した名前になったのが由来と云われています。翻訳名をそのまま名付けたというのは、いかにも土地柄なのかと思えます。六甲と云えば神戸ですからねぇ。 ひょっとしたら、六甲で命名したとき、フランスの方がその場に居合わせたのかしら?
ブタナの葉は地際から生える葉だけのロゼットの状態です。ぎざぎざで波打った葉には縁や両面に剛毛が生えています。そこから枝分かれした花茎を伸ばし、花茎の先端に舌状花だけの頭花をつけています。 上図は園内のと私の居住する団地で撮ったものです。花も葉も、生えている土地の栄養状態によるのでしょう、僅かながら違いがあるようです。 云うまでもありませんが、花も葉も貧弱なのは団地の方です。 タンポポは一つの花茎にひとつの頭花をつけますが、ブタナの花茎は枝分かれし、その先端に花をつけるので複数の頭花をつけてます。
Salade de porcの直訳「豚のサラダ」は、あのごわごわした葉を、豚が好んで食べるのだろうかと思えます。それとも、豚しか食べないから・・・という意味なのかしらとも思うのです。 Wikipediaには、ブタナの利用の項に、『全部分が食用に可能であり、葉と茎が最も利用される。成長しすぎた葉は硬くなるが、若葉はクセが少なく、サラダ、茹で野菜、揚げものなどで食される。タンポポよりも苦味が少ないことが多い。根はタンポポと同様に、コーヒーの代替品として炒ってハーブティーとして飲まれる。ギリシャのクレタ島などでは葉をボイルして普通に食されているようである。』 とありますが、本当に人が食べることが出来るのか・・・と思えてなりません。
そういえば、同じように毛の生えているアザミにも、若葉を食べられるのがあるのだから、一度試してみてもいいかなとは思いつつ、「食べられる野生植物」にも載っていないのでは止したほうがいいかなとも思案中です。 食べることが出来るのは若葉であるなら、試すのは来春まで待たなくてはなりません。
それにしても、タンポポモドキの名前の方が、余程分かり易いのにと思うのは私だけでしょうか。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます