つれズレ愚抄

ズレ：「ちょうどロイヤルウェディングへのご祝儀もあってのオスカー受賞かといささか斜に構えていたのもどこへやら、実話ベースの全くストレートな設定に英国王室ひいては欧州情勢の機微をさりげなく鏤めて淀みのない展開はさすが作品賞とすっかり納得しちまったぃ。
こういう作品が世に出るあたりが開かれた王室の所以か、未だに厳然たる階級社会を維持しながら王族は王族を演じてるかのように自他ともにノーブレス・オブリージュの面目を保ってるあたりに世界に版図を広げた大英帝国のしたたかさが仄見え、映画のストーリーの端々でどうしたって同じ立憲君主国たる我が皇室との比較が頭をよぎるわな。
その開明性においては女性天皇の是非から論じられる本邦に対して女王の治世でこそ大躍進を遂げ醜聞にも事欠かない英王室には及ばずながら、こっちは何たって世界に類例を見ない万世一系なんだから、不肖臣民としちゃ小難しい思想信条には関わりなく皇室の弥栄をお祈りするばかりよ」