山都町の行く先々の農家で繁殖牛を減らしている。
「前は10頭くらい居たが今は6頭」
「牛は やおいかん(大変だ)」と親父さんは話す。
減反が始まって米が減らされ、その代わりに野菜を作るようになった。
野菜に手が掛かり牛を飼うのが大変になる。毎日の餌やりは365日手が抜けない。
加えてイノシシの出没。
以前植えていたコーンは植えられない。代わりにソルゴーを入れたが、それでも油断すると畑に入って遊びまわり押し倒してしまう。
少しでもイノシシの臭いがついた餌は牛は絶対に食べない。
この農家では4~50年くらい昔からの牛小屋につなぎ飼い。冬が厳しいため開放部が狭く薄暗い中に牛の親子が居た。
軒先には2~3日分のソルゴーが立てかけてある。
カッターで短く切り、同じく短く切ったワラや野草と混ぜて与える。
時が止まったようで餌も変わりない。
ゲンノショウコやススキなど野草の香りは、子どもの頃にイヤイヤ手伝った牛飼いの記憶を思い起こさせる。
小屋前のソルゴー 軒先のコーンと玉ねぎ
予防注射の仕事で山都町の農家を巡回。
大矢野原演習場に隣接した農家の親父さんの話。
農家の前の道を挟んだ原野がかの有名な大矢野原演習場。
頻繁に自衛隊の演習があり、米軍との合同訓練も開催された。
訓練ではヘリコプターが20mくらいの上空を低空飛行し、その際はヘリの爆音だけでなく風圧も受ける。大砲の轟音や機関銃、文字通りの実戦訓練はすさまじい。
演習の度に牛が怯え、永く飼われている母牛でさえ不安で落ち着かなくなる、初めて農家に来た子牛は気が狂ったように暴れまわるという。
今でもこうした状態なのに、オスプレイが来たらどうなるか今から不安だと農家の親父さんは話していた。
日米安保も必要だが牛の平穏は無視される。
まして沖縄は。
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