一般的に犬の角膜の病気で多いのは角膜潰瘍で、頭の短いシーズやバグに多く見られます。
今回の犬はこれとは違い中型のMIX犬に発生した珍しい角膜腫瘍です。
左目の中央がピンク色に盛り上がり、その大きさは幅7ミリ、高さは4ミリほどあります。また左右の角膜も表面が黒く変色し瞳孔が確認できないという異常もあります。
飼い主さんには角膜潰瘍と説明し外科手術の了解を得ました。
全身麻酔下で左目の潰瘍部分を剥離しようとしたものの潰瘍部に血管が進入しており出血が多く、また、その根が深く眼球内に入り込んでいることから角膜潰瘍を否定しました。
また、剥離した組織は、ブツブツしたカリフラワー状で、鏡検により腫瘍細胞らしきものも見つかり角膜にできた腫瘍と考えられたことから、一旦眼瞼を縫合して左目を閉じました。
腫瘍であれば摘出しないと肥大化するため眼球摘出が必要になりますが、この時点では飼い主の同意を得ていないため手術は中断します。
麻酔が覚めたジョンは”森の石松”状態で、痛みにひとしきり泣き続けていましたが、再度摘出手術を迎えることになるかもしれません。かわいそうに。
手術前のジョン
角膜の腫瘍