ショパンのつぶやき

のなかどうぶつ病院の診療日誌

熊本地震被災動物診療助が始まりました

2016-05-14 17:09:09 | 日記

 

震災から1か月が過ぎました。時折震度4の余震も起きており、なかなか終息に向かいません。

ペットたちもかなり影響を受け、病気やケガで傷ついています。また、保護や預かりの必要なペットたちもいます。

こんなペットたちへ影響を少しでも緩和できるようにと、日本獣医師会による診療助成制度か緊急に始まりました。

 内容については、震災以降ケガや病気で受診したペットたちの診療費の一部を助成するものです。

詳しくは各病院でお尋ねください。

ただ、予算額が限られており十分な助成ではありませんが、少しでも飼い主さんの負担が軽減できればという趣旨です


長引く余震の中でおしっこが出なくなったネコちゃん。

2016-05-12 19:17:16 | 日記

大地震の後に食欲がなくなったネコちゃんは多く、そんな時はストレス緩和薬を処方すると一旦治まる。

しかし余震が長引き、3週間を過ぎておしっこが出なくなったネコちゃん。

15分おきにネコ砂のところで身構えているが出ないで諦めるとのこと。

一般にはこうした症状の場合、尿結石か腎炎を疑って導尿する。

しかしこのネコちゃんは尿は溜まっておらず、やや潜血が見られる程度。

血液検査でも腎機能を始め異常が見当たらない。

尿づまりを起こすと血液の老廃物が排出されず、食欲不振や嘔吐、低体温を引き起こすが、そうした症状が出る子もいれ出ない子もいる。

原因がよく掴めないが、ネコちゃんにはあるとされているストレス性の下部尿路障害と考えられた。

似たような症状のネコちゃんがこの時期に数頭来診しており、長引く余震の場合には注意が必要だ。

 


最後に一噛みして逝った戦友ワンちゃん

2016-05-12 18:41:37 | 日記

 昨日までは元気にフードを食べていたが、今朝嘔吐し、元気がなくなったと朝早くから来診したワンちゃん。

大型犬でやや痩せ気味。心拍・呼吸ともに増加し微熱。 診察台に載せようとした途端に、看護師さんの左手をガブリ、続けて私の指をガブリ。

ぐったりしていたがまだ噛む力は残っていた。

 留置針をセットし血液検査をすると、通常40程度の肝機能の指標が1000を越え測定不能。

腎機能も大幅に低下。この数値ではまず助からない。

投薬・点滴を続けるが急激に弱って2時間後に心肺停止を起こした。

 持病もなかったようだが肝機能の数値が1日でこれほど上昇するとは考えにくく、そうなると震災以降の余震のストレスで急激に悪化したものと考えられる。

 激震から3週間、一時は飼い主さんと車の中で寝泊まりし、その後も一緒に余震の恐怖を乗り越えてきた戦友。

やっと日常が戻りつつあったのにワンちゃんの力が尽きた。 急に逝ってしまったワンちゃんに飼い主さんのショックも大きい。

次の日のいらっしゃった飼い主さんの話。

いつも朝起きてカーテンを開けるとしっぽを振ってくれるワンちゃんがいたが、今朝、そこには姿が見えなかった。

何気ない日常が消えてしまった。 もっと抱きしめてあげれば良かった。と。