つれズレ愚抄

つれ：「米大統領選はいよいよクリントンさんとトランプさんの一騎打ちとなって、外野的にはヒラリー信玄公にドナルド謙信公が斬り掛かるが如く興味津々だよねぇ」

 
ズレ：「どちらも叩けば続々と埃が湧くだけにメディア的には賑やかながら、当のアメリカじゃ双方史上最も不人気な候補だそうだけどよ」

 
つれ：「川中島の布陣としちゃ、基本的には過激な変革は望まない層が武田方で現状の不満を打破したい層が上杉方てぇ図式なのかねぇ」

 
ズレ：「それぞれ党内にも反発はあるみたいだから、従来の民主党・共和党の枠組みにもネジレが生じそうだわな」

 
つれ：「翻って本邦は衆院解散もなくよもや参院選でのネジレもあるまいとなれば、安倍大権現の天下はさらに盤石っぽいねぇ」

 
ズレ：「首相が立法府の長なんて中学生でも分かる間違いが議事録じゃ密かに修正されてる辺りも、その御威光の顕れなんじゃねぇか」

 
つれ：「数の力を背景に威圧感を振りかざされるよりゃ、ミゾウユウやらフシュウやら続々と失言が湧く太閤殿下を戴いてた方が下々的には気楽だったけどねぇ・・」

つれ：「中国大使閣下を深夜に呼び付けるなんざ、中国軍艦の尖閣接近には珍しく毅然としたところを見せてくれるねぇ」

 
ズレ：「安保法制は作ったし選挙も近いとなれば、民主党政権時代とは違うってとこを強調したいんじゃねぇか」

 
つれ：「航跡からすると尖閣への示威ってよりはロシア軍艦への警戒が目的のようにも見えるけどさ」

 
ズレ：「同じ接続水域侵入でもロシアさんはお構いなしで因縁浅からぬ中国さんにだけ強く抗議ってのも、中華思想の尊大ぶりを徒に硬化させた感じだしよ」

 
つれ：「先に攻撃されなきゃ手を出せないのは変わってないんだろうから、万一鎧袖一触となればまず日本艦がやられちまうよねぇ」

 
ズレ：「戦える国にしたいなら憲法改正の王道を以て臨むのがスジってもんで、安保法制程度で嵩にかかっても所詮は米軍の威を借りるほか芸のない小日本とさらにナメられるのが関の山でぃ」

 
つれ：「日本外交としては稀に見る勇ましさでも、世界の軍事筋からは弱い犬ほどよく吠えると嘲笑われてるのかもねぇ・・」

つれ：「ミツビシさんに次いでスズキさんの軽燃費が槍玉に上がったのは、或いは合併がポシャッたVWさんの意趣返しなんてこともあるのかねぇ」

 
ズレ：「排ガス偽装対応で大童なところにそんな暇はあるまいけれど、当のディーゼル車は販売してない日本市場での落ち込みが激しいってのも妙な話よ」

 
つれ：「ミツビシさんの軽もさっぱり売れてないようだし、物見高いは江戸の常以来日本人それだけ風評に敏感ってことかぃ」

 
ズレ：「日本で手に入らないディーゼルや走り方次第でアテにならない燃費データに振り回されてるようじゃ、主義主張の強固な西欧から見りゃ軽佻浮薄なお調子者の誹りも免れないんじゃねぇか」

 
つれ：「スズキさんの計測方法は自動車の本場欧州じゃ認証されてるそうだしねぇ」

 
ズレ：「事の本質は考察せず法律との適合だけで是非を断じるのは、形式主義の思考停止と同然だぜ」

 
つれ：「安保法制も成立した途端にすっかり関心が薄れた感じだし、江戸っ子以来宵越しの興味は持たないのも日本人の特質かもよ・・」

つれ：「幕張上空で開催されたエアレースで日本人選手が優勝たぁ、門外漢と雖も快哉を叫びたくなる快挙だねぇ」

 
ズレ：「容易に裾野が広がる競技じゃなさそうだけど、人気を盛り上げるには同胞の活躍が何よりの特効薬だわな」

 
つれ：「福岡沿岸じゃアメリカズカップの予選が開かれるそうで、１５年ぶりの挑戦となる日本チームの活躍が期待されるよねぇ」

 
ズレ：「かつては零戦や連合艦隊で空に海に覇を唱えた如く、今度は平和裏に列強何するものぞと大いに気を吐いて貰いたいもんよ」

 
つれ：「何かとケチがつく五輪を招致するより、そういう単発競技を各地で開催した方が経済効果も大きかったんじゃないかぃ」

 
ズレ：「経済環境の変化で百貨店の凋落が取沙汰されるように、社会環境の変化でもはや毛色の異なる競技を一緒くたに開催するスタイル自体に無理があるんじゃねぇか」

 
つれ：「実際のところ五輪開催で心の底から快哉を叫んでるのは、袖の下がタンマリ集まるIOC貴族だけかもしれないねぇ・・」

つれ：「国の戦時賠償反故にも関わらず、三菱マテリアルさんが強制連行の和解に応じたのは金持ち喧嘩せずってことなのかねぇ」

 
ズレ：「世界に冠たる天下の三菱財閥ともなれば、総額６０億円超と雖も中国さんと事を構えるよりは得と算盤を弾いたんだろうよ」

 
つれ：「世界に冠たる政治大国のやることだから当然中南海が糸を引いてる筈で、これに味を占めて戦時賠償の掘り起しが相次ぐんじゃないかぃ」

 
ズレ：「今や世界中で荒稼ぎする経済大国になっても寛容とは無縁で、海洋覇権に楯突く国には容赦なく報復するてぇデモンストレーションにもなってそうだぜ」

 
つれ：「ケシかけられて賠償金で潤う中華人民も好々となれば、南京大虐殺キャンペーン以上のムーブメントになるかもしれないねぇ」

 
ズレ：「こういう時こそ日本政府の毅然としたイニシアティブを見せて貰いたいもんだけど、一私企業の問題と逃げを打ち倒すのがお約束だからなぁ」

 
つれ：「安倍さんとすりゃトランプさんみたいに国民感情に乗っかった歯切れのいい政敵が現れないのが幸いなる哉だねぇ・・」

つれ：「蝶のように舞い蜂のように刺すした不世出のチャンピオンも、天寿の前には不死身のタイトルは防衛できなかったねぇ」

 
ズレ：「ボクシングは無論のこと、リングの外でも人種差別と戦った不世出のチャレンジャーだったわな」

 
つれ：「カシアス・クレイと名乗ってた頃は、よもや非白人の大統領が登場するとは夢にも思わなかったろうねぇ」

 
ズレ：「それでも差別はけして根絶されてはいないんだから、モハメド・アリ級のヒーローを以てしても容易には倒せない難敵ってこった」

 
つれ：「本邦もヘイトスピーチ対策法ができたのに、市が公園使用を拒否しても警察は道路使用を許可したりと対応がまちまちだしねぇ」

 
ズレ：「警察とすりゃデモ許可で貸しを作った体を装いながら、ヘイト関連の人物情報をガッツリ収集しといた方が後々得策てな計算もあるんじゃねぇか」

 
つれ：「まずは相手を蝶のように舞わせといていずれ蜂のように刺そうてぇ作戦なのかねぇ・・」

つれ：「北海道で置き去りにされたお子さんが無事に見つかったら、ネットは別の大騒ぎになってるようだねぇ」

 
ズレ：「好き放題に憶測を垂れ流すワイドショーやらの無責任な野次馬ぶりが如実にあからさまになった格好だからなぁ」

 
つれ：「他人の不幸は蜜の味とばかりに、最悪の結果を暗黙の前提としてよりエッジの利いた邪推の飛ばし合いだったもんねぇ」

 
ズレ：「羆にやられたんじゃないかくらいならまだしも、親御さん絡みの事件性まで取り沙汰するに及んじゃ冤罪まで生み出しかねない勢いだしよ」

 
つれ：「振り返ってみるとメディアが作り上げた犯罪てのも存外に多いのかもしれないねぇ」

 
ズレ：「わざわざ振り返るまでもなく、今の都知事騒動もメディアが悪し様に取り上げなけりゃ単に貧乏人が金の亡者に成り上がっただけの笑い噺だぜ」

 
つれ：「お粗末な借用書で引っ張った５千万円分の紙包みを無理矢理カバンに押し込んで見せた前都知事よりはよほど庶民的なみみっちさだからねぇ・・」

つれ：「清原元選手の執行猶予と甘利前大臣の不起訴処分は既定の方針どおりってとこかぃ」

 
ズレ：「ハナから結論は分かってる事に騒ぎ過ぎってこった」

 
つれ：「彼方往年のスパーヒーロー此方TPPの立役者の不祥事となりゃ、一気に拡散して世間が色めき立つのは当然だろうに」

 
ズレ：「問題の本質は一向に後を絶たない薬物汚染や政治利権なんだから、殊更特定個人を槍玉に上げたところで虚しいばかりでぃ」

 
つれ：「薬物の方は根絶は無理でもより害の少ない方向に収斂させるべく、世界的にはマリファナやらを合法化する動きはあるみたいだよ」

 
ズレ：「政治の方も私腹と色絡みは根絶不能とはいえ、金は掛かって当たり前と容認さえすりゃ大半の不祥事はお構いなしで本来の政治に収斂できるんじゃねぇか」

 
つれ：「いっそのことアベノミクス第四の矢はその辺の規制緩和にすりゃ、無駄に騒ぐエネルギーは節減できそうだけどさ・・」

つれ：「盤石の安倍総理にとっちゃ内閣不信任案なんぞは痛くも痒くもないにせよ、消費増税延期と同日選断念は痛恨っぽいねぇ」

 
ズレ：「確かな経済的根拠もなく２年半延期てなぁ、そこまで総理の座に君臨する所存の表明とも言えそうだぜ」

 
つれ：「当然東京五輪も首相として迎えるおつもりだろうけど、少なくとも増税の前には震災復興に目鼻を付けて貰いたいもんだょ」

 
ズレ：「東日本大震災後の選挙実施が民主党政権の自滅に繋がった轍は踏むまいと同日選こそ回避したものの、所信表明でスイート断ちなんてセコイ詫びを入れた都知事の関心はあくまでも銭ゲバなら会見でポロッと同日選への未練を語った総理の関心は専ら長期政権の維持なんじゃねぇか」

 
つれ：「増税は延期したものの社会保障サービスは充実を図るなんてのも、選挙目当てのアメ玉ってことかぃ」

 
ズレ：「それが出来るならそもそも増税は必要あるまいと身内の小泉ジュニアからツッコまれるほどのバラ撒きじゃ、政権は維持できても日本が維持できなくなっちまわぁな」

 
つれ：「鬼も呆れる２年半先の話で軽減税率を確約するあたりも、何はなくても自公連立ありきてぇ感じだしねぇ・・」

つれ：「アメリカ開拓期に起きた実話ベースの原作があっての映画化だそうだけど、デカプリオ丈が悲願のオスカーに輝いただけあっていかに主演俳優にオスカーを握らせるかてぇノウハウに溢れた教科書的作品とも言えるんじゃないかぃ。
 まずセットやCGじゃない大自然の光景への強い拘りがそれ自体で内容に関わらず感動を呼び起こすから自ずとアクション系の演技もスケールが大きく映るし、随所に謂くありげな心象風景のインサートも加えた長尺の物量で圧倒すれば台詞回しも一々人物像を深く掘り下げたように感じられるよねぇ。
 何よりアカデミーてぇ衒学的な趣向を満たすにはアメリカ人の原罪意識を突つくのがキモらしく、原住民は迫害するのが当たり前でも人間としての良心は示す主役を演じてこそ正義の原爆投下に大統領の謝罪は認めないてぇ国民性の琴線に触れるみたいだよ」