オンライン句会入賞発表

■水煙発行所主催■

特選7句/5月句会

2006-05-03 18:21:28 | 5月句会
【高橋信之特選7句】
★迷い来し郭公声を撒きて去る/矢野文彦
動詞の多い句は、俳句では珍しいが、それだけに、作者の思いが強く伝わってくる。「郭公」の姿を、その「声」で捉えた。作者の心深くに捉えた。(高橋信之)

★樟若葉絵馬の触れあふ軽き音/齊藤真人
願い事の書かれた「絵馬」である。「軽き音」がいい。「樟若葉」の大きな蔭の中の風景で、願い事であれば、深刻でないのがいい。(高橋信之)
下五の「軽き音」がより一層のすがすがしさをかもし出している。御参りも気分が良かったことでしょう。(伊藤華将)
絵馬が揺れて爽やかな音が心地よく聞こえ、願い事はきっと叶うことでしょう。(大石和堂)

★そよぐものみな軽やかに五月来る/臼井虹玉
五月の爽やかな風が心も弾み好きな季節です。(篠木 睦)
とても爽やかさがあって、あっさりとした中に自然が詠まれていて気持ちが良いです。五月らしい句と思います。(河ひろこ)

★山々を映し代田のつながれり/池田多津子
田植の前に代田の水面に映す山並みが畦をこえて連なって見える。かって日の本は瑞穂の国と教わった者が今でもおおらかに味合える農村に残る景色です。好きな一句です。(志賀たいじ)
田植え前の農村のおだやかな風景です。山々が畦を越えて連なっていることを素敵に詠まれました。(黒谷光子)
水をはった代田に山並みが映り、広々とした田園風景が美しく見えてきます。(藤田裕子)

★新緑の光の中へ駆け出す児/藤田裕子
眼前に景が飛び込んできました。まさにその通り。昼休みなど、明るい新緑の光に囲まれた校庭に向って、ボールなどを手に持ち、児童が駆け出して行きます。(飯島治蝶)

★高々と牛舎の空へ鯉幟/渋谷洋介
★青時雨少年漕ぎ出す車椅子/希往来

【高橋正子特選7句】
★早苗田の囲むこの村四十戸/黒谷光子
「この村」は、自分の住んでいる村だろう。四十戸が暮らす村は、小さい村ながら、早苗田に囲まれ、早苗のみどりも、水の照り返す様も美しい。(高橋正子)

★浴室にさらの石鹸薄暑の夜/臼井虹玉
おろしたての新品の石鹸を家族が入る前の浴室に置くと、さわやかな匂いに満たされる。薄暑の夜の清潔感がいい。(高橋正子)
僅かに汗ばむようになった頃、一日の疲れを洗い流す浴室に、おろしたての石鹸。まっさらの石鹸は、いつも嬉しいものですが、薄暑のお風呂場ほど、その喜びが映える場所は、あまりない気がいたします。(かわなますみ)

★麦の穂の青き勢い活けており/岩本康子
「活けており」に生活感があって、この句をリアルにしている。青麦の穂の勢い、そのままのような句。(高橋正子)
"青の勢い"に感じいりました。(澤井 渥)

★植え終えし早苗の列は雨の輪に/碇 英一
植えられてようやく水におさまった、早苗の一つ一つのみどりに、雨の輪ができ、田植えの済んだ安堵が伝わる。(高橋正子)
田植えし終えて一安心しているところが伺えます。「早苗の列は雨の輪に」は、とても好きです。(祝 恵子)

★校庭の記念の大樹楠若葉/伊藤華将
★高々と牛舎の空へ鯉幟/渋谷洋介
★麦の香のほのと寄せ来る砦跡/井上 明